飲食業界で進む高齢者採用の現状とは?
近年、飲食業界では深刻な人手不足が続いています。特に少子高齢化の影響で、若年層の労働人口は減少傾向。一方で、60代以上のシニア層は「まだまだ働きたい」「社会とのつながりを持ちたい」と考える人が増え、飲食業界でも積極的に高齢者を採用する動きが進んでいます。
厚生労働省の「高年齢者雇用状況報告(令和5年)」によると、65歳以上の雇用者数は過去10年で約1.5倍に増加。特に飲食業や小売業では、シニア人材の採用が進んでおり、実際に多くの企業が戦力として活用しています。
高齢者を採用することは、単なる人手不足対策にとどまらず、店舗の雰囲気向上や人材育成など多方面でメリットがあります。次章では、その具体的なメリットを5つご紹介します。
高齢者を採用する5つのメリット
1.経験と接客スキルが即戦力になる
60代以上の方は、これまでの人生で培った社会経験やマナーを持っています。特に飲食店では、お客様への心配りや丁寧な接客が求められるため、シニア層の「気配り力」は大きな武器です。
例えば、元営業職や販売職だった方なら、初対面でもお客様と自然にコミュニケーションが取れるため、接客未経験の若手スタッフよりも早期に戦力化できます。また、店舗の雰囲気づくりにも貢献し、リピーターの獲得につながることも多いです。
2.定着率が高く安定した人材確保が可能
高齢者の多くは、「生活のため」だけでなく、「社会とのつながり」「健康維持」などを目的に働いています。そのため、短期間で転職したり辞めたりするケースが少なく、長く安定的に働いてくれる人材が多いのが特徴です。
実際に、厚生労働省の「高年齢者の就業実態調査」(令和4年)によると、60代以上の離職率は若年層よりも20%以上低いというデータもあります。
飲食業界は離職率が高いことで知られていますが、シニア人材の採用により、職場の定着率向上が期待できます。
3.職場に多様性をもたらす
高齢者の採用は、職場に「年齢の多様性」を生み出します。20〜30代中心の職場に60代のスタッフが加わることで、異なる価値観や考え方が交わり、チームとしての柔軟性が生まれます。
また、シニアスタッフの「落ち着き」や「人生経験」は、職場の雰囲気を和らげ、若手スタッフの相談相手になることも。お客様の年齢層も幅広いため、シニアスタッフがいることで、同世代のお客様とのコミュニケーションもスムーズになります。
多様な人材が共に働く環境は、企業の社会的評価向上にもつながります。
4.コミュニケーション能力が高く職場の雰囲気が良くなる
高齢者は、長年の社会生活を通じて培った「対人スキル」に長けています。特に飲食業界では、スタッフ同士の連携が欠かせませんが、シニア人材は周囲に気を配り、円滑なコミュニケーションを図ることができます。
「報告・連絡・相談」などの基本がしっかりできるため、トラブルが起こりにくく、店舗運営の安定化にも貢献します。また、忙しい時間帯でも冷静に対応できるため、職場全体の雰囲気が落ち着く効果も期待できます。
5.地域密着の店舗運営に強みを発揮
多くのシニア人材は、長年同じ地域で生活しているケースが多く、地域事情に詳しいことも魅力の一つです。地元のお客様と顔なじみであったり、地域のイベント情報に詳しかったりするため、店舗と地域とのつながりを強化できます。
特に個人経営の飲食店や地域密着型のチェーン店では、地元の人々との関係性が集客力に直結します。シニア人材を採用することで、地域コミュニティとの距離を縮め、店舗運営の安定化につながるでしょう。
高齢者採用を成功させるポイント
高齢者を採用するだけでは、飲食店の人手不足解消や職場改善にはつながりません。採用を「成功させる」ための具体的な取り組みが必要です。ここでは3つの重要なポイントをご紹介します。
1. 業務内容と労働条件の明確化
シニア人材の応募を促すためには、仕事内容と条件を具体的に提示することが大切です。
体力に不安がある方も多いため、「接客のみ」「洗い場中心」など負担が少ない業務内容を明確に伝えましょう。
また、勤務日数・時間・時給などを細かく記載し、「週2日からOK」「短時間勤務可」といった柔軟な働き方を提示すると、応募意欲が高まります。
2. 受け入れ体制の整備
高齢者採用を進める際には、社内の受け入れ体制が整っていることが重要です。
特に気を付けたいのは、現場スタッフへの事前周知と意識づけです。
年齢差によるコミュニケーションのギャップを埋めるため、定期的なミーティングやOJT(現場指導)を通じて、スタッフ同士の交流の機会を設けましょう。
また、店舗によってはマニュアルの文字サイズを大きくする、作業手順をイラスト入りで見やすくするなど、シニア向けの工夫も効果的です。
3. 定期的なフォローと評価制度の導入
採用後も、定期的な面談や声かけを行い、不安や悩みを早期に把握することが大切です。
年齢に関係なく努力や成果を正当に評価することで、モチベーション維持につながります。
例えば、「勤続年数に応じて時給アップ」「お客様アンケートで高評価を得た場合に表彰」など、貢献が見える形で還元できる制度を導入することをおすすめします。
高齢者が職場で活躍するためのコツ
高齢者を採用したあと、長く・安心して活躍してもらうためには、職場環境の整備と周囲のサポートが欠かせません。
ここでは、高齢者がイキイキと働き続けられるための具体的なコツを3つご紹介します。
1. 体力や健康に配慮した業務配置
60代以上のスタッフは、若手と比べて体力的な負担が大きい作業は難しい場合があります。そのため、以下のような配慮が重要です。
・重い物の持ち運びや長時間立ち仕事は極力避ける
・ピークタイムは無理に担当させず、比較的落ち着いた時間帯に配置
・休憩時間をこまめに確保する
こうした工夫をすることで、体調不良による離職リスクを減らし、継続的な勤務につながります。
2. 年齢を超えたコミュニケーションの促進
職場での人間関係が良好であれば、年齢差に関係なくスムーズに仕事ができます。
具体的な取り組みとしては、
・定期的な朝礼、ミーティングで情報共有
・雑談できる雰囲気づくり
・業務中も「ありがとう」「助かります」などの声かけを意識
特に、若手スタッフが年上の同僚とどう接していいかわからないケースも多いので、お互いの強みを尊重し合う文化を育てることが重要です。
3. キャリアと経験を活かせる場づくり
高齢者スタッフは、これまで培ってきた社会人経験や人生経験を持っています。
そのため、単に作業をこなすだけでなく、
・接客時の「おもてなし役」
・新人スタッフへの声かけ、見守り役
・お客様との世間話の相手
といったプラスアルファの役割を担ってもらうことで、本人のやりがいにもつながります。
また、年齢に関係なく意見を出せる場(意見箱やミーティング)を用意することで、「自分も職場の一員だ」という意識が芽生え、より積極的に働いてもらえるようになります。
まとめ:飲食業でシニア人材を活用し、組織力を強化しよう
飲食業界における高齢者採用は、人手不足対策だけでなく、職場の多様性向上や店舗の雰囲気改善など、数多くのメリットがあります。
特に60代の方々は、社会経験やコミュニケーション能力に優れており、即戦力として活躍できる存在です。
採用活動においては、仕事内容の明確化やシフトの柔軟性、フォロー体制の整備を意識し、シニア人材が長く安心して働ける環境をつくることが成功のカギとなります。
今後、少子高齢化がさらに進む中で、高齢者の活躍は飲食業界にとって欠かせない存在となるでしょう。
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