今どき60代が働いて当たり前?企業が知らない“シニア就業者の実態”

【企業様向け】シニア採用

1. 60代就業者が増えているのは本当?最新データから読み解く現状

総務省の統計が示す60代就業者の増加傾向

近年、60代の就業者数は目覚ましい伸びを見せています。総務省「労働力調査(基本集計)」によると、2023年の60~64歳の就業率は男性で約80%、女性でも約60%に達しています。65~69歳でも男性の就業率は約50%を超えており、過去20年間で大きく上昇していることが分かります。

この背景には、定年延長や再雇用制度の普及があるだけでなく、シニア層自身の「働き続けたい」という強い意欲が影響しています。雇用機会の拡大だけでなく、社会構造の変化により、60代は“高齢者”というより“現役”に近い立場となっているのが実情です。


男女別・業種別のシニア労働力分布

シニア就業は性別や業種によって分布にも違いがあります。男性は製造業・建設業・運輸業など体力を要する分野でも多く活躍しており、女性は医療・福祉・小売・清掃といったサービス系業種での就業が目立ちます。特に介護業界では、60代以上のスタッフが全体の25%以上を占める施設も存在しています。

男女を問わず、生活密着型の業種でシニアの就業ニーズが高まっており、今後ますます“60代が働くのは当たり前”の社会になっていくと予想されます。


2. なぜ60代が“当たり前に働く時代”になったのか

年金制度や生活不安による就業意欲の高まり

「年金だけでは生活が不安」──こうした声が、今や60代就業者の最大の原動力となっています。公的年金だけでは平均的な生活水準を維持するのが難しく、特に単身世帯では生活費を補うために働き続けるケースが少なくありません。

加えて、65歳で定年を迎えても支出が大きく減るわけではなく、医療費や家賃、家族への支援などの負担は継続します。そのため、60代前半はもちろん、後半でも就業を希望する人が増えているのです。
内閣府「高齢社会白書(令和5年版)」によれば、「働けるうちは働きたい」と答えた60代の割合は実に約80%にも上ります。

こうした傾向は、企業側が「60代=引退世代」という旧来の認識を改め、現役の労働力として見直すべきであることを示しています。


健康寿命の延伸と就業継続の現実性

もう一つの大きな要因は、健康寿命の延びです。厚生労働省のデータによると、日本人の健康寿命(介護を受けず自立した生活ができる期間)は、男性で72.68歳、女性で75.38歳(2022年)と過去最高を記録しています。つまり60代は、まだまだ身体的にも精神的にも働ける“健康現役世代”と言えるのです。

これにより、企業側も「60代だから負担が大きいのでは」といった先入観を持たずに、職務内容の見直しや環境整備を行うことで、無理なくシニアを戦力化することが可能になります。実際に、定年後も継続雇用で週3~4日の勤務を希望する人は多く、柔軟な働き方へのニーズとマッチすれば、長期的な労働力として活躍できます。


3. 企業が知らない“シニア就業者の強み”とは

高い定着率と責任感

シニア就業者の大きな特長としてまず挙げられるのが、「定着率の高さ」です。60代は転職よりも「最後まで働き続けたい」という志向が強く、短期離職が少ない傾向にあります。総務省「就業構造基本調査(2022年)」でも、60代就業者の平均勤続年数は40代よりも長い結果が出ています。

また、年齢を重ねてきたことで培われた責任感や誠実さも、企業にとって大きな武器になります。時間を守る、無断欠勤をしない、若手の模範となる──そうした行動が、職場全体の規律や雰囲気の安定につながっているという声は多くの現場で聞かれます。

短期で辞めがちな若年層の採用とは異なり、安定的に長く働ける人材として、シニアは非常に魅力的な存在なのです。


シニア採用が業務の棚卸しと効率化を促すきっかけに

実は、シニアを新たに採用するプロセスは、企業にとって業務を「見直すチャンス」でもあります。

たとえば「シニアでも無理なくこなせる業務設計をしよう」と考えることで、作業のムダや属人化に気づき、自然と業務分解やマニュアル化が進むケースが多くあります。これは結果として、若手社員やアルバイトにとっても分かりやすく働きやすい環境をつくることにつながります。

特に中小企業では、属人的になりがちな業務や、経験者に頼りきりの体制がネックになりやすいですが、シニアを迎えるための業務整理は、企業全体の生産性向上やリスク管理にも寄与する効果的な手段になります。


4. シニア採用を進めるための具体的な方法

60代でも活躍できる業務設計と職場環境づくり

シニア採用を成功させるためには、「高齢者が無理なく働ける環境づくり」が不可欠です。特別なことをする必要はなく、身体的・精神的な負担を軽減する工夫や、明確な業務設計がポイントになります。

たとえば、

重量物の持ち運びがないポジションへの配置
立ち仕事と座り仕事を組み合わせた勤務スタイル
週2~3日からの柔軟なシフト制度

などが挙げられます。さらに、社内での年齢に関係ないコミュニケーション文化を醸成することも重要です。

業務設計の工夫は、シニア世代に限らず、若手社員や育児・介護との両立を目指す社員にとっても働きやすさを生むものです。すなわち、シニア採用の準備は“職場全体の働き方改革”にもつながるのです。


柔軟な採用方法と効果的な求人の打ち出し方

シニア人材を採用する際、従来の求人広告だけでなく、高齢者向け求人に特化したメディアの活用が有効です。ハローワークはもちろん、シニア専門求人サイトや地域の就労支援センターなどを通じた告知もおすすめです。

求人情報を作成する際のポイントは以下のとおりです。

「未経験OK」「体力に自信がなくても安心」など安心感を与える文言
「週2日~OK」「60代活躍中」など年齢層を明示
仕事内容を具体的かつ簡潔に記載する

加えて、面接や職場見学の段階で、就業条件の不安点や過去の就業経験を丁寧にヒアリングし、マッチングの精度を高めることも長期定着につながる重要なステップです。


5. 企業事例に学ぶ!シニア採用の成功パターン

人手不足を解消し職場が安定した中小企業の例

埼玉県内で複数店舗を展開するある中小スーパーでは、レジ業務や品出し業務を担う若年層の離職が相次ぎ、慢性的な人手不足に陥っていました。そこで目をつけたのが、地域に住む60代以上の主婦層を中心としたシニア人材の採用です。

最初に導入したのは、「朝の2時間だけ」「週3日勤務」「軽作業のみ」といった“ゆるやかな労働条件”。すると応募数が増え、さらに採用したシニアスタッフの定着率は90%以上に達しました。結果としてレジの稼働率が安定し、職場の雰囲気も落ち着きが増したといいます。

担当者は「業務を細分化したことが、結果的にマニュアルの整備と人材育成にもつながった」と語っており、シニア採用は業務改革にもつながる施策だったと実感しているそうです。


業務分解と柔軟なシフトで活躍の場を広げたケース

都内のクリーニング工場では、繁忙期にパートタイムの若手人材が確保できず、納期遅延が問題となっていました。そこで、地元の60代~70代を対象に「仕分け業務限定」のパート職を新設。勤務時間は1日4時間、週2~4日という条件で募集したところ、10名以上の応募がありました。

導入後は、集中力と丁寧さを持つシニア人材によって仕分け精度が向上し、再作業やミスが大幅に減少。若手社員が重作業や技術作業に集中できるようになり、全体の生産性が上がったといいます。

この企業では、今後も「一人ひとりの働ける範囲に合わせた業務設計」を重視しながら、段階的に採用枠を拡大する方針です。


まとめ:シニアの力を知ることが企業の未来を拓く

“60代が働いて当たり前”──この言葉は、もはや特別なものではなく、労働市場における現実です。総務省の統計に示されるように、60代の就業率は高水準で推移しており、彼らの就業意欲は依然として高く、現場でも実際に活躍しています。

企業側が「高齢だから難しい」「フルタイムで働けないから非効率」といった先入観を捨て、シニア人材の強みに目を向ければ、職場には多くのメリットがもたらされます。具体的には、定着率の高さ、責任感のある働き方、業務見直しの機会、そして若手との世代間交流による職場活性化です。

さらに、成功している企業の共通点は「柔軟な働き方」と「明確な業務設計」にあります。働く側に無理をさせるのではなく、“どうしたら活かせるか”という視点で取り組むことで、年齢に関係なく多様な人材が戦力となり得ることが証明されています。

これからの時代、企業が持続的に成長していくためには、経験豊富で意欲のあるシニア人材を積極的に迎え入れる姿勢が不可欠です。労働力不足の今こそ、“シニアの力”を組織の未来の柱として見直すべきタイミングだと言えるでしょう。

60代の力を活かせる職場づくりを始めませんか?今すぐシニア向け求人サイト「キャリア65」をチェック!

タイトルとURLをコピーしました