1. 採用コストを抑えたい企業が増えている背景
人手不足の長期化とコスト意識の変化
日本企業が直面している人手不足は一過性のものではなく、少子高齢化に起因する構造的な問題です。帝国データバンクの「人手不足に対する企業の動向調査(2024年2月)」によると、正社員が不足していると回答した企業は51.4%。特に中小企業や地方の事業所では、若手採用が困難な状況が続いています。
こうした状況の中、企業側では「ただ採用する」のではなく、「いかに採用コストを抑えながら、定着する人材を確保するか」が大きなテーマになってきました。従来の求人広告や人材紹介会社に頼るだけでは、費用が膨らみすぎて継続的な採用が困難になっているのです。
また、予算をかけて採用しても「すぐ辞めてしまう」ケースも少なくありません。採用活動にコストを投じる以上、企業としてはより長く働いてくれる人材を選びたいという意識が高まっています。
ミスマッチのリスクも高まる紹介依存の落とし穴
人材紹介会社を通じた採用は、一見効率的に見えますが、「ミスマッチの温床」になっているという指摘もあります。紹介会社は紹介数・成約数を重視するため、企業文化や現場の雰囲気との適性まで細かく考慮されないことも多いのです。
その結果、「入社したがすぐ辞めた」「思っていた人物像と違った」といった声が後を絶ちません。しかも、採用後一定期間が過ぎれば返金対応もないため、企業は費用だけを失い、人材も失うことになります。
このような背景から、紹介に依存せず、自社に合った人材を主体的に探せる新たな手段を模索する企業が増えてきているのです。
3. 紹介でも広告でもない“第3の採用手段”とは?
ダイレクトリクルーティング・公的機関・無料求人サイトの活用
人材紹介会社や求人広告だけに頼らない「第3の採用手段」として、近年注目されているのが以下のような手法です。
・ダイレクトリクルーティング(直接スカウト型):企業が自ら候補者にアプローチする手法。SNSやビジネス特化型プラットフォーム(例:LinkedIn、doda Recruitersなど)を通じて、欲しい人材に直接アプローチできるため、費用を抑えつつマッチ度の高い人材を採用できます。
・ハローワークや地方自治体の就労支援サービス:無料で求人掲載ができるため、特に中小企業や高齢者雇用を考えている企業にとって有効です。地域密着型のマッチングが強みです。
・シニア向け無料求人サイトの活用:定年後も働きたいと考えるシニア層をターゲットにした求人媒体は、掲載料が無料または低価格であることが多く、コストを抑えつつ意欲のある人材を確保できます。求職者の年齢層が明確であるため、ターゲット戦略が立てやすいのも特長です。
これらの方法は、一見手間がかかるように見えても、採用成功率や定着率が高く、長期的な視点で見ると非常に高コスパな手段です。
リファラル採用・アルムナイ活用とそのメリット
近年、特に注目されているのがリファラル採用(社員紹介)とアルムナイ活用(退職者の再雇用)です。
リファラル採用は、既存社員が知人や元同僚を推薦する仕組み。候補者の人物像や働きぶりが把握しやすいため、ミスマッチが起きにくく、定着率が高いのが特徴です。また紹介者への報奨金を支払っても、人材紹介より圧倒的に安価で済む場合が多いです。
アルムナイ活用は、過去に自社で働いた経験のある退職者に声をかけ、再雇用する仕組みです。会社の文化を理解しているため即戦力として活躍でき、教育コストも抑えられます。とくに定年退職者の再雇用制度を整えることで、シニア層の戦力化も図れます。
高齢者・シニア層の活用が注目される理由
「働く意欲がある」「時間の融通が利く」「責任感が強い」といった特性を持つ高齢者層は、実は採用市場において非常に魅力的な存在です。特に業務が比較的ルーティン化されている職場や、顧客対応・現場補助などのポジションでは、安定的に勤務できる人材として重宝されています。
さらに、シニア人材の採用には次のようなメリットもあります。
・紹介会社を通さずに直接募集できるケースが多く採用費が安い
・定着率が高く、職場の安定にも貢献
・若手社員の育成や業務の橋渡し役としても期待できる
こうした理由から、多くの企業が「第3の採用手段」としてシニア層の採用に注目し始めているのです。
4. シニア採用でコスト削減と組織力強化を同時に実現
採用費を抑え、定着率も高い──企業がシニア採用を選ぶ理由
シニア人材の活用は、採用コストを抑えるだけでなく、人材の定着率や組織の安定性という観点でも高い評価を得ています。
まず、シニア層はすでに子育てや住宅購入といったライフステージを終え、安定した働き方を求める傾向にあります。そのため、「より良い条件があれば転職」といった姿勢は比較的少なく、定着率が高いのが特徴です。
さらに、多くのシニア人材は「給与よりも働きがい」や「社会とのつながり」を重視しており、採用にかかる報酬やインセンティブが比較的少額で済むケースも多いです。例えば、無料で掲載できるシニア向け求人サイトや、ハローワーク経由での採用を通じて人材を確保すれば、広告費・紹介料ゼロで採用が実現できます。
また、地域密着で働きたいというニーズも多く、地元で長く働き続けてくれる人材が集まりやすいのもシニア層の特長です。こうした点からも、コスト面・安定面の双方で企業にとって大きなメリットがあるといえるでしょう。
安定稼働がもたらす“業務効率化”という職場側のメリット
シニア人材の最大の強みは、その「安定した勤務姿勢」にあります。決まった時間にきちんと出社し、与えられた業務を粛々と遂行する。これにより、現場の業務計画が立てやすくなるのはもちろん、欠勤リスクの軽減や突発的な対応の減少など、業務効率の改善にもつながります。
また、企業によっては「複数の若手アルバイトをシフトで回すより、週4で安定して来てくれるシニアの方が楽」という声も聞かれます。例えば、施設管理・清掃・簡単な事務補助といったポジションでは、こうした安定稼働がとくに評価されています。
さらに、若手が忙しい時間帯を補完したり、裏方業務を担ってくれることで、全体の業務負担を平準化できるのも大きな利点。これは職場全体のストレス軽減にもつながり、結果として離職率低下にも貢献します。
助成金や雇用支援制度の活用方法
シニア人材の採用を後押しする制度として、国や自治体の助成金制度を活用する企業も増えています。特に注目されているのが、以下のような制度です。
・65歳超雇用推進助成金(厚生労働省):65歳以上の従業員を雇用する企業に対して、最大160万円の助成が支給される制度。定年廃止や継続雇用制度の導入が対象。
・特定求職者雇用開発助成金(生涯現役コース):ハローワーク経由で60歳以上の高齢者を採用した場合に最大60万円支給される制度。
・自治体独自の雇用支援策:例として、東京都や大阪府など一部自治体では、シニア人材を採用した企業への奨励金や支援金制度を設けています。
こうした制度を活用すれば、実質的な採用コストをさらに下げることが可能です。
5. 実際に“第3の手段”で成功した企業事例
人材紹介に頼らずシニアを採用した中小企業の例
東京都内で介護用品のレンタル・販売を行うA社は、長年にわたり人材紹介会社に頼った採用を続けていました。1人採用するたびに約90万円の紹介料を支払っていたものの、若年層の定着率は低く、半年以内に辞めてしまうケースが続出。そこで、コスト削減と定着率向上を目的に「第3の手段」としてシニア採用を検討しました。
同社は、ハローワークとシニア向け無料求人サイトを併用して求人を出し、結果として60代の元営業職の男性を採用。顧客とのやり取りにおいて高い信頼感を発揮し、クレームが激減。採用から2年以上経過した現在も安定的に勤務を継続しており、「もう紹介会社には戻れない」と担当者は語っています。
このように、人材紹介を使わずに、費用をかけずとも定着率の高い人材を確保できるという好例となっています。
求人費ゼロで定着率の高い人材を確保した取り組み
地方の建設会社B社では、繁忙期に短期雇用を行う必要があり、従来はアルバイト求人媒体を使っていました。しかし掲載費用に対して応募が少なく、費用対効果が見合わない状況が続いていました。
そこでB社は、地元のシニア向け雇用支援センターに相談し、65歳以上の元建設作業員を複数名採用。求人にかかった費用は実質ゼロで、地元に根付いた高齢者が主に資材搬入や現場の片付けを担当。業務効率も向上し、何より「朝、時間通りに来て、きちんと作業をしてくれる」という点が現場監督から非常に高い評価を受けました。
また、同時に助成金(特定求職者雇用開発助成金)も活用し、採用時のコストを補填。この経験をきっかけに、B社では「今後もまずシニアを採用候補に入れる」という方針を打ち出すに至っています。
まとめ:紹介料に悩まない新しい採用の一歩を踏み出そう
人材紹介費の高騰に頭を悩ませる企業は少なくありません。しかし今、紹介でも広告でもない“第3の採用手段”が企業の新たな選択肢として注目されています。
・ダイレクトリクルーティングで自社に合う人材に直接アプローチする
・公的機関や無料求人サイトを活用し、掲載費ゼロで募集する
・リファラルやアルムナイ制度で、コストを抑えつつミスマッチを防ぐ
・高齢者、シニア層の採用で、採用費の削減と定着率向上を同時に実現する
特にシニア人材は、採用コストが低く、労働意欲が高く、現場の安定化にも寄与する「即戦力」です。実際に、シニア層を活用した企業では、求人費の大幅削減、離職率の低下、助成金の活用による財政的メリットなど、数多くの成果が見られています。
紹介会社に頼る以外にも、有効な採用手段は確実に存在します。今こそ、「紹介料に悩まされる採用活動」から脱却し、自社に合った持続可能な人材確保の体制づくりに一歩踏み出してみてはいかがでしょうか。
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