スキルを活かす再出発!60代から始めるセカンドキャリアの見つけ方

仕事

1. セカンドキャリアとは?60代からの「再出発」が注目される理由

かつては「定年=引退」という価値観が一般的でしたが、近年では“定年後も働く”という選択をする人が増えています。背景には、日本の高齢化と長寿化が大きく影響しています。総務省の調査によると、2024年時点で65歳以上の高齢者人口は3,600万人を超え、総人口の29%に達しています(※出典:総務省統計局「高齢者の就業状況」)。これに伴い、企業や自治体でもシニア人材の活用が進められ、「第二のキャリア=セカンドキャリア」の概念が浸透してきました。

セカンドキャリアとは、定年後や退職後に新たにスタートするキャリアのことを指します。かつてはボランティアや趣味の延長線上にあったものが、現在では“収入源”や“生きがい”としての意味合いも強くなっています。

60代以降のセカンドキャリアが注目されている理由には以下のような点があります。

・年金収入だけでは生活が不安
・健康寿命が延び、まだまだ元気に働ける
・社会とのつながりを保ちたいというニーズ

こうした背景から、シニア世代が自分の経験やスキルを活かして再出発する動きが広がっているのです。


2. 60代・70代で再就職する人が増えている理由とは?

かつては60歳で定年を迎えると、そのまま引退して余生を過ごすのが一般的でした。しかし現代では、60代・70代で再び働き始めるシニアが増加しています。厚生労働省の「高齢者雇用状況等報告」(令和5年)によると、65歳以上の高齢者の就業者数は約920万人と、過去最高を更新。中でも、女性や元正社員の再就職が目立ちます。

その背景には、いくつかの理由があります。

① 経済的な理由

多くのシニアが「年金だけでは生活費が足りない」「子どもや孫に援助したい」といった理由で、再び収入を得る手段を求めています。特に物価上昇の影響が生活に直結する今、月5万〜10万円の収入が大きな安心感につながるという声も多く聞かれます。


② 健康維持と生活リズム

定年退職後、時間を持て余しがちになり、生活にハリがなくなるケースもあります。働くことで「朝起きる目的ができた」「毎日外に出る習慣ができた」と、結果的に健康にも好影響を与えているという人は少なくありません。仕事は単なる収入源ではなく、健康づくりの一環としても重要視されています。


③ 社会とのつながり

「人と話す機会が減った」「社会から取り残されている感じがする」という孤立感を抱くシニアも少なくありません。再就職によって職場の仲間ができ、地域との接点も生まれ、孤独感の解消にもつながっています。特に接客業や介護補助、教育支援など、人と関わる職種は人気があります。

このように、再就職は「お金のため」だけでなく、「健康のため」「心のため」といった多面的な理由で選ばれるようになってきています。


3. スキルや経験を活かせる仕事の具体例

60代・70代からの再就職では、これまで培ってきたスキルや経験を活かすことが、働きやすさとやりがいの両立につながります。特に、小売業や接客、事務経験などがある方は、以下のような仕事でその能力を発揮しやすいでしょう。

● コールセンター(受信業務・問い合わせ対応)

過去に接客経験のある方には、コールセンター業務が向いています。特に商品の注文受付や公共サービスの問い合わせ対応などは、高いコミュニケーション能力が求められますが、丁寧な対応ができるシニア層に対する企業の評価も高い職種です。


● マンション管理・施設管理

責任感や人当たりの良さが求められる管理人業務は、セカンドキャリアとして人気の職種。巡回、清掃、簡単なトラブル対応など、体力的に無理のない範囲で働けるのが魅力です。勤務日数や時間も柔軟なケースが多く、男女問わず活躍できる職場です。


● 会計・事務補助

元事務職や経理担当だった方には、会計やデータ入力などの補助業務もおすすめです。週に数日のパート勤務や在宅業務として募集されることもあり、体に無理なく働けます。


● 小売・販売スタッフ

かつて店長や販売員として働いていた方は、その経験が大きな武器になります。再就職先としては、スーパーやドラッグストア、地域の小規模店舗などがあり、接客力とチームワークが活かされる場面が多数あります。


● 公共関連のサポート業務

市役所や区役所関連の窓口案内、図書館スタッフ、通学路の見守りといった地域貢献につながる仕事も、経験や人柄が評価されやすい分野です。


このように、「これまでの人生でやってきたこと」を掘り起こし、次のステージで活かすことで、働くことがもっと楽しく、前向きなものになります。


4. スキルを活かした仕事を選ぶためのポイント

60代・70代のセカンドキャリアで失敗しないためには、「自分のスキルをどう活かすか」が重要な鍵となります。ただ単に「募集しているから応募する」ではなく、「自分に合った仕事を選ぶ」視点が、働きやすさと継続のしやすさを大きく左右します。

ここでは、スキルを活かした仕事選びのための3つのポイントを紹介します。


① 自分の「できること」「得意なこと」を棚卸しする

まずは、これまでの仕事や日常生活の中で身につけたスキルや経験をリストアップしてみましょう。たとえば…

・接客業で培った「丁寧な対応力」
・店長経験による「マネジメントスキル」
・家事、育児経験による「生活支援力」
・趣味で身につけた「パソコン操作」や「手芸技術」

など、一見当たり前に思えることでも、企業や地域社会にとっては立派な戦力になることがあります。


② 「人・モノ・環境」どこで自分が力を発揮できるかを考える

人と接するのが得意 → コールセンター・販売・介護補助など
黙々と作業するのが好き → 清掃・事務補助・仕分け作業など
体を動かすことが苦にならない → 管理人・警備・施設メンテナンスなど

自分の特性に合った環境を選ぶことで、ストレスの少ない就労が実現します。


③ 「時間」「体力」「通勤」など条件面も現実的にチェック

フルタイムよりも短時間・週数日のパート、あるいは在宅勤務など、自分のライフスタイルに合わせた働き方を選ぶことが、長く続ける秘訣です。また、通勤距離が長すぎないことも大切なチェックポイントになります。


仕事選びにおいては、「自分にできるかどうか」だけでなく、「自分らしく働けるかどうか」を重視することで、セカンドキャリアはぐっと豊かなものになります。


5. セカンドキャリアを成功させるためのポイント3つ

60代・70代でのセカンドキャリアは、若い頃のキャリアとは違った視点が求められます。収入だけでなく、「働きやすさ」や「生きがい」を重視することで、心身ともに健やかな働き方が可能になります。ここでは、セカンドキャリアを前向きにスタートし、長く続けるためのポイントを3つご紹介します。


① 無理をしない、背伸びをしない働き方を選ぶ

年齢を重ねた今だからこそ、自分の体力や生活リズムを優先する働き方が大切です。週2〜3日勤務、短時間パート、在宅ワークなど、無理なく続けられる勤務形態を選ぶことで、疲れすぎずに長期的な就業が可能になります。

「体がきつくて続かない」「通勤だけで疲れてしまう」という状況は、せっかくの意欲を削ぐ原因になりかねません。まずは「自分にとってちょうどいい仕事量」を見極めましょう。


② 過去の経験や得意分野を活かす

たとえフルタイムの管理職ではなくなったとしても、これまでの仕事で培ったスキルや人間関係は、必ず何らかの形で活かせます。

たとえば…

・接客スキル → ショップスタッフや受付業務
・店長経験 → バイトリーダーや業務補助
・家事力 → 家事代行や調理補助、ベビーシッター

“できること”を活かす仕事は、やりがいや達成感にもつながります。


③「人とのつながり」を大切にする

仕事をすることで得られるのは、収入だけではありません。職場での会話やチームでの協力、ちょっとした世間話が、「社会とつながっている」という実感を生み、孤独感や不安を和らげてくれます。

とくに一人暮らしの方や、家族と離れて暮らしている方にとっては、職場が第二の居場所になることも。人との関係が広がることは、心の健康にもつながります。


この3つの視点を持つことで、セカンドキャリアは“生活のため”から“人生を豊かにするため”のステージへと変わっていきます。


6. 仕事を通じて得られる“収入以上の価値”とは?

セカンドキャリアにおいて、最初の目的は「収入を得ること」だったとしても、実際に働き始めるとそれ以上に大きな“価値”を感じる方は少なくありません。60代・70代からの仕事には、単なる金銭的報酬だけでなく、人生を豊かにしてくれるさまざまなメリットが存在します。


● 生活にハリが出る

仕事を持つことで、毎日の生活にリズムと目的が生まれます。「朝起きて職場に行く」という行動自体が、健康維持に役立ち、日々の張り合いにもつながります。退職後、時間を持て余していた方にとっては、「今日やるべきことがある」だけで、精神面にも良い変化が現れます。


● 自分の価値を再確認できる

「ありがとう」「助かりました」と言われるだけで、自分が社会に貢献できている実感が得られます。若い世代に仕事を教えたり、地域の活動に関わったりする中で、「まだまだ自分には役割がある」と自信を取り戻す方も多いです。


● 新たな人間関係が生まれる

職場は、年齢や背景の異なる人と出会う場でもあります。再就職をきっかけに、共通の趣味や関心を持った仲間と出会い、人生の楽しみが広がったというシニアも少なくありません。「人とのつながり」は、年齢を重ねた今だからこそ、より深く心に響く財産になるのです。


● 心と体が元気になる

「働く=疲れる」というイメージを持つ方もいますが、実際には逆のケースもあります。身体を適度に動かし、人と会話し、頭を使う――このサイクルは、認知機能や身体機能の維持にも良い影響を与えるとされています。働くこと自体が“健康維持の手段”として見直されているのです。


こうした“収入以外の価値”は、セカンドキャリアをより豊かで充実したものにしてくれます。「もう一度働いてみようかな」と思ったその気持ちは、人生の新しい扉を開く第一歩かもしれません。

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