健康寿命をのばす働き方|働くことで元気になる高齢者の実例

健康

【なぜ“働くこと”が健康寿命に効くのか?】科学的に見たメリットとは

高齢期において「働くこと」は、単なる収入源を超えた多くの健康的メリットをもたらします。
厚生労働省の「健康日本21」でも、社会参加や就労が身体的・精神的な健康を保つ要因になると明記されています。とくに働くことは、以下のような健康効果をもたらすとされています。

身体活動の維持:定期的な外出や軽作業により、筋力・体力が低下しにくい
生活リズムの安定:仕事を通じて起床・就寝・食事の時間が整いやすい
認知機能の維持:人との会話やタスク処理によって脳が活性化される
社会的つながりの確保:孤立の予防と精神的な充実感につながる

とくにシニア世代においては、退職後の「無目的な時間」が健康寿命を縮めるリスクになります。
一方、仕事という「役割」を持ち続けることが、生きがいや目標となり、心の張りを生むのです。


【データで見る効果】高齢就労と健康状態の関係とは?

シニアが働くことで実際にどのような健康効果が得られているのか、データを見てみましょう。

まず注目すべきは、内閣府「高齢者の日常生活に関する意識調査(令和4年)」の結果です。
この調査では、就労している高齢者(65歳以上)のうち約7割が「現在の健康状態は良い」と回答しています。
一方、就労していない高齢者のうち「健康状態が良い」と感じている割合は約55%にとどまりました。

また、東京都健康長寿医療センター研究所の調査によると、70歳以上の高齢者のうち、週3回以上仕事またはボランティアなどの社会参加をしている人の方が、認知症の発症率が有意に低いという結果も出ています。

これらのデータは、「働くこと」がシニア世代の心身両面の健康維持に直結していることを裏付けています。
無理のない範囲で社会との接点を持つことが、健康寿命の延伸に大きく寄与するのです。


【実例①】週3日・接客パートで社会とつながるAさん(70歳女性)

Aさん(70歳・女性)は、かつて小売業の店長として働いていましたが、60歳で定年退職。その後は年金生活に入りましたが、「人と話す機会が減って、気力も体力も落ちてきた」と感じるようになったそうです。

そこでAさんは、週3日・1日4時間の接客パートの仕事を始めました。職場は地域のスーパー。これまでの経験を活かし、商品の補充やレジ対応、簡単な接客などをこなしています。

「最初は不安もありましたが、やっぱり“ありがとう”って言われると嬉しいんです」とAさん。
仕事を通じて再び生活にリズムが戻り、自然と体調も改善。月に1度は風邪をひいていたのが、今ではほとんど体調を崩さなくなったそうです。

実際、接客の仕事では立ち仕事や軽い移動が発生するため、自然と運動量が増えるという利点があります。加えて、人と話す機会が多く、認知機能にも刺激が与えられます。

Aさんは「家にいるだけじゃ得られなかった笑顔や元気が、職場にはある」と話します。
今では職場の若いスタッフと料理や趣味の話をするなど、世代を超えた交流も楽しみのひとつになっています。


【実例②】静かな現場で心身ともに健康に|マンション管理で働くBさん(72歳男性)

Bさん(72歳・男性)は、定年後に体調を崩した経験がきっかけで、「体を動かしながら、無理なく続けられる仕事がしたい」と考えるようになりました。そんなときに出会ったのが、マンション管理人の仕事です。

勤務は週4日、午前中のみのシフト制。仕事内容は、共用部の掃除、巡回点検、住人からの簡単な問い合わせ対応など。静かな環境の中で、自分のペースで作業できる点が魅力です。

Bさんは「体を動かす習慣ができて、血圧も安定しました」と話します。特に印象的なのは、「“おはようございます”と挨拶するだけでも、人とのつながりが感じられる」といった言葉でした。

また、勤務前には必ずストレッチとラジオ体操を習慣化しており、腰痛や肩こりも改善されたそうです。

マンション管理の仕事は、適度な運動と人との交流が両立できる働き方として、シニア世代にとって理想的な選択肢の一つです。何より、「ありがとう」と言われるたびに、Bさんはやりがいと生きがいを実感しています。


【実例③】家事の延長が仕事に!家事代行で活躍するCさん(74歳女性)

Cさん(74歳・女性)は、夫を亡くした後、一人暮らしを続けていました。家事は得意でしたが、「誰かの役に立つことがしたい」と思うようになり、家事代行の仕事を始めました。

現在は週2回、依頼者の家庭に訪問し、掃除や洗濯、整理整頓などを担当。訪問先は高齢者夫婦や共働き家庭が中心で、「ありがとう」「助かります」の言葉が励みになっているそうです。

Cさんがこの仕事を選んだ理由は、「これまでの日常が、そのまま“仕事”になるから」。特別な資格や知識は必要なく、培ってきた生活スキルを活かせる点が魅力でした。

始めてからは生活にハリが出て、朝も自然と早起きに。週1回は仕事帰りにカフェで過ごす“自分時間”も楽しみにしており、「心が元気になると、体も元気になる」と語ります。

家事代行は、体への負担が少なく、自由なシフト調整が可能な点から、シニア女性に特に人気のある働き方です。依頼主との会話や交流も、Cさんにとって大切な「社会とのつながり」になっています。


【無理なく始めるには】自分に合った仕事を見つけるポイント

高齢になってからの仕事選びでは、無理をしないことが最も重要です。以下の3つの視点を意識することで、「健康寿命をのばす働き方」に近づくことができます。

1. 自分の体力・健康状態に合った業務内容を選ぶ

・長時間の立ち仕事や重労働は避け、自分のペースでできる作業を
・通勤時間や階段の有無など、移動の負担も確認ポイント


2. 過去の経験や得意分野を活かす

・接客や清掃、調理、事務作業など、これまでの職歴や日常スキルが活かせる仕事を探す
・未経験でも、生活の延長でできる仕事(家事代行、配送補助など)は挑戦しやすい


3. “人とのつながり”が得られる環境を意識する

・会話ができる職場は、孤独感を減らす要素に
・同年代の人や、若い世代と協力し合える環境も前向きな刺激になる

最近では、高齢者向けの求人を特集している専門サイトや、シニア支援窓口のあるハローワークも充実しています。「自分にできることから、少しずつ始めてみよう」という気持ちが、長く元気に働き続ける秘訣です。


【まとめ】働くことがもたらす“元気”と“自分らしさ”

シニア世代にとって「働くこと」は、収入を得るだけでなく、心と体の健康を支える大切な手段です。実際に働いている高齢者の多くが、次のようなメリットを実感しています。

・規則正しい生活リズムが整い、体調が安定した
・人との会話や感謝の言葉が、心の支えになった
・自分に「まだできることがある」と自信を持てた
・孤独を感じる時間が減り、毎日が楽しくなった

今回ご紹介したAさん・Bさん・Cさんのように、自分の体力や生活スタイルに合った仕事を見つけることで、無理なく“元気”を取り戻すことが可能です。特に、体を動かす・人と関わる・役に立つといった要素がそろった仕事は、健康寿命をのばすうえで非常に効果的です。

もちろん、シニアの働き方に「正解」はありません。自分に合ったペースで、気負わず、でも前向きに新しい一歩を踏み出すことが、何よりも大切です。

人生100年時代、70代からのチャレンジは決して遅くありません。
働くことが、もう一度あなたの毎日を輝かせるきっかけになるかもしれません。

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