1.高齢者のお金の使い道の現状とトレンド
近年、日本では高齢者の生活様式やお金の使い方に変化が見られます。総務省の家計調査によると、60歳以上の高齢者世帯における消費支出は増加傾向にあり、特に医療費や生活費が大きな割合を占めています【参考: 総務省統計局 2023年】。この背景には、医療技術の進歩による平均寿命の延びや、年金だけでは生活を維持できないケースが増加していることが影響しています。
さらに、レジャーや趣味への支出も増加しており、特に健康維持を目的とした旅行やスポーツに関心を持つ高齢者が多いです。日本政策金融公庫の調査によれば、シニア世代の4割以上が「余暇活動」に多くのお金を使う傾向があると報告されています【参考: 日本政策金融公庫 2022年】。こうしたトレンドは、引退後の生活を楽しむための意識が高まっていることを反映しています。
また、70歳以上の高齢者の約30%が退職後も働き続けており、生活費の補填や社会とのつながりを維持する目的で収入を得ることが主な理由とされています【参考: 厚生労働省 2023年】。そのため、高齢者にとって「お金の使い道」は、健康維持や社会的な参加、さらに経済的な安定を求めるものへとシフトしていることがわかります。
2.シニアが考えるべきお金の使い道10選
高齢者が退職後の生活を充実させるためには、何にお金を使うべきかを慎重に考える必要があります。ここでは、シニア世代が特に注意すべき10のお金の使い道を紹介します。
1. 医療費
- 金額例: 月平均約30,000円〜50,000円(日本の高齢者における平均医療費)
- 医療費は、年齢を重ねるごとに増加する支出です。病院への通院、薬の購入、介護サービス、予防接種などが含まれます。特に持病がある場合は定期的な治療費がかかります。
2. 生活費(家賃・食費・光熱費)
- 金額例: 月平均約150,000円〜250,000円(単身・夫婦世帯による違いあり)
- 家賃や住宅ローン、食費、光熱費は退職後も継続的に発生する主要な支出項目です。特に高齢者世帯では、電気代やガス代が若干高めになることが多いです。
3. 保険料
- 金額例: 月平均約10,000円〜30,000円
- 健康保険や介護保険、生命保険など、老後のリスクに備えた保険料の支払いもあります。これらの保険は、病気や事故に備えるための重要な支出です。
4. 趣味・レジャー活動
- 金額例: 月平均約20,000円〜50,000円
- 旅行、スポーツ、趣味の道具やレッスン代に使われる金額。高齢者の多くが、退職後に楽しむための余暇活動にお金を費やしています。
5. 交際費
- 金額例: 月平均約10,000円〜30,000円
- 家族や友人との外食やイベント参加、プレゼント代など。高齢者は、交友関係を維持するために交際費を割くことも多いです。
6. 孫や子供への金銭的支援
- 金額例: 年平均約100,000円〜500,000円
- 多くの高齢者は、子供や孫への教育資金や住宅購入の援助を行います。特に年末年始やお祝い事などでの贈り物として支出が増える傾向にあります。
7. 自動車関連費用(維持費・ガソリン代など)
- 金額例: 月平均約20,000円〜40,000円
- 自動車を所有している高齢者にとって、維持費やガソリン代、保険料は一定の支出を伴います。特に地方に住んでいる方は車が生活の必需品です。
8. 住宅のメンテナンスや修繕費
- 金額例: 年平均約100,000円〜300,000円
- 住居の修繕や改装、バリアフリー対応の工事など、住宅のメンテナンス費用も発生します。特に一軒家に住んでいる場合、老朽化に伴う出費が必要です。
9. 衣類・ファッション関連費
- 金額例: 月平均約5,000円〜10,000円
- 新しい服や靴など、季節ごとの買い物やイベントのためのファッション費用。必要最低限に抑える方もいますが、身だしなみにこだわる方も多く見られます。
10. 貯蓄・投資
- 金額例: 月平均約30,000円〜100,000円
- 余剰資金を安全な資産運用や貯蓄に回す高齢者も多いです。低リスクの定期預金や国債などに投資し、老後の資金を増やす意識が高まっています。
3.シニアがお金を有効に管理するための5つのヒント
次に、退職後のお金を有効に管理するための5つのヒントを紹介します。
(1)予算を立てる
まずは、毎月の収入と支出をしっかりと把握し、無理のない予算を立てることが大切です。年金やパートタイムの収入に合わせた生活を設計しましょう。
(2)貯蓄の確保
万が一の医療費や突発的な支出に備えて、ある程度の貯蓄を確保しておくことが重要です。生活費の数か月分を目安に、いつでも引き出せる形で準備しておくと安心です。
(3)固定費の見直し
家賃や光熱費、通信費などの固定費を見直し、無駄な支出を減らすことも効果的です。特に、サブスクリプションサービスなど、使用していないサービスがあれば解約を検討しましょう。
(4)投資の活用
低リスクの資産運用を考えることも一つの選択肢です。定期預金や国債など、リスクが少なく安定した収益を得られる手段を活用しましょう。
(5)社会保険制度の利用
公的年金や医療保険制度を最大限に活用することも重要です。利用できる補助金や支援制度を活用して、生活費の一部を賄うことができます。
4.収入を補うための仕事:高齢者が始めやすい職種とは?
高齢者が退職後に働くことで、生活費の補填や社会とのつながりを維持することが可能です。以下は、高齢者が始めやすい代表的な職種です。
(1)パートタイム事務職
多くの高齢者が選ぶのは、比較的負担が少なく、柔軟な働き方ができるパートタイムの事務職です。事務経験がある方は、そのスキルを活かして働ける場が多くあります。
(2)小売業のスタッフ
シニア世代が働きやすい環境を整えているスーパーやコンビニ、デパートなどでの販売スタッフの仕事も人気です。接客や商品管理など、体力に合わせた業務を選ぶことができます。
(3)警備員
警備業務は、比較的体力を使わずにシフト制で働けるため、シニアに人気です。特に、夜間の警備業務は、日中に家族との時間を持ちながら働けるメリットがあります。
(4)介護スタッフ
介護業界ではシニアの経験を活かせる場が多く、資格を持っていなくても、見守りや補助的な役割で働けるチャンスがあります。比較的短時間で働ける点も魅力です。
(5)配達員
近年では、軽車両や自転車で行う配達業務もシニアに向いています。短時間でできる仕事が多く、自分のペースで働けるため、体力的な負担が少ないです。
まとめ:高齢者がお金を賢く使い、健康に過ごすために
高齢者が賢くお金を使うためには、現状の収支を見極め、どこに優先的にお金を使うべきかを判断することが重要です。医療費や生活費の管理だけでなく、社会とのつながりを保つために仕事を続けることも、健康的な生活を維持するための大切な手段です。お金の使い道と収入のバランスを保ちながら、豊かなセカンドライフを楽しんでいただければと思います。
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