1.そもそもフレイルとは何か?
フレイルの定義と背景
「フレイル」という言葉、最近よく耳にするようになりました。
フレイルとは、加齢に伴って心身の活力(筋力・認知機能・社会性など)が低下し、健康障害を引き起こしやすい状態を指します。健康と要介護状態の中間地点とも言われています。
日本老年医学会によると、フレイルは以下のように定義されています。
「フレイルとは、加齢に伴い筋力や認知機能、社会的活動が低下し、将来的に要介護となる危険性が高い状態」(出典:日本老年医学会「高齢者のフレイルに関するガイドライン」)
つまり、「元気なうちに気づいて対策すれば、予防や改善ができる」状態なのです。
社会背景として、超高齢化が進む日本では、フレイルへの関心が高まっています。
政府もフレイル予防を健康寿命延伸の重要課題と位置付け、地域包括ケアシステムの中に「フレイル予防」が取り入れられています。
フレイルが進行するとどうなる?
フレイルを放置すると、さまざまな悪循環が始まります。
たとえば、運動不足 → 筋力低下 → 活動量減少 → 外出しなくなる → 社会的孤立 → さらに体力や認知機能が低下、というサイクルです。
また、フレイルが進行すると、
・転倒、骨折しやすくなる
・感染症などにかかりやすくなる
・うつ状態や認知症のリスクが上がる
・最終的に要介護認定につながる
といった深刻な問題が起きる可能性があります。
しかし、フレイルは「早期発見・早期対策が可能」な点が特徴。だからこそ、今すぐセルフチェックを行うことが重要です!
2.フレイルリスク度をセルフチェックしてみよう
簡単!自宅でできるフレイルリスクチェック項目
フレイルは早期に気づけば、対策が十分間に合います。
そこでおすすめなのが「フレイルリスクのセルフチェック」です。
ここでは、東京都健康長寿医療センター研究所が提唱する「基本チェックリスト」を参考に、簡単にできるセルフチェック項目を紹介します。
【フレイルセルフチェック10問】
チェック項目 | はい/いいえ |
---|---|
1. 体重が半年前に比べて2kg以上減った | はい/いいえ |
2. 以前より歩く速度が遅くなったと感じる | はい/いいえ |
3. 転びやすくなった、またはつまずくことが増えた | はい/いいえ |
4. 筋肉に力が入りにくいと感じる | はい/いいえ |
5. 疲れやすくなったと感じる | はい/いいえ |
6. 最近、外出する機会が減った | はい/いいえ |
7. 物忘れが増えたと感じる | はい/いいえ |
8. 固い食べ物が食べにくくなった | はい/いいえ |
9. 食事の回数や量が減った | はい/いいえ |
10. 気分が落ち込みやすくなった | はい/いいえ |
この10項目を、まずは正直に自己チェックしてみましょう!
※参考資料:東京都健康長寿医療センター研究所「フレイル予防チェックリスト」
(https://www.fukushi1.metro.tokyo.lg.jp/kaigo_frailty_yobo/yobou/checklist.html)
チェック結果から分かるリスクレベル
チェックが終わったら、結果を見てみましょう。
・「はい」が3個以上 → フレイルリスクがやや高め
・「はい」が5個以上 → フレイルの可能性が高い
・「はい」が7個以上 → 要注意!すぐに対策を始めよう
もちろん、このチェックはあくまで目安ですが、「気づき」を得るきっかけになります。
チェック後に「ちょっと不安だな」と思ったら、自治体の健康診断やかかりつけ医に相談するのも一つの手です。
セルフチェックは、自分の体と向き合う第一歩です。
日々の生活を見直すきっかけにしていきましょう!
3.フレイルリスクを下げるためにできること
栄養・運動・社会参加がカギ
フレイルリスクを下げるために最も効果的なのは、「栄養」「運動」「社会参加」の3つをバランスよく意識することです。
この3つは「フレイル予防の三本柱」とも呼ばれています。
1.栄養をしっかりとる
体力や筋肉を維持するためには、たんぱく質を中心とした栄養バランスのよい食事が大切です。
特にシニア世代は、1日あたり体重1kgあたり1.0~1.2gのたんぱく質摂取が推奨されています。(参考:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」)
2.適度な運動を習慣化する
筋肉量を維持するために、ウォーキングや軽い筋力トレーニングがおすすめです。
特に「スクワット」や「片足立ち」は、下半身を鍛え、転倒防止に効果的。
1日10分でも「継続すること」がカギになります。
3.社会参加を意識する
地域活動、趣味のサークル、ボランティア、パートタイムの仕事など、人とのつながりを持ち続けることも重要です。
会話をするだけでも、認知機能低下の予防になります。
これらを無理なく、自分に合った方法で生活に取り入れることが、フレイルリスクの低下につながります。
毎日の小さな習慣が未来を変える
「何か特別なことをしないといけない」と思う必要はありません。
フレイル予防は、日常のちょっとした積み重ねが大きな力になります。
たとえば、
・毎朝、簡単なストレッチをする
・食事に納豆や卵、豆腐などたんぱく質食材をプラスする
・週に1回は友人に電話してみる
・スーパーまで歩いて買い物に行く
こうした「小さな一歩」を積み重ねることで、5年後、10年後の健康状態が大きく変わってきます。
焦らず、できることから少しずつ始めてみましょう!
4.フレイル予防で得られるメリットとは?
健康寿命が延びる
フレイルを予防できると、健康寿命を延ばすことができます。
健康寿命とは、「介護を受けたり寝たきりになったりせず、自立した生活ができる期間」のこと。
平均寿命と比べると、健康寿命は一般的に10年近く短いといわれています。(出典:厚生労働省「健康日本21」)
しかし、フレイルを早期に発見して対策すれば、
・転倒や骨折を防げる
・感染症リスクを減らせる
・うつや認知症を防ぐ可能性が高まる
といった効果が期待でき、介護が必要になるリスクを大きく減らすことができます。
70代での小さな取り組みが、80代、90代の生活の質を大きく左右するのです。
働き続けられる体力を維持できる
フレイル予防に取り組むことで、働くための体力と気力を維持することができます。
実際に、厚生労働省の調査によると、シニア世代の就業者数は年々増加しており、65歳以上の就業者は912万人(2023年)と、過去最多を更新しています。(出典:総務省統計局「労働力調査」)
つまり、年齢を重ねても、健康であれば「働き続ける」という選択肢を持てる時代になったのです。
体力があることで、
・パートタイムや短時間勤務で収入を得られる
・仕事を通じて社会とつながり続けられる
・経済的にも精神的にも自立した生活を送れる
といったメリットがあります。
「まだまだ元気でいたい」「自分らしく働きたい」と願うシニアにとって、フレイル予防はまさに未来への自己投資といえるでしょう。
まとめ:まずはセルフチェックから始めよう!
年齢を重ねても元気に、自分らしく暮らしていくために、フレイル予防は今すぐにでも始めたい取り組みです。
特別な道具や準備は必要ありません。まずは、自分のフレイルリスクを知ることからスタートしましょう。
この記事で紹介した簡単なセルフチェックを行うだけでも、
「自分はどんなリスクがあるのか」
「どんな習慣を変える必要があるのか」
が見えてきます。
そして、栄養・運動・社会参加という3つの柱を意識して、無理のないペースで生活に取り入れていきましょう。
小さな積み重ねが、将来の大きな安心につながります。
また、健康を維持できれば、パートタイムの仕事を続けることも可能になり、経済的な安心感や社会とのつながりも手に入れることができます。
健康は、第二の人生を豊かにする最大の味方です。
さあ、今日からあなたもフレイル予防を始めて、未来の自分にプレゼントを贈りましょう!
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