70歳でも申請できる?シニア向け求職者支援金の制度と申請方法を徹底解説

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1. そもそも「求職者支援金」とは?高齢者でも対象になる?

「求職者支援制度」は、厚生労働省が行っている公的な職業訓練支援制度で、特に雇用保険を受給できない人に向けて設けられた仕組みです。主な目的は、再就職が難しい求職者に対して、職業訓練と生活支援の両面から支援することにあります。

この制度の一環として提供されるのが「職業訓練受講給付金(通称:求職者支援金)」で、月額10万円が支給されます。支援金は、訓練中の生活費の補填や通学費用に活用でき、訓練中は雇用保険に代わる生活支援として大きな役割を果たします。

シニア世代、とくに60代後半や70代の方にとっては、「再就職したいけれど、体力やスキルに不安がある」「働きたいけれど年金だけでは生活が心もとない」といった悩みがつきものです。この制度は、まさにそういった高齢求職者にも活用してほしい支援策といえます。

実際に、この制度には年齢制限が明記されていません。つまり、70代の方でも、制度の要件を満たし、就職の意思と訓練の必要性があると認められれば、支援の対象になる可能性が十分にあります。

また、この制度が画期的なのは、「収入」「資産」「訓練への出席見込み」など、現実的な生活状況に応じて柔軟に判断される点です。過去には高齢者の申請実績もあり、「年齢がネックになるのでは?」と不安を感じている方も、まずはハローワークに相談することで、可能性が開けるケースが多くあります。

特に、これまで長年働いてきたシニアの方々には、すでに豊富な社会経験や職業観があります。それに加えて、パソコンスキルや接遇マナーなど、現在の就職市場に合ったスキルを訓練で身につけることができれば、年齢を超えて再就職のチャンスは広がります。

「働きたいけれどブランクがある」「新しい業種に挑戦したい」「年金だけでは暮らしが厳しい」といった理由で不安を抱える方にとって、求職者支援制度は再スタートの選択肢として非常に有効です。

まずは制度を正しく理解し、自分が該当するかどうかを確認することから始めてみましょう。次章では、具体的な申請手続きと条件について詳しく解説していきます。


2. 申請するための条件と手続きの流れを確認しよう

求職者支援金の申請には、いくつかのステップを踏む必要があります。特にシニア世代にとって、手続きが複雑に感じるかもしれませんが、ハローワークの支援を受けながら進めれば心配ありません。

手続きの主な流れ:

1.ハローワークで求職登録
 → 就職の意思があることを示し、担当者との面談を行います。

2.職業訓練受講の希望を伝える
 → 現在のスキルや希望職種に応じて、必要な訓練があるかを確認。

3.支援金の対象となる講座に申し込む
 → 公共職業訓練や求職者支援訓練(民間委託)など。

4.「訓練受講計画書」の作成と申請
 → 指定された様式に必要事項を記入し、審査を受けます。

5.審査通過後、訓練開始と給付金受給開始
 → 月ごとに受講状況を報告しながら受給。

    申請後はハローワークがフォローしてくれるため、初めての方でも安心です。


    制度の対象となる要件(すべて満たす必要があります):

    1.本人収入が月8万円以下
     → 給与・事業・資産収入などを合算。年金収入も含みます。

    2.世帯全体の収入が月25万円以下
     → 配偶者や同居家族などの収入を含めた世帯ベースで判断されます。

    3.世帯全体の金融資産が300万円以下
     → 預貯金、有価証券、投資信託等を合算した金額です。

    4.現在住んでいるところ以外に土地・建物を所有していないこと
     → 例えば、空き家や貸家、セカンドハウスがあると対象外になる場合があります。

    5.全ての訓練実施日に出席できる見込みがあること
     → 訓練の8割以上の出席が給付条件となるため、健康状態や通所距離も考慮されます。

    6.過去に同じ制度を利用していない、または一定の間隔があいていること
     → 原則、同一訓練の再利用はできません。一定期間を空ければ再利用も可能。

    7.ハローワークでのキャリア相談・支援計画策定に基づき、訓練が必要と認められること
     → 単に希望するだけでなく、訓練の必要性があると判断される必要があります。


      これらの条件を満たすかどうかは、最寄りのハローワークで面談・審査のうえ判断されます。70歳以上であっても、就業意思があり、要件を満たしていれば問題なく申請可能です。


      このように、制度は「意欲があり、生活支援を必要とするすべての年齢層」に開かれたものです。次の見出しでは、具体的な手続きの流れについて解説していきます。


      3. 支援金を受けながら学べる!対象講座や訓練内容とは

      求職者支援制度の強みは、「収入がない状態でも、スキルを身につけるチャンスが得られる」点です。高齢者にとっても、再就職を見据えた訓練が充実しています。

      主な対象講座の例:

      ・パソコン基礎(Word・Excel・メールなど)
      ・介護職員初任者研修
      ・清掃、ビルメンテナンス技能
      ・接客、販売のマナー講座
      ・警備業務に関する基礎知識

      特に体力に自信のある70代の男性には、ビル管理・警備・施設清掃といった仕事に活かせる訓練が人気です。講座は全国のハローワークから紹介されるほか、厚生労働省の「求職者支援訓練講座検索サイト」でも確認できます。

      ※参考:厚生労働省「各地域の求職者支援訓練の募集案内」
      https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/jinzaikaihatsu/rishokusha_00003.html


      4. シニアが支援金を活用して仕事を見つけるためのポイント

      求職者支援金を受けながら職業訓練を受けたあと、最も大切なのは就職活動をどのように進めるかという点です。支援金だけで終わらせず、次の仕事へとつなげていくためには、いくつかのコツと現実的な工夫が必要です。特に高齢者の場合、就職市場での選択肢や採用されやすい職種、使うべき情報源などをしっかりと押さえておくことが重要です。

      ● 就職支援機関をフル活用する

      まず頼りたいのが、ハローワーク(公共職業安定所)です。求職者支援制度と連動しており、職業訓練終了後も継続的に支援を受けることができます。高年齢者を対象とした求人や、企業とのマッチング支援、面接練習、応募書類の添削まで、無料で手厚いサポートを受けられます。

      加えて、各自治体が運営している地域就労支援センターシルバー人材センターも視野に入れましょう。特にシルバー人材センターは、短時間・軽作業中心の仕事を多く取り扱っており、健康維持を兼ねた就業を希望する高齢者に人気です。


      ● 専門の求人媒体を活用する

      インターネットを使える方であれば、シニア向けの求人サイトの活用が効果的です。たとえば「キャリア65」や「シニアジョブ」などは、65歳以上を積極的に雇用したい企業が掲載されており、検索条件も高齢者向けに最適化されています。

      通常の求人サイトでは60代以上の応募が難しいケースもありますが、シニア専門媒体であれば、「週2日勤務OK」「短時間勤務歓迎」「未経験者歓迎」「年齢不問」といった求人が多く見られ、安心して応募できます。


      ● 訓練と仕事をつなげる“流れ”を意識する

      職業訓練で学んだ内容が、就職活動の中で活かせるように、訓練内容と求人内容の一致度にも注目しましょう。たとえば:

      ・「ビル管理・清掃の講座」→ マンション清掃や施設管理の求人へ
      ・「パソコン基礎講座」→ 事務補助やシルバー人材センターでの文書作成業務へ
      ・「介護職入門」→ 高齢者デイサービスなどでのサポート業務へ

      訓練終了時には修了証明書も発行されるため、これを履歴書に添付すれば、ブランクがあっても努力の証明となり、企業側にも好印象を与えられます。


      ● 再就職活動は“自分の価値観”を大切に

      70代という年齢になると、単にお金のためではなく、「人の役に立ちたい」「社会とのつながりを感じたい」といった価値観が動機になることが多くなります。そうした目的に合った働き方を探すことで、定着率や満足感も高くなる傾向があります。

      給与の高さだけでなく、勤務時間、仕事内容、人間関係なども考慮し、「無理のない働き方」を選ぶことが大切です。


      求職者支援金をきっかけに訓練を受けたら、そこがゴールではなく新たなスタートです。支援制度と就職活動をセットで考え、活用することで、70代でも無理なく社会とつながり続ける道を切り開くことができます。


      5. 求職者支援金とあわせて知りたい!シニア向けの他の公的支援制度

      求職者支援金以外にも、シニアを対象とした支援制度は数多くあります。以下の制度と併用・比較することで、より自分に合った支援を見つけることができます。

      高年齢者就業促進給付金(65歳以上が対象)

      → 高年齢者雇用継続給付金が終了した後も、働く意欲のある方への支援制度。一定の収入制限があります。


      高齢者向け職業訓練・講座(都道府県や自治体実施)

      → 地域のシルバー人材センターや職業訓練校などで受講可能。


      65歳超雇用推進助成金(企業向け)

      → シニア雇用を行った企業への助成制度だが、求職者側も「シニア採用に積極的な企業」を見極める材料になる。

      こうした制度は随時変化しているため、ハローワークや自治体の高齢者支援窓口に相談しながら、最新情報をチェックしましょう。


      6. まとめ:制度を正しく知って、自分に合った働き方を実現しよう

      人生100年時代と言われる今、70代になっても「もう一度働きたい」「社会とつながっていたい」と考えるシニアが増えています。そうした方々にとって、求職者支援制度はまさに再スタートを後押ししてくれる大きな味方です。

      この制度は、単なる金銭的支援ではなく、職業訓練を通じて新たなスキルや知識を身につけ、次の仕事に結びつけることを目的としています。高齢であることが理由で不安を感じている方でも、制度の対象条件を満たせば支援金を受け取りながら、段階的に社会復帰を目指すことができます。

      重要なのは、「自分には無理」と決めつけず、まず制度の内容を正しく理解し、自分の状況に合っているかを確認することです。年齢を問わず、働く意欲がある人をサポートするために用意された制度ですので、70代でも堂々と申請・活用することができます。

      また、求職者支援金とあわせて使える他の支援制度や、シニアに特化した求人サイトの活用など、選択肢を広げることで、より自分に合った働き方が実現できます。これからの人生を豊かにするためにも、支援制度を上手に使いこなして、新たな一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。

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