1．【働く理由はお金だけじゃない】定年後に求められる“幸せ”とは？
定年を迎えた後、多くの人がまず直面するのが「収入の減少」という現実です。もちろん生活のために働き続けるという選択は大切ですが、実はそれだけではありません。近年、定年後も働き続けるシニアが増えている背景には、「お金以外の理由」も多く存在しています。
たとえば「社会とのつながりを持ちたい」「人の役に立ちたい」「自分の居場所を持ちたい」といった思いです。70歳を迎えたAさんもその一人。定年後、しばらく家で過ごしていたものの、やがて「誰とも会話しない日が増えてきた」「やることがなくて一日が長く感じる」と感じ始め、働くことを再び選びました。
実際に、厚生労働省の「高齢者の就業実態」によると、シニアの就労理由として「健康を保つため」「社会との接点を維持するため」と答える人が年々増加傾向にあります。
参考：厚生労働省「令和５年 高年齢者雇用状況等報告」https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_36506.html
つまり、働くことは“生活費を得る手段”であると同時に、“心の健康”を保つ手段にもなっているのです。定年後の働き方を考えるうえでは、「お金＋αの価値」を意識することが、幸せな人生への第一歩となります。
2．【健康・社会・自己実現】シニア世代が働く3つの価値
定年後に働くことは、単なる収入の確保だけでなく、シニア世代の「心と体の健康」を保ち、「人生の充実感」を高めるための重要な選択でもあります。ここでは、働くことで得られる3つの代表的な価値について解説します。
1. 健康の維持・促進
まず最もわかりやすいのが「健康の維持」です。軽作業や立ち仕事など、適度な身体活動を伴う仕事に就くことで、自然と運動の機会が増え、体力の維持や生活習慣病の予防につながります。
また、朝起きて身支度をし、出勤するという生活リズムそのものが、認知症予防にも効果があるとされています。
2. 社会とのつながり
高齢者の孤立は、うつや認知症のリスクを高める要因となります。働くことで職場の人と会話を交わしたり、何かしらの役割を持つことが、社会的孤立を防ぎ、日々の満足度を高めてくれます。
特に地域密着型の仕事やボランティア的な職務は、地域社会への貢献感が得られ、「誰かの役に立っている」という実感が得られる点でも人気です。
3. 自己実現と成長
多くのシニアが口にするのが、「もう一度何かに挑戦してみたかった」「人に教える仕事がしたい」といった“自己実現欲求”です。仕事を通じて新しいスキルを習得したり、若い世代と関わったりする中で、学び直しや役割意識の再発見につながるケースも少なくありません。
これら3つの価値は、単独で存在するのではなく相互に影響し合っています。たとえば、健康でいることで社会参加の意欲が湧き、社会との関わりが自己肯定感や生きがいを生み出します。
定年後において“働く”という行為が持つ意味は、想像以上に深いのです。
3．【70代からの選択肢】定年後におすすめの仕事とは？
「70代でもできる仕事はあるのだろうか？」と不安に感じる方は少なくありません。ですが、近年では高齢者の就業を前提とした職場も増えており、70代でも十分に活躍できる場が整いつつあります。
体力に合わせて選べる仕事
70代におすすめの仕事は、体力やライフスタイルに応じて選ぶことが大切です。たとえば次のような仕事が人気です。
・清掃スタッフ：短時間勤務や朝の仕事が多く、生活リズムも整いやすい。
・施設管理、見回り業務：立ち仕事もありますが、動きは比較的ゆるやか。夜間宿直なども選択肢に。
・農作業のサポート：地域の農業支援活動なども含めて、適度な身体活動で健康維持にも。
また、これらの仕事は「経験不問」「シニア歓迎」と記載されていることも多く、70代からでも無理なく始めやすいという特徴があります。
専門性を活かせる再雇用や指導役
かつての職業経験を活かした仕事も見逃せません。たとえば、
・技術職であれば「指導員」や「後進育成係」
・事務職であれば「マニュアル作成」「補助業務」
・現場職であれば「安全管理」「品質管理」
といった形での再雇用や業務委託が可能です。長年培ってきた知識と経験は、企業にとって大きな財産です。体力的に無理なく、知的にも満足感のある働き方が実現できます。
ボランティアや地域活動も“仕事”のひとつ
また、有償ボランティアや地域活動を「仕事」と捉えることで、社会との接点を持ち続ける選択もあります。たとえば、
・図書館、公園など公共施設での案内
・高齢者向けの配食支援や見守り活動
・小学校などでの読み聞かせボランティア
といった活動は、報酬は少ないもののやりがいが大きく、満足度も高いとされています。
70代だからこそ、自分のペースで選べる「働き方の自由さ」を大切にすることが、定年後の生活を豊かにしてくれます。
4．【無理なく続けるには？】70代が働きやすい環境づくりのコツ
定年後の再就職や仕事探しで重要なのは、「長く、無理なく働き続けられるかどうか」です。特に70代になると、若いころのようにフルタイムでバリバリ働くのは現実的ではありません。ここでは、シニア世代が働きやすい環境を整えるための具体的なコツを紹介します。
1. 勤務時間とシフトの柔軟性を重視する
働きやすさの第一条件は「無理のない勤務時間」です。1日3〜4時間程度、週2〜3日からスタートできる仕事を選ぶことで、体力的な負担を抑えながら働き続けることができます。
また、体調や家庭の事情に応じてシフトの調整ができる職場は、70代の就労継続にとって非常に重要です。
2. 通勤負担を軽くする
通勤時間や移動距離も、70代にとっては大きな負担です。できるだけ自宅から徒歩や自転車で通える距離の職場を選ぶことで、毎日の移動による疲労を減らし、継続意欲を高められます。
最近では地域密着型の求人や、町内でできる仕事も増えており、地元での就労が現実的な選択肢になっています。
3. 自分に合った仕事内容を見極める
シニア世代にとって「やりたいこと」よりも「続けられること」が大切です。座り仕事か、動きのある仕事か、自分の得意分野や過去の経験を踏まえて無理のない業務を選びましょう。
たとえば、コミュニケーションが得意なら受付・案内業務、細かな作業が得意なら封入・軽作業など、自分の特性に合った仕事が見つかれば、仕事の満足度も自然と高まります。
4. 年齢に配慮した職場を選ぶ
年齢への理解がある職場かどうかも、働きやすさを大きく左右します。「シニア歓迎」「年齢不問」といった求人に応募することで、同世代がすでに働いていたり、職場全体で高齢者への理解があることが多く、安心して働ける環境が整っています。
こうした「働きやすさ」を重視した職場選びと、無理のない働き方の工夫があってこそ、70代になっても継続的に働き続けることが可能になります。
5．【迷っているあなたへ】シニアが幸せに働くためのポイントとは？
「働きたい気持ちはあるけれど、本当にできるだろうか…」「年齢的に迷惑をかけてしまわないか…」——そう感じて一歩を踏み出せずにいるシニアの方は少なくありません。しかし、年齢を重ねたからこそ発揮できる力があり、無理なく続けるための方法もたくさんあります。ここでは、幸せに働くためのポイントを5つに整理して紹介します。
1. 完璧を目指さず、できることから始める
シニア世代にとって大切なのは「完璧にやること」ではなく、「できる範囲でやること」です。はじめから週5日フルタイムで働く必要はありません。まずは週1〜2回、短時間の仕事から始め、自分のペースをつかみましょう。
2. 「ありがとう」がやりがいにつながる仕事を選ぶ
やりがいを感じる仕事の共通点は、「人の役に立っている実感がある」ことです。お客様や利用者からの「ありがとう」や、「助かります」という一言が、働く意味を深め、毎日のモチベーションにつながります。たとえば清掃、配達、受付などは感謝の言葉を直接受けやすい仕事のひとつです。
3. 孤独を避けるための“職場選び”
一人で黙々と作業をするのが好きな方もいれば、仲間と関わりながら働くことを好む方もいます。自分の性格や希望に合った職場環境を選ぶことで、「ここにいてよかった」と思える日々が手に入ります。同世代の仲間が多い職場を選ぶのも、安心につながります。
4. 自己肯定感を高める“成長の機会”を大切に
新しい仕事を始めるとき、知らないことに戸惑うのは当たり前です。逆に「知らなかったことを学べた」「役割を任された」という経験は、自己肯定感や生きがいの源になります。年齢を重ねてからの学びには、若い頃には得られない“深さ”があります。
5. 家族やまわりの理解を得る
最後に、家族の協力や理解も働くうえで大きな支えになります。「無理しないでね」「行ってらっしゃい」といった一言が励みになり、前向きな気持ちで続けられます。逆に家族に働く理由や希望をしっかり伝えておくことで、安心して仕事に集中できます。
【まとめ】定年後もイキイキ働くために今できること
70歳を超えても、働き続けるという選択は決して特別なことではありません。むしろ、定年後の働き方こそが「人生の後半戦をどう生きるか」を左右する大きな要素となります。
収入の補填はもちろん大切ですが、それ以上に「人とつながること」「体を動かすこと」「自分の価値を感じること」が、日々の暮らしを豊かにし、幸福度を高めてくれます。
これから働きたいと考えている方におすすめなのは、以下のような行動です。
・自分の体力やペースに合った仕事を選ぶ
・「シニア歓迎」「年齢不問」などの求人を探してみる
・地元のハローワークやシニア向け求人サイトを活用する
・収入よりも“やりがい”や“働きやすさ”を重視する
そして何より、「今からでも遅くない」という前向きな気持ちを持つことが一番のエンジンになります。迷っている方こそ、小さな一歩を踏み出してみてください。その一歩が、経済的な安心だけでなく、新たな居場所や生きがいをもたらしてくれるはずです。
あなたに合った“無理なく働ける仕事”が見つかる！シニア専門の求人情報は【キャリア65】からチェック。
