1. 職歴が多いシニアの履歴書の悩みとは?
70代のシニアが再就職を目指す際、履歴書作成で悩むことの一つが「職歴の多さ」です。長年働いてきた分、様々な職種や企業での経験があり、履歴書の職歴欄が埋まらないどころか、書ききれないという問題が発生します。
特に次のような悩みを抱えるシニアは多いのではないでしょうか?
・職歴が多すぎて、どれを記載すべきか迷う
・ブランクがあるが、どのように埋めればよいかわからない
・短期間で転職した経験が多く、マイナス評価にならないか心配
・採用担当者がスムーズに読める履歴書のフォーマットが知りたい
履歴書はシンプルかつ採用担当者に伝わりやすくまとめることが重要です。本記事では、職歴が多いシニアのための履歴書の書き方を、具体例を交えて解説します。
2. 職歴が多い場合の履歴書の基本ルール
職歴が多い場合でも、履歴書は「簡潔に」「要点をまとめて」書くことが大切です。採用担当者がすぐに経歴を理解できるように整理しましょう。
基本ルールは以下の3つです。
1.過去20年以内の職歴を中心に記載する
・直近の職歴ほど詳細に書き、過去の職歴はまとめる
・40年以上前の職歴は簡潔に
2.応募する職種に関連する職歴を優先的に書く
・例えば、施設管理員の仕事に応募する場合、工場勤務の経験を詳細に記載し、関係の薄い職歴は省略
3.転職回数が多い場合は「職務経歴書」を活用する
・履歴書では要点のみを記載し、詳細は職務経歴書にまとめる
これらのルールを意識することで、履歴書の見やすさが格段に向上します。
3. 採用担当者が読みやすい職歴の整理方法
職歴が多い場合、時系列でズラズラと書くと採用担当者が読みづらくなります。そのため、以下の方法で整理しましょう。
① 直近の職歴を詳細に記載する
特に過去10~15年の職歴は、企業名・勤務期間・業務内容を具体的に書く。
② 関連職歴をグループ化して記載する
似た職種や業務をまとめて書くとスッキリします。
③ 古い職歴は「まとめ表記」にする
例:
1980年~2000年:製造業での管理業務に従事(○○株式会社、△△工業など)
このように整理すると、履歴書がコンパクトにまとまり、採用担当者もスムーズに理解できます。
④ 転職理由を前向きに伝えられる準備をする
職歴が多いシニアの場合、採用担当者から「なぜこれほど転職を繰り返したのか?」と質問される可能性があります。そのため、履歴書や面接の場で、転職理由を前向きなものとして説明できる準備をしておくことが大切です。
例えば、以下のように伝えることで、転職経験を強みとしてアピールできます。
✅ 設備管理の仕事を転々としてきた場合
「さまざまな施設で設備管理の経験を積み、幅広い業務に対応できる力を身につけました。」
✅ 製造業から別の業界に転職した場合
「新しい業界に挑戦することで、適応力や学習能力を磨いてきました。」
✅ 短期間の職歴がある場合
「環境が合わなかった経験もありましたが、それを活かして、自分に合った働き方を学びました。」
転職が多いことは必ずしもマイナスではなく、「経験の多さ」や「適応力の高さ」としてアピールすることができます。履歴書には詳細を書かなくても、面接で口頭で説明できるよう準備をしておくと安心です。
ポイント:
・履歴書に転職理由を細かく書く必要はない
・口頭でも説明できるように準備しておく
・転職経験を「適応力」「学習力」「幅広い経験」としてアピールする
このように、職歴の整理だけでなく、転職理由も前向きに伝えられる準備をしておくことで、採用の可能性を高めることができます。
4. 履歴書の職歴欄の書き方【例文付き】
職歴が多いシニア向けの履歴書の書き方例
【良い例】
【職歴】
2010年4月~2020年3月 ○○株式会社(製造業)
・設備管理および保守点検を担当
・従業員の安全管理指導を実施
・設備トラブル時の対応および業者との調整
2000年4月~2010年3月 △△工業(製造業)
・生産ラインの管理を担当
・作業員の指導およびマネジメント業務
1980年~2000年:製造業での管理業務に従事(○○株式会社、△△工業など)
このように、直近の職歴を詳細に書き、古い職歴を簡潔にまとめることで、職歴が多くても整理された印象を与えます。
5. 職歴以外でアピールできるポイントとは?
履歴書では職歴の記載が重要ですが、シニアの場合、職歴だけでなく人柄・スキル・健康状態なども評価の対象になります。職歴が多いことで履歴書がまとまりにくい場合は、職歴以外の要素をうまく活用することで、採用担当者の興味を引き、採用の可能性を高めることができます。
ここでは、シニアがアピールできる4つのポイントについて解説します。
① 資格・免許を活かす
特に専門的な資格や免許を持っている場合は、履歴書の「資格欄」にしっかり記載しましょう。
✅ 施設管理や清掃関連の仕事なら…
・第二種電気工事士
・危険物取扱者(乙種第4類など)
・建築物環境衛生管理技術者
・防火管理者
✅ 配送や軽作業の仕事なら…
・普通自動車免許(AT限定可)
・フォークリフト運転技能者
・運行管理者資格
✅ 事務・受付・接客の仕事なら…
・MOS(マイクロソフトオフィススペシャリスト)
・簿記3級
・サービス接遇検定
履歴書への書き方例:
「資格:第二種電気工事士(取得年:2015年)、防火管理者(2020年)」
特に仕事に関連する資格を持っている場合、書類選考で有利になることが多いため、積極的にアピールしましょう。
② 仕事に活かせるスキルを記載する
職歴の中で培ったスキルも、履歴書でアピールできます。特に、職務経歴欄の最後に「得意分野」や「特に自信のあるスキル」を簡潔にまとめると、採用担当者の目に留まりやすくなります。
✅ 具体的なスキル例
・設備管理の経験が長い場合:「機械設備の点検・修理に対応可能」
・接客業の経験がある場合:「人とのコミュニケーションが得意」
・事務経験がある場合:「Word・Excelを活用した資料作成が可能」
履歴書への書き方例:
得意分野・スキル
・設備管理および保守点検(経験10年以上)
・従業員の安全管理指導の実施
・PC(Word・Excel)の基本操作が可能
このように、応募職種に関連するスキルを具体的に書くと、採用担当者の興味を引きやすくなります。
③ 健康状態をアピールする
シニア世代の採用では、「健康状態が良好で長く働けるかどうか」も重要なポイントです。健康状態を明記することで、採用担当者に安心感を与えることができます。
✅ 健康状態のアピール方法
・「健康状態:良好」
・「持病なし、体力に自信あり」
・「長時間の立ち仕事も問題なし」
履歴書への書き方例:
健康状態:良好(現在、特に持病なし。体力に自信があり、立ち仕事・外作業も対応可能)
実際に体を動かす仕事を希望する場合は、「健康面で問題なく働けること」を伝えると、採用につながりやすくなります。
④ 人柄や勤務姿勢を伝える
採用担当者は、シニアの採用において「職場になじみやすいか」「チームで協力できるか」なども重視します。そのため、履歴書の「自己PR」欄では、次のような点をアピールすると効果的です。
✅ 勤務姿勢を伝えるポイント
・「まじめで誠実な性格」
・「チームワークを大切にする」
・「責任感を持って仕事に取り組む」
履歴書への書き方例:
自己PR:
私は誠実な性格で、仕事に対して責任感を持って取り組みます。
長年の設備管理経験を活かし、安全管理やメンテナンス業務にも対応できます。
また、チームワークを大切にし、協力しながら業務を進めることが得意です。
こうした表現を入れることで、面接官に「一緒に働きたい人材」と思ってもらいやすくなります。
職歴以外のアピールポイントを活用しよう!
職歴が多いシニアでも、履歴書で職歴以外のポイントをアピールすることで、採用の可能性を高めることができます。
✅ 資格・免許を活かす(職種に関連する資格を記載)
✅ スキルを明確にする(得意分野や実務経験をアピール)
✅ 健康状態を記載する(「健康状態:良好」を明記)
✅ 人柄・勤務姿勢を伝える(誠実さ・協調性を強調)
採用担当者は、書類選考の時点で「この人はどんな働き方ができるのか?」をイメージします。職歴だけに頼らず、これらのポイントを履歴書に組み込むことで、採用される可能性を大きく高めることができるでしょう。
6. 履歴書と一緒に提出する職務経歴書のコツ
履歴書に記載できる職歴には限りがあるため、職歴が多いシニアの方には「職務経歴書」の活用をおすすめします。職務経歴書は、履歴書の補助的な役割を果たし、応募者の経験やスキルをより詳しく伝えるための書類です。
特に、次のような方は職務経歴書を活用すると良いでしょう。
・職歴が多すぎて履歴書に収まりきらない方
・さまざまな職種を経験し、それぞれの業務内容をしっかりアピールしたい方
・特定のスキルや実績を詳しく説明したい方
ここでは、職務経歴書の基本構成や書き方のポイント、具体的な記載例を紹介します。
① 職務経歴書の基本構成
職務経歴書は一般的にA4用紙1〜2枚程度にまとめます。長すぎると読まれにくくなるため、コンパクトに整理することが重要です。
基本的な構成は以下のようになります。
【職務経歴書の構成】
1.タイトル(職務経歴書)
・文書の最上部に「職務経歴書」と記載
2.氏名・日付
・履歴書と統一し、氏名を記載
・提出日を記載
3.職務要約(3〜5行程度で経歴をまとめる)
・自分の経歴を簡潔に要約
・例:「設備管理業務を30年以上経験し、安全管理やメンテナンスに精通」
4.職務経歴(会社ごとに詳細な業務内容を記載)
・企業名・勤務期間・業務内容を記載
・箇条書きを活用し、簡潔にわかりやすくまとめる
5.保有資格・スキル
・業務に関連する資格やスキルを記載
6.自己PR(強みや意欲をアピール)
・「体力に自信があり、長期間の勤務が可能」などを記載
② 職務経歴の書き方のポイント
職歴が多い場合、単純に時系列で並べると、採用担当者が読みづらくなります。そのため、業種別や業務内容別に整理する方法をおすすめします。
1. 時系列方式(シンプルな記載方法)
【例】
■ 職務経歴書
【職務要約】
30年以上にわたり、設備管理・メンテナンス業務に従事。
特に、安全管理・施設保全に強みを持ち、従業員の指導も担当。
【職務経歴】
○○株式会社(2010年4月~2020年3月)
【業務内容】
・工場内の設備保守・点検業務
・安全管理の実施、作業員の指導
・緊急時の設備トラブル対応
△△工業(2000年4月~2010年3月)
【業務内容】
・製造ラインの管理業務
・設備メンテナンスと修理
・業者との調整および発注業務
ポイント:
・企業名、勤務期間、業務内容を明記
・箇条書きで簡潔にまとめる
2. 業務内容ごとのグループ化方式(職種が多い場合におすすめ)
職種を分類し、同じ業務をまとめて記載することで、読みやすくなります。
【例】
■ 職務経歴書
【職務要約】
製造業において30年以上の経験を有し、設備管理・安全管理の業務に従事。
現場作業員の指導や、業者との調整などのマネジメント経験もあり。
【職務経歴】
● 設備管理業務(2010年~現在)
○○株式会社、△△工業にて、以下の業務に従事
・工場内の設備保守・点検
・安全管理の実施、従業員の指導
・緊急時の設備トラブル対応
● 製造ライン管理業務(1980年~2010年)
△△工業、□□製造にて、以下の業務に従事
・生産ラインの管理・メンテナンス
・作業員の育成および指導
・設備故障時の修理対応
ポイント:
・似た業務をまとめることで、履歴書がスッキリする
・「職歴が多い人」でも、わかりやすく整理できる
③ 自己PRの記載例
職務経歴書の最後には、自己PRを入れて、採用担当者に「この人を採用したい」と思わせる工夫をしましょう。
【自己PRの例】
【自己PR】
私は、製造業・設備管理の分野で30年以上の経験を積んでまいりました。
特に、安全管理や機械メンテナンスには強みを持ち、トラブル対応の経験も豊富です。
また、チームワークを大切にし、若い世代と協力して仕事を進めることが得意です。
健康状態も良好で、長時間の業務にも対応可能です。
今後もこれまでの経験を活かし、施設管理や設備保守の仕事に貢献したいと考えています。
ポイント:
・経験の強みを明確にアピールする
・仕事への意欲を伝える
職務経歴書を活用して採用率アップ!
✅ 職歴が多い場合は、職務経歴書を活用して詳細を整理する
✅ 時系列方式か、業務内容ごとのグループ化方式を選択する
✅ 資格・スキルを明記し、採用担当者にアピールする
✅ 自己PR欄を活用し、「長く働けること」「意欲があること」を伝える
職務経歴書をうまく活用すれば、履歴書だけでは伝えきれない経験やスキルをしっかりアピールできます。職歴が多いことを「強み」として伝え、採用につなげましょう!
7. まとめ:履歴書を工夫して採用につなげよう!
職歴が多いシニアが履歴書を書く際は、以下のポイントを押さえましょう。
✅ 直近20年以内の職歴を中心に書く
✅ 関連職歴を優先し、古い職歴は簡潔にまとめる
✅ 読みやすいレイアウトを意識する
✅ 職務経歴書を活用し、詳細な経験を補足する
✅ 健康状態やスキルをアピールする
履歴書の工夫次第で、シニアでも採用率を高めることが可能です。ぜひ本記事のポイントを活かし、希望の仕事を見つけましょう!
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