シニア世代から始める“傾聴の仕事”|「いのちの電話」相談員で得られるやりがいと社会的意義

仕事

1. 「いのちの電話」相談員とは?社会を支える“傾聴のプロ”

「いのちの電話」は、悩みを抱える人が匿名・無料で相談できる電話相談サービスです。自殺予防を目的とし、誰かに話を聞いてもらいたいという思いに寄り添う活動であり、全国に支部を持つ公益社団法人「日本いのちの電話連盟」が運営しています。

この活動の中心にいるのが、「相談員」と呼ばれるボランティアの方々。主に電話越しに相手の話を傾聴し、否定せず、ただ“受け止める”ことが求められます。アドバイスをすることが目的ではなく、相手が自分自身の気持ちに気づいたり、心を少しでも軽くするための支援です。

特別な資格が必要なわけではありませんが、一定の研修や面接を経た上で、正式な相談員として活動を始めます。70代でも活躍している方が多く、体力的な負担が少ないため、シニア世代が社会貢献できる貴重な場として注目を集めています。


2. なぜ今、シニア世代の相談員が求められているのか

現在、日本社会では高齢化と孤独の問題が深刻化しています。孤立した高齢者、仕事や家庭に悩む中高年、将来に不安を抱える若者──その誰もが「話を聞いてほしい」という思いを抱えています。

そんな中、人生経験の豊富なシニア世代の「聴く力」が、いのちの電話において大きな意味を持ちます。相談者は「分かってくれそうな人」に安心感を抱きやすく、年長者である相談員に自然と心を開くケースが多いのです。

また、シニア自身にとっても、「誰かの役に立てる」という実感は、自己肯定感を高め、生きがいにもつながります。定年退職後の“空白期間”を埋めるだけでなく、自身の人生を再評価するきっかけにもなるでしょう。


3. 活動内容とやりがい|経済的価値ではなく、存在意義を実感できる仕事

いのちの電話の相談員は、週に1回程度の当番制で、4〜6時間の電話対応を行います。時間帯によっては深夜シフトがある場合もありますが、自分の生活スタイルに合わせて調整できることが多く、無理のないペースで続けることができます。

報酬は原則として支払われないボランティアですが、多くの相談員が「お金には代えられない充実感がある」と語っています。「話を聞いてくれてありがとう」「気持ちが少し楽になった」といった言葉を受け取るたびに、自分の存在意義を再確認できるのです。

また、仲間とのつながりも大きな魅力です。定期的な研修やグループミーティングを通じて、他の相談員と意見交換をする中で、人間的な成長も感じられるでしょう。


4. 相談員になるには?応募から研修までの流れを解説

相談員になるには、まずお住まいの地域の「いのちの電話」支部に問い合わせ、募集状況を確認します。募集は年に1回程度、春または秋に行われることが多いです。

■日本いのちの電話連盟
https://www.inochinodenwa.org/

応募後は、選考面接を経て「基礎研修(約1年)」を受講します。この研修では、傾聴スキル、心理学の基礎知識、緊急時の対応方法などを学びます。修了後には実地研修を経て、正式な相談員として活動がスタートします。

年齢制限は基本的に設けられておらず、70代の応募も可能です。ただし、安定したメンタルと健康状態、そして継続して活動できる意志が求められます。体験者の声では「学び直しのようで楽しかった」「自分を見つめ直す時間になった」という意見も多く、知的刺激としての価値も高い研修です。


5. 電話の仕事を探しているなら…シニア向けのコールセンター業務という選択肢も

電話を使った仕事に興味があるなら、民間の「コールセンター」業務もおすすめです。通販受付、公共サービスの問い合わせ対応、保険や健康関連の説明窓口など、シニア歓迎の職場も増えています。

特に在宅対応が可能な「テレワーク型コールセンター」も登場しており、通勤不要で働ける点は大きなメリットです。また、マニュアル対応が基本のため、特別な専門知識がなくても始めやすく、研修制度も充実している企業が多くなっています。

報酬も時給制で安定しており、年金+αの収入源としても十分魅力的。相談員としての活動とはまた違ったやりがいや社会貢献性を持ちながら、経済的にも支えとなる選択肢です。


6. 新たな一歩を踏み出すあなたへ|「聴く力」は人生経験そのもの

「自分には特別なスキルがない」「もう歳だから新しいことは無理」――そう思っているシニアの方は多いかもしれません。でも、実はその“人生の歩みそのもの”が、今求められている力なのです。

これまで培ってきた経験、我慢してきたこと、家族や職場で人の話を丁寧に聞いてきた時間。それらはすべて、相談者の悩みに寄り添うための“傾聴力”につながっています。若い人にはない、落ち着いた視点と受け止める力。まさに、今の社会が必要としている資質です。

「いのちの電話」の相談員という役割は、社会に貢献しながら、自分自身の生きがいや存在価値を再確認できる素晴らしい活動です。お金では得られない“ありがとう”や“あなたがいてくれてよかった”という言葉は、何よりの報酬になるはずです。

また、こうした活動に挑戦することは、心の健康にも良い影響をもたらします。人と関わり続けること、学び続けることは、認知症の予防や生活習慣病の軽減にもつながるといわれています。

さらに、もし「完全なボランティアはハードルが高い」と感じる場合でも、コールセンターなど“電話を通じた仕事”という選択肢もあります。自分に合ったペースで社会とのつながりを保つことが、長く健康的に生きる鍵になるのです。

あなたの第二の人生は、まだまだ可能性に満ちています。勇気を持って、まずは一歩踏み出してみませんか?
“誰かのためにできること”が、きっとあなた自身の心も満たしてくれるはずです。

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