1.今、採用媒体の選び方が変わってきている理由
人材不足が深刻化する中小企業の現状
近年、日本の労働市場では中小企業の人手不足が深刻化しています。
帝国データバンクの「人手不足に対する企業の動向調査(2024年)」によると、正社員が「不足している」と回答した企業は51.7%。特に従業員数300人未満の中小企業においては、約6割が人手不足に直面しています。
その背景には、以下のような複合的な要因があります。
・団塊世代の大量退職による労働力の急減
・若年層の都市集中や就業意識の変化
・中小企業の採用力の弱さと認知度不足
このような状況下で「ただ求人を出すだけ」では人材が集まらない時代になりつつあります。これまでのようにハローワークや紙媒体中心の採用では限界がある中、Webを中心とした採用媒体の戦略的な使い分けが必要とされています。
媒体ごとの得意分野を把握することが成功のカギに
採用媒体と一口に言っても、それぞれに「得意なターゲット層」や「効果が出やすい業種・職種」「費用構造」などに違いがあります。
たとえば:
・インディードは圧倒的な求人数と集客力が魅力だが、応募の質にはばらつきがある
・キャリア65やシニアジョブは高齢者人材に強いが、採用課金型で費用設計が重要
・求人ボックスやエンゲージは無料でスタートできる手軽さがある
・ハローワークは地元密着だが、デジタル対応がやや弱い場合もある
つまり、「自社の採用目的」×「媒体の特性」をきちんとマッチングさせることが、採用成功の第一歩です。
特にシニア層の採用を検討している場合、年齢層に合った使いやすさや応募の導線、サポート体制の有無なども重視すべき要素となります。
このように、今の時代は「どの媒体を使うか」ではなく、「どう使い分けるか」が問われる時代です。
2.主要採用媒体7選の費用と特徴を比較【2025年版】
1. Indeed(インディード)
特徴:
世界最大級の求人検索エンジン。日本国内でも圧倒的なアクセス数と求人掲載数を誇り、検索連動型広告(PPC)を活用した集客が可能です。Googleで「バイト 採用」などと検索すると、上位にインディードが表示されるのがその証です。
費用:
・【無料掲載】可能(条件あり)
・【有料掲載】クリック課金型(1クリック15〜100円程度)
・月額課金も可能(数万円〜)
おすすめポイント:
・職種や地域を問わず幅広い採用に対応
・検索エンジン経由で母集団形成がしやすい
・専用ATS(採用管理システム)との連携で応募対応を効率化
注意点:
無料掲載は制限がかかることもあり、有料掲載に切り替えるケースが多い。
2. 求人ボックス
特徴:
価格比較サイト「価格.com」などを運営するカカクコムが展開する求人検索サイト。シンプルなUIと表示スピードの速さが魅力。
費用:
・【無料掲載】可能(外部連携または直接投稿)
・【有料掲載】クリック課金型(1クリック20〜80円)
おすすめポイント:
- SEOが強く、求人情報が上位に出やすい
- 他媒体との連携もしやすく、拡散効果あり
- 管理画面がシンプルで操作性が良い
注意点:
職種によってはクリック単価が高くなり、コスト管理が重要。
3. engage(エンゲージ)
特徴:
エン・ジャパンが運営。採用ページを無料で作成でき、そのまま求人も投稿可能。特に中小企業・ベンチャーの求人掲載が多いのが特徴です。
費用:
・完全無料
(採用ホームページ作成、求人掲載、応募管理まで全て無料)
おすすめポイント:
・自社採用ページを無料で作れる(ドメイン付き)
・初めてのWeb採用にぴったり
・求人ボックスなど他媒体と連携可能
注意点:
応募数を伸ばすには、他媒体と併用するとより効果的。
4. キャリア65(シニア向け)
特徴:
シニア人材に特化した求人サイトで、特に65歳以上の就労に積極的な企業が利用。シニア歓迎の求人に特化しており、求職者とのミスマッチが起きにくい。
費用:
・【初期費用・掲載費用】無料
・【成果報酬型】2人目以降の採用時に課金(1人3万円)
おすすめポイント:
・高年齢者雇用安定法に対応した設計
・地域や職種で絞った検索がしやすく、シニア層に使いやすいUI
注意点:
採用数が多くなると費用がかかるため、事前の料金確認は必須。
5. シニアジョブ(シニア向け)
特徴:
60歳以上の就職支援に特化。ハローワークの求人を収集し、独自掲載も行う構成で、検索ボリュームの高いシニア層に強みがあります。
費用:
・【初期費用・掲載費用】無料
・【成果報酬型】採用時に費用が発生(要問合せ)
おすすめポイント:
・「年齢不問」「70代歓迎」などの求人が豊富
・ハローワークの求人も一部自動掲載される
注意点:
成果報酬型であるため、予算計画を事前に立てておくことが重要。
6. げんきワーク(掲載完全無料)
特徴:
とにかくコストをかけたくない企業に人気の媒体。求人情報の掲載・編集・削除まで完全無料。シンプルな構成のサイトで、地域密着型求人も多い。
費用:
・完全無料(掲載数・期間も制限なし)
おすすめポイント:
・掲載後すぐに反映される手軽さ
・地方や高齢者向けの案件にも対応可能
注意点:
他の媒体に比べてUIが簡素で、応募者の質にばらつきがあることも。
7. ハローワークインターネットサービス
特徴:
厚生労働省が提供する国の求人サービス。全国の求人を無料で検索・応募可能で、特に地域密着型求人に強みがあります。
費用:
・完全無料(企業も求職者も費用負担なし)
おすすめポイント:
・公的サービスなので信頼性が高い
・地域シニアや未経験者など多様な人材が登録
注意点:
応募のスピード感やデジタル対応にやや課題あり(例:FAX応募、書類郵送など)
3.目的別で使い分ける!媒体選びのおすすめパターン
費用を抑えたいときに使える媒体は?
人事担当者にとって、「採用コストをいかに抑えるか」は常に大きな課題です。
無料または低コストで利用できる媒体は以下の通りです。
媒体名 | 初期・掲載費用 | 成果報酬 | 特徴 |
---|---|---|---|
engage | 完全無料 | なし | 採用ページも作成可能 |
げんきワーク | 完全無料 | なし | 地方や高齢者向け求人も強い |
ハローワーク | 完全無料 | なし | 信頼性が高く、地域密着型求人に強み |
求人ボックス | 無料掲載可能(要連携) | 有料あり(クリック課金) | 無料でも集客効果あり |
特に「まずは試したい」「1人採用できればOK」といった小規模採用では、engage+ハローワーク+求人ボックス(無料連携)の3点セットから始めるのが効率的です。
シニア人材を採用したい場合は?
高齢者層の採用には、以下のような専門媒体が力を発揮します。
媒体名 | 対象年齢 | 特徴 |
---|---|---|
キャリア65 | 65歳以上 | 地域別・職種別でシニア求人を探しやすい |
シニアジョブ | 60歳以上 | ハローワーク連携もあり、70代求人も豊富 |
ハローワーク | 全年齢対象 | 高齢者の就労支援も公的に強化中 |
特に職場の経験や責任感が必要な職種(例:清掃、施設管理、案内業務など)では、年齢を気にせず応募できる専門媒体を使うことで、ミスマッチを防ぐことができます。
また、「年齢制限の撤廃」をうたう求人内容にすることで、応募効果も上がります。
応募数を増やしたいときに有効な手段とは?
大量の応募を集めたい場合は、求職者の流入数が多い媒体を活用することが重要です。
媒体名 | 月間利用者数(目安) | 特徴 |
---|---|---|
Indeed | 約2,000万UU以上(※) | 検索流入が強く、幅広い応募者に届く |
求人ボックス | 数百万UU | SEOが強く、比較的コストパフォーマンス良好 |
engage | 無料+他媒体と連携で流入が期待できる |
※出典:Indeed公式サイト「広告主向け資料 2024年度版」
応募数を重視するなら、有料広告の活用も視野に入れるべきです。たとえばIndeedで数万円分のクリック広告を出すだけでも、応募者の母集団形成に効果があります。求人ボックスやengageでもクリック課金ができるため、予算に応じてテスト運用してみましょう。
このように、目的に応じて媒体を組み合わせることが成果への近道です。
4.採用媒体を比較する際に押さえておきたい3つの視点
費用対効果の比較は「単価」だけで判断しない
採用媒体を選ぶ際、多くの人事担当者がまず注目するのが「費用」や「クリック単価」です。
しかし、単価の安さだけで媒体を評価するのは危険です。たとえば、クリック単価が20円と安くても、100クリックしても応募が1件も来なければ意味がありません。
費用対効果を正しく比較するには、次の視点が重要です。
・応募単価(CPA):1応募にかかった費用
・面接設定率、採用決定率などの「質」に関する指標
・媒体ごとの定着率(できれば半年後の離職率なども)
一例として、以下のようなシミュレーションも有効です。
媒体 | クリック単価 | 応募率 | 1応募あたりの費用 |
---|---|---|---|
A媒体 | 50円 | 5%(20クリックで1応募) | 1,000円 |
B媒体 | 20円 | 1%(100クリックで1応募) | 2,000円 |
このように、応募の「質」も含めて費用対効果を考えることが重要です。
ターゲット人材との相性を見極める
「若手を採用したいのに応募は高齢者ばかり」「技術職の求人なのに一般事務の応募が来る」――
こうしたミスマッチは、媒体と自社の求人との相性の悪さに起因します。
ターゲットとの相性を見極めるには、
・媒体の主なユーザー層(年齢、職種、地域)を把握
・自社の求める人材像とすり合わせる
・過去の応募者データを媒体ごとに分析する
たとえば、40代以上の応募者をターゲットにしたいなら「求人ボックス」「ハローワーク」「シニアジョブ」などが有効です。一方で、20代・30代の応募を増やしたいなら、「エン転職」「マイナビ転職」などの総合型媒体の活用も検討すべきです。
応募後のフロー改善と媒体選びの関係
意外と見落とされがちですが、「応募後のスピード感」が採用成功に大きく関わります。
どんなに良い媒体を使っても、応募から数日放置してしまえば応募者は離脱してしまいます。
媒体選びの際には、以下の点も確認しておくとよいでしょう。
・ATS(採用管理ツール)との連携有無(例:インディード、engage など)
・通知機能の充実度(メールだけでなくLINE通知など)
・応募者対応のしやすさ(スマホ完結など)
応募が来てから24時間以内に連絡できる体制を整えることが、採用効率の最大化につながります。
まとめ:自社に合った採用媒体を見極め、効果的に使い分けよう
採用活動が年々難しくなる中で、「どの求人媒体を使うか?」という問いは、企業の採用成果に直結する重要な選択になっています。
この記事では、主要な採用媒体7選を「費用」「特徴」「使い分け」などの観点から比較しました。特に注目すべきポイントは以下の3つです。
・媒体ごとの得意分野を理解し、目的に応じて使い分けること
・費用だけでなく、応募の質や採用後の定着率も重視すること
・応募後の対応フローを整え、スピーディに行動できる体制をつくること
たとえば、「予算が限られている」ならengageやげんきワーク、「シニア層をターゲットにしたい」ならキャリア65やシニアジョブ、「応募数をとにかく増やしたい」ならIndeedや求人ボックスの有料活用といったように、状況に応じた戦略が必要です。
また、複数の媒体を組み合わせることで、それぞれの弱点を補完し合い、採用の安定化につなげることも可能です。媒体選びは単発で終わらせず、「検証」「改善」「継続」を繰り返すPDCA運用が成果を大きく左右します。
今後の採用成功のために、まずは自社の採用ターゲットと現在使っている媒体の相性を見直すところから始めてみましょう。
高齢者の採用をお考えの方へ。経験豊富な人材と出会えるシニア特化型求人サイト「キャリア65」はこちらからチェック!