社会とつながるシニアの仕事術！70代からの仕事探しのヒント

1. なぜ“社会とのつながり”がシニアの働き方に重要なのか
2. 70代からの再スタート｜仕事探しで意識したい3つの視点
3. 仕事を通じて人とのつながりを深めるための工夫
4. 無理せず長く続けるための仕事選びのポイント
5. 求人の見つけ方と応募のコツ｜シニアが活躍できる場を探す方法
6. まとめ｜“つながる働き方”で心も体も健やかに生きる70代を

1. なぜ“社会とのつながり”がシニアの働き方に重要なのか

70代を迎えると、定年退職や子育ての終了など、生活の中心が大きく変わります。こうした変化により、以前のような人との関わりが少なくなり、「孤立」を感じるシニアも少なくありません。

特に注意すべきなのは、社会とのつながりが薄れることによる心身の健康への影響です。
厚生労働省の調査（※）でも、社会的孤立はうつ病や認知症、生活習慣病のリスクを高めることが報告されています。また、孤立を感じる高齢者ほど、身体機能の低下が進みやすく、要介護状態になるリスクも高くなると言われています。

一方で、「働くこと」はシニアにとって社会とのつながりを維持・再構築する有効な手段です。仕事を通じて定期的に人と関わり、役割を持ち、感謝される機会が増えることで、自己肯定感や生きがいが自然と育まれていきます。

特に70代では、経済的な理由だけでなく、「誰かとつながっていたい」「社会の一員として貢献したい」といった内面的な充実感を求めて働く方が増えています。これは決して特別な感情ではなく、多くのシニアが抱くごく自然な気持ちです。

※出典：厚生労働省「高齢者の生活と意識に関する調査（2022年）」より

2. 70代からの再スタート｜仕事探しで意識したい3つの視点

70代から再び仕事を探すとき、大切なのは「何を重視するか」を自分なりに明確にすることです。若い頃のようにキャリアアップや収入だけを追い求めるのではなく、心地よく、無理なく、長く働ける環境を見つけることがポイントになります。ここでは、シニアが意識したい3つの視点をご紹介します。

① 安心して働ける職場かどうか

70代になると、体調や生活スタイルの変化に柔軟に対応してくれる職場かどうかが非常に重要です。
たとえば「急な体調不良で休んでも理解がある」「勤務日数や時間を調整しやすい」といった配慮があると、精神的な負担が少なくなり、結果として仕事が長続きします。

また、雇用契約や保険制度などの就業環境が整っているかもチェックしておきたいポイントです。

② やりがいを感じられるか

年齢を重ねると、「社会の役に立ちたい」「人に喜んでもらいたい」という気持ちが強くなる方も少なくありません。
70代からの仕事は、「自分の経験を活かせる」「ありがとうと言ってもらえる」ようなやりがいのある仕事を選ぶことが、働くモチベーションにつながります。

たとえば、接客業でお客様と触れ合う、地域の福祉サービスで支援を行うといった場面では、感謝されることが多く、満足感を得やすいでしょう。

③ 人との“つながり”があるか

孤立を避け、心の健康を保つためにも、「人と関われる職場環境」は非常に重要です。
業務が単純でも、同年代の仲間がいる職場や、日常的に会話が生まれる業務は、働くこと自体が楽しみになります。

また、同じ年代の仲間がいることで情報交換や励まし合いもでき、仕事以外の暮らしも豊かになるというメリットもあります。

これら3つの視点をバランスよく意識することで、70代からの仕事探しが前向きなものになり、「働くこと」が日常の楽しみにつながります。

3. 仕事を通じて人とのつながりを深めるための工夫

70代から再び働き始めるシニアにとって、「人とのつながり」は、経済的な充実以上に心の支えになる重要な要素です。
しかし、ただ職場に通えば自然に人間関係が築けるわけではありません。そこで、ここでは仕事を通じて人とのつながりを深めるための具体的な工夫を紹介します。

● あいさつ・雑談を大切にする

コミュニケーションの基本は「あいさつとちょっとした会話」です。
たとえば「おはようございます」「今日はいい天気ですね」といった日常の一言が、自然な会話のきっかけになります。特にシニア世代は丁寧な言葉づかいが強み。礼儀正しいあいさつは、周囲の印象も良くし、距離を縮める第一歩になります。

● 同じ職場の仲間と共通の話題を見つける

共通の話題を持つと会話が弾みやすくなります。
「地元の話題」「テレビ番組」「趣味」「家族」など、自分のことを少しだけオープンにすることで、相手も心を開いてくれます。また、仕事のちょっとした悩みや工夫などを共有するのも、信頼関係を築くポイントになります。

● 相手に関心を持ち、話をよく聞く

シニアの強みの一つが「傾聴力」。若い世代の同僚に対しても、話を聞く姿勢を大切にすると好印象を持たれやすくなります。
「話を聞いてくれてうれしい」「安心できる」と感じた相手とは、自然と信頼関係が育まれていきます。

● 長く関係を築くには「ほどよい距離感」も意識

良好な人間関係を保つには、近づきすぎず、離れすぎずのバランスも大切です。相手の生活や価値観を尊重しつつ、適度な距離で接することで、無理なく長くつながる関係を維持できます。

「人とのつながり」は、働くことが「生活の一部」になったときにこそ、自然に広がっていくもの。
そのためにも、毎日の小さなコミュニケーションを楽しむ気持ちを忘れないことが大切です。

4. 無理せず長く続けるための仕事選びのポイント

70代からの仕事選びにおいて、最も大切なのは「自分のペースで無理なく続けられるかどうか」です。体力や生活リズムが変化する中で、無理をすると体調を崩してしまうリスクもあります。ここでは、長く働き続けるための仕事選びの視点を具体的に紹介します。

● 勤務時間と日数は“ゆとり”を持って設定する

週に5日フルタイムの勤務は、シニアにとっては大きな負担になることがあります。
「週2〜3日」「午前中だけ」「午後の短時間だけ」など、自分の体力や生活サイクルに合った働き方を選びましょう。最初は短時間から始めて、慣れてきたら少しずつ時間を増やすという方法もおすすめです。

● 通勤距離は“無理のない範囲”が理想

職場が遠すぎると、移動だけで疲れてしまい、仕事そのものが辛くなることも。
特にバスや電車を使う場合は、乗り換えの少ないルートや徒歩で通える場所など、負担の少ない通勤を意識しましょう。

● 身体に負担が少ない仕事内容を選ぶ

体を動かす仕事であっても、重いものを持たない、立ちっぱなしにならないなど、負荷の軽い業務内容を選ぶことが大切です。
たとえば、シニアに人気のある業務には以下のようなものがあります：

業種例	特徴
施設の受付業務	座って対応できる／空調完備
マンション管理	巡回や簡単な清掃が中心
公共施設の案内	会話が中心／人との交流あり
軽作業パート	製品の検品や仕分けなど体力に応じて選べる

● 職場の雰囲気やサポート体制も重視する

長く続けられるかどうかは、人間関係や職場の雰囲気にも大きく影響します。
シニア採用に慣れている職場や、年齢に配慮した体制がある職場であれば、働く側も安心して仕事に取り組めます。見学や面接時に雰囲気を確認することも大切です。

自分に合った仕事を見つけることで、「もう年だから…」という不安も軽減され、充実感のある毎日を送ることができます。

5. 求人の見つけ方と応募のコツ｜シニアが活躍できる場を探す方法

「70代でも働ける仕事って、どうやって見つけたらいいの？」
そんな声はとても多く聞かれます。実際、年齢を重ねると求人情報にアクセスしづらくなったり、自分に合った仕事を見極めるのが難しく感じられることもあります。
ここでは、シニアが無理なく活躍できる職場を見つけるための方法と応募の工夫をご紹介します。

● シニア歓迎の求人サイトを活用する

近年では、高齢者向けの求人に特化した「シニア専門の求人サイト」が多数登場しています。
年齢制限がゆるく、週2〜3日の短時間勤務や軽作業など、シニア世代が無理なく働ける求人が多数掲載されています。

たとえば：

・キャリア65
・シニア求人ナビ
・シニアジョブ

などがあり、パートやアルバイト形式の仕事を探すにはとても便利です。

● 地域のハローワークや市区町村の就労支援窓口を活用する

公共機関もシニアの就労支援に力を入れています。
特に地元のハローワークやシルバー人材センターでは、地域密着型の仕事情報が得られるだけでなく、相談員によるキャリア相談や履歴書の書き方指導も受けられます。

● 知人ネットワークや紹介も強力な手段

70代の方の中には、過去の職場やご近所のつながりから「ちょっと手伝ってくれない？」と声をかけられて仕事が決まるケースも多くあります。
いわゆる“口コミ採用”ですが、これはシニアにとって特に心強いルートです。信頼関係の中で働けるため、仕事への不安も少なく、継続しやすいのが特長です。

● 応募時は「できること」「できないこと」を明確に伝える

70代の求職活動では、年齢を過度に気にする必要はありません。
それよりも、「これまでどんな経験をしてきたか」「何が得意か」を具体的に伝えることが大切です。また、「重い物は持てない」「週2回までが限度」といった制限も、事前に正直に伝える方が職場とのミスマッチを防げます。

無理せず働けて、社会とつながることができる場所は、探せばきっと見つかります。複数の手段を組み合わせて、焦らずじっくりと探すのがポイントです。