1. なぜ今、シニア世代が再び働くのか？｜背景にある3つの理由
かつては「老後はゆっくり過ごすもの」とされていた時代。しかし現代では、定年後も働きたい、働かなくてはならないというシニアが年々増えています。では、その背景にはどのような理由があるのでしょうか？ここでは代表的な3つの理由を見ていきましょう。
1. 経済的な不安を補いたい
公的年金だけでは生活が成り立たないと感じるシニアが増加しています。総務省の家計調査（2023年）によると、65歳以上の高齢世帯のうち、年金だけで生活費を賄えている世帯は約6割。残りの4割は何らかの形で収入を得ていることになります。特に70代に入っても住宅ローンや子の支援、医療費の負担などが重なることで、「あと少し収入が欲しい」という声が現実のものとなっています。
2. 社会とのつながりを持ち続けたい
退職後、自由な時間を持て余し、孤独感を感じる方も少なくありません。パートタイムで働くことは、外出の機会を増やし、職場の人との関わりを通じて社会的なつながりを得る大きなきっかけになります。これは精神的な健康にも良い影響をもたらし、いわゆる「定年後うつ」の予防にもつながります。
3. 自分の経験やスキルを活かしたい
長年培ってきたスキルや人間関係のマネジメント力など、シニア世代ならではの強みを発揮できる仕事も多く存在します。働くことで「まだ社会に貢献できる」という自己肯定感の回復にもつながり、「もう一度チャレンジしてみたい」と考える方が増えています。
2. 70代からでも安心して始められる！おすすめパートタイム仕事5選
「70代からの仕事」と聞くと、体力的に無理では？と不安になる方も多いかもしれません。ですが、今の時代は“年齢に応じた働き方”が広がっており、シニア世代に特化したパートタイムの仕事も多数存在します。ここでは、体力に配慮しながらも社会と関われる、70代からのおすすめ仕事を5つご紹介します。
① 家事代行・ベビーシッター
掃除・洗濯・買い物代行などの家事代行サービスは、日常生活の延長線上で取り組めるため、シニア世代でも始めやすい仕事です。また、ベビーシッター業務では育児経験を活かし、保護者に安心を届ける“おばあちゃん的存在”として求められるケースも増えています。働く曜日や時間の調整がしやすいのも魅力です。
② マンション管理人・清掃スタッフ
マンションの共用部の清掃や来訪者対応、ごみ出しのサポートなどを行う仕事です。軽作業中心で、地域に密着して働ける点が特徴。年齢制限を設けていない求人も多く、70代以上でも現役で活躍されている方がたくさんいます。
③ スーパー・ドラッグストアの品出し・レジ補助
「週2〜3日だけ働きたい」「午前中だけがいい」といった要望にも柔軟に対応できるのがこの職種のメリット。品出しやレジの補助作業など、仕事内容がシンプルで覚えやすく、無理なく働けるため、初めてのパートにもおすすめです。
④ 警備スタッフ（施設警備・交通誘導など）
警備の仕事は大きく分けて、建物内で巡回や出入口管理を行う「施設警備」と、道路工事やイベント現場で歩行者や車を誘導する「交通誘導」があります。勤務中は立ち仕事が基本ですが、体を動かしたい方・規則正しい生活を送りたい方には向いている仕事です。研修制度が整っている会社も多く、未経験者歓迎の求人も多数あります。
⑤ 配膳・調理補助（学校・福祉施設）
給食や施設内食堂での盛り付け、配膳、後片付けを担当します。一つひとつの作業がシンプルで、決まった手順が多いため慣れやすいのが特徴。「黙々と作業をこなしたい」「体を少し動かしたい」という方にぴったりです。午前〜昼過ぎの時間帯勤務が多いため、生活リズムを整えるのにも最適です。
3. スキルや経験を活かせる仕事とは？元職を活かす働き方
シニア世代の再就職において、注目されているのが「これまでの経験を活かした働き方」です。若い頃に身につけたスキルや職歴は、パートタイムでも大きな武器になります。年齢を重ねた今だからこそできる仕事もあり、自分らしい再出発が可能です。
元・販売職なら「接客補助」や「レジサポート」
スーパーやホームセンターなどでのレジ補助、接客補助の仕事は、お客様とのやりとりに慣れている元・販売職経験者に最適です。売場でのちょっとした気配りや、声がけが「さすがベテラン」と評価されることも少なくありません。
元・事務職なら「データ入力」「伝票整理」などの軽作業
過去にオフィスワークを経験してきた方は、事務補助の仕事も選択肢に入ります。PC操作ができる方であれば、データ入力や伝票整理、書類スキャンなどの短時間業務が可能です。完全在宅の業務委託案件も増えており、「通勤なし」で続けられる場合もあります。
元・管理職・リーダー経験者なら「スタッフ指導」や「現場リーダー補佐」
現場での教育係や、アルバイト・パートスタッフの取りまとめ役として、経験と落ち着いた対応力が重視されるポジションもあります。とくに飲食や清掃の現場などでは、年上スタッフの存在が職場の安定に大きく貢献しています。
元・専門職なら「資格を活かす再雇用」も視野に
介護職員初任者研修や調理師、警備業務検定など、資格を活かした再雇用や短時間契約も増えています。かつてフルタイムで働いていた職場で、勤務時間や内容を調整してパートとして復帰するケースも珍しくありません。
過去のキャリアを活かすことで、仕事内容の理解が早く、現場にスムーズになじめることが最大のメリットです。無理なく始められる範囲で、自分の「強み」を再確認してみましょう。
4. 無理なく働き続けるために｜シニアが押さえておきたい3つのポイント
再び働き始めたシニアの多くが口にするのは、「無理をしすぎて続かなかった」という声。せっかく始めた仕事も、無理をして体調を崩したり、人間関係で疲弊してしまっては本末転倒です。ここでは、シニア世代が長く・楽しく働き続けるためのポイントを3つご紹介します。
1. 勤務時間と体力のバランスを見極める
70代に入ると、以前のように長時間労働が難しくなってきます。「週2～3日」「午前中のみ」「1日4時間以内」など、無理のないシフト設定を最優先しましょう。また、立ち仕事か座り仕事か、移動の多さなども確認しておくと安心です。
2. 通勤距離と時間を意識する
シニア世代にとって、通勤のストレスは意外な落とし穴です。特に電車の乗り換えや混雑は体力・気力を消耗する要因になります。なるべく自宅近くの職場や、バスや徒歩で通える範囲を選ぶことで、長く続けやすくなります。
3. 自分に合う職場環境を選ぶ
求人票だけでは分からないことも多いため、見学可能な職場や、事前に雰囲気を確認できる職場がおすすめです。働く仲間の年齢層や、シニア採用に理解がある企業かどうかも重要な判断材料になります。「年齢不問」よりも「シニア歓迎」と明記された求人を選ぶと安心です。
働き始めは「慣れるまで大変」と感じるかもしれませんが、無理のない条件と環境を整えることで、健康維持にもつながり、生活にもハリが生まれます。一番大切なのは、続けられること。無理をせず、あなたのペースで働きましょう。
5. “働くこと”がもたらす心と体への良い影響とは？
シニア世代にとって、働くことは単に収入を得る手段にとどまりません。実際にパートタイムで働き始めた方の多くが、「気持ちが前向きになった」「健康状態が安定した」といったポジティブな変化を感じています。ここでは、働くことがもたらす代表的な“心と体”への良い影響を解説します。
心の健康｜孤独感や無気力を防ぐ効果
退職後に増える「一人の時間」。最初は気楽に感じても、目的のない毎日が続くと、孤独感や抑うつ傾向に陥ることもあります。しかし、職場で人と接し、誰かに必要とされる環境があることで、精神的な安定が得られます。
特にパートタイム勤務は、適度な緊張感と社会とのつながりを得る手段として非常に効果的です。自分の居場所や役割があると感じることで、自己肯定感が高まり、意欲的な生活につながります。
体の健康｜生活リズムと運動習慣が整う
働くことで決まった時間に起きる、外に出る、軽く体を動かすといった行動が自然と日常に組み込まれます。これは、高齢期の健康維持にとって極めて重要です。厚生労働省の報告でも、週2回以上外出している高齢者は、閉じこもりや認知症リスクが低いことが示されています（※厚生労働省「高齢者の健康づくり」より）。
また、働くことによって食欲が安定し、昼寝のしすぎや夜更かしも防げるなど、生活全体のリズムが整い、体調管理もしやすくなるという副次効果もあります。
「ありがとう」がもらえる喜び
誰かに感謝されるという体験は、年齢に関係なく心の栄養になります。「ありがとう」「助かりました」という一言が、自分の存在価値を再確認させてくれる――これは、どんな時代でも変わらない“働く喜び”の本質です。
働くことは、収入以上の価値をもたらしてくれます。人とのつながり・健康的な生活・生きがいの実感。これらを得るためにも、自分に合った働き方を見つけて、日々をもっといきいきと過ごしていきましょう。
6. 求人の探し方と注意点｜自分に合った仕事を見つけるコツ
「自分に合った仕事をどう探せばいいかわからない」
そんな不安を抱えるシニア世代は少なくありません。求人の探し方を間違えると、ミスマッチが起きて長続きしない原因にもなります。ここでは、70代からでも無理なく働ける仕事を見つけるためのポイントをご紹介します。
シニア歓迎の求人サイトを活用しよう
まず注目したいのは、シニア世代を対象にした求人サイト。一般的な求人媒体でも検索条件に「60歳以上歓迎」「シニア活躍中」があるサイトを活用することで、年齢による不安を和らげられます。
たとえば、
・「キャリア65」
・「シニア求人ナビ」
・「ハローワーク（生涯現役支援窓口）」などでは
70代でも応募可能な求人が多く掲載されています。
自分の「できること・やりたいこと」を言語化しておく
仕事探しでは、「できること（スキルや体力）」「やりたいこと（興味・価値観）」を明確にしておくと、求人票を読んだときに判断しやすくなります。無理に「やったことがない仕事」に飛び込むのではなく、過去の経験や日常生活に近い業務からスタートするのもコツです。
募集要項のチェックポイント
求人票の中で、以下の点を必ず確認しましょう。
| チェック項目 | 理由 |
|---|---|
| 勤務日数・時間 | 週何日・1日何時間働くか、体に無理がないか |
| 通勤手段・距離 | 自宅からの距離、通勤のしやすさ |
| 年齢制限の有無 | シニア歓迎かどうか、60代・70代も対象か |
| 仕事内容の具体性 | 体力に合っているか、未経験でも可能か |
| 職場環境 | 写真や口コミ、見学の有無で雰囲気を確認 |
最初は「お試し感覚」で始めるのもOK
いきなり週5勤務を目指す必要はありません。まずは「週2日・午前中のみ」といった短時間勤務からスタートし、体と心のリズムに慣らしていくことが長続きのコツです。
また、企業によっては職場見学や体験入社を行っているところもあります。事前に働く環境を見ておくことで、不安を減らすことができます。
求人探しにおいて大切なのは、「年齢を理由に遠慮しすぎない」こと。あなたの経験や人柄を求めている職場は、必ず存在します。自分らしく働ける場所を、焦らずじっくり探していきましょう。
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