1. なぜ今、60代から“もう一度働く”人が増えているのか?|背景と社会の変化
近年、60代から再び仕事を始める人が確実に増えています。内閣府の「高齢社会白書(令和5年版)」によれば、65〜69歳の就業率は約50%に達しており、過去10年間で着実に上昇しています。こうした背景には、いくつかの社会的・経済的な理由があります。
まず、年金だけでは生活費が不十分だと感じる人が増えていること。物価上昇に伴い、退職後の生活費の見直しを迫られるケースが多く、「少しでも収入がほしい」と考える人が増えています。
また、医療の進歩や健康志向の高まりによって、60代の多くがまだまだ元気で働けるという実感を持つようになりました。「体は動くし、家にいるだけでは退屈」「誰かの役に立ちたい」といった想いから、もう一度働く選択をする人も少なくありません。
さらに、政府の政策も後押ししています。たとえば、「高年齢者雇用安定法」により、企業には70歳までの就業機会の確保が努力義務とされており、シニア向けの求人も年々増加しています。
このように、経済的な必要性、健康意識の変化、政策的な支援が重なり、60代の再就職が“特別なこと”ではなく“当たり前”の時代に変わりつつあるのです。
2. 60代にフィットする仕事の特徴とは?|体力・経験・ライフスタイルに合わせて
60代で再び働く場合、若い頃とは違った視点で「仕事選び」をすることが大切です。年齢を重ねた今だからこそ、自分に合った働き方を見つけることが、長く無理なく続けるコツとなります。
体への負担が少ない仕事がベースに
まず重視されるのは体力的な負担が少ないことです。長時間の立ち仕事や重い荷物を運ぶ業務は避け、座り作業や短時間勤務、もしくは休憩をしっかり取れる環境が選ばれる傾向にあります。たとえば、受付、案内係、事務補助、データ入力などが該当します。
経験や人柄を活かせる職場
また、60代ならではの人生経験や人間関係のスキルを活かせる仕事も人気です。具体的には、カスタマーサービスや相談員、介護補助、マンション管理人など、人と接する仕事が多く選ばれています。これらの職種では、落ち着いた対応力や思いやりのある人柄が評価されやすいため、未経験でも採用されやすいのが特徴です。
ライフスタイルに合わせやすい柔軟な勤務形態
家事や通院など、生活に合わせて働きたいというニーズも大きく、週2〜3日勤務や午前中のみ勤務など、柔軟なシフトが組める仕事が好まれます。パートタイムや業務委託など、多様な雇用形態から選べるのもシニアにとっては安心材料となります。
このように、「無理なく、でもやりがいもある」仕事こそが、60代にフィットする理想的な働き方。自分の体調やライフステージに合った仕事を選ぶことが、再び働くことへの第一歩です。
3. おすすめの仕事タイプ別|自分に合った働き方を見つけよう
60代から再び働くにあたっては、「どんな仕事が向いているのか」を知ることが重要です。ここでは、特に人気の高い仕事をいくつかタイプ別に紹介します。自分の性格や経験、体力に合わせて検討してみましょう。
① 人と接するのが好きな方におすすめ
・受付・案内スタッフ/カスタマーサポート/介護施設の見守り係
穏やかな対応ができる60代は、接客業でも高く評価されます。デパートや公共施設の受付や案内係、シニア向け商品のコールセンターなど、人柄や経験を活かせる仕事が多く、やりがいも感じやすいです。
② コツコツ作業が得意な方におすすめ
・軽作業(検品・梱包)/清掃/データ入力
「人と話すのは少し苦手」「集中して仕事に取り組みたい」という方には、一人作業や裏方業務がぴったりです。特に清掃や事務補助などは、短時間勤務や早朝シフトなども多く、無理なく続けやすいのがメリットです。
③ 地域や社会に貢献したい方におすすめ
・学校の見守り/図書館スタッフ/市民センターの受付
地域とのつながりを大切にしたい方には、公共施設や地域活動に関わる仕事がおすすめです。子どもの登下校の見守りや図書館業務は、体力的な負担が少なく、社会参加の実感も得られる仕事です。
④ 自由度の高い働き方をしたい方におすすめ
・在宅ワーク/シルバー人材センター/地域の家事代行
時間や場所に縛られず働きたい方には、在宅でのライティング、データ入力、または近隣家庭の家事サポートなども人気です。地元のシルバー人材センターに登録することで、短期・単発の仕事にもアクセスしやすくなります。
このように、自分の得意分野やライフスタイルに合わせて仕事を選べば、60代からでも無理なく、楽しく働くことができます。迷ったときは、「どんな働き方をしたいか」から逆算して考えるのも一つの方法です。
4. 仕事探しを始める前にやっておくべき準備|履歴書、面接、体調管理など
「もう一度働きたい」と思ったとき、すぐに求人を探す前に、しっかりとした準備をしておくことが成功への第一歩です。ここでは、60代がスムーズに再就職活動を進めるために必要な3つの準備をご紹介します。
① 履歴書・職務経歴書を整える
シニア世代の就職活動でも、履歴書や職務経歴書の提出を求められることが一般的です。特に重要なのは、「過去の実績よりも、今どんな働き方ができるか」を明確に伝えること。以下のポイントを押さえると効果的です。
・志望動機は、生活だけでなく“社会貢献”や“やりがい”を意識して書く
・体力や勤務時間の希望は正直に記載する
・PCスキルや接客経験など、活かせるスキルを具体的に記載
履歴書は手書きにこだわる必要はなく、パソコンで作成してもOKです。
② 面接の心構えと練習
面接では「年齢」や「ブランク期間」について聞かれることもありますが、前向きな姿勢を伝えることが大切です。
たとえば、「健康で体力に自信があること」「人と接するのが好きで、やりがいを感じたい」といった気持ちを素直に話しましょう。また、短い時間でもいいので、自宅で面接練習をすることをおすすめします。友人や家族に協力してもらうと、緊張の対策にもなります。
③ 体調管理と生活リズムの見直し
仕事を始めるには、何よりも健康が第一です。朝型の生活に少しずつ慣れておく、毎日歩く習慣をつけるなど、働く体づくりをしておくと安心です。
また、通勤が必要な場合は、自宅からのアクセスや階段の有無なども確認しておきましょう。体力に自信がない場合は、近所の職場や在宅勤務を検討するのも一つの方法です。
きちんと準備を整えておくことで、仕事探しに対する不安も和らぎますし、採用される可能性も高まります。焦らず、自分のペースで準備を進めていきましょう。
5. 60代の就職活動でよくある悩みとその解決法|不安を乗り越えるヒント
「もう一度働きたい」と思っても、実際に就職活動を始めると、さまざまな壁や不安に直面することがあります。ここでは、60代が抱えがちな代表的な悩みと、それぞれの対処法をご紹介します。
悩み① 「年齢がネックになって採用されないのでは…」
多くの方が不安に思うのが、年齢によるハードルです。しかし近年は、少子高齢化の影響で、シニア層を積極的に採用する企業が増えています。
実際に、厚生労働省の「高年齢者雇用状況等報告(令和5年)」によると、70歳以上まで働ける制度を設ける企業の割合は30%を超えました。採用のポイントは、「年齢より人柄や勤務態度」。遅刻しない、丁寧な対応ができるといった基本がしっかりしていれば、十分評価されます。
悩み② 「ブランクが長くて不安…」
退職から時間が経っていたり、家事中心の生活が続いていたりすると、「ちゃんと働けるか不安」という声も多く聞かれます。
そんな時は、まずは短時間勤務の仕事からスタートしてみるのが効果的。いきなり週5日のフルタイムではなく、週2~3日から始められるパートを選ぶことで、徐々に働くペースをつかむことができます。
悩み③ 「パソコンやスマホが苦手で仕事についていけるか不安」
技術に苦手意識がある人も多いですが、シニア向けの職場では、パソコンスキルが必須でない仕事もたくさんあります。また、最近では市区町村やハローワークなどが主催する「スマホ・パソコン講座」も増えているので、こうした学び直しの場を利用するのもおすすめです。
悩み④ 「体力や健康面に不安がある」
体調や持病などが気になる場合は、職場の環境や勤務時間に注目しましょう。エレベーターの有無、座ってできる業務かどうか、トイレ休憩が取りやすいかなど、面接の際に確認しておくと安心です。
このように、一人ひとりが抱える不安には、必ず対策があります。「不安がある=働けない」ではなく、自分に合った選択肢を見つけることが大切です。
6. 自分にぴったりの仕事を見つけるための探し方|求人サイトや相談窓口を活用
60代で再び働くと決めたら、次は「どうやって仕事を探すか」が重要になります。今はシニア向けの仕事探しも多様化しており、使えるツールや窓口が充実しています。ここでは、おすすめの探し方をいくつかご紹介します。
① シニア向け求人サイトを活用する
「高齢者歓迎」「60代以上OK」など、年齢を気にせず応募できる求人を探すには、シニア専門の求人サイトが便利です。
たとえば、以下のようなサイトがあります。
・キャリア65:60代・70代向けのパートやアルバイト求人が豊富
・シルバー人材センター連携求人:地域密着型の短期・単発求人に強い
・ハローワークインターネットサービス:年齢制限のない求人も多く掲載
これらのサイトは、年齢を前提とした募集が多いため、「断られるかも…」という不安を抱かずに応募できるのが最大のメリットです。
② 地元のハローワークやシルバー人材センターを利用
最寄りのハローワークでは、60代向けの職業相談や職業訓練が受けられます。また、「生涯現役支援窓口」という専用の相談窓口が設けられている地域もあります。
シルバー人材センターでは、草刈り・清掃・簡単な事務作業など、健康に配慮した仕事が豊富です。登録制ですが、紹介料はかからない場合が多く、安心して始められます。
③ 地域のチラシやスーパーの掲示板もチェック
意外と見逃しがちなのが、地元スーパーや公民館の掲示板、町内会の広報紙。ここには「近所の小規模店舗の求人」や「自治体が募集している仕事」など、ネットに出ていない情報が載っていることもあります。
④ 知人・友人の紹介や口コミも有効
地域で長年暮らしている方ほど、顔の見えるつながりが活用できます。「あのスーパーでパート募集してるよ」「福祉施設で見守りスタッフを探してたよ」など、リアルな情報は信頼度も高く、就職までの流れもスムーズです。
仕事探しは一人で抱え込まず、頼れるサービスや人を上手に活用するのがコツです。自分に合った手段を見つけて、納得できる働き方をスタートさせましょう。
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