1．剪定の仕事とは？｜高齢者にもできる作業内容を解説
剪定とは、庭木や街路樹などの不要な枝を切り落とし、木の形を整えたり、健康的な成長を促したりする作業です。一見すると専門的に感じるかもしれませんが、実は体力と丁寧さが求められる仕事であり、長年の現場経験をもつシニア世代にとっては非常に相性の良い仕事でもあります。
● 剪定の主な作業内容
・枝葉の切り落とし（剪定ばさみや高枝切りバサミなどを使用
・切った枝の整理、掃除
・時には害虫チェックや簡単な木の健康管理も担当
樹木によっては高所作業を伴うこともありますが、地上で作業できるケースも多く、無理のない範囲で仕事を選ぶことが可能です。
● シニアに向いている理由
・手先の器用さや集中力を活かせる
・自然の中で働くことでリフレッシュできる
・一人で黙々と作業することが多く、人間関係のストレスが少ない
体を動かすことが健康維持にもつながるため、「健康のために働く」という感覚で始める方も多く見られます。
2．なぜ今、シニアに剪定の仕事が注目されているのか？
樹木の剪定は、近年シニア世代の新しい働き方として注目を集めています。その背景には、「人手不足」と「高齢者の活躍推進」という2つの社会的な流れがあります。
● 造園業界の人手不足が深刻に
厚生労働省のデータによれば、造園業界は高齢化と若手不足が同時に進行しており、特に剪定や庭木の手入れを担う人材が減少傾向にあります。そのため、経験を問わず働けるシニアの力に期待が集まっているのです。
● 高齢者の「健康就労」が国の方針に
国もまた、健康な高齢者が社会で活躍し続けることを推進しており、厚生労働省が公表した「高年齢者雇用安定法」の中では、70歳までの就業機会の確保が努力義務化されました。こうした動きのなかで、剪定の仕事は「屋外で体を動かす」「技能が身につく」「柔軟な働き方が可能」といった点から、シニア就労のモデルケースとされています。
● 地域で求められる存在に
剪定は個人宅や町内の緑地管理など、地域密着型の依頼も多くあります。地域の高齢者が活躍することで「顔が見える関係」が生まれ、地域防災や見守りの一端を担う役割も果たしています。
3．未経験でも始められる理由｜必要な知識や資格とは？
「剪定なんてプロの仕事では？」と思う方もいるかもしれません。しかし実際には、未経験からスタートして活躍しているシニアも多く、基本的な知識と道具の使い方さえ押さえれば、十分に始められる仕事です。
● 剪定に特別な資格は必要ない
庭木の剪定作業そのものには、必須の国家資格はありません。そのため、シルバー人材センターや地域の造園会社、シニア向けの就労支援団体などでは、資格不要の「軽作業スタッフ」として募集されているケースが多数あります。
もちろん、以下のような資格を取得しておくと、より幅広い仕事に挑戦でき、収入アップにもつながります。
・造園技能士（国家資格）
・樹木医補（樹木の健康を診断する民間資格）
・高所作業車運転技能講習修了証 など
ただし、シニアが従事する剪定業務では、脚立を使う程度の作業が主であり、こうした資格がなくても問題なく働ける職場が多いのが実情です。
● 道具は基本的なものでOK
使う道具もシンプルです。以下のような基本ツールを扱えれば、問題なく業務に対応できます。
・剪定ばさみ
・高枝切りばさみ
・のこぎり
・軍手、ヘルメット（支給されることが多い）
道具の使い方や木の切り方についても、現場で丁寧に教えてもらえるため、「覚えるまで見て学ぶ」ことができる安心感も魅力です。
● 学びながら働ける環境
特に近年は、地域のシルバー人材センターなどで「剪定講習会」や「現場体験プログラム」などが開催されており、実地でスキルを習得しながら少しずつ自信をつけていけます。こうした環境が「未経験でも安心して始められる」理由のひとつです。
4．実際に働いているシニアの声｜「健康とやりがい」が両立できる現場
剪定の仕事は、単に「お金を稼ぐ」だけでなく、「体を動かしながら社会に貢献できる」という実感を得られる仕事です。実際に現場で働くシニアの声を紹介すると、その魅力がより具体的に見えてきます。
● 70歳・元製造業勤務・Aさんの場合
「年金だけでは不安だったので、剪定の仕事を紹介してもらいました。最初は不安もありましたが、道具の使い方も丁寧に教えてもらえて安心。何より、外で身体を動かしていると本当に気分が良く、週に2〜3日のペースがちょうどいいですね。」
Aさんは、以前は体を動かす仕事に就いていたこともあり、「黙々と作業することが性に合っている」と語ります。剪定後に「きれいになったね」と感謝されることも多く、「人の役に立っている実感がある」とやりがいを感じているそうです。
● 68歳・元営業職・Bさんの場合
「営業を引退してからは、人との接点が減って寂しさも感じていました。でもこの仕事を始めてからは、同じ世代の仲間とも話せるし、お客さんとも自然な会話が生まれて楽しいです。」
Bさんは、地域の庭園管理の仕事をきっかけに剪定作業を始めました。道具の使い方などはほぼ未経験だったものの、周囲のサポートで問題なく対応でき、「心も体も元気になった」と語っています。
● 共通するのは「自分のペースで働ける安心感」
多くのシニアが語るのは、「週2〜3日でもOK」「短時間勤務が可能」「体調や家庭の都合を考慮してもらえる」など、無理のないペースで働ける点に対する満足感です。
体力に不安がある方も、無理なく自分のペースで始められるため、「健康寿命を延ばす一つの手段」としても高く評価されています。
5．剪定の仕事を探すには？定年後の再就職先の見つけ方
「やってみたいけど、どこで求人を探せばいいのか分からない」という方も多いかもしれません。剪定の仕事は特に地域密着型の募集が多く、大手求人サイトだけでなく、シニア向けの支援団体や地元の人材サービスにも目を向けることがポイントです。
① シルバー人材センター
全国各地にある「シルバー人材センター」は、定年後のシニアを対象に、短期・軽作業中心の仕事を紹介している公的機関です。剪定作業は人気職種のひとつであり、講習付きの案件や、作業保険が用意されているところも多くあります。
▼メリット：
・地域密着で案件が多い
・未経験者向けの剪定講習会を実施していることも
・週1～2日の柔軟な勤務スタイルが可能
② 地元の造園会社・緑化管理会社
近所の造園業者やマンションの緑地管理会社では、高齢者のパートスタッフを常時募集していることがあります。「経験不問」「シニア歓迎」と書かれている求人も多く、気軽に応募しやすい環境です。
ハローワークでも検索可能で、「剪定」「造園」「緑地管理」などのキーワードで探してみると、非正規雇用のシニア求人が多数見つかります。
③ シニア特化型の求人サイトを活用
インターネットで探すなら、シニア層に特化した求人サイトの利用がおすすめです。年齢制限なし・体力に応じた仕事選び・相談体制ありといった特徴があり、自分に合った職場を探しやすくなっています。
例：キャリア65、シニアジョブ、はた楽求人ナビ など
④ 地域の公共施設・自治体の窓口
自治体によっては、「緑のパトロール」や「公園管理補助」といった剪定を含む軽作業の募集がなされていることもあります。市役所の高齢者支援課や就労支援窓口に相談するのも良い方法です。
6． “生涯現役”を叶える働き方｜剪定の仕事で得られるものとは
剪定の仕事は、「生涯現役で働きたい」と願うシニア世代にとって、非常に魅力的な選択肢です。ただ収入を得るだけでなく、身体を動かし、人と関わり、自分の経験や存在が誰かの役に立っていることを日々感じられる──そんな豊かな働き方が実現できます。
● 健康維持と運動習慣の継続
屋外での作業が中心となる剪定の仕事は、適度な運動になります。特に、歩く・手を動かす・軽く体を伸ばすといった動作は、筋力や柔軟性を保つうえで非常に効果的です。
※厚生労働省の資料によると、高齢者の運動習慣は、生活習慣病やうつの予防、転倒リスクの低下に有効とされています（出典：健康日本21）。
● 経済的な安心と自立の維持
年金や貯金だけでは不安という方も多い中で、剪定の仕事は週に数日でも安定した収入が得られる点が魅力です。毎月の家計に少しでも余裕ができれば、心にもゆとりが生まれます。
● 社会とのつながりが生まれる
人とかかわる機会が少なくなりがちな定年後ですが、剪定の仕事を通して、地域の住民や同じ世代のスタッフ、若い作業員たちとの自然な交流が生まれます。ときには「ありがとう」「助かったよ」と直接声をかけられることもあり、その一言が働くモチベーションになります。
● 自己肯定感と誇りを持てる仕事
剪定作業には、「やればやった分だけ結果が目に見える」喜びがあります。作業後にきれいに整った庭や木を見ると、達成感とともに「まだ自分にもできることがある」と感じられるはずです。
まとめ｜剪定の仕事で“健康・収入・つながり”を手に入れよう
剪定の仕事は、ただの「働き口」ではありません。それは、定年後の人生をより充実させるための新しいライフスタイルでもあります。
年齢を重ねると、どうしても「もう働けないかも」「体力的に厳しいのでは」と感じることが増えてきます。しかし、剪定作業の現場では、70代のシニアが自分のペースでいきいきと働いています。決して特別な存在ではなく、むしろ今の社会が必要としている「貴重な人材」として活躍できるフィールドなのです。
また、この仕事の最大の魅力は「健康・収入・社会参加」が同時に叶えられることにあります。外で体を動かすことで体力やバランス感覚が自然と鍛えられ、生活費の足しになる収入も得られます。そして何より、地域や人とつながり、感謝される経験を通して、心の充実感を得ることができるのです。
人生100年時代。60代・70代はまだ折り返し地点にすぎません。今の自分にできることを活かしながら、無理なく続けられる仕事を選ぶことが、これからの毎日を輝かせる大きなきっかけになります。
「まだ働きたい」「誰かの役に立ちたい」――その気持ちがあるなら、剪定の仕事にぜひ一歩踏み出してみてください。
体を動かす仕事に興味がある方はこちら！シニア歓迎の求人が多数掲載された専用サイト「キャリア65」で、自分に合った働き方を見つけましょう。
