1. なぜ「高齢ドライバー」が注目されているのか?|背景と現状
近年、日本では「高齢ドライバーによる事故」が社会的な注目を集めています。背景には、超高齢化社会の進行と、自家用車が生活に欠かせない地域の実情があります。
警察庁の統計によると、2023年時点で75歳以上の運転免許保有者は約644万人。事故件数全体に占める高齢ドライバーの割合も増加傾向にあり、特に「ブレーキとアクセルの踏み間違い」など認知機能や体力の低下が関連する事故が目立ちます。
しかし一方で、すべての高齢者が危険というわけではありません。日頃から体調管理や運転習慣に気を配ることで、安全に運転を続けているシニアも多くいます。「高齢=危険」と一括りにせず、個々の状態を理解し、適切な備えをすることが大切です。
2. 事故を防ぐために必要な「体と心のセルフチェック」
高齢になると、視力・聴力・筋力・反射神経などが少しずつ低下していきます。安全運転を続けるには、定期的な「体と心のセルフチェック」が欠かせません。以下のチェックリストを目安に、日々の状態を見直してみましょう。
✅ 高齢ドライバーのセルフチェック項目
① 朝起きたとき、疲れが残っていないか
② 眼鏡や補聴器の使用に違和感はないか
③ 脚の踏み込みやブレーキ操作がスムーズにできるか
④ 交差点や信号の変化に素早く対応できるか
⑤ イライラや焦りを感じやすくなっていないか
また、気持ちに余裕を持つことも安全運転に直結します。無理な運転を避けるためにも、時間にゆとりをもった行動を心がけましょう。
3. 日常生活でできる!安全運転を支える健康習慣とは(+仕事の話)
安全に運転を続けるためには、日常生活の中で「体を整える習慣」を持つことが重要です。運転には、思った以上に筋力・集中力・柔軟性が求められるからです。
● 続けたい3つの健康習慣
1.毎日のウォーキング:血流を促し、下半身の筋力を維持します。
2.簡単なストレッチ:肩や首、背中をほぐすことで、長時間運転時の疲労を軽減。
3.バランスの良い食事:ビタミンやタンパク質をしっかり摂ることで、脳や神経の働きをサポート。
そして、これらの健康習慣を自然に続ける手段として「軽い仕事をする」こともおすすめです。特に、施設管理や配達、送迎などの仕事は体を無理なく動かせるうえに、「社会とのつながり」や「適度な緊張感」も得られます。
70代でもできる仕事に就くことで、「体力の維持」だけでなく「生活リズムが整う」「目的ができる」といったメリットもあります。働くことが、健康の土台を支えてくれるのです。
4. 家族ができるサポートとは?見守りと声かけのコツ
高齢ドライバーにとって、家族の存在は何よりの安心材料です。とはいえ、「免許を返納してほしい」とストレートに言うと、プライドを傷つけてしまう場合も。大切なのは、責めずに寄り添う姿勢と“対話のタイミング”です。
● 家族ができる3つのサポート
1.定期的な体調確認
「最近、夜の運転どう?」など、雑談の中で健康状態や不安をさりげなく聞き出しましょう。
2.運転状況の共有
「この前、踏み間違いの事故があったみたいだよ」といったニュースをきっかけに、運転の話題を自然に持ち出せます。
3.運転以外の選択肢を提案
車に頼らない移動手段(バス・タクシー割引、送迎サービスなど)や、買い物代行・移動支援アプリなどを紹介するのも効果的です。
家族が“管理者”ではなく、“協力者”として寄り添うことで、高齢ドライバーの気持ちも前向きになります。「まだ運転できるけど、もしもに備えて選択肢を考えておこう」という意識づけが、事故予防につながるのです。
5. 免許返納だけじゃない|自立を保つための“次の選択肢”
運転免許の返納は、高齢者にとって大きな決断です。ただし、「免許を手放す=自由を失う」と考える必要はありません。今は“返納後の生活”を支える選択肢が充実しています。
● 免許返納後の移動手段の例
・シニア向けの送迎サービス(自治体や福祉施設が運営)
・地域の乗り合いバス、デマンドタクシー
・家族の協力(週1〜2回のまとめ買いで生活負担を軽減)
また、近年では「運転しなくても活躍できる場」が広がっています。たとえば、地域ボランティアやパートタイムの軽作業など、人とのつながりを保てる活動を通じて自立と生きがいをキープしている人も多くいます。
重要なのは、「運転をやめること」ではなく、安心して自分らしく暮らす方法を見つけることです。
さらに、近年では自動ブレーキや運転支援機能を備えた車両(ADAS)や、自動運転技術の実用化も進んでいます。まだ完全自動とは言えませんが、運転操作をサポートすることで事故リスクを減らす新しい選択肢として注目されています。
高齢ドライバーに特化した安全機能付き車(例:トヨタ「サポカー」)なども普及しはじめており、「免許返納」か「乗り続ける」かの二択ではなく、「より安全に乗る」ための技術を取り入れる」という選択も今後は現実的です。
6. まとめ|安全運転は「習慣」と「理解」から始まる
高齢ドライバーにとって、安全運転は“技術”だけでなく“日々の習慣”によって支えられています。体調管理、セルフチェック、健康習慣、そして社会との関わり——これらが合わさることで、「安心して運転できる自分」を保ち続けられます。
そしてもうひとつ大切なのが、「まわりの理解」です。本人だけでなく、家族や地域が高齢者の運転に関心をもち、支え合うことが事故の予防と安心につながります。
最後に大切なのは、“運転をやめるか続けるか”を一人で悩まないこと。適切な情報と周囲の支援があれば、70代でも前向きな選択ができます。
日々の習慣を少しずつ見直しながら、安全で快適な毎日を送りましょう。
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