知らないと損!シニア世代にこそ必要な「ヘルスリテラシー」とは?

健康

1.【ヘルスリテラシーとは】情報を正しく読み取り、健康に活かす力

「ヘルスリテラシー」という言葉を聞いたことはあるでしょうか?
これは、健康や医療に関する情報を正しく理解し、それを日々の生活や健康管理に役立てる力のことです。厚生労働省では、ヘルスリテラシーを「健康に関する意思決定に活用できる知識・理解・判断力」と定義しており、高齢者こそ高めるべきスキルとして注目されています。

年齢を重ねると、持病や体調の変化、薬の服用、病院との付き合い方など、健康に関する判断を迫られる場面が増えていきます。そのときに大切なのが、「どの情報が正しく、自分に合っているか」を見極める力。テレビやネットにはさまざまな健康法があふれていますが、すべてが正しいとは限りません。むしろ、高齢者をターゲットにした根拠の乏しい健康商品や医療情報も多く、注意が必要です。

実際、内閣府の調査(令和4年版「高齢社会白書」)によると、シニア層のうち約6割が「健康情報の内容を判断するのが難しい」と感じているとのこと。つまり、情報はあっても、それを活かしきれないという現実があるのです。

だからこそ、ヘルスリテラシーは単なる「知識」ではなく、「人生を自分らしく生きるための力」と言えます。病気を予防し、健康を維持し、自分に合った働き方を続けていくための基盤ともなるこの力は、シニア世代にとってまさに“生涯現役”を支える武器になるのです。


2.【シニア世代と健康情報】なぜ今「情報の見極め」が重要なのか

現代は「情報過多」の時代。テレビ、新聞、インターネット、SNSなど、健康に関する情報は日々あふれています。特にシニア世代は、こうした情報の洪水の中で「何が正しく、何が自分に合うのか」を見極める必要があります。なぜなら、間違った情報を鵜呑みにしてしまうことで、体調を崩したり、必要な医療を受けるタイミングを逃したりするリスクがあるからです。

たとえば、健康食品やサプリメントに関する広告には、「血圧が下がる」「関節が楽になる」などといった誇張表現が多く見られます。消費者庁も、シニア層を中心とした健康食品の過剰摂取や誤認によるトラブルが後を絶たないと警鐘を鳴らしています。

また、シニア世代の多くはスマホやパソコンに不慣れな場合があり、インターネット上の「フェイク情報」や「古い情報」に気づかず信用してしまうことも。特に体調不良のときは、「〇〇に効く」といった情報にすがりたくなる心理が働くため、冷静な判断が難しくなります。

さらに、医療機関や自治体から発信される正確な情報にもアクセスしづらい人も少なくありません。これにより、「早めに病院に行けば防げたはずの病気」や「服薬ミス」などが、深刻な健康被害につながるケースもあります。

だからこそ今、シニア世代には「情報を自分で判断する力=ヘルスリテラシー」が求められているのです。ただ情報を受け取るだけではなく、発信者や根拠、内容の信頼性を自分で吟味し、自分の身体や生活に照らし合わせて活用すること。それが、健康で自立した生活を送るための第一歩となります。


3.【よくある誤解とリスク】間違った健康法が引き起こす危険

シニア世代が直面しやすいのが、「健康に良い」と思って実践したことが、逆に体調悪化を招くケースです。これは、信頼性の低い情報を鵜呑みにしてしまうことが原因で起こります。特にインターネット上では、科学的根拠の乏しい健康法や“流行りの民間療法”が数多く出回っており、注意が必要です。

たとえば、「〇〇を飲むだけで血圧が下がる」「断食すれば病気が治る」などの一見魅力的な文言は、裏付けがないか、限定的な研究成果を誇張しているケースがほとんどです。医師や専門家の監修がない記事やYouTube動画は、誤った情報を広めやすい温床になっています。

実際、消費者庁によると、令和4年度の健康食品に関する相談件数は約3万件にも上り、高齢者による「体調を崩した」「薬との飲み合わせでトラブルが生じた」などの被害報告が多数寄せられています(出典:消費者庁「消費生活相談データベース」)。

さらに、病気の“自己診断”もリスクのひとつです。ネットで症状を検索し、「自分はまだ大丈夫」と判断して医療機関を受診しないまま症状を悪化させるケースもあります。これは、「自分に都合の良い情報だけを信じてしまう」という“確証バイアス”によるものです。

ヘルスリテラシーが低いと、こうした情報に振り回され、体調を崩すだけでなく、医療費の増加や生活の質の低下につながりかねません。大切なのは、「誰が、どのような根拠でその情報を発信しているのか」を冷静に見極める視点です。

健康に関する判断を間違えないためにも、正確で信頼できる情報源を持ち、自分自身の判断力を養っていくことが、シニア世代にはとても重要です。


4.【身につける方法】ヘルスリテラシーを高めるための具体的ステップ

ヘルスリテラシーは一部の専門家だけの能力ではなく、日常生活の中で誰でも高めていける“生活力”のひとつです。特にシニア世代がこの力を身につけることで、自分自身の健康を守り、安心して働き続ける基盤になります。ここでは、無理なく取り組める具体的な方法を紹介します。

① 情報の「発信元」を必ず確認する

健康情報を見たときに最初にすべきは、「誰が書いた情報なのか?」をチェックすることです。信頼できるのは、医師・看護師・薬剤師といった専門家、あるいは厚生労働省や各自治体のような公的機関です。「根拠なしの体験談」や「広告目的の情報」は、基本的に慎重に扱いましょう。


② 医療機関や薬局を活用する

何か気になることがあれば、自己判断せずにかかりつけ医や薬剤師に相談するのが鉄則です。市販薬や健康食品との飲み合わせについても、医療のプロに尋ねることで不要なリスクを避けられます。最近では、地域の薬局で「服薬相談」や「健康相談」を無料で行っている場所もあります。


③ シニア向け講座や地域の勉強会に参加する

多くの自治体では、シニア向けの健康講座や予防医療セミナーなどを開催しています。たとえば「○○市健康づくり推進講座」といったイベントは、実践的かつ正確な知識を身につける場としておすすめです。同じ年代の仲間と学べるため、モチベーションも高まりやすいでしょう。


④ 情報を「うのみにしない」クセをつける

新聞やテレビ、ネットで見た情報に対して、「本当かな?」「根拠はあるのかな?」と一度立ち止まって考えるクセをつけることが、ヘルスリテラシーの基本姿勢です。分からないことは調べたり、誰かに相談することで、自分の判断力も徐々に養われていきます。


これらのステップを少しずつ意識するだけでも、健康との付き合い方が大きく変わります。


5.【働くことと健康知識】現場で役立つヘルスリテラシーの実践例

「働くこと」と「ヘルスリテラシー」。一見関係がなさそうに思えるかもしれませんが、実はこの2つは密接に関わっています。特にシニア世代が無理なく、長く働くためには、自分の体調や健康状態を把握しながら行動できる力=ヘルスリテラシーが欠かせません。

体調管理のセルフチェックができる

たとえば、施設管理員や警備員、清掃員などの仕事では、日中に屋外を歩き回ることもあります。夏場の熱中症や冬のヒートショックなど、年齢とともにリスクは高まります。そんなとき、事前に「今日は気温が高い」「水分をこまめにとろう」といった予防行動ができる人は、健康トラブルを防ぐ可能性が高くなります。

また、ちょっとした体調の変化に気づいて早めに休む判断ができるのも、ヘルスリテラシーの一部です。無理をせず「今は休むことが一番の健康法」と理解できることが、働き続ける上での大きな強みになります。


周囲とのコミュニケーションにも効果あり

職場で「この薬を飲んでいるので、重いものを持つ作業は控えたい」といった自己申告ができるのも、ヘルスリテラシーがあるからこそ。また、「風邪気味かも」と思ったときに、無理せず早退したり、マスクを着用したりと、周囲への配慮を含めた行動が取れることは、職場全体の安全にもつながります。


健康と仕事を両立する働き方が選べる

さらに、情報を正しく得て活用できるようになると、自分に合った働き方の選択肢が広がります。たとえば、「夜勤よりも日中の勤務が自分には合っている」「歩く距離が短い現場を選ぼう」といった判断も、長く元気に働くための重要な要素です。


つまり、ヘルスリテラシーが高い人は「体を壊さない働き方」を選び、自分の健康を守りながら社会と関わり続けることができるのです。


【まとめ】健康と仕事を両立するために、今すぐできること

70歳を迎えた今、「働きたい」「まだ社会とつながっていたい」と思うあなたにとって、ヘルスリテラシーは欠かせない“人生の味方”です。これまで紹介してきたように、ただ健康情報を受け取るだけでなく、それを自分にとって正しいかどうか見極め、実生活や仕事に活かす力こそが、これからの時代を生き抜く知恵となります。

シニア世代は、年齢とともに持病や体調の変化、生活リズムのズレなど多くの課題に直面します。しかし、ヘルスリテラシーを少しずつ身につけていけば、「この働き方は無理があるかもしれない」「この症状は早めに病院に行こう」といった適切な判断ができるようになります。それは結果的に、働く期間を伸ばし、医療費を抑え、家族にも安心を与えることにつながります。

また、働く現場では、自分の健康状態を理解して無理のない働き方をすることが、まわりとの良好な関係や信頼関係の構築にも役立ちます。「健康に気を配りながら働ける人」は、どの職場でも重宝される存在です。

つまり、健康と仕事を両立させるカギは、特別な資格でも体力でもなく、“情報を見極める力”にあります。そしてそれは、今日から誰でも始められるもの。まずは信頼できる情報に触れること、疑問があれば専門家に相談すること、そして自分の体の声に耳を傾けることから始めてみましょう。

あなたの「働きたい」という気持ちは、何よりも大切な原動力です。その思いを、健康という土台の上にしっかり乗せて、これからの人生を前向きに歩んでいきましょう。

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