1.【ピラティスとは?】シニア世代にもやさしい“動く瞑想”の魅力
ピラティスは、体の深層部にある筋肉(インナーマッスル)を鍛えながら、呼吸と動作を組み合わせて行うエクササイズです。もともとは戦傷者のリハビリとして開発された経緯があり、負荷が少なく、関節や筋肉にやさしいため、年齢を問わず取り組めるのが大きな特徴です。
シニア世代にぴったりの理由
・ゆっくりした動きが中心なので、運動に自信がない方でも始めやすい
・呼吸に集中することで、気持ちが落ち着く効果がある
・背骨や骨盤まわりを整えるため、姿勢改善や腰痛予防にも効果が期待できる
まさに「動く瞑想」とも呼ばれるように、心身を穏やかに整える時間となり、ストレス解消にもつながります。
ヨガとの違いは?
一見すると似ているピラティスとヨガですが、目的に違いがあります。ヨガは“心の安定”を目的とすることが多く、瞑想や精神性を重視します。一方ピラティスは、“体の機能改善”が主目的。背骨の柔軟性や体幹の強化に重点を置くため、「動ける体をつくりたい」シニアには理想的な運動です。
無理なく取り入れられる
ピラティスのレッスンは30分〜60分が主流で、マット1枚あれば自宅でも実践できます。近年ではオンライン動画やDVDも充実しており、外出が難しい方でも気軽に始められます。さらに、最近では高齢者向けのやさしいクラスも増えており、椅子に座って行うピラティスなども人気です。
2.【始めたきっかけ】体の不調と孤独感から抜け出したかった私
私がピラティスを始めたのは、70歳の春のことでした。
退職後、自由な時間ができた一方で、日常にハリがなくなり、気づけば体の不調と軽い孤独感に悩まされる日々。以前は小売業の店長として多くの人と接していたため、家にひとりでいる時間が増えることが、こんなにも気力に影響するとは思いませんでした。
体調の変化が不安の始まり
最初に気になったのは、朝起きたときの腰の重さや、ちょっとしたことで感じる息切れ、足のだるさでした。年齢のせいだと割り切ろうとしても、「これ以上ひどくなったらどうしよう…」という不安が拭えず、何かしら“動かなければ”という気持ちが高まっていきました。
ピラティスとの出会い
きっかけは、近所の公民館で配られたチラシ。
「シニア向けピラティス体験クラス」と書かれたその案内に、なぜか心が惹かれました。正直、最初は半信半疑でした。「運動なんて何年もしていない私にできるの?」という不安もありましたが、「やってみないと変わらない」という気持ちのほうが勝りました。
初回体験で感じた安心感
教室に足を運んでみると、私と同じような世代の方がたくさんいてホッとしたのを覚えています。先生の声かけもやさしく、無理のない動きから始まったレッスンは、“がんばらなくていい運動”という新しい感覚でした。
終わったあとは、心がふっと軽くなったような気分。
「ああ、これなら続けられるかもしれない」——そう感じたあの日から、私の毎日は少しずつ変わり始めました。
3.【どんな効果が?】ピラティスで得られた心と体の変化
ピラティスを始めて数週間が経ったころ、私は自分の変化に少しずつ気づき始めました。最初のうちは「動いたら疲れるかな」「筋肉痛が怖いな」と思っていたのに、続けていくうちに朝の腰の重だるさが軽くなり、日中も体がシャキッとする感覚を持てるようになったのです。
体の変化:動きやすく、痛みにくい体に
1日30分程度、週に2〜3回ピラティスを続けるだけでも、姿勢の改善や柔軟性の向上を実感できました。特に感じたのは以下のような効果です。
・猫背が改善し、背筋が自然と伸びるようになった
・インナーマッスルが鍛えられ、転びにくくなった
・股関節や腰まわりの違和感が和らいだ
高齢になると、つまずきやすさや肩・腰の不調が日常的になりがちですが、ピラティスはこれらの悩みをやさしくケアしてくれる運動です。大げさではなく、「老化を遅らせてくれる実感」がありました。
心の変化:気持ちにハリと前向きさが
体が軽くなると、自然と気持ちも前向きになります。何より、「今日もレッスンがある」という予定があることで、日々にリズムが生まれました。
レッスンで顔を合わせる仲間とのちょっとした会話も、以前のような孤独感を和らげてくれる大きな要素です。体が整うと、不思議と「また働いてみようかな」という意欲も湧いてきました。
医学的なエビデンスも
日本の研究でも、ピラティスは高齢者のバランス能力や柔軟性、生活の質(QOL)を向上させる可能性が示されています(参考:日本健康行動科学会『高齢者のピラティス運動が身体的・心理的指標に与える影響』2019年)。
4.【仕事との相乗効果】ピラティスが“働く元気”をくれた理由
ピラティスを続けるうちに、私はもう一度働くことを真剣に考えるようになりました。
以前のようにフルタイムではなくても、「誰かの役に立つ時間を持ちたい」という気持ちが芽生えてきたのです。そんな私にとって、ピラティスはただの健康習慣ではなく、“働くためのエネルギー源”になりました。
ピラティスで整った「体」と「心」が職場でも活きる
私が再びパートタイムで働き始めたのは、地域のカスタマーサービスの仕事。立ち仕事が多く、人と話す機会も頻繁にあります。以前なら「すぐに腰が痛くなる」「気疲れしてクタクタ」という場面も、ピラティスのおかげで驚くほどスムーズにこなせるようになりました。
具体的に感じた変化はこちらです。
・体幹が安定し、立ち姿勢や歩行がラクに
・呼吸法で気持ちが落ち着き、接客時の緊張が減った
・継続する習慣が自信につながり、仕事でも前向きな気持ちに
「働ける体」が、「働きたい心」を支えてくれる
シニア世代になると、「もう年だから…」という気持ちがブレーキになりがちです。でも、ピラティスで自分の体が変わっていくと、自然と「まだやれる」という自信が湧いてきました。
また、ピラティスのレッスンで築いた“ゆるやかな人間関係”も、職場での人間関係づくりの助けになっています。誰かと関わることが、こんなに自分に元気をくれるなんて——。改めて、働くことの価値を実感できたのです。
“健康”と“社会参加”の好循環を実感
ピラティスで体が動くようになり、働くことが楽しくなり、また元気が出てくる。
この好循環は、まさにシニア世代が目指す“生きがいある暮らし”の土台だと感じています。
5.【続けるコツ】70代からのピラティス習慣を無理なく続ける方法
ピラティスは一度やって終わりではなく、継続してこそ本当の効果が現れるエクササイズです。とはいえ、70代から新しい習慣を続けるには、少し工夫が必要です。ここでは、私自身が感じた“無理なく続けるためのコツ”をご紹介します。
1. 毎日でなくてもOK、週2回から始める
「毎日やらなきゃ」と思うと、プレッシャーになって続きません。私は最初、週2回だけ教室に通うところからスタートしました。スケジュールに無理のない頻度で組み込むことで、「今日はピラティスの日だ」と楽しみに感じるようになりました。
2. 同じ時間・場所で“習慣化”する
私の場合、午前中の10時に教室に行くことをルーティンにしています。曜日も固定することで「やるのが当たり前」になり、三日坊主になりにくい習慣へと変わっていきました。自宅でやる場合も、決まった時間と場所(リビングの一角など)を設けるのが効果的です。
3. 気の合う仲間と一緒に楽しむ
教室に通ってよかったと感じるのは、同年代の仲間がいることです。「最近どう?」「今日の動きはきつかったね」といった会話が、良い刺激になり、継続へのモチベーションにもなっています。近くに教室がない場合は、地域のシニア向け健康サロンなどを調べてみると、同様のグループが見つかることもあります。
4. 完璧を求めず“できる範囲で”
動きが少し難しくても、無理してやる必要はありません。先生も「できるところまででOK」と声をかけてくれるため、自分のペースで無理なく進められるのがピラティスの良いところです。
5. 自宅用のサポートグッズも活用
ヨガマットやクッション、椅子を使った「シニア向けピラティス」も増えており、DVDやYouTubeなどの動画コンテンツを活用することで、自宅でも楽しく継続できます。
6.【はじめてみたい方へ】ピラティスの始め方とおすすめの教室選び
「ピラティスが体に良いのはわかったけど、何から始めればいいの?」という方のために、失敗しない始め方と教室選びのポイントをご紹介します。70代からでも無理なくスタートできる方法をお伝えします。
まずは“体験レッスン”に参加してみよう
最初の一歩は、地域のスポーツセンターやカルチャースクールで行われている体験レッスンに参加してみることです。最近は「シニア向け」「初心者向け」など、年齢やレベル別にクラスが用意されていることが多く、無理なく挑戦できます。
▶参考:各地の生涯学習センターやシニア向け健康増進プログラムで開催されることが多いです。
例)市区町村の広報誌、地域包括支援センターの掲示板などをチェック。
教室選びの3つのポイント
1.シニア対応クラスがあるか
「60歳以上歓迎」「シニアピラティス」といった表記がある教室を選びましょう。インストラクターの声かけも丁寧で、ペースもやさしめです。
2.インストラクターが信頼できるか
ピラティス専門の資格を持つインストラクターかどうかは、ホームページや体験時に確認を。シニア指導に慣れているかも大事なポイントです。
3.通いやすさと雰囲気
遠すぎると通うのが負担になります。自宅から徒歩圏やバス1本で行ける場所がベスト。また、レッスン後の交流スペースがあるような教室だと、社会的なつながりも自然に生まれます。
自宅で始めたい方へ
教室に通うのが難しい方には、DVDやオンライン動画で始める方法もあります。おすすめは「高齢者向けピラティス」「椅子ピラティス」といったキーワードでの検索。10分程度の軽い内容からスタートできます。
※動画を利用する際は、安全のために床が滑りにくい環境や、動作の確認ができる鏡を用意するのが理想です。
必要な持ち物は?
・ヨガマット(または厚めのタオル)
・動きやすい服装(ジャージやTシャツなど)
・飲み物(こまめな水分補給が大切)
高価な道具や特別な準備は必要なく、“身一つ”からでも始められる気軽さがピラティスの魅力です。
7.【まとめ】健康と社会参加を両立するピラティスという選択
年齢を重ねるほど、「健康でいたい」「社会とつながっていたい」という思いは強くなります。
ピラティスは、その両方を叶えてくれる“静かだけれど力強い習慣”です。
私自身、60代にしてピラティスと出会い、体の不調や不安を和らげながら、もう一度働く元気を取り戻すことができました。それは単なる運動の効果だけではなく、教室での交流や「今日もできた」という小さな成功体験の積み重ねが、心の活力にもつながっていたからです。
シニア世代こそ、今から始めてほしい
ピラティスに年齢制限はありません。
呼吸とともにゆっくりと体を動かし、少しずつ整えていくことで、「動ける体」と「やる気のある心」が自然と育まれていきます。それが、新しい仕事への一歩や、日々の充実感を支えてくれる大きな力となります。
「年齢を理由に、何かをあきらめたくない」——そんな想いがあるなら、今日からでも始めてみてください。ピラティスは、ただの健康習慣ではなく、シニア世代の“前向きな人生”を支えるパートナーになってくれるはずです。
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