1.目的によって求人サイトの選び方はどう変わる?
「求人サイトを選ぶ」と一口に言っても、その選び方は千差万別。採用したい人材像や採用目的によって、最適な求人サイトは大きく変わります。たとえば「今すぐ複数名の応募が欲しい」場合と、「将来の幹部候補を1名じっくり採用したい」場合では、使うべき媒体の種類や戦略はまったく異なります。
媒体の「強み」と「目的」をマッチさせる
求人サイトにはそれぞれ、得意分野があります。
求人サイトの特性 | 向いている目的例 |
---|---|
検索エンジン型(例:Indeed、求人ボックス) | 応募数を増やしたい、拡散したい |
スカウト型(例:ミイダス、イーキャリア) | 質の高い人材をピンポイントで採用 |
特化型(例:マイナビミドルシニア、シニアジョブ) | 高齢者・業界経験者の採用 |
無料媒体(例:ハローワーク、エンゲージ) | 採用コストを抑えたい |
たとえば、シニア人材を採用したい企業が若年層向けのアルバイト求人サイトを使っても、結果につながりにくいのは当然です。一方で、定着率を重視したい場合には、単なる「露出」よりも「相性の良い人材とのマッチング」が優先されるべきです。
「なんとなく有名だから」はNG
人事担当者の中には、「知名度が高いから」「周りが使っているから」という理由で媒体を選んでしまうケースもあります。しかし、それではコストばかりかかって成果が出ないことも。大切なのは、自社の採用目的を明確にし、それに合った媒体を選ぶことです。
このあとの章では、応募数を増やしたい、定着率を高めたい、シニアを採用したい…など、それぞれの目的に合わせて「どの媒体を選ぶべきか?」を詳しく紹介していきます。
2.応募数を増やしたいなら?|大量採用に強い求人サイト3選
「とにかく応募が欲しい」「人手不足で複数名採用したい」といったニーズに応えるには、“大量の求職者にリーチできる媒体”を選ぶのが鉄則です。ここでは、応募数を確保したい企業向けに、拡散力と集客力に優れた求人サイトを3つご紹介します。
1. Indeed(インディード)
世界最大級の求人検索エンジンであり、国内の利用者数も圧倒的。求人情報がGoogle検索にも表示されやすく、求職者の目に触れる機会が多いのが特長です。無料での掲載も可能ですが、有料広告を使えば表示回数や応募数が大幅にアップします。
メリット:
・圧倒的なトラフィック量
・予算に応じた運用が可能(クリック課金制)
・自社採用ページの情報も自動で掲載可能
2. 求人ボックス
カカクコムが運営する求人検索サイトで、Indeedと同様に複数サイトの求人情報を集約するメタサーチ型。クリック課金による低コスト運用が可能で、中小企業にも使いやすい媒体です。
メリット:
・スマートフォン表示に強く、若手応募者も獲得しやすい
・掲載ページのカスタマイズ性が高い
・掲載内容によっては無料でも露出が可能
3. エンゲージ
エン・ジャパンが提供する無料掲載可能な求人サイト。自社で求人ページを作成・運用でき、企業側の負担が少ないのが魅力です。応募があった際の通知や簡単な採用管理機能も無料で利用可能。
メリット:
・完全無料で掲載可能
・応募者管理もシンプルにできる
・スカウトメールとの併用も可能(有料)
大量採用を成功させるコツ
応募数の増加を狙うなら、1つの媒体に絞らず複数の求人サイトを併用するのが有効です。たとえば、「インディード+求人ボックス+エンゲージ」という組み合わせで、無料媒体と有料媒体のバランスを取りながら露出を最大化する戦略が取れます。
また、求人内容が古く見えないように定期的に更新することも、クリック率と応募数を維持するための重要なポイントです。
3.定着率を重視するなら?|マッチング精度の高い媒体を選ぼう
応募数が多くても、すぐ辞めてしまっては採用コストは無駄になってしまいます。特に小規模な組織や教育コストをかけられない現場では、「辞めない人材=自社と相性のいい人材」の確保が最優先課題です。ここでは、マッチング精度に優れ、定着率向上が期待できる求人媒体をご紹介します。
1. ミイダス
スカウト型求人サービスで、企業が求職者に直接アプローチできるのが特長です。AIによる適性診断や経歴マッチングを通じて、自社と価値観が近い人材を効率よく見つけられる点が魅力。応募者の行動傾向や志向も可視化できるため、定着の可能性を見極めやすいです。
ポイント:
・経歴だけでなく“適性・価値観”でマッチング
・事前診断結果で入社後の活躍可能性が読める
・採用後の定着支援機能もあり
2. イーキャリア
ソフトバンクグループが運営する求人サイトで、企業と求職者双方が“希望条件”を入力し合うマッチング型。業種や職種ごとの専門コンサルによる支援が受けられるケースもあり、長期的な活躍を前提とした採用に向いています。
ポイント:
・応募前の段階で希望のすり合わせが可能
・地方勤務や柔軟な働き方にも対応
・キャリア志向の強い層と出会える可能性が高い
3. リクナビNEXT
リクルートが運営する、転職希望者向けの総合求人サイト。特に30代~50代のミドル層や経験豊富な人材の登録が多く、「今すぐ転職したい」だけでなく「良い職場があれば転職したい」という潜在層にもリーチできます。
ポイント:
・マッチング機能「グッドポイント診断」で性格分析が可能
・業界別、職種別で高精度な検索が可能
・掲載プランの幅も広く、中小企業にも対応しやすい
“合う人”を選ぶことが、結果的にコスト削減につながる
定着率の高い人材を採用できれば、早期離職による再募集のコストや、教育にかかる負担を抑えることができます。これは、採用単価が多少高くても、長期的には圧倒的なコストパフォーマンスにつながります。
求人原稿の記載内容にも注意が必要で、企業文化や価値観をしっかり伝えることが、共感を呼び、結果として定着率の高い応募者を集めるポイントになります。
4.シニア人材を採用したいなら?|高齢者に強い求人サイトの選び方
日本の労働人口が減少する中で、豊富な経験と就労意欲を持つシニア人材の活用が注目されています。定年後も働き続けたいと考える高齢者は多く、企業側にとっても「即戦力」「若手育成」「勤怠が安定している」などのメリットがあります。
とはいえ、一般的な求人媒体では高齢者層にリーチしづらいのも現実。そこで必要になるのが、「シニア特化型」または「年齢不問に強い」求人サイトの活用です。
シニア採用に強い求人サイト3選
1. マイナビミドルシニア
50代・60代を中心に、定年退職後の再就職やアルバイトを探す人が集まる専門サイトです。シニア向けに配慮された検索項目や、企業からのスカウト機能もあり、マッチング率が高いのが特長です。
特徴:
・年齢を気にせず応募できる求人が豊富
・体力に配慮した職種や週2~3日勤務の案件も多い
・企業の「シニア歓迎」姿勢が見えやすい構成
2. シニアジョブ
60代以上を積極的に雇用したい企業と、働きたい高齢者をつなぐプラットフォーム。有資格者や専門職の案件も多く、「経験を活かす仕事」を探すシニア層に人気です。
特徴:
・職務経験や資格を重視したスカウト機能
・フルタイム、パート、業務委託など多様な雇用形態に対応
・採用支援サービスが手厚く、企業側の工数削減も可能
3. はた楽求人ナビ
主婦・シニア層に強い求人情報サイトで、年齢不問・未経験歓迎の求人が多く掲載されています。「60代・70代歓迎」などの検索タグも使えるため、年齢でフィルターがかかることなく応募が可能です。
特徴:
・「週2日勤務」「扶養内」など細かい条件で絞り込み可能
・飲食、清掃、軽作業など体力に応じた職種が豊富
・応募ハードルの低い求人が中心で、採用までが早い
シニア採用では「伝え方」も重要
求人媒体だけでなく、原稿の書き方もシニア層に響くポイントです。
たとえば、
・「週2日〜OK」「体に負担が少ない仕事」
・「経験が活かせる」「シニア世代も活躍中」
といったキーワードを入れることで、応募率は格段に上がります。
また、年齢制限を設けていない場合は、「年齢不問」と明記することで、シニア層の心理的ハードルを下げる効果もあります。
5.コストを抑えて採用したいなら?|無料・低コストで使えるサイト
中小企業やスタートアップでは、求人にかけられる予算が限られていることも多いでしょう。しかし、限られた予算でも効果的に人材を採用する方法はあります。ポイントは、「初期費用ゼロ」「成果報酬型」「無料掲載可」の媒体を上手に活用することです。
ここでは、採用コストを抑えつつも応募数を確保できる求人サイトを3つご紹介します。
1. ハローワークインターネットサービス
言わずと知れた公的な無料求人媒体。掲載費が完全無料で、全国の求職者が利用しています。年齢・性別を問わず幅広い層が閲覧しており、地域密着型の採用に強みがあります。
特徴:
・完全無料で掲載可能
・地方、高齢者向けの求人にも強い
・求人票の信頼性が高い(厚労省運営)
注意点:
・原稿のフォーマットが堅く、やや見づらい
・掲載までにやや手間がかかる(窓口手続きあり)
2. 元気ワーク
中小企業や個人事業主向けに人気のある、完全無料の求人サイトです。掲載までのハードルが低く、シンプルな操作性で求人情報の登録が可能。地域密着型の求人も多く、アルバイトやパートタイムの募集に適しています。
特徴:
・完全無料で掲載でき、審査もスピーディー
・アルバイト、短時間勤務求人に強み
・職種カテゴリが多く、ニッチな仕事も掲載可能
注意点:
・デザインや検索機能はややシンプル
・応募数は媒体力に依存するため原稿の工夫が必要
3. 求人Free
全国対応・完全無料の求人情報サイトで、個人事業主や小規模法人でも気軽に使える点が魅力。掲載期間の制限がなく、登録から即日掲載されることも多いため、スピード重視の採用にも対応します。
特徴:
・掲載も応募も無料で手軽にスタート可能
・掲載期間の制限がない(原則無期限)
・簡単な原稿でスピーディーに求人公開できる
注意点:
・応募数を確保するには職種名や地域名の工夫が必要
・シニア層や主婦層向けの応募が中心
採用単価ではなく「コストパフォーマンス」で判断を
採用費を抑えることも大切ですが、“安かろう悪かろう”では意味がありません。一人も採用できなければ、どんなにコストが安くても無駄になります。
無料媒体や低コスト媒体を使う場合でも、
・原稿の質を高める
・写真やキャッチコピーにこだわる
・応募者対応を迅速に行う
といった工夫で応募率、採用率を上げることが重要です。
6.目的別で求人サイトを使い分けるときの注意点とは?
「応募数を増やしたい」「定着率を上げたい」「シニア層を採用したい」など、目的に応じて求人サイトを使い分けることは非常に効果的です。しかし、複数の媒体を同時に運用するには、いくつかの注意点を押さえておかないと、かえって手間やコストが増えることもあります。
ここでは、求人媒体を目的別に使い分ける際に気をつけるべきポイントを解説します。
1. 原稿の使い回しは避ける
複数媒体に同じ内容の原稿を掲載すると、媒体ごとの特性にマッチせず反応が薄くなることがあります。たとえば、若年層の多いサイトではキャッチコピーをポップに、シニア向けのサイトでは「体に負担が少ない」「年齢不問」など安心感を出す表現が有効です。
媒体ごとに応募者の属性が違うという前提で、求人内容をカスタマイズすることが重要です。
2. 応募者管理が煩雑にならないよう注意
複数の媒体から応募があると、連絡・面接設定・履歴管理などがバラバラになり、対応漏れや二重対応が発生しがちです。応募者管理ツール(ATS)を導入するか、最低でも管理用のスプレッドシートで一元化しておくことをおすすめします。
3. 効果測定をこまめに行う
「どの媒体から、どのような応募が来ているのか」「採用に至ったのはどこか」など、媒体ごとのパフォーマンスを必ず定期的に確認しましょう。媒体によってはクリック数や応募数のレポートを提供しているので、活用すると効果検証がしやすくなります。
例:
媒体名 | 応募数 | 面接通過数 | 採用数 | 備考 |
---|---|---|---|---|
元気ワーク | 12件 | 4件 | 1名 | シニア応募中心 |
求人Free | 8件 | 3件 | 1名 | パート希望者が多い |
リクナビNEXT | 15件 | 6件 | 2名 | 経験者の質が高い |
4. タイミングも見極めよう
求人の時期によっても応募者の動きは変わります。たとえば、年明けや新年度前後は求職者の動きが活発になるため、媒体によっては広告費が高騰したり競争が激化したりすることもあります。
そうした場合は、無料媒体や特化型サイトに切り替える戦略も有効です。
使い分けは「戦略」と「運用体制」の両輪で
目的別に媒体を選ぶことは、採用成功の近道ですが、それを最大限活かすには「どのように運用するか」がカギです。媒体ごとの原稿設計、応募者対応の整備、そして効果の定期分析を行うことで、費用対効果の高い採用活動が実現できます。
7.まとめ|採用の“目的”から逆算して、最適な媒体を選ぼう
求人サイトを選ぶ際、「どこが一番有名か」「無料で使えるか」だけで判断してしまうのは非常にもったいないことです。企業が採用で本当に求めているのは、“必要な人材を、必要なタイミングで採ること”。そのためには、「目的」から逆算して媒体を選ぶことが欠かせません。
応募数を重視したいときは
→ Indeed、元気ワーク、ハローワークなど、露出力が高く無料または低コストで使える媒体が有効。
定着率を重視したいときは
→ ミイダス、イーキャリア、リクナビNEXTなど、適性診断やマッチング機能に強みのある媒体を活用。
シニアを採用したいときは
→ マイナビミドルシニア、シニアジョブ、はた楽求人ナビなど、高齢者の就労意欲に寄り添った設計の媒体が適している。
複数媒体を“戦略的に使い分ける”ことで成果は倍増する
媒体を一つに絞るのではなく、それぞれの得意分野を理解したうえで併用し、役割を分担させるのが理想です。たとえば、
・「元気ワーク」で応募数を確保し、
・「リクナビNEXT」で経験者をピンポイント採用し、
・「マイナビミドルシニア」でシニア人材を安定的に補充する
といった具合に、戦略的に組み合わせることで、より質の高い採用活動が実現できます。
人材確保に悩む今だからこそ、「媒体選び」は採用戦略の中心的テーマです。
コストだけでなく、求める人材像や自社の働き方に合うかどうかを見極め、最適な媒体を選びましょう。
シニア人材の採用を本格化するならこちら!高齢者に特化した無料で掲載可能な求人サイト「キャリア65」で、経験豊富な人材と出会えます。