「働く=長生き」の時代へ!シニアの健康寿命を支える仕事のカタチ

仕事

1.なぜ「働くこと」が健康寿命にいいのか?

厚労省・内閣府のデータから見る“就労と健康”の関係

近年、「高齢者が働き続けることは健康に良い」と注目されるようになってきました。実際に、厚生労働省や内閣府の調査からも、高齢者の就労と健康寿命には明確な関係があることが示されています。

たとえば、内閣府「高齢者の経済生活に関する調査(令和元年)」によると、「働きたい」と答えた60歳以上の人のうち、実際に働いている人の方が、健康状態や生活満足度が高い傾向にあることがわかっています。

また、厚生労働省「健康日本21(第二次)」の中では、地域での就労やボランティア活動が高齢者の介護予防に役立つと明記されており、特に“日常的に人と関わる”ことが健康の維持・向上に欠かせない要素とされています。


心身の活性化につながる3つの要素とは

働くことが健康寿命に寄与する背景には、以下のような3つの要素が関係しています。

1.身体活動の増加
 出勤・移動・作業といった日々の行動そのものが運動となり、筋力や体力の維持に役立ちます。特に歩く・立つといった軽度の負荷でも、70代以降の身体には大きな効果があります。

2.社会的なつながり
 同僚や顧客、近隣住民とのコミュニケーションが脳の刺激となり、うつ予防や認知症予防にもつながります。孤立を避けることが、心の健康を支える重要なポイントです。

3.役割意識の維持
 「誰かの役に立っている」「必要とされている」という実感が、生きがいや自己肯定感の維持に直結します。これは精神的な充足感とともに、意欲的な生活を支える要となります。

    これらの要素が複合的に作用し、「働くこと=健康を保つこと」へとつながっているのです。


    2.健康寿命をのばす“働き方”に共通するポイント

    高齢者の就労が健康寿命に好影響を与えることは、各種調査で示されていますが、すべての仕事が同じように効果をもたらすわけではありません。実際に「健康を保ちやすい働き方」にはいくつかの共通点があります。ここでは、その代表的な3つを紹介します。

    体を動かすことで生活リズムが整う

    定年後、家にいる時間が長くなると生活リズムが崩れがちになりますが、仕事があることで決まった時間に起き、外出する習慣が生まれます。これは身体機能の維持にとても有効です。

    特に、軽作業や立ち仕事など、過度な負荷がかからず、適度に体を動かせる仕事は、筋力やバランス感覚を維持し、転倒や要介護のリスクを抑える効果があります。実際に、国立長寿医療研究センターの報告では、「定期的な運動習慣を持つ高齢者は、フレイル(虚弱)の発症率が低い」とされています。


    人との関わりが脳と心を刺激する

    高齢者が働く場には、同年代だけでなく若い世代や地域の人々など、さまざまな人と交流する機会があります。この“世代を超えたコミュニケーション”が脳の活性化につながり、認知症予防やうつ病の予防に寄与すると言われています。

    「最近、笑うことが増えた」「誰かと話すことで頭がすっきりする」といった声は、働く高齢者によく聞かれる実感です。孤独感が軽減されることで、心の健康も保ちやすくなります。


    役割と収入が自己肯定感を支える

    「もう一度社会の役に立ちたい」「少しでも家計を支えたい」——そうした想いを実現できる場としての仕事は、シニアにとって大きな意味を持ちます。

    とくに定年後は、「自分の役割がなくなった」と感じてしまいがちですが、働くことは“自分が社会の一員である”という実感を得るための大切な手段でもあります。小さなことでも「ありがとう」と言われる経験が、自己肯定感の維持と向上につながっていきます。


    3.どんな仕事が“健康をのばす働き方”になる?

    「健康のために働きたい」と考えるシニアにとって、どんな仕事を選ぶかはとても重要です。ただ単に収入を得るだけでなく、心身のバランスを保ちながら続けられる仕事が理想的です。ここでは、健康寿命の延伸に効果があるとされる仕事のタイプを3つに分けて紹介します。

    身体を動かす仕事

    身体をある程度動かす仕事は、筋力や持久力を維持する上で非常に有効です。
    たとえば以下のような仕事があります。

    施設の清掃や管理業務
    配達補助やお弁当の配送
    農作業の手伝い(季節雇用)

    これらの仕事は、無理のない範囲で体を動かすことができるため、筋肉や関節の衰えを防ぐ効果が期待できます。また、動きがあることで自然と生活リズムも整い、健康習慣を維持しやすくなります。


    人と関わる仕事

    人との会話や接触が多い仕事も、健康寿命を延ばすうえで効果的です。
    具体的には、

    スーパーの接客、品出し
    図書館や公民館の受付業務
    地域の子ども食堂の支援スタッフ

    これらの仕事では、人と関わる機会が自然に増えるため、社会的つながりを持ちやすく、精神面でも健康が保ちやすいというメリットがあります。孤独感や無力感を防ぐことは、メンタルの安定にとっても重要です。


    自分のペースで働ける仕事

    シニア世代にとって、無理なく続けられることは何よりも大切です。短時間勤務や、シフト調整がしやすい職種であれば、体調や家庭の都合に合わせて働くことができます。

    たとえば、

    マンションの管理人業務(午前のみ勤務など)
    軽作業中心の工場パート
    地域イベントの補助スタッフ(不定期)

    これらの仕事は、柔軟性が高く、心身の状態に合わせて無理なく働ける点が支持されています。長く続けることで、健康的な生活リズムや達成感も得られやすくなります。


    4.就業希望シニアの割合と就労率の現状【統計データ】

    「健康のためにも働きたい」と考える高齢者は、今や少数派ではありません。むしろ、働く意欲を持つシニアは年々増えているのが実情です。ここでは、具体的な統計データをもとに、シニアの就業希望と実際の就労率の現状を見ていきましょう。

    内閣府「高齢者の経済生活に関する調査」より

    内閣府が行った「高齢者の経済生活に関する調査(令和元年)」によると、
    60~64歳で「65歳以上も働きたい」と考えている人は全体の約55%にのぼります。さらに、65~69歳でも「できれば働きたい」と回答した人は約38%となっており、年齢が上がっても就業意欲は依然として高い傾向が見られます。

    また、働きたい理由として最も多いのが「生活のため(約50%)」ですが、次いで「健康維持のため(約30%)」「社会とのつながりを保ちたい(約25%)」といった理由も多く挙げられており、経済的な理由だけでなく“心身の健康”を目的に働く人が増えているのが特徴です。

    ※出典:内閣府「高齢者の経済生活に関する調査(令和元年)」


    総務省「就業構造基本調査」の高齢者就労率

    総務省の「就業構造基本調査(2022年)」によると、65~69歳の就業率は48.7%、70~74歳でも33.5%と、3人に1人以上が働いている実態があります。これは10年前と比べても着実に上昇しており、高齢者の労働市場への参加が定着しつつあることを示しています。

    また、就業形態としては「パート・アルバイト」「自営業」「家族従業者」など、柔軟なスタイルでの働き方が主流になっていることも特徴的です。

    ※出典:総務省「令和4年 就業構造基本調査」


    70代でも働き続ける人の共通点とは?

    これらのデータから見えてくるのは、働き続けている高齢者にはいくつかの共通点があるということです。

    身体を動かすことに前向きで、日々の生活にリズムを持っている
    人との関わりを大切にしているため、孤立しにくい
    自分の強みや経験を活かす場を見つけている
    自分の健康を意識した働き方を選んでいる

    年齢にとらわれず、自分に合った働き方を見つけて実践することが、結果的に「健康寿命」をのばすことにつながっているのです。


    5.まとめ:働くことが“健康寿命”をのばす最大の秘訣

    高齢になってからの「働く」という選択は、単に収入を得るためだけではありません。体を動かし、人と関わり、自分の存在価値を感じながら過ごすことが、心身の健康を保ち、健康寿命を延ばす重要な鍵となるのです。

    ここまで紹介してきたように、

    ・適度に体を動かすこと
    ・人とコミュニケーションを取ること
    ・「ありがとう」と言われるような役割を持つこと

    これらの積み重ねが、生活習慣の改善や社会的孤立の防止、そして自己肯定感の維持につながります。実際、働き続けているシニアの多くは「仕事があるから元気でいられる」「人との関わりが生きがい」と話しています。

    さらに、高齢者の就労率や就業希望率のデータからも、働きたいと考えているシニアが多い現実が明らかになっています。就業先を選ぶ際は、体力・健康状態に応じて無理なく続けられる職場を選ぶことがポイントです。

    70歳を過ぎても、自分らしく、充実した毎日を過ごすために。
    「働くこと」は、健康と人生を豊かにする、最も身近で、効果的な“予防策”といえるでしょう。

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