1. なぜ「志望動機」で差がつくのか?|シニア世代の再就職で注目される理由
「年齢が高いから、志望動機なんて気にされないだろう」――そう考えていませんか?
実は、企業がシニア人材を採用する際、最も注目しているのが「働く意欲と姿勢」であり、それが明確に伝わるのが志望動機なのです。
■ シニア採用における企業側の視点
近年、少子高齢化による人手不足の影響で、60代・70代の雇用を積極的に進める企業が増えています。ただし、若年層と異なり「成長性」や「キャリアアップ志向」はそこまで重視されず、代わりに以下のような点が評価対象になります。
・安定して長く働けるか(定着性)
・職場のルールや人間関係に順応できるか(協調性)
・自分の経験を活かして貢献しようとする姿勢があるか(主体性)
これらを見極めるのが、面接時の「志望動機」です。
■ 志望動機は「働く理由+姿勢」を伝える場
たとえば「生活費を補うために働きたい」という理由は現実的で問題ありませんが、それだけでは他の応募者と差がつきません。
そこで大切なのは、「なぜこの仕事なのか」「どんな形で貢献できるのか」といった前向きな理由や想いを加えることです。
【例】
✕ 生活費が足りないので、働きたい。
〇 生活費を補うためにも、これまでの経験を活かしながら、地域の役に立てる仕事がしたい。
このように伝えることで、「この人は意欲的で信頼できそうだ」と思ってもらえる確率が高まります。
2. まず押さえたい!シニアならではの志望動機の組み立て方3ステップ
シニア世代の志望動機は、「働きたい気持ち」をまっすぐに伝えるだけでなく、自分の強みや人生経験をどう活かせるかを具体的に伝えることがカギになります。
ここでは、初めてでも迷わず書ける「3ステップ方式」をご紹介します。
STEP1|なぜ“働きたい”のかを明確にする
まずは、自分がなぜ今「働きたいのか」という動機の整理から始めましょう。以下のような理由でも十分立派な志望動機の土台になります。
・年金だけでは生活が苦しい(経済的理由)
・健康維持のために体を動かしたい(健康目的)
・社会とつながり続けたい(社会参加)
大切なのは、本音を正直に出すこと。まずは遠慮なく書き出してみてください。
STEP2|なぜ“この仕事”を選んだのかを言語化する
次に、自分の希望職種や応募先の仕事内容について、なぜその仕事を選んだのかを整理します。ここで、自分の過去の経験と結びつけるのがポイントです。
【例】
・「設備管理の仕事なら、工場で長年働いた経験が活かせると思った」
・「人と接することが好きで、以前も接客業をしていたので再挑戦したい」
・「体を動かすのが好きなので、屋外での清掃業務にやりがいを感じる」
ここで、“自分だからできる理由”が自然と伝わるようになります。
STEP3|自分がどう貢献できるかを加える
最後に、「働くことで何がしたいのか」「どんなふうに貢献したいのか」を一文でもいいので入れましょう。これが前向きな印象を与える決め手になります。
【例】
・「これまでの経験を活かして、職場の若い人たちとも協力して働きたい」
・「決まった時間をきちんと守り、チームの一員として信頼される存在になりたい」
・「裏方でも、人を支える役割があることにやりがいを感じています」
■ 書き方テンプレート
① 働きたい理由
② この仕事を選んだ理由
③ 自分がどう貢献できるか
この3ステップに沿って組み立てれば、自分らしい、説得力のある志望動機が必ず書けます。
3. こんな志望動機はもったいない!NG例と改善ポイント
シニア世代の応募者にとって、「志望動機」は自身の魅力を伝える最大のチャンス。
ところが、ほんの少しの言い回しや表現の違いで、採用担当者に誤解を与えてしまうこともあります。
ここでは、実際によく見かけるNG例と、それを“伝わる志望動機”に改善するポイントをご紹介します。
NG例①:「年金だけでは足りないので働きたい」
これは最もよくあるシンプルな動機ですが、“お金のためだけに仕方なく働いている”という印象を与えてしまう可能性があります。
【改善例】
「年金だけでは生活が不安なため、再び働こうと決意しました。これまでの経験を活かし、職場の一員として安定的に貢献していきたいと考えています。」
→ 金銭的な理由を正直に伝えつつ、前向きな姿勢や責任感をプラスすることで、印象がガラッと変わります。
NG例②:「特に理由はありません。できそうな仕事を探していました」
このような漠然とした表現では、企業側は「どの仕事でもよかったのか」と不安に感じてしまいます。
【改善例】
「体を動かすことが好きで、これまでの経験も踏まえて、清掃業務や施設管理の仕事に関心を持ちました。」
→ “できそう”ではなく、“やりたい・興味がある”という姿勢に変えることで、仕事への主体性が伝わります。
NG例③:「高齢者でもできると書いてあったので応募しました」
求人情報を見たことがきっかけなのは問題ありませんが、「誰でもいい」と受け取られるリスクがあります。
【改善例】
「求人情報で“高齢者も歓迎”と書かれていたことが安心感につながり、応募を決意しました。これまで培った責任感や協調性を活かして働きたいと思っています。」
→ 応募理由に“共感”や“貢献意欲”を添えることで、企業への理解度と熱意がアップします。
■ 志望動機は“足し算”で良くなる
NG例の多くは、「それだけ?」と思われてしまうことが原因です。
少しの工夫で、“伝わる志望動機”に変わります。大切なのは、
・なぜ働きたいのか(動機)
・なぜその仕事なのか(適性・興味)
・どんなふうに貢献したいか(姿勢)
この3点を意識して書くこと。それが、採用担当者の心に響く志望動機につながります。
4. 「働く理由」を伝えるだけじゃ足りない?想いをプラスする工夫とは
シニア世代の志望動機でありがちなのが、「生活費の補填」や「健康維持」といった働く理由だけで終わってしまうパターンです。もちろんそれ自体は正当で立派な理由ですが、採用担当者にとっては「それで、この人はどんな風に働いてくれるのだろう?」という“その先”が気になるポイントです。
そこで意識したいのが、「想い=価値観」や「これまでの人生観」を志望動機に少しだけ織り込むこと。それだけで、言葉の深みがグッと増します。
■ 想いを込めると「人柄」が伝わる
例えば、以下のような言い換えを見てください。
【例1】
✕ 健康維持のために働きたい
〇 健康維持も兼ねて、誰かの役に立つ仕事で社会とつながりを持ち続けたい
【例2】
✕ 生活費の補填のため
〇 家計のために働く必要がある中でも、これまでの経験を地域に還元できる仕事を選びたいと思った
→ どちらも“理由”は同じですが、「働き方に対する姿勢」や「仕事を通じて得たい価値」が加わることで、その人らしさや人間性が伝わります。
■ あなたの“人生の軸”が伝わると、印象が強く残る
年齢を重ねたシニア世代だからこそ、人生経験に裏付けされた考えや価値観には説得力があります。
たとえば、
・「誰かを支えることにやりがいを感じてきた」
・「規則正しい生活を大切にしているので、定時勤務の仕事が合っていると思った」
・「人との関わりを大切にしてきたので、接客業に再び挑戦したい」
といった一言を加えるだけで、採用担当者に共感や安心感を与えることができます。
■ 想いを入れるときの注意点
・長くなりすぎないように注意(1~2文でOK)
・ポジティブな表現でまとめる
・感情的すぎず、冷静に伝える
「働く理由」+「自分の想い・価値観」=“伝わる志望動機”
ぜひこの公式を意識して、あなただけの言葉で志望動機を仕上げてみてください。
5. 好印象を与える!面接での志望動機の話し方と表現のコツ
書類で伝えた志望動機を、面接の場でどう話すか――
実はここで印象が大きく左右されることをご存知でしょうか?
特にシニア世代においては、話し方や雰囲気からにじみ出る誠実さ・協調性が、高く評価されるポイントになります。
■ 志望動機を話すときの基本ルール
以下の3つのポイントを押さえるだけで、ぐっと好印象につながります。
① 結論から話す
まず最初に「なぜ応募したか」をシンプルに伝えましょう。
例:「人と接することが好きで、地域の清掃業務に携わりたいと思い応募しました」
→ 回りくどい説明は不要です。最初の一言が面接官の記憶に残ると心得ましょう。
② 自分の経験と結びつける
ただ「やりたい」だけでなく、「なぜ自分に合っていると思うか」を補足しましょう。
例:「以前、施設の環境整備に長年携わっており、その経験を活かせると思いました」
→ 自然に話せればOK。過去の職歴や生活経験から取ってこれることが多いはずです。
③ 最後は前向きな姿勢で締めくくる
例:「仕事を通じて地域に貢献しながら、規則正しい生活を続けていきたいと思っています」
→ 面接官は「この人と一緒に働けるか?」を見ています。ポジティブさ・協調性・安定感を印象づけましょう。
■ 話し方のコツ|「声のトーン」「言葉遣い」「表情」が鍵
志望動機は「何を言うか」だけでなく、「どう言うか」が重要です。以下の点に注意して臨みましょう。
要素 | コツの例 |
---|---|
声のトーン | ゆっくり、はっきり、聞き取りやすく |
言葉遣い | 「~させていただきたい」「~と思っております」など丁寧な表現を心がける |
表情・姿勢 | 相手の目を見て、穏やかな笑顔と姿勢で |
特にシニア世代は、「落ち着き」「礼儀正しさ」「誠実さ」が武器になります。自信がなくても、丁寧に伝えることを意識すれば十分に好印象を与えられます。
■ 最後に|面接練習で安心感を高めよう
本番前に、声に出して話す練習を1〜2回しておくだけでも、自信がつきます。
できれば家族や友人に聞いてもらうと、客観的なフィードバックも得られて効果的です。
6. まとめ|伝え方次第で、あなたの魅力はもっと伝わる!
定年後の再就職では、若いころのように「キャリアアップ」や「スキル習得」よりも、人柄・姿勢・安定性といった要素が重視される傾向があります。
そのため、「志望動機」は単なる形式ではなく、あなたの魅力を伝える大切なコミュニケーションの場といえるのです。
■ 志望動機づくりの要点を振り返る
1.「働きたい理由」だけで終わらせず、なぜその仕事なのかまで伝える
2.過去の経験や強みを活かす意識を持つ
3.“想い”や“価値観”を少しだけ加えることで、深みが出る
4.面接では「丁寧さ・穏やかさ・前向きさ」で話すことが好印象につながる
■ 年齢は“ハンデ”ではなく、“信頼”の証にもなる
今の時代は65歳、70歳を超えて働くことは決して珍しくありません。
むしろ、人生経験を積んだシニア世代だからこそ、できる仕事や求められる場面が確実にあります。
そして、それを「志望動機」という形で誠実に伝えることができれば、あなたを採用したいと思う企業は必ず見つかります。
■ 最後に
志望動機は、あなた自身の言葉で伝える“自己紹介”のようなもの。
難しく考えず、これまでの人生をふり返り、「今、どう働きたいか」を素直に表現してみてください。
伝え方次第で、あなたの魅力はもっと伝わります。自信を持って一歩踏み出しましょう。
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