「介護短日数勤務制度」とは?企業が知っておくべき仕組みと導入メリット

【企業向け】シニア採用

1.介護短日数勤務制度とは?基本の仕組みをわかりやすく解説

介護短日数勤務制度とは、介護を必要とする家族を持つ従業員や、高齢者自身が無理なく働き続けられるように設けられた勤務形態のひとつです。従来のフルタイム勤務や週5日勤務とは異なり、週2~3日や短時間での勤務を前提とした柔軟な働き方を可能にする仕組みです。

この制度は主に2つの観点で活用されます。
1つ目は、従業員が親や配偶者などの介護を担う際に、働き方を調整しやすくするための「介護と仕事の両立支援制度」としての役割。もう1つは、高齢者やシニア人材が体力面や生活リズムに合わせて働ける「高齢者雇用制度」としての役割です。

厚生労働省が公表する「仕事と介護の両立支援制度」によれば、企業には短時間勤務や所定労働日数の短縮など、介護休業法に基づく仕組みを整備することが求められています(厚生労働省「仕事と介護の両立 ~介護離職を防ぐために~」)。つまり、介護短日数勤務制度は法的な背景もあり、導入する企業が年々増加しているのです。

また、シニア人材を積極的に採用する企業にとっても、この制度は大きな魅力を持ちます。「フルタイム勤務は難しいが、週2~3日なら働ける」という高齢者は多く、短日数勤務を制度化することで、これまで取りこぼしていた労働力を取り込めるのです。


2.なぜ今注目されるのか|背景と社会的ニーズ

介護短日数勤務制度が注目を集めている背景には、日本社会が直面している「超高齢社会」と「人手不足」という2つの課題があります。

まず、日本の高齢化率は2024年時点で29.1%に達しており、3人に1人が高齢者という状況です(総務省「統計トピックスNo.138」2024年)。高齢者の多くは介護を必要とする一方で、まだまだ働く意欲やスキルを持っている人も少なくありません。しかし、フルタイム勤務となると体力的に厳しく、働き続けるハードルが高いのが現状です。

一方で、企業側も深刻な労働力不足に直面しています。帝国データバンクの調査(「人手不足に対する企業の動向調査」2024年)によると、約5割の企業が正社員不足を感じていると回答しています。特にサービス業や小売業では「即戦力となる人材が見つからない」との声が強く、人材確保は喫緊の課題です。

こうした状況を背景に、「短日数でも働ける人材」を活かす仕組みとして、介護短日数勤務制度が注目されているのです。介護を抱える現役世代にとっては“介護離職の防止”につながり、高齢者にとっては“健康寿命の延伸”や“社会参加”の場となる。さらに企業にとっては、多様な人材を確保する手段となる。まさに「三方よし」の制度だと言えるでしょう。


3.制度導入のメリット|企業とシニア双方にとっての利点

介護短日数勤務制度を導入することで、企業とシニア双方に大きなメリットがあります。単に「短く働ける」という柔軟性にとどまらず、人手不足の解消・多様性の向上・企業イメージの改善など、組織経営にも直結する効果が期待できます。

人手不足の解消

週5日のフルタイム勤務が難しいシニアでも、「週2~3日なら可能」という人材は非常に多いです。実際、厚生労働省「高年齢者の雇用状況」調査(2023年)によれば、65歳以上で働く人のうち約4割が「週3日以下勤務」を希望しています。制度を整えることで、これまで労働市場に参加できなかった人材を新たに取り込むことができます。


組織の多様性向上

シニア人材の豊富な経験やスキルは、若手社員の育成やチームの安定感に直結します。特に「教育係」「補助業務」「顧客対応」などの領域で力を発揮するケースが多く、組織全体の知識共有や人材育成の加速につながります。結果として、多様な年齢層が共存する働きやすい職場環境が実現します。


職員定着率の向上

柔軟な働き方を制度として整えることは、従業員に安心感を与えます。特に介護や健康上の理由でフルタイム勤務が難しい社員にとって、「辞めずに働き続けられる環境がある」ことは離職防止につながります。さらに、短日数勤務を活用する社員が増えることで、全体のシフト調整がしやすくなり、結果として職員全体の働きやすさが向上します。これは企業にとっても人材定着率の改善という大きなメリットになります。

このように、制度導入は単なる福利厚生の充実ではなく、企業戦略の一部として考えるべきものです。人材の確保から組織文化の強化、さらに従業員の定着率向上まで、幅広いメリットを得られるのが大きな特長です。


4.導入にあたっての注意点と法的ポイント

介護短日数勤務制度を導入する際には、メリットばかりに目を向けるのではなく、法的な観点や運用上の注意点も押さえておく必要があります。特に人事担当者にとっては、労働基準法や育児・介護休業法との整合性を確認することが重要です。

労働基準法との関係

短日数勤務の従業員であっても、労働基準法に基づく最低賃金や労働時間の管理義務は免除されません。例えば、週所定労働時間が短くても時間外労働の割増賃金は発生します。また、就業規則に明文化し、雇用契約書に記載しておくことが求められます。


育児・介護休業法との関係

育児・介護休業法では、介護休業だけでなく「所定労働時間の短縮制度」や「所定外労働の免除」なども規定されています。これらの法定制度と自社の「介護短日数勤務制度」を組み合わせることで、従業員にとってより実効性のある支援策となります。厚生労働省「仕事と介護の両立支援制度」でも、短時間勤務や短日数勤務を柔軟に運用することが介護離職防止につながると明記されています。


運用上の注意点

1.制度の対象者を明確化:介護を担う社員に限定するのか、シニア全般にも適用するのかを明記する。

2.公平性の確保:短日数勤務者とフルタイム勤務者の間で、昇給・昇格や評価制度において不公平感が生じないよう配慮する。

3.業務分担の見直し:短日数勤務者に合わせて業務を細分化・調整し、チーム全体で無理なくカバーできる体制を整える。

    このように、制度導入は法律に準拠するだけでなく、社内ルールの整備と実務運用の工夫が欠かせません。適切な準備があってこそ、制度が実効性を発揮し、従業員の安心につながります。


    5.実際に導入するステップ|人事担当者が押さえるべき流れ

    介護短日数勤務制度を導入するには、いきなり制度を作るのではなく、段階を踏んで整備していくことが成功のカギとなります。ここでは、人事担当者が押さえておくべき流れを整理します。

    ステップ1:現状把握と課題整理

    まず、自社の従業員構成や人材ニーズを把握します。特に以下を調べると効果的です。

    ・介護を理由に離職した社員の数や傾向
    ・シニア層の希望する勤務日数・勤務時間帯
    ・部署ごとの人手不足の度合い

    この段階で「どの層に制度が必要か」「どの部署で導入するのが有効か」を見極めることができます。


    ステップ2:制度設計と社内調整

    次に、制度の対象者や勤務条件を設計します。例えば、

    ・対象者は介護を担う社員に限定するのか
    ・シニア人材全般に開放するのか
    ・最低勤務日数を週2日とするのか、それ以下でも可とするのか

    といった点を明確にする必要があります。また、就業規則の改定や労使協定の締結が必要になる場合もあるため、労働組合や従業員代表との調整が欠かせません。


    ステップ3:試行導入とフィードバック

    いきなり全社展開するのではなく、まずは特定部署や一定期間で試行するのが有効です。実際に運用してみることで、

    ・業務分担に無理がないか
    ・シフト調整はスムーズか
    ・評価制度に影響はないか

    といった課題が浮き彫りになります。その上で従業員や管理職からのフィードバックを反映し、本格導入へと進めます。


    ステップ4:全社展開と継続的な改善

    正式導入後も定期的に制度利用者や上司へのアンケートを実施し、課題を改善していくことが重要です。環境や従業員のニーズは変化するため、柔軟に制度をアップデートしていく姿勢が求められます。

    このプロセスを踏むことで、単なる制度導入にとどまらず、企業文化として「多様な働き方を尊重する職場」を育てることができます。


    まとめ|介護短日数勤務制度で企業とシニアの未来をひらく

    介護短日数勤務制度は、単なる「時短勤務」の枠を超え、企業・従業員・社会の三者にメリットをもたらす仕組みです。介護と仕事の両立を支えるだけでなく、体力やライフスタイルに合わせた働き方を求めるシニア人材に活躍の場を提供し、企業にとっては人手不足解消や組織の安定につながります。

    さらに大きな効果として、従業員の定着率向上が挙げられます。短日数勤務という選択肢があることで、介護や健康上の理由で離職せざるを得なかった社員が「働き続けられる環境」を得られます。結果として、職員の安心感が高まり、企業全体の離職率低下につながるのです。

    また、シニアが持つ経験や知識は、若手社員の育成や組織文化の醸成にも寄与します。年齢を超えて協働する企業文化が育つことで、働きやすさと持続可能な人材戦略を両立できるでしょう。

    少子高齢化が進むこれからの時代、介護短日数勤務制度は「選択肢のひとつ」ではなく、人材確保と定着を支える戦略的制度となるはずです。企業が率先して取り入れることで、シニアが安心して働き続けられる社会の実現につながるでしょう。

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