1.敬老の日とは?歴史と意味を改めて知ろう
敬老の日は、日本独自の文化として高齢者を敬い、その長年の労苦に感謝する日として定められています。現在は毎年「9月の第3月曜日」が祝日となっていますが、その起源は戦後間もない1947年にまでさかのぼります。兵庫県多可町で「お年寄りを敬い、お年寄りの経験と知恵を生かした農村作り」を提唱し、9月15日を「としよりの日」として、敬老会を開きました。その後全国に広まり、1966年に国民の祝日として制定され、2003年から「ハッピーマンデー制度」により現在の日程に変わりました。
この祝日には、「多年にわたり社会につくしてきた高齢者を敬愛し、長寿を祝う」という意味が込められています。単なる贈り物やイベントの日ではなく、社会全体がシニア世代の存在価値を再確認し、世代間のつながりを深める大切な機会でもあるのです。
また、総務省が毎年発表する『統計からみた我が国の高齢者-「敬老の日」にちなんで-』によると、日本の65歳以上人口は2024年時点で約3,620万人に達し、総人口の29%を占めています。この数字は、高齢者が社会の大きな担い手であることを物語っています。
つまり敬老の日は、「高齢者を敬う」という表面的な意味だけでなく、「シニアが社会に必要な存在である」ことを、改めて家族や地域、企業が意識するための日だといえるでしょう。
2.家族でできる!敬老の日の過ごし方アイデア
敬老の日は、単なる「贈り物の日」ではなく、家族が集まりシニア世代と心を通わせる大切な機会です。特に70代のシニアにとっては「孫や子どもたちと一緒に過ごせる時間」が何よりの喜びとなります。ここでは、家庭で実践しやすい過ごし方のアイデアをご紹介します。
1. 家族団らんの食事会
一緒に食卓を囲むことは、もっともシンプルでありながら心に残るお祝い方法です。好物を取り入れたり、孫と一緒に手作り料理を準備することで、食事が思い出に変わります。外食よりも家庭でゆっくり過ごすほうが、世代間の会話も弾みやすいのが特徴です。
2. 思い出を振り返るアルバム作り
アルバムやスライドショーを家族で見返す時間もおすすめです。若いころの写真を見ながら思い出話をすることで、家族の歴史を共有できます。最近ではデジタルフォトフレームにまとめて贈るケースも増えており、日常的に思い出を振り返れる点で喜ばれています。
3. 一緒に体を動かすレクリエーション
健康維持のためにも、軽いウォーキングや公園での散歩を一緒に楽しむのも効果的です。孫と一緒に体を動かすことで自然と笑顔が生まれ、心身のリフレッシュにもつながります。
4. 孫からの「手作りプレゼント」
市販のギフトよりも、孫が描いた似顔絵や手紙、工作の品は特別な思い出になります。費用をかけずとも、気持ちがこもった贈り物は大きな喜びを与えてくれるのです。
こうした過ごし方は、物ではなく「時間の共有」に重点を置く点がポイントです。実際、内閣府「高齢者の日常生活に関する意識調査」(2022年)でも、シニアが嬉しいと感じることの上位に「家族と過ごす時間」が挙げられています。敬老の日を機に、普段なかなか言葉にできない「ありがとう」を形にすることで、家族の絆はさらに深まるでしょう。
3.シニアが喜ぶプレゼントの選び方
敬老の日の贈り物は、「何をあげるか」以上に「どう気持ちを込めるか」が大切です。高価なものよりも、相手の生活や健康、趣味を考慮した実用的で心のこもったプレゼントが喜ばれます。
1. 健康をサポートするアイテム
高齢者にとって健康維持は日常生活の最優先事項です。血圧計や軽量なウォーキングシューズ、温感グッズなど、体を気遣うアイテムは実用性が高く喜ばれます。例えば「歩数計やスマートウォッチ」を贈れば、日々の運動管理にも役立ちます。
2. 日常を快適にする生活雑貨
軽量の掃除道具、使いやすい調理器具、見やすい大文字表示の時計など、生活を少し楽にしてくれるアイテムも人気です。日常で「便利だな」と感じてもらえる贈り物は、毎日の暮らしを支え続けます。
3. 心を癒す趣味関連グッズ
園芸好きにはガーデニング用品、音楽好きにはCDやプレーヤー、手芸好きには糸やキットなど、趣味に関連するプレゼントもおすすめです。自分の時間を楽しめるものは、生きがいの充実につながります。
4. 「体験型」のギフト
近年人気が高まっているのが、温泉旅行や食事券、カルチャースクールの体験などの「時間を共有できるギフト」です。物ではなく「体験」を贈ることで、思い出として長く残ります。
内閣府「高齢者の日常生活・地域社会への参加に関する意識調査」(2021年)では、生きがいを感じる要素として「家族との団らん」や「趣味」「健康」が上位に挙げられています。こうした背景から、敬老の日の贈り物は“健康・便利・楽しみ”の3要素を意識すると失敗が少ないといえるでしょう。
何より大切なのは、贈り物を渡すときに「ありがとう」「これからも元気でいてね」と言葉を添えること。モノ以上にその一言が、心に深く響くプレゼントとなります。
4.敬老の日をきっかけに考える“健康寿命”の大切さ
敬老の日は、ただ長寿を祝うだけでなく、「どれだけ健康的に日常生活を送れるか」にも意識を向ける良い機会です。日本は世界有数の長寿国ですが、同時に「健康寿命と平均寿命の差」が課題となっています。厚生労働省の「健康日本21(第二次)」によると、2022年時点で日本人の平均寿命は男性81.49歳、女性87.60歳である一方、健康寿命(自立した生活ができる期間)は男性72.68歳、女性75.38歳とされ、その差はおよそ9〜12年に及びます(出典:厚生労働省「令和4年簡易生命表」「健康日本21(第二次)」)。
この「不健康な期間」を減らすためには、日々の生活習慣が重要です。食生活の改善、適度な運動、社会参加は健康寿命を延ばす3本柱とされています。特にシニアにとって「社会とのつながりを持つこと」は大きな効果を発揮します。JAGES(日本老年学的評価研究)の調査でも、地域活動や就労などで人と交流している高齢者は、そうでない人に比べて要介護リスクが低いことが示されています。
敬老の日は、家族が集まって「これからも元気でいてほしい」という想いを伝える絶好の機会です。その場で一緒にウォーキングをしたり、健康診断の受診を促したりすることも、シニアの健康維持につながります。また、日常の中で「体を動かす習慣」や「人との交流の場」を持てるよう支援することが、健康寿命をのばす具体的なアクションになります。
つまり、敬老の日は単にお祝いをする日ではなく、本人と家族が「これからの暮らし方や健康への意識」を確認し合う日でもあるのです。長生きだけでなく“元気に長生き”することが、真の意味での敬老にあたるといえるでしょう。
5.働き続けるシニアの姿勢が家族に与える影響
敬老の日を迎えると、多くの人が「元気に長生きしてほしい」と願います。その願いを実現する大きな要素のひとつが「働き続ける姿勢」です。定年後もパートやボランティアとして社会に関わり続けるシニアは、経済的な安定だけでなく、精神的な充実感を得やすいといわれています。
実際、内閣府「高齢社会白書」(2024年版)によると、65歳以上で働いている人の割合は25.6%にのぼり、特に70歳以上の就業者数も年々増加傾向にあります。これは単なる収入確保のためではなく、「人とのつながり」「生きがい」「社会への貢献」が理由となっているケースが多いのが特徴です。
こうしたシニアの姿勢は、家族にポジティブな影響を与えます。たとえば孫世代にとっては、「年をとっても社会で役割を持ち続けられる」というロールモデルになります。子ども世代にとっても、「親が元気に活動している」という事実は安心感につながり、介護への不安を軽減します。さらに家計の一部を支えることで、家族全体の生活基盤を安定させる効果もあります。
また、シニアが働き続ける姿勢は、自らの健康維持にも好影響を及ぼします。JAGES(日本老年学的評価研究)の調査でも、就労を続けている高齢者は、無職の高齢者に比べて要介護状態になるリスクが低いと報告されています。つまり「働くこと自体」が、心身の健康を保つ予防策となっているのです。
敬老の日は、家族が集まって「おじいちゃん・おばあちゃんが元気に働いている姿」を称える場にもなります。家族がその努力を認め、感謝を伝えることで、シニア本人も「自分はまだ必要とされている」と実感し、より前向きに社会と関わろうとするでしょう。
6.生きがいづくりにつながる「敬老の日」の意義
敬老の日は、単なる「感謝を伝える日」以上の意味を持ちます。それはシニア世代にとって、生きがいを再確認する機会になるという点です。年齢を重ねると、子育てや仕事といった人生の大きな役割が一段落し、「自分はまだ社会に必要とされているのか」と感じる人も少なくありません。そうしたときに、家族や周囲からの感謝や称賛の言葉は、生きがいを強く後押ししてくれるのです。
1. 存在価値を実感できる日
孫や子どもから「ありがとう」と言われるだけで、「自分がここにいることに意味がある」と実感できます。これは高齢期における心理的幸福感に直結します。内閣府の令和3年度「高齢者の日常生活・地域社会への参加に関する調査」では、高齢者が生きがいを感じる場として「家族との交流」が重要な位置を占めていることが確認されています。敬老の日は、まさにその生きがいを高める場になり得るのです。
2. 社会参加への意欲を高める
「ありがとう」を受け取ることで、「もっと元気でいよう」「地域や社会にも貢献したい」という前向きな気持ちが芽生えます。趣味活動や地域ボランティア、仕事への意欲にもつながり、結果として健康寿命を延ばす効果も期待できます。
3. 世代を超えた交流の場
敬老の日は、世代を超えて交流できる数少ない場のひとつです。孫から手紙をもらったり、一緒に遊んだりする体験は、シニアにとって心の栄養になります。同時に孫世代にとっても「年長者を敬う心」や「世代間のつながりの大切さ」を学ぶ貴重な機会となります。
このように、敬老の日は「シニアに感謝を伝える日」であると同時に、「シニア自身が新しい生きがいを見つけるきっかけ」ともなるのです。年齢を重ねても社会との関わりを持ち続けることは、自分らしく生きるうえで欠かせません。敬老の日を節目として、その第一歩を踏み出すことができるでしょう。
まとめ|敬老の日を通じてシニア世代と未来をつなぐ
敬老の日は、単に「長寿を祝う日」ではなく、社会全体が高齢者の存在を再認識し、次世代へと価値を引き継ぐ大切な日です。家族にとっては、普段なかなか言葉にできない感謝を伝えるチャンスであり、シニア世代にとっては「自分はまだ必要とされている」という自己肯定感を得られる節目となります。
記事を振り返ると、
・歴史と意味を知ることで敬老の日の価値を再確認できる
・家族団らんや手作りプレゼントなどの過ごし方が絆を深める
・健康や趣味に配慮したプレゼントが喜ばれる
・健康寿命を意識することで「元気に長生き」の実現につながる
・働き続ける姿勢が家族や社会に好影響を与える
・感謝の言葉がシニアの生きがいを支える
といった多様な意義が見えてきます。
総務省統計局によると、2024年時点で日本の65歳以上人口は3,620万人にのぼり、総人口の約3割を占めています(出典:総務省統計局『統計からみた我が国の高齢者-「敬老の日」にちなんで-』2024)。この数字は、シニア世代が社会を支える重要な存在であることを示しています。だからこそ、敬老の日を単なるイベントとして終わらせるのではなく、これからの日本社会を考える契機とすることが大切です。
敬老の日を機に、シニアが健康的に働き続け、生きがいを持って暮らせる環境を整えることは、家族や地域、そして未来の世代にとって大きな財産となります。今日からできる小さな一歩を積み重ね、シニア世代と未来をしっかりつないでいきましょう。
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