「健幸」とは?健康と幸せを両立するシニア世代の新しい生き方

健康

1.「健幸」という言葉の意味とは?

「健幸(けんこう)」という言葉は、「健康」と「幸福」を組み合わせた新しい概念です。一般的に「健康」といえば病気の有無や体力の状態を指すことが多いですが、実はそれだけでは人生の満足度は高まりません。体が元気でも、孤独であったり、やりがいを失ったりすると、心は充実せず“幸せ”を感じにくいからです。そこで登場したのが「健幸」という考え方です。

日本では近年、少子高齢化が進む中、「健康寿命」を延ばすことが大きな課題とされています。厚生労働省の発表によると、令和4年(2022年)時点で日本人の平均寿命は男性が81.05歳、女性が87.09歳ですが、健康寿命(=「日常生活に制限のない期間の平均」)は男性72.57歳、女性75.45歳であり、平均寿命との差は男性で約9年、女性で約12年あります。つまり、長生きできても、制限のある暮らしを送る期間が存在する可能性があるのです。

「健幸」という考え方は、このギャップを埋めるために重要です。単に寿命を延ばすのではなく、毎日を「元気に、幸せに」暮らせる期間を長くすることが目的です。例えば、体の調子を整える食生活や運動習慣に加え、家族や地域との交流、仕事や趣味といった生きがいを持つことが「健幸」に直結します。

特にシニア世代にとって「健幸」は、これからの生活を前向きにするキーワードといえるでしょう。


2.シニア世代が「健幸」を意識するべき理由

定年を迎えた後の生活では、健康面と経済面の両立が大きなテーマとなります。年金収入だけでは生活が不安定になる場合も多く、同時に体力や気力の衰えが気になり始める年代です。このとき「健幸」を意識することで、心身の健康を保ちながら、幸せな日常を築くことができます。

厚生労働省の「国民生活基礎調査(2022年)」によると、65歳以上の人が健康に不安を抱える割合は約6割に達しています。また、孤独感や社会とのつながりの喪失は、心の健康に大きく影響を及ぼすことも指摘されています。実際、社会参加を続けている高齢者は、閉じこもりがちな高齢者に比べて心身の健康状態が良好であることが多いと報告されています【参考:内閣府「高齢者の地域社会への参加」】。

つまり、「健幸」は単なる流行語ではなく、これからのシニア世代にとって必要不可欠な考え方です。体を動かして健康を維持することはもちろん、趣味や仕事を通じて社会とつながることが、心の幸福感を高める効果につながります。特に再就職やボランティア活動は「自分の役割」を再認識するきっかけとなり、生きがいを育む源泉にもなるのです。

「健幸」を意識することは、単に病気を予防するだけでなく、社会の一員としての存在感や、人との関わりから得られる喜びを守ることでもあります。これこそが、シニア世代が長く元気に暮らしていくための大きな理由といえるでしょう。


3.健康と幸せを両立するための具体的な習慣

「健幸」を実現するには、健康を保つだけでなく、日常に“幸せ”を感じられる行動を意識的に取り入れることが大切です。ここでは、シニア世代でも無理なく始められる具体的な習慣をご紹介します。

1. 適度な運動を続ける

ウォーキングやストレッチといった軽い運動は、筋力や関節の柔軟性を保ち、転倒予防にもつながります。東京都健康長寿医療センター研究所の調査によれば、週に3回以上の運動習慣がある高齢者は、フレイル(心身の虚弱)発症リスクが低いと報告されています【参考:東京都健康長寿医療センター研究所】。


2. 栄養バランスを意識した食生活

たんぱく質、野菜、発酵食品をしっかり摂ることは、体力維持や免疫力向上に直結します。特に高齢期は筋肉量の減少が進むため、魚や豆製品などのたんぱく質を意識的に取り入れることが推奨されています【出典:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」】。


3. 人との交流を持つ

近所の人との会話や地域活動、サークル参加など、日常の中で人と関わる機会を増やすことは、孤独感の軽減に役立ちます。JAGES(日本老年学的評価研究)の大規模調査によれば、地域活動に積極的に参加する高齢者は、そうでない人に比べて主観的幸福度が高く、さらに認知症やフレイルの発症リスクも低いことが示されています。


4. 好きなことに時間を使う

趣味や新しい学びを取り入れることで、毎日に張り合いが生まれます。園芸、音楽、読書、資格取得など、自分に合った活動は自己肯定感を高め、ストレス解消にもつながります。


5. 睡眠と休養を大切にする

年齢とともに睡眠の質が低下する傾向がありますが、規則正しい生活や昼間の適度な活動は深い眠りをサポートします。質の良い睡眠は体の修復や脳の整理に欠かせない要素です。

これらの習慣を無理なく続けることで、体の健康と心の幸せがバランスよく保たれます。「健幸」とは一度に大きな変化を求めるものではなく、小さな習慣の積み重ねによって育まれるライフスタイルなのです。


4.仕事・社会参加が「健幸」に与えるプラス効果

「健幸」を実現するうえで欠かせない要素のひとつが、仕事や地域活動といった「社会参加」です。シニア世代にとって仕事は収入を得る手段であるだけでなく、体を動かし、人と関わり、役割を持つことで心身の健康を保つ大切な機会になります。

経済的な安心感が心のゆとりに

年金収入に加えて少しでも収入があると、将来に対する不安が軽減されます。経済的な安心は、精神的な安定や生活の満足度向上に直結します。特に短時間勤務や柔軟な働き方であれば、体力に合わせて無理なく継続できる点が魅力です。


役割を持つことで生きがいが生まれる

内閣府「高齢者の日常生活・地域社会への参加に関する調査結果」では、地域活動やボランティアを行っている高齢者の方が「生活に充実感を感じる」と答える割合が高いことが報告されています。人の役に立つ、誰かに感謝されるといった体験は、シニア世代の自己肯定感を大きく高めます。


人との交流が健康を支える

社会参加を通じて得られる人との交流は、孤立感を防ぐと同時に、心身の健康維持にもつながります。日本老年学的評価研究(JAGES)が行った「高齢者の社会参加とフレイルとの関連:JAGES2016-2019縦断研究」では、地域活動に積極的に参加する高齢者は、そうでない人に比べて3年後のフレイル発症リスクが有意に低いことが示されています【参考:竹内寛貴・井手一茂ほか, 日本公衆衛生雑誌, 2023】。


身体活動の機会になる

仕事やボランティアを通じて外に出ること自体が、自然と身体活動の時間を増やします。例えば施設管理や清掃の仕事は軽い運動を伴うため、健康維持に効果的です。

このように、社会参加は収入や健康維持だけでなく、幸せを感じる心にもプラスに働きます。まさに「健幸」の実現において、仕事や地域活動は大きなカギとなるのです。


5.今日から始められる!健幸ライフ実践のポイント

「健幸」は特別なことをしなくても、日々のちょっとした工夫から始められます。大切なのは“無理をせず、継続できること”を取り入れることです。ここでは、今日から実践できるポイントをまとめました。

1. 1日15分のウォーキングを習慣にする

運動不足は体力低下の大きな要因です。厚生労働省の「健康づくりのための身体活動基準2013」では、65歳以上の高齢者に1日40分程度の身体活動を推奨しています。その中でもウォーキングは始めやすく、近所を散歩するだけでも十分効果があります。


2. 食卓に“色”を増やす

野菜や果物、魚などを取り入れると、自然と栄養バランスが整います。「赤・黄・緑」の食材を意識するだけでも健康状態の改善につながり、食事を楽しむことで心の満足感も高まります。


3. 人と会う予定をカレンダーに入れる

社会とのつながりは、健幸に直結します。週に一度でも友人とお茶をする、趣味の集まりに顔を出すなど、予定をあらかじめ決めておくと継続しやすくなります。孤独を防ぐためにも「予定を入れる習慣化」は大切です。


4. 新しい学びに挑戦してみる

パソコンやスマホ教室、資格取得の勉強など、新しいスキルは脳を刺激し、自分の成長を実感させてくれます。これは自己肯定感を高め、精神的な幸せにつながる大きな要素です。


5. 感謝や喜びを言葉にする

国内の心理学研究でも、感謝と幸福感には関係があることが報告されています。例えば、「感謝とレジリエンスが主観的幸福感に与える影響」を調べた研究では、感謝が意識的に行動されることで幸福感が高まる可能性が示されています【参考:三原彩絵子ら, 2020, 感謝とレジリエンスが主観的幸福感に与える影響の検討】。

小さな行動を積み重ねることで、体の健康だけでなく、心の豊かさも同時に育まれます。今日から始められることを一つ選んで実践する。それが「健幸ライフ」への第一歩となるのです。


6.まとめ|「健幸」がシニア世代の生きがいにつながる

「健幸」とは、健康と幸せを同時に追求する新しい生き方の考え方です。単に体を丈夫に保つだけではなく、心が満たされ、社会とのつながりを実感できる生活を指します。

シニア世代にとって、健幸を意識することは「長生き」以上の意味を持ちます。厚生労働省が公表した「健康寿命の令和4年値について」によれば、2022年時点で日本人の平均寿命は男性81.05歳・女性87.09歳、健康寿命は男性72.57歳・女性75.45歳とされています。平均寿命との差は男性で約9年、女性で約12年あり、このギャップを縮めることが一人ひとりの課題です【参考:厚生労働省「健康寿命の令和4年値について」】。そのためには、運動や食生活といった身体面の工夫に加え、社会参加や人との交流が欠かせません。

また、仕事やボランティアを通じて役割を持ち続けることは、経済的な安心だけでなく、自分の存在意義を再確認する機会にもなります。人に感謝される経験や、新しい知識を学ぶ体験は、シニア世代の幸福度を大きく高めてくれます。

「健幸ライフ」は難しい取り組みではなく、小さな習慣や日常の工夫から始められるものです。ウォーキングや食生活の見直し、趣味や交流の場を持つことなど、誰にでも実践できる方法がたくさんあります。その積み重ねが、シニア世代の生きがいを育み、毎日をより充実させることにつながります。

これからの人生を前向きに歩んでいくために、「健幸」という視点を取り入れてみてはいかがでしょうか。

健康も幸せも大切に。あなたに合った仕事探しはシニア向け求人サイト「キャリア65」で!新しい一歩を踏み出しませんか?

タイトルとURLをコピーしました