1. 合同企業説明会とは？シニア世代にも開かれた就職の場
合同企業説明会とは、複数の企業が一堂に会して求職者に向けて自社の魅力や採用情報を紹介するイベントのことです。一般的には新卒や若手向けのイメージがありますが、近年は少子高齢化や人手不足の影響を受け、シニア世代にも門戸が広がっています。実際に「シニア歓迎」「年齢不問」といった求人を持つ企業が参加するケースも増えており、定年後に再就職を考える方にとっても貴重なチャンスの場となっています。
合同企業説明会の特徴は、一度に複数の企業と出会えることです。通常の求人検索では一社ごとに調べて応募する必要がありますが、説明会ではブースを回ることで短時間で効率よく情報収集ができます。さらに、求人票だけでは分からない企業の雰囲気や担当者の考え方に直接触れられるため、「自分に合うかどうか」を早い段階で見極めることができます。
また、シニアに特化した合同企業説明会も各地で開催されています。自治体やハローワーク、商工会議所などが主催するケースも多く、参加費は無料の場合がほとんどです。会場には履歴書の書き方相談や、シニア向けの就業相談コーナーが併設されることもあり、初めて仕事探しをする方でも安心して参加できます。
総務省統計局の公表資料によれば、2023年の65歳以上の就業者数は914万人で、過去最多を更新しています【出典：総務省統計局「統計からみた我が国の高齢者―『敬老の日』にちなんで―（統計トピックスNo.142）」】。こうした背景もあり、合同企業説明会は今や若者だけでなく、シニア世代の新しい就職・社会参加の入り口として注目されているのです。
2. シニアが合同企業説明会に参加するメリット
シニア世代が合同企業説明会に参加することには、想像以上に多くのメリットがあります。年齢を理由に応募をためらう方もいますが、実際には「経験豊富な人材を求める」企業が少なくありません。以下に具体的な利点を整理します。
① 一度に多くの企業と出会える
合同企業説明会の最大の魅力は、複数の企業を一度に比較できる点です。通常の就職活動では求人票を読んで応募するだけで終わってしまいがちですが、説明会では担当者と直接話せるため、「自分に合った職場かどうか」を肌で感じ取れます。求人票には載っていない職場の雰囲気や、実際の業務内容を詳しく聞けるのもメリットです。
② シニア歓迎企業と直接つながれる
人手不足が深刻化する中で、体力面や勤務時間を調整できる働き方を提供する企業が増えています。説明会には「週2〜3日勤務」「短時間勤務OK」など、シニアに合わせた条件を提示する企業が多く出展します。直接担当者と話すことで、応募前に自分の希望条件を伝えられ、ミスマッチを減らせます。
③ 不安を解消できるサポート環境
シニア向け合同説明会では、キャリア相談や履歴書の書き方セミナーが同時開催されることも多いです。特に「久しぶりの就職活動で何を準備すれば良いかわからない」という方にとって心強いサポートになります。また、同じ年代の参加者が多いため、孤独感を感じずに活動できるのも安心ポイントです。
④ 社会参加と健康維持につながる
働くことは収入の確保だけでなく、生活リズムの維持や心身の健康にも直結します。実際、内閣府「高齢社会白書（2023年）」では、就業している高齢者ほど「生活に対する満足度が高い」と回答する割合が多いことが示されています【出典：内閣府「令和5年版高齢社会白書」】。合同企業説明会はその第一歩として、社会とのつながりを持ち続ける絶好の機会です。
このように、合同企業説明会は「情報収集の場」であると同時に、「安心して再スタートを切れる場」でもあります。特に60～70代で再就職を考える方にとっては、効率よく企業と出会い、これからの生活を豊かにするための有力な手段になるでしょう。
3. 合同企業説明会の探し方｜シニア世代向けの情報源とは
合同企業説明会に参加したいと思っても、「どこで開催情報を見つければいいのか分からない」という方は少なくありません。実際、情報の探し方を知っているかどうかで、出会えるチャンスが大きく変わります。ここではシニア世代におすすめの探し方を紹介します。
① ハローワークやシルバー人材センター
地域のハローワークは、合同企業説明会の代表的な情報源です。定期的に「就職面接会」や「シニア向け合同説明会」を開催しており、公式サイトや窓口で最新情報を確認できます。また、シルバー人材センターでも高齢者向けの就業説明会を実施している場合があります。
② 自治体や商工会議所の公式サイト
市区町村や都道府県が主催するシニア向け合同企業説明会も増えています。地域の「働きたい高齢者応援事業」や「生涯現役促進地域連携事業」などの一環として開催されることが多いため、自治体のホームページや広報誌をチェックしておくと安心です。
③ 求人サイト・イベント情報サイト
インターネット上の求人サイトでも、合同企業説明会の情報が掲載されています。特に「シニア歓迎」や「60歳以上対象」のキーワードで検索すると、対象者を絞ったイベントが見つかります。また、大手イベント情報サイト（例：マイナビ、エン・ジャパンなど）では、地域別の開催予定が検索可能です。
④ 新聞・地域フリーペーパー
意外に見落としがちなのが、新聞やフリーペーパーです。特に地域情報誌では、地元で開催される小規模な合同企業説明会が告知されることがあります。ネットが苦手な方でも情報収集できる身近な手段です。
⑤ SNSや口コミ
最近では、FacebookやX（旧Twitter）などのSNSでも合同企業説明会の情報がシェアされています。同年代の友人や地域コミュニティからの口コミも有力な情報源です。「参加して良かった」という声を参考にすると、不安も和らぎます。
このように、合同企業説明会はインターネットだけでなく、身近な公共機関や地域メディアからも情報を得られます。複数の情報源を活用し、自分に合った説明会を見逃さないようにすることが大切です。
4. 合同企業説明会での効果的な立ち回り方
合同企業説明会は、ただ参加するだけでは十分な成果を得られません。シニア世代が納得できる仕事につなげるためには、限られた時間の中でどのように動くかが大切です。ここでは効果的に立ち回るためのポイントを整理します。
① 事前準備を怠らない
参加前に、出展企業リストを確認しておきましょう。「体力を活かした仕事」「週2〜3日の勤務が可能」など、自分の希望条件に合う企業に優先順位をつけると効率的です。履歴書や職務経歴書を複数部用意しておけば、気になった企業にすぐ提出できます。
② 第一印象を意識する
説明会では担当者と直接会話できるため、第一印象が大切です。スーツでなくても構いませんが、清潔感のある服装を心がけましょう。また、挨拶や言葉遣いで誠実さを伝えることが、年齢に関係なく好印象につながります。
③ 積極的に質問する
求人票だけでは分からない点を、直接質問できるのが合同企業説明会の魅力です。例えば「シニアの方はどのような業務を担当していますか？」「勤務日数や時間の調整は可能ですか？」など、自分の不安や希望を率直に聞きましょう。質問を通して自分の積極性や関心を示すこともできます。
④ 興味のある企業にはすぐアプローチ
気になる企業があれば、その場で応募意思を伝えるのも効果的です。名刺や資料を受け取った後、後日すぐに応募することで熱意をアピールできます。また、担当者の名前をメモしておくと、応募時に「説明会でお話を伺った○○様へ」と書けるため、印象が強まります。
⑤ 休憩も上手に取り入れる
合同企業説明会は長時間にわたることも多く、会場を歩き回ると意外に疲れます。シニア世代の場合は特に、適度に休憩を取りながら参加するのがおすすめです。体調を整えて最後まで集中できるよう工夫しましょう。
このように、事前準備と積極的な行動が成功のカギとなります。「見に行くだけ」ではなく、「仕事につなげる場」として意識することが、合同企業説明会を有意義に活用するためのポイントです。
5. よくある不安と解決策｜シニアならではの視点で準備しよう
合同企業説明会に関心はあっても、「自分の年齢で参加して大丈夫だろうか」と不安を感じるシニアは少なくありません。ここでは代表的な不安と、その解決策を整理します。
① 年齢で断られないか不安
「70歳では採用してもらえないのでは？」という声はよく聞かれます。実際には、人手不足を背景に「年齢不問」や「シニア歓迎」を掲げる企業は年々増えています。内閣府の『令和4年版高齢社会白書』によれば、70〜74歳の就業率は男性で約44％、女性で約28％と、依然として多くのシニアが活躍しています【出典：内閣府『令和4年版高齢社会白書』】。合同企業説明会に出展する企業も、最初からシニア層の参加を想定しているケースが多いため、安心して参加できます。
② PCやスマホ操作に自信がない
求人情報や応募はオンラインで進むことが増えています。「スマホでの応募が不安」という方は、会場に設けられた相談コーナーを活用しましょう。スタッフが応募方法を丁寧に教えてくれる場合もあります。また、紙の履歴書を用意しておくと、その場で提出できて安心です。
③ 健康面が心配
「長時間立ちっぱなしは厳しい」という不安もよくあります。合同企業説明会では休憩スペースが用意されていることが多いので、無理をせず活用しましょう。また、事前に歩きやすい靴を選ぶことや、水分を持参することも体調管理に役立ちます。
④ 話す内容に自信がない
久しぶりの就職活動では「何を話せばいいのか分からない」という不安も出てきます。事前に「これまでの経験で活かせること」「希望する働き方（勤務日数・時間など）」をメモしておくと安心です。短い言葉でも、自分の強みや意欲を伝えられます。
⑤ 他の参加者に気後れしてしまう
「若い人が多いのでは？」と不安に感じる方もいますが、シニア向けの合同説明会では同年代の参加者が多数います。会場で同じ立場の仲間に出会うことで、不安が和らぎ、情報交換の場にもなります。
このように、事前に準備や工夫をしておけば、多くの不安は解消できます。大切なのは「自分の強みを活かせる職場を見つけたい」という前向きな気持ちです。その思いを持って参加することが、良い出会いにつながる第一歩となります。
6. 参加後の流れと仕事につなげるためのポイント
合同企業説明会は、参加しただけで終わらせてしまうと効果が半減してしまいます。重要なのは「参加後の行動」です。ここでは説明会をきっかけに、実際の仕事につなげるための流れとポイントを紹介します。
① 当日中にメモを整理する
説明会では複数の企業と話をするため、時間が経つと印象が混ざってしまいます。帰宅後すぐに「企業名・担当者・仕事内容・感じた印象」をメモにまとめましょう。後から応募する際に思い出しやすくなります。
② 気になる企業には早めに応募
説明会後は、できるだけ早く応募アクションを起こすことが大切です。企業の担当者に「説明会でお話を伺った○○です」とメールや応募書類に記載すると、熱意が伝わりやすくなります。
③ フォローアップを忘れない
名刺や資料を受け取った企業には、お礼の連絡を送るのも効果的です。短いメールでも「本日は貴重なお話をありがとうございました」と伝えるだけで、好印象を残せます。
④ 応募書類のブラッシュアップ
説明会で聞いた情報をもとに、履歴書や職務経歴書を修正すると、企業のニーズによりマッチした内容にできます。例えば「週2日勤務可能」と聞いたら、それを自己PR欄に記載するなど、相手の要望に合わせて調整すると効果的です。
⑤ 相談機関を活用する
ハローワークやシルバー人材センターでは、説明会後のフォローアップ相談を行っていることもあります。応募先の選び方や面接対策を相談できるので、不安がある場合は積極的に利用しましょう。
厚生労働省の「高年齢者雇用状況等報告（2024年）」によると、65歳以上を雇用している企業は全体の約8割に上ります。つまり、シニアの採用枠は確実に存在します。大切なのは、説明会を出発点に行動を継続し、実際の応募や面接につなげることです。
このように、「情報収集 → 応募 → フォローアップ → 採用」の流れを意識することで、合同企業説明会での出会いを仕事に結びつけやすくなります。
7. まとめ｜合同企業説明会で新しい働き方を見つけよう
合同企業説明会は、シニア世代にとって「新しい仕事との出会いの場」であり、「社会とのつながりを取り戻す場」でもあります。これまでの経験を活かしながら、自分の体力や生活スタイルに合った働き方を見つけられるのは大きな魅力です。
この記事では、合同企業説明会の基本から、シニアが参加するメリット、探し方、効果的な立ち回り方、不安への対策、そして参加後の流れまでを解説しました。特に重要なのは、参加前に情報収集と準備をし、当日は積極的に行動し、終了後には迅速に応募やフォローアップを行うことです。
少子高齢化と人手不足を背景に、シニア人材を必要とする企業は年々増えています。総務省や厚生労働省の調査でも、65歳以上の就業者数は過去最多を更新しており、企業側も柔軟な働き方を提供する動きが強まっています。こうした社会の追い風を活かすためにも、合同企業説明会は絶好のチャンスといえるでしょう。
定年後の人生は、まだまだ長い時間があります。経済的な安心を得ることはもちろん、働くことを通じて健康を維持し、人との交流を楽しみ、毎日を充実させることができます。ぜひ合同企業説明会を積極的に活用し、あなたに合った「新しい働き方」を見つけてください。
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