1. はじめに：なぜ「介護・医療・福祉の仕事」が自分の健康にもよいのか
高齢期に入ってからの働き方は、「収入」だけでなく「健康」や「生きがい」と直結します。特に介護・医療・福祉分野の仕事は、他の職種と比べても「人と接する時間」が圧倒的に多く、体を動かす機会も自然と増えるため、心身両面での健康維持につながりやすいのが特徴です。
厚生労働省が2023年に発表した「国民生活基礎調査」でも、65歳以上の人が感じる健康のための要因として「人とのつながり」「社会参加」が上位に挙げられています。孤立せず、役割を持ち続けることが生活のリズムを整え、心の安定にもつながると考えられています。
さらに、医療や福祉の現場では「ありがとう」と言葉をかけられる場面が多く、自分の存在価値を実感できることも大きな魅力です。経済的な安定だけでなく、精神的な充実感を得やすい仕事だからこそ、健康寿命の延伸にも役立つといえるでしょう。
「まだ体力があるうちに、無理なくできる範囲で社会に関わりたい」と考えるシニア世代にとって、介護・医療・福祉の仕事は、まさに“自分のためにもなる働き方”といえます。
2. 体も心も動かす｜介護・医療・福祉の仕事がもたらす健康効果
介護や福祉の現場では、「軽い運動」と「人との交流」が自然に日常に組み込まれます。たとえば利用者の歩行をサポートしたり、ベッドから車椅子への移乗を手伝ったりすることは、軽い筋力トレーニングにもなります。厚生労働省が示す「健康づくりのための身体活動基準（2013年改訂）」でも、65歳以上は筋力維持やバランス感覚を保つために日常的な身体活動が推奨されており、介護の仕事はその条件に自然と当てはまります。
また、心の健康面でもメリットがあります。高齢期の大きな課題の一つが「孤立」です。国立長寿医療研究センターの調査では、友人や近隣住民との交流がある高齢者は、孤立傾向にある人に比べて認知症の発症リスクが低いことが報告されています。介護や医療の現場では常に同僚や利用者とコミュニケーションを取るため、自然と社会的なつながりが生まれ、心の安定にもつながります。
さらに「ありがとう」と感謝される経験は、自尊感情を高め、ストレスを和らげる効果もあります。心理学でも「誰かに役立つ」という感覚は幸福度を高めるとされており、仕事を通して自己肯定感を維持できることが大きな魅力です。
つまり介護・医療・福祉の仕事は、運動不足の解消と孤独感の防止、さらには精神的な満足感まで、健康に直結する効果を幅広くもたらしてくれるのです。
3. 未経験でも挑戦できる！シニアに人気の仕事の種類と特徴
介護・医療・福祉の仕事は「資格がないと難しいのでは？」と思われがちですが、実はシニア世代でも未経験から始められる仕事が数多くあります。特にパートタイムや短時間勤務の求人も増えており、自分の生活ペースに合わせて無理なく働けるのが魅力です。
代表的な仕事の例
・介護補助（介護助手）
利用者の食事や着替えのサポート、清掃やベッドメイクなどを担当。身体介護は少なく、未経験者でも始めやすい職種です。厚生労働省は介護人材の確保策として「高年齢者介護助手」制度を推進しており、65歳以上の採用事例も増えています。
・病院内サポートスタッフ
医療機関でシーツ交換や備品管理、患者さんの案内などを行う仕事。専門資格は不要で、明るい対応や丁寧さが活かせます。
・福祉施設での調理・配膳補助
特別養護老人ホームやデイサービスで食事の準備や配膳を担当。調理経験があれば歓迎されるケースが多く、家庭的なスキルを活かせます。
・送迎ドライバー
デイサービスや通院の送迎を担う仕事。普通免許があれば応募可能で、利用者との会話が日常的に楽しめるのも魅力です。
特徴とメリット
これらの仕事は「人と接する機会が多い」「短時間勤務でも歓迎されやすい」という特徴があります。また、未経験者向けに研修を設けている施設も多く、働きながら知識やスキルを身につけることができます。
特にシニア世代の強みである「気配り」「忍耐力」「人生経験」は、利用者との信頼関係づくりに大いに役立ちます。若い世代にはない安心感を与えられる存在として、現場でも歓迎されることが多いのです。
4. 自分や家族の介護にも役立つ！学びながら得られるスキルと知識
介護や福祉の仕事で得られる知識やスキルは、現場だけでなく「自分や家族の生活」にも直結します。将来、自分や身近な人が介護を必要とする場面に直面したとき、大きな安心につながるのです。
得られる具体的なスキル
・身体介助の基本
移動や着替え、食事のサポート方法を学ぶことで、家族の介護が必要になった際に安全に支援できます。腰痛にならない持ち上げ方や、転倒を防ぐ動作の工夫も身につきます。
・認知症への対応力
厚生労働省によると、2025年には65歳以上の約5人に1人が認知症になると推計されています。そのため、介護現場で培う「声かけの仕方」「安心させるコミュニケーション」は、家庭でも役立ちます。
・応急処置や健康管理の知識
医療や福祉の仕事では、バイタルチェック（体温や血圧測定）などを行う機会もあります。これらは日常生活で自分や家族の健康を観察する習慣につながります。
心理的な備えにもなる
介護は体力だけでなく精神的な負担も大きいとされます。現場で多様なケースを経験することは、もし家族が要介護状態になった際に「慌てず対応できる心の準備」にもなります。介護制度や地域資源についての理解も深まるため、サービスの選び方や相談窓口の利用にも役立ちます。
つまり、介護・医療・福祉の仕事は「収入のため」だけでなく「将来の備え」としても価値があり、自分や家族を支える力を自然に養える場でもあるのです。
5. 自分に合った求人を見極めるための3つのポイント
介護・医療・福祉の仕事は幅広いため、自分に合った環境を選ぶことが長く続ける秘訣です。求人票の条件だけでなく、実際の働き方や職場の雰囲気を見極めることが大切です。ここでは3つのチェックポイントを紹介します。
① 勤務時間とシフトの柔軟性
シニア世代の場合、「週2〜3日」「1日4時間程度」の勤務を希望する方が多い傾向にあります（総務省「労働力調査」2023年）。自分の体力や生活リズムに合わせて、無理なく働けるシフト制度があるか確認しましょう。
② 業務内容の負担度
介護現場には身体介護を伴う仕事もありますが、介護助手や調理補助、送迎など体力的な負担が少ない職種も豊富です。求人票で「身体介助なし」や「補助業務中心」と明記されているかどうかを確認すると安心です。
③ 職場の雰囲気とサポート体制
同じ仕事内容でも、職場の雰囲気によって働きやすさは大きく変わります。見学を受け入れている施設もあるため、実際に訪問して職員の表情や利用者とのやり取りを観察すると参考になります。また、未経験者向けに研修制度があるかも重要なチェックポイントです。
この3点を意識することで、自分に合わない職場を選んで体調を崩したり、人間関係で悩んだりするリスクを減らせます。安心して長く働くためには「条件」だけでなく「現場の空気感」を重視して選ぶことが大切です。
6. 無理なく続けるコツ｜働き方・シフトの工夫で長く元気に
介護・医療・福祉の仕事はやりがいが大きい一方で、体力や精神面での負担を感じることもあります。長く元気に続けるためには「無理をしない工夫」が欠かせません。
① シフトの調整を大切に
体力に自信があっても、年齢とともに疲れは蓄積しやすくなります。週2〜3日、1日4〜5時間程度からスタートし、慣れてきたら勤務日数を増やすなど、自分のペースに合わせて調整することがポイントです。厚生労働省が示す「高年齢者雇用確保措置」（高年齢者雇用安定法の改正～70歳までの就業機会確保～）でも、柔軟な働き方が推奨されています。
② 仲間とのコミュニケーションを楽しむ
仕事を長く続けられる人ほど、同僚や利用者との交流を楽しんでいます。ちょっとした会話や「ありがとう」の一言がモチベーションを支えてくれます。孤立せずに働けることは、心の健康を保つうえでも非常に大切です。
③ 自分の体調管理を最優先に
腰や膝に負担がかかる場面もあるため、サポート器具（腰ベルトやリフトなど）が整っている職場を選ぶのも安心材料です。また、定期的な健康診断やストレッチ習慣を取り入れ、無理なく続けられる体づくりを心がけましょう。
④ 趣味や休養とのバランスをとる
仕事だけに集中するのではなく、趣味や家族との時間も大切にすることが長続きの秘訣です。自分の時間をしっかり確保することで、気持ちに余裕を持って仕事に臨めます。
このように、働き方や生活リズムを工夫することで、介護・医療・福祉の仕事は「体を壊してしまう」どころか、むしろ健康を維持しながら長く続けられるキャリアになります。
7. まとめ｜健康と収入、両方を支える第二のキャリアへ
介護・医療・福祉の仕事は、単なる「収入源」にとどまりません。体を動かし、人と関わり、感謝される経験を通じて、心と体の両方を元気にしてくれる働き方です。未経験から挑戦できる職種も多く、シニア世代にとってハードルは決して高くありません。
また、現場で学んだスキルや知識は、将来自分や家族が介護を必要とするときにも役立ちます。つまり「今の生活を支える収入」と「未来の安心」を同時に得られるのが、この分野で働く大きなメリットです。
大切なのは、自分の体力や生活リズムに合った職場を選ぶこと。そして、無理のないシフトや仲間との交流を楽しみながら働くことです。そうすれば、仕事は負担ではなく、むしろ生きがいと健康の源になります。
「もう年だから」と働くことを諦める必要はありません。介護・医療・福祉の現場には、人生経験を活かして輝けるチャンスが広がっています。健康と収入を両立させながら、充実した第二のキャリアを歩んでみてはいかがでしょうか。
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