大学の「公開講座」で“学び直し”|セカンドキャリアに活かせる知識と出会い

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1. はじめに|なぜ今シニアに「大学の公開講座」が注目されるのか

近年、大学の公開講座は「生涯学習」の一環として、多くのシニア世代から注目を集めています。かつては学生や研究者が通う場所というイメージが強かった大学も、今では一般の人に門戸を開き、誰でも学べる場となりました。特に定年後の時間を有効に活用したいと考える人々にとって、公開講座は「知識を増やす」だけでなく「新しい仲間と出会う」場でもあり、人生の第二章を充実させる手段となっています。

シニア世代に注目される背景には、日本社会全体の変化があります。内閣府の「高齢社会白書(2024年版)」によれば、日本人の平均寿命は男性81.05歳、女性87.09歳に達しており、人生100年時代が現実となりつつあります。つまり、定年後も20年以上の生活期間があるのです。この長い時間を「ただ過ごす」のではなく、「学び直し」を通じて自己成長や社会参加を続けることが、健康面・精神面の両方に良い影響を与えるとされています。

さらに、公開講座は「セカンドキャリア」に直結する可能性を秘めています。たとえば、福祉や健康、語学やITといった分野の講座は、地域での仕事やボランティアに活かすことができるだけでなく、新しい職種へのチャレンジにもつながります。加えて、講座の多くは1回数千円から受講でき、オンライン形式も増えているため、経済的・身体的な負担が少なく、誰でも挑戦しやすい環境が整っています。

このように、「大学の公開講座」は単なる学習の場ではなく、シニアが自分の可能性を再発見し、豊かなセカンドキャリアを築くための第一歩となり得るのです。


2. 大学の公開講座とは?受講方法と費用の基本を解説

「大学の公開講座」とは、大学が一般市民に向けて開放している授業や講演のことです。現役の大学生が受ける授業と同じ内容を体験できるものから、地域のニーズに合わせた専門講座、文化・芸術に触れるための一般教養講座まで、種類は非常に幅広いのが特徴です。

受講方法

申し込みはシンプルで、多くの場合は大学の公式サイトや専用の公開講座ページからオンラインで受け付けています。紙の申込書を郵送する方式を採用している大学もありますが、最近はインターネットでの申し込みが主流です。また、年度ごとや学期ごとに講座一覧が公開されるため、気になる分野のスケジュールをチェックして申し込む流れとなります。

さらに、近年はオンライン受講が急増しており、地方在住者や移動が難しい方でも自宅から全国の大学の講座を受けられるようになりました。東京大学や早稲田大学、京都大学など、名門校も積極的にオンライン講座を提供しており、学習のハードルは一層下がっています。


費用の目安

受講料は大学や講座の内容によって異なりますが、1回あたり2,000〜5,000円程度、数回シリーズの講座で1万〜2万円程度が一般的です。文化庁「社会教育調査(2022年)」によると、生涯学習関連の講座の平均的な受講料は「1万円前後」であり、シニア世代にとって比較的負担の少ない金額であることがわかります。

また、一部の自治体や大学では「無料講座」や「高齢者割引」を設けている場合もあります。例えば、東京都や大阪府の一部大学では、地域住民向けに公開講座を無料で提供しているケースがあり、経済的な事情で受講を迷っている方にとっても参加しやすい環境が整っています。


大学の公開講座は、「申し込みやすく」「費用も比較的安価」で、さらに「オンライン対応」も進んでいるため、シニア世代が気軽に始めやすい学びの場です。これから新しいことを学びたい、セカンドキャリアに役立つ知識を得たいと考えている方にとって、大きな可能性を秘めた選択肢だといえるでしょう。


3. セカンドキャリアに直結する!人気の分野と講座例

大学の公開講座には幅広い分野がありますが、セカンドキャリアを意識するシニア世代に特に人気なのは「仕事や地域活動に活かせる実用的な分野」です。ここでは代表的な分野と具体的な講座例をご紹介します。

① 福祉・介護・健康分野

介護予防や高齢者福祉、認知症サポートなどの講座は、地域でのボランティアや介護関連の仕事に直結します。例えば、首都大学東京(現・東京都立大学)の公開講座では「高齢社会を支える福祉の仕組み」といったテーマが開かれており、実務や地域活動に活かせる知識が得られます。


② 語学(英語・中国語など)

英語や中国語などの語学講座は、観光案内や地域の国際交流、さらに通訳ボランティアなどに役立ちます。特に東京オリンピック以降は地域で外国人をサポートする活動が増えており、語学力は大きな強みとなります。


③ IT・デジタルスキル

近年需要が高まっているのがパソコン操作やSNS活用、動画編集などのIT関連講座です。例えば、早稲田大学エクステンションセンターでは「デジタル時代の情報リテラシー」をテーマにした講座を開講しており、在宅ワークやオンライン副業を始めるきっかけにする人も少なくありません。


④ 心理学・コミュニケーション

人との関わりを大切にする仕事やボランティアでは、心理学やカウンセリングに関する知識が役立ちます。大阪大学の公開講座では「対人関係を円滑にする心理学」などのテーマが扱われており、地域活動や再就職での強みとなります。


⑤ 資格取得につながる分野

一部の公開講座は資格試験の準備にも活用できます。社会福祉士やケアマネジャー、通訳ガイド検定など、将来の仕事に直結する学びを「入口」として公開講座から始める人も増えています。


大学の公開講座は「趣味」だけでなく「セカンドキャリア」につながる分野が充実しています。特に福祉・健康・語学・IT・心理といった分野は、地域社会での活動や再就職に直結する学びが多く、自分の強みを再発見するきっかけとなるでしょう。


4. 公開講座で得られるメリット|知識・健康・社会とのつながり

大学の公開講座は、単なる学びの場にとどまらず、シニア世代にとって生活全体を豊かにする多面的なメリットがあります。ここでは代表的な3つの効果について解説します。

① 新しい知識を得ることで脳が活性化

年齢を重ねても「新しいことを学ぶ」ことは、脳の活性化につながります。厚生労働省が策定した「認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)」でも、知的活動や社会参加を積極的に行うことが認知症予防に有効であるとされています。公開講座は体系的に学べるため、新聞や本を読むだけよりも深い知識習得が可能です。


② 学びが健康維持につながる

例えば、健康や運動に関する講座を受講すれば、正しい知識に基づいて日常生活を改善できます。ウォーキングの方法や食生活の見直しなどを学ぶことで、体力維持や生活習慣病の予防にも効果が期待できます。こうした「健康づくり」と「学び」を組み合わせられるのは、公開講座ならではの強みです。


③ 社会とのつながりを持ち続けられる

定年後に孤独感を抱くシニアは少なくありません。厚生労働省「国民生活基礎調査(2022年)」によると、65歳以上の単身高齢者のうち「孤独を感じる」と回答した人は男性で35.8%、女性で26.3%にのぼります。公開講座では同世代や若い世代と交流できるため、人とのつながりを保つ効果があります。特にグループワーク型の講座では、自然と会話や協力が生まれ、仲間づくりの場としても機能します。


公開講座に参加することは、「知識の獲得」「健康の維持」「社会的なつながり」の3つを同時に得られる貴重な体験です。これらはセカンドキャリアに必要な土台とも重なり、学びの積み重ねが次のキャリアやライフスタイルに直結していきます。


5. 公開講座を活かして新しい働き方につなげるステップ

大学の公開講座は、学び直しだけで終わらせるのではなく、セカンドキャリアへとつなげることができます。ここでは、そのための具体的なステップをご紹介します。

① 興味のある分野を選ぶ

まずは「自分がどの分野で活躍したいか」を考えることが大切です。福祉・介護、健康、語学、ITなど、公開講座には多様なテーマがあります。将来の仕事や地域活動に役立ちそうな分野を選ぶことで、学んだ知識を実践に結びつけやすくなります。


② 学んだ内容を生活や活動に活かす

受講した内容は、実生活や地域活動で積極的に試してみましょう。例えば、健康講座で学んだ運動法を日課に取り入れたり、語学講座で学んだ英会話をボランティア活動に活用することができます。知識を「実践」することで、自信につながり、さらに学びを深める動機にもなります。


③ 修了証や履歴をアピールに活用

一部の大学では、公開講座の修了証や受講歴を発行してくれる場合があります。これを履歴書や職務経歴書に記載すれば、再就職や新しい仕事探しの際に「継続的に学んでいる姿勢」を示すアピール材料になります。特に人材不足が課題となっている介護や地域支援の分野では、こうした学びの実績が評価されやすい傾向があります。


④ ネットワークを広げる

公開講座は、同じ関心を持つ仲間や、専門家である講師と出会える場でもあります。そこで得た人脈を通じて、地域活動や新しい仕事の紹介につながることも珍しくありません。特にセカンドキャリアを目指す際には「人とのつながり」が大きな力になるため、講座をネットワーキングの場として活用することも重要です。


大学の公開講座をセカンドキャリアに活かすためには、①分野を選ぶ → ②実生活で試す → ③修了証を活用する → ④ネットワークを広げる、という流れが効果的です。この一連のステップを踏むことで、「学び直し」が「新しい働き方」へとつながり、定年後の人生に新しい可能性を広げてくれます。


6. まとめ|学び直しが広げるシニアの未来

大学の公開講座は、シニア世代にとって「学び直し」を実現できる身近で有効な手段です。単なる趣味や知識習得にとどまらず、セカンドキャリアや地域活動に直結する可能性を秘めています。

人生100年時代といわれる現代では、定年後も20年以上の時間が続きます。その長い時間を「ただ過ごす」のではなく、自ら学び、挑戦し続けることで、経済的な安定や健康の維持、社会とのつながりを得られます。公開講座は、これらを一度に実現できる場として大きな価値を持っています。

また、公開講座を通じて得られるのは知識だけではありません。同じ志を持つ仲間との出会いや、現役世代との交流も大きな財産となります。学びの先にある「人とのつながり」が、孤立を防ぎ、精神的な充実感をもたらすのです。

これからの時代、シニアに求められるのは「柔軟に学び続け、社会で役割を果たし続ける力」です。大学の公開講座はその第一歩を後押しし、第二のキャリアや豊かな生き方を切り開く大きな可能性を提供してくれます。

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