1.リファラル採用とは?仕組みと一般的なメリットを整理
リファラル採用(Referral Recruiting)とは、社員やOB・取引先などが自社に合いそうな人材を紹介する採用手法のことです。企業が直接スカウトしたり、求人広告を出すのではなく、既存の人間関係を活かして信頼できる人材を迎える点が特徴です。
仕組みとしてはシンプルで、
1.社員が「自分の知人・元同僚・家族などを紹介」する
2.企業がその候補者と面談・選考を行う
3.採用が成立すれば、紹介した社員にインセンティブ(報奨金や表彰など)を付与する
という流れになります。
この方法の最大のメリットは、採用コストを抑えつつ、企業とのミスマッチを減らせること。人材紹介会社経由では30〜35%前後の紹介料が発生しますが、リファラル採用ならコストが約1/10以下に抑えられるケースもあります(出典:リクルートワークス研究所「リファラル採用の実態調査2023」)。
さらに、紹介者が企業文化を理解しているため、社風に合う人材を選びやすいという強みもあります。結果として、採用後の定着率が高くなる傾向があります。Indeed Japanの調査では、リファラル採用は定着率が高くなる傾向があるとされており、他の採用手法に比べて優位性を持つ可能性が指摘されています。
このようにリファラル採用は、「コスト削減」「マッチング精度」「定着率向上」という3拍子が揃った、次世代型の“信頼ベース採用”ともいえる手法です。
2.シニア人材との相性が良い理由|“紹介”で信頼関係を築く採用法
リファラル採用は、シニア人材との相性が非常に良いと言われています。その理由は大きく3つあります。
① 信頼ベースのネットワークを活かせる
シニア層は、長年の職業人生の中で築いてきた「人との信頼関係」や「専門分野での人脈」を多く持っています。現役時代の同僚や部下、取引先など、互いの実力や人柄を理解している関係が多いため、紹介する側も安心して推薦でき、紹介される側も前向きに応じやすいという特性があります。
この「信頼ベースの採用」は、書類や面接では見えにくい人間性や価値観のマッチングを実現します。実際、リクルートワークス研究所の「就職白書2023」によると、企業の約7割が「採用で重視するのはスキルよりも人柄・価値観」と回答しています。こうした傾向からも、“信頼できる紹介”を軸とした採用はミスマッチを減らす有効な手段といえます。
② シニア世代は“安定志向”より“貢献志向”
定年後に再就職を希望する人の多くは、「もう一度社会に貢献したい」「若手を支えたい」という想いを持っています。こうした価値観は、リファラル採用を通じて「誰かに勧められた仕事ならやってみよう」と感じやすい傾向を生みます。
求人広告よりも、“信頼できる人からの紹介”が心のハードルを下げ、応募につながりやすいのです。
③ “顔が見える採用”が定着率を高める
シニア層の転職・再就職でネックになりやすいのが「職場に馴染めるか」という不安です。リファラル採用では、すでに知人や元同僚が働いているケースが多く、入社初日から心理的安全性が高いというメリットがあります。
こうした「紹介者が身近にいる環境」は、シニア人材が安心して働き続ける上で非常に重要であり、結果として離職率の低下にも寄与します。
このようにリファラル採用は、単に採用コストを下げるだけでなく、信頼関係と安心感をベースにした“人間中心の採用手法”として、シニア層との親和性が高い仕組みといえます。
3.成功のポイント|シニア人材のリファラル採用を定着させる仕組みづくり
リファラル採用をシニア人材に広げるには、制度を導入するだけでは不十分です。社内文化として根付かせ、社員一人ひとりが「紹介したい」と思える仕組みづくりが成功のカギを握ります。ここでは、実際の企業でも成果を上げている4つのポイントを紹介します。
① リファラルカードなど“紹介ツール”を整備する
まず重要なのが、紹介のハードルを下げる仕組みです。社員が「誰に・どう紹介すればいいかわからない」と感じてしまうと、制度は形骸化します。
おすすめは、「リファラルカード」や「紹介チラシ」の作成。
QRコード付きで求人情報や企業サイトにアクセスできるようにし、「知り合いに配るだけ」で紹介が完了する形にすると効果的です。
特に、OB・シニア層が地域コミュニティや同窓会などで配布できるようにすると、自然な形でリファラルが広がります。
② 成功事例を共有して“紹介文化”を醸成する
リファラル採用が機能するには、「紹介した人が喜ばれている」空気を社内に作ることが欠かせません。
実際に採用につながった社員や紹介されたシニア人材のストーリーを社内報や社内SNSで紹介し、「誰かを紹介して良かった」という成功体験を見える化しましょう。
小さな成功を積み重ねることで、「うちの会社では紹介が当たり前」という文化が生まれます。
③ インセンティブ設計で“協力の輪”を広げる
紹介インセンティブは、金銭的報酬に限る必要はありません。
例えば「表彰制度」「ギフト券」「休暇付与」「食事会への招待」など、社員が誇りを感じる形でのフィードバックが効果的です。
特にシニア人材を紹介する場合は、「社会貢献への共感」も動機になりやすいため、“誰かの再出発を応援できた”というメッセージを込めると制度の定着率が上がります。
④ 経営層がメッセージを発信し、制度を“風土”にする
最後に欠かせないのが、トップメッセージです。
「私たちは人を通じて人を採用する」「経験豊富なシニアの力を信じている」と経営層が発信することで、社員が安心して紹介活動に参加できます。
経営理念や人材方針の一部としてリファラル採用を位置づけることで、単なる制度ではなく“文化”として定着します。
このように、ツール・風土・報酬・理念の4点を組み合わせることで、リファラル採用はシニア人材にとっても企業にとっても「持続可能な採用エコシステム」となります。
4.導入ステップ|シニア人材を対象としたリファラル採用の始め方
リファラル採用を成功させるためには、いきなり全社展開するのではなく、小さく始めて徐々に広げるステップ設計が有効です。ここでは、特に「シニア人材」に焦点を当てた導入プロセスを5段階で整理します。
① 現状把握|どんな“信頼ネットワーク”があるかを可視化する
まずは、社員やOBがどんな人脈を持っているかを棚卸しします。
社内アンケートやヒアリングを通じて、「過去に一緒に働いた優秀な人」「地域でつながりのある方」など、紹介ポテンシャルのある層を洗い出すことが第一歩です。
この段階で「どの部署・年代にリファラル適性があるか」を把握しておくと、後の展開がスムーズになります。
② 制度設計|シニア層を意識した“やさしい設計”を
リファラル制度を作る際は、複雑な申請やオンライン登録を避けることが大切です。
特にシニア人材を紹介する社員やOBは、紙媒体や口頭紹介を好む場合もあります。
「電話でも紹介OK」「名刺交換後に事務局へメール連絡」など、柔軟なフロー設計が導入成功のポイントです。
また、紹介対象を「元同僚・退職者・契約社員」まで広げることで、より多様な人脈を活かせます。
③ 連絡・対応フローを整える
紹介を受けた後の対応スピードも重要です。
紹介者に対しては「○○さんの紹介、ありがとうございました」と即時にお礼を伝え、候補者には“紹介経由”であることを前提に丁寧な対応を行いましょう。
紹介者へのフィードバックを怠ると、次回の協力が得られにくくなります。
「紹介したけどどうなったの?」を防ぐために、進捗共有の仕組みを整備することが必須です。
④ OB・社外ネットワークを活用する
現役社員だけでなく、退職者・協力企業・同窓会ネットワークなどを巻き込むと、シニア層との接点が格段に広がります。
特に近年は、LinkedInやFacebookなどでOBグループを形成している企業も増加しています。
そうしたネットワークを活用して「再び一緒に働ける機会」を提示すれば、信頼をベースにした採用チャネルとして定着します。
⑤ 効果測定と改善を定期的に行う
リファラル採用は“文化づくり”であり、一度作って終わりではありません。
紹介経由の応募率・採用率・定着率などを半年〜1年ごとに振り返り、社員アンケートで「紹介しやすさ」「紹介意欲」などを測定。
成果を見える化して社内に共有することで、モチベーションを維持しやすくなります。
このように、段階的に制度を整備していくことで、シニア人材を対象としたリファラル採用は“信頼関係を活かす持続的な採用チャネル”として企業の戦力強化に直結します。
5.まとめ|リファラル採用で“信頼採用”を実現しよう
リファラル採用は、単なる「紹介制度」ではありません。
それは、信頼・経験・人とのつながりを活かす採用文化です。特にシニア人材のように「人間関係を大切にし、誠実に働く層」にとって、リファラルは非常に自然で効果的な採用手法といえます。
本記事で紹介したように、
・コストを抑えつつ、マッチング精度を高められる
・信頼関係を通じて安心して働ける環境を整えられる
・社内外のネットワークを再活性化できる
という3つの効果が期待できます。
また、リファラルカードの導入や成功事例の共有、インセンティブ設計などを組み合わせれば、社員全員が「紹介する文化」を育てることが可能です。
人手不足が続く時代だからこそ、「信頼で人をつなぐ採用」はますます価値を増しています。
経験豊富なシニア人材を信頼の輪の中から迎え入れることが、企業の持続的な成長と多様性経営への第一歩となるでしょう。
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