深夜・夜間に働くなら?働く時間の目安・体調管理・割増賃金の基礎知識

仕事

1.【はじめに】深夜・夜間に働くシニアが増えている理由

最近、深夜や夜間の時間帯に働くシニアが少しずつ増えています。背景には「年金だけでは生活費が足りない」「日中は家事や介護で忙しい」「夜間のほうが体調リズムに合う」といった理由があります。特にパートタイム勤務や短時間シフトが選べる職場が増えたことで、69歳の女性でも無理なく働ける環境が整いつつあります。

厚生労働省の「高年齢者雇用実態調査(2023年)」によると、60歳以上で働く人の約半数が「収入を得るため」と回答しています。一方で、「健康の維持」や「社会とのつながり」を理由に働く人も多く、経済面だけでなく、心身の充実を目的に働くシニアが増えています。つまり、夜間の仕事は“生活費を補うため”だけでなく、“社会参加の手段”としても選ばれているのです。

また、深夜勤務の魅力は「人との距離がほどよい」「静かな環境で集中できる」「通勤ラッシュを避けられる」といった点にもあります。たとえば、コンビニや介護施設、警備、清掃などは夜間シフトを設けている職場が多く、短時間からでもスタート可能です。

ただし、夜の仕事には健康や安全面での配慮も欠かせません。次の章では、法律で定められた「深夜労働のルール」や「働く時間の目安」について解説します。


2.【基礎知識】深夜・夜間勤務の時間帯と労働基準法のルール

深夜・夜間の勤務といっても、法律上は明確に定義があります。
労働基準法では「午後10時から午前5時まで」の時間帯を深夜労働と定めており、この時間に働く場合は、通常の賃金に25%以上の割増賃金を支払う必要があります(※労働基準法第37条より)。

また、夜勤の勤務時間には「休憩」と「仮眠」の取り扱いにも注意が必要です。たとえば介護施設や病院などでは、夜勤中に休憩時間(通常は60分以上)を確保しなければなりません。一方、コンビニや警備などの職種では、交代制を導入して「3時間勤務+休憩+3時間勤務」といった形で働くケースもあります。
つまり、夜間勤務=長時間勤務というわけではなく、「短時間シフト制」で柔軟に働ける環境も増えています。

加えて、60歳以上のシニアの場合、企業は健康面への配慮義務を持ちます。労働安全衛生法に基づき、定期的な健康診断や面談の実施を求められることもあります。これは「年齢に応じた働き方を守る」ための大切な仕組みです。

深夜勤務の基本ルールを知っておくことで、トラブルや無理のない勤務スケジュールを組むことができます。
次の章では、夜間に働く際に特に気をつけたい「体調管理のポイント」を紹介します。


3.【健康管理】夜間の働く時間を無理なく続けるための体調対策

深夜・夜間の仕事を長く続けるには、何よりも「体調管理」が鍵になります。特にシニア世代の場合、生活リズムの乱れが睡眠不足や免疫低下につながりやすいため、働く前から“夜型のリズム”を少しずつ整えていくことが大切です。

まず意識したいのは「睡眠の質」です。夜勤明けには「朝日を浴びる前に帰宅し、暗い部屋で眠る」など、体内時計を整える工夫をしましょう。遮光カーテンを使ったり、アイマスク・耳栓を利用するのも有効です。また、夜勤の前後は無理に長時間眠ろうとせず、90分単位の“仮眠リズム”を取り入れると、スッキリと目覚めやすくなります。

次に、食事の取り方にも注意が必要です。夜間は消化機能が低下するため、脂っこいものや甘いものは控え、軽いおにぎり・スープ・ヨーグルトなどがおすすめです。勤務中の間食も、ナッツやバナナなどエネルギー補給に適した食品を選びましょう。カフェインは一時的な集中には効果的ですが、摂りすぎると眠れなくなるため、午前3時以降は控えるのが理想です。

さらに、軽いストレッチや深呼吸を取り入れて血流を保つことも大切です。特に冷えやすい夜間勤務では、体を温めることで眠気を防ぎ、集中力を維持できます。
健康的に夜間勤務を続けるためには、「働く前後の習慣づくり」が何よりのポイント。

次の章では、実際にどのくらい稼げるのか──深夜・夜間勤務の割増賃金と収入の目安を具体的に見ていきましょう。


4.【収入面】深夜・夜間勤務の割増賃金と実際の収入例

深夜・夜間勤務の大きな魅力のひとつが、「割増賃金による高い時給」です。
労働基準法では、午後10時から午前5時までの勤務には25%以上の割増賃金を支払うことが定められています(労働基準法第37条)。つまり、同じ仕事内容でも昼間より高い時給で働けるということです。

たとえば、通常の時給が1,000円の場合、深夜帯は1,250円以上になります。
もし1日4時間の深夜勤務(22時〜翌2時)を週3回続けた場合、
1,250円 × 4時間 × 12日=月6万円程度の収入になります。
日中の仕事や年金と組み合わせれば、月に10万円以上の副収入を得ることも十分可能です。

また、介護施設や病院などで夜勤手当が支給される職場では、1回の夜勤で5,000〜8,000円が加算されるケースもあります。
さらに、年末年始や休日の深夜勤務には、休日割増(35%以上)と深夜割増(25%以上)が重なり、60%超の割増となることも。少ない勤務日数でも効率的に収入を確保できる点が、夜間勤務の大きなメリットです。

ただし、無理な長時間労働は禁物です。体調を崩せば、結果的に働けなくなってしまいます。
「短時間でも続けられる働き方を選ぶ」ことが、シニア世代が夜間勤務を続けるための最大のポイントです。

次の章では、そんな夜間勤務の中でもシニアに向いている仕事の種類を紹介します。


5.【おすすめ職種】シニアに向いている夜間・深夜の仕事とは?

深夜・夜間に働くといっても、その仕事内容はさまざまです。ここでは、シニア世代でも無理なく続けられる代表的な職種を紹介します。ポイントは「体への負担が少なく」「人との関わりを保てる」仕事を選ぶことです。

① 警備・見回り業務

商業施設やオフィスビルなどでの夜間警備は、シニア層に人気の職種です。座ってモニターを監視したり、建物をゆっくり見回る業務が中心で、力仕事はほとんどありません。夜間の静けさの中で落ち着いて働ける点が魅力です。未経験者にも研修が用意されており、65歳以上でも採用されやすい傾向があります。


② コンビニ・スーパーの夜間スタッフ

夜間シフトのコンビニ勤務は、接客経験のあるシニアにおすすめ。お客様対応が中心ですが、深夜帯は比較的来店数が少なく、補充や清掃などのルーチン作業が多くなります。日中より静かな環境で働けるため、「人と関わりたいけど、にぎやかすぎるのは苦手」という方にも向いています。


③ 清掃・設備管理スタッフ

オフィスビルや病院、駅構内の夜間清掃は、短時間勤務が多く、体を軽く動かしたい方にぴったり。作業はチームで行うことが多く、コミュニケーションの機会もあります。「働きながら軽い運動になる」として健康維持を目的に選ぶシニアも増えています。


④ 介護施設の夜勤補助

介護職員初任者研修などの資格を持っている方なら、夜勤補助も選択肢に入ります。入居者の見守りや軽い介助、ナースコール対応などが中心で、医療職と連携しながら安心して働けます。施設によっては1回あたりの夜勤手当が高く、1回で1万円前後の手当が支給されることもあります。


⑤ 交通・物流関連(タクシー・仕分け・配送)

夜間のタクシードライバーや宅配仕分け業務も人気です。体力に自信がある人なら、数時間の短いシフトでもしっかり収入を得られます。最近は「高齢者ドライバーの安全運転サポート」も進み、無理のない働き方が可能になっています。

このように、深夜・夜間勤務といっても多様な働き方があります。大切なのは、「目的」と「体調」に合った仕事を選ぶこと。次の章では、夜間勤務を始める前に確認しておくべき注意点を紹介します。


6.【注意点】夜間勤務を始める前に確認しておきたいこと

夜間勤務は、収入面や自由な時間の確保など多くのメリットがありますが、始める前に確認しておきたいポイントもあります。無理なく、長く続けるためには、「働く環境」「健康状態」「安全対策」の3つをしっかりチェックしておきましょう。

まず大切なのは、健康状態の確認です。高血圧や糖尿病などの持病がある場合、生活リズムの変化が体調に影響することがあります。勤務前には医師に相談し、「夜勤でも問題ないか」を確認しておくのが安心です。また、夜勤明けに日光を浴びすぎると体内時計が乱れやすいため、帰宅時はサングラスをかけるなどの工夫も有効です。

次に、通勤と防犯面にも注意が必要です。夜間は交通手段が限られるため、勤務先までのアクセスや帰宅時の安全を事前に確認しておきましょう。特に女性の場合は、駅から職場・自宅までの道のりが明るく、人通りがあるかどうかをチェックすることが重要です。
最近では、防犯アプリや家族への位置共有サービスを利用して、安全を確保するシニアも増えています。

さらに、契約条件の確認も見落とせません。深夜手当の支給条件、休憩時間の取り方、健康診断の有無など、事前に雇用契約書をしっかり確認しておくことで、トラブルを防げます。
「夜間でも安心して働けるか?」という視点を持つことが、長く続ける秘訣です。

最後に、夜勤を続けるうえでは家族とのコミュニケーションも大切です。生活リズムがずれることで、家族とのすれ違いが生じる場合もあるため、勤務時間や休養の取り方を共有しておきましょう。

次の章では、これまでの内容をまとめつつ、夜間でも安心して働けるための心構えをお伝えします。


7.【まとめ】夜間でも安心して働くための工夫と心構え

深夜・夜間の仕事は、「自由な時間の確保」と「安定した収入」を両立できる魅力的な働き方です。特に、年金だけでは生活が不安なシニア世代にとって、夜間勤務は“第二の社会参加”の場としても注目されています。
一方で、生活リズムや健康への影響を考慮し、**「無理をしない」「続けられる範囲で働く」**という姿勢が何よりも大切です。

夜間勤務を長く続けるためのポイントは、次の3つにまとめられます。

1.体調管理を最優先にすること。
 睡眠リズム・食事・軽運動を意識し、働く前後のケアを習慣化しましょう。

2.安心できる環境を選ぶこと。
 勤務先の安全対策や休憩体制、通勤経路などを事前に確認することで、ストレスを減らせます。

3.自分に合った働き方を見つけること。
 短時間勤務や週2~3日のシフト制など、体に無理のないスケジュールを選ぶことで、長期的に続けられます。

    夜間勤務は「大変そう」というイメージを持たれがちですが、実際には“静かで落ち着いた環境で働ける”というメリットもあります。自分の体調・生活・目的に合わせて選べば、シニア世代でも安心して続けられる働き方です。

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