1.「ジオツアー」とは?初心者でも分かる基本解説
「ジオツアー」とは、地形・地質・自然の成り立ちを楽しみながら歩く観光スタイルのことです。日本各地には、火山、断層、海岸線、奇岩、台地など、地球の歴史が刻まれたスポットが数多く存在します。ジオツアーは、その“地球がつくった景観”をガイドや資料とともに巡り、自然の背景まで理解しながら楽しむ参加型ツアーです。
一般的な観光との大きな違いは、「見る」だけでなく「知る・学ぶ」という体験が組み合わさること。たとえば同じ海岸でも、「なぜその形ができたのか」「何万年前の地層が見えているのか」などを知ることで、景色の見え方がまったく変わります。
また、ジオツアーは“知識がないと参加できないのでは?”と思われがちですが、実際は初心者でも十分に楽しめます。ツアーには専門ガイドが同行することが多く、難しい説明は噛み砕いて話してくれるため、地質学に馴染みのないシニアでも安心です。
さらに、ジオツアーはゆっくり歩きながら自然を観察するため、ハードなトレッキングとは異なり体力に自信がない方でも参加しやすいのが特徴です。平坦な遊歩道を1〜2時間かけて巡るコースも多く、運動不足解消や健康維持にも役立ちます。
日本では、「日本ジオパークネットワーク(JGN)」が認定するエリアを中心に、多くの地域でジオツアーが開催されています。観光協会や市町村、専門ガイド団体が主催しており、各地で季節ごとの特色を活かしたツアーが組まれているため、何度参加しても新鮮な発見に出会えます。
2.シニアにジオツアーが人気の理由
ジオツアーがシニア世代に人気を集めているのは、「健康」「学び」「仲間づくり」の3つを同時に満たせるからです。激しい運動を必要とせず、興味の幅を広げながら自然の中をゆったり歩けるため、60〜70代の参加者は年々増えています。
まず、ジオツアーの大きな魅力は “無理なく歩ける自然体験” であること。ハイキングほど長距離でもなく、観光のように座りっぱなしでもない、ちょうどよい運動量が確保できます。特に、遊歩道を中心としたジオパークが多いため、普段あまり運動しないシニアでも負担が少なく、心肺機能の維持や生活習慣病の予防にも役立ちます。
次に、人気を支えるポイントとして 知的好奇心を満たせる点 が挙げられます。地形や地層の成り立ち、生物の歴史など、普段触れる機会の少ないテーマを学べるため、「新しいことを知りたい」「好奇心を刺激したい」というシニアから高い支持を得ています。ガイドの説明を聞くことで、景色の見え方が変わり、“自然を読む楽しさ”が生まれ、リピーターが多いのも特徴です。
さらに、ジオツアーは 参加者同士が会話しやすい のも魅力のひとつです。同じ場所を歩き、同じ景色を見て、同じ話題を共有するため、自然とコミュニケーションが生まれます。「初めて会った人とも仲良くなれた」「同年代の友達ができた」という声も多く、社会的なつながりを求めるシニアにとっては大きなメリットです。
自然の中で過ごす時間はストレスを軽減し、心を整える効果もあります。森や海岸でのウォーキングは気分転換になり、リフレッシュ効果も抜群。都市部のシニアにとって、気軽に“自然と触れ合う時間”を持てることは大きな価値となっています。
このようにジオツアーは、「健康」「学び」「仲間」のすべてを同時に叶える、シニア世代に非常に相性の良い活動と言えます。
3.ジオツアーの参加方法・探し方ガイド
ジオツアーは全国各地で開催されており、初心者でも簡単に参加できます。ただ、「どこで見つけたらいいの?」「ネットが苦手だと探しにくい?」と感じるシニアも多いでしょう。ここでは、ネットに慣れていない方でも見つけやすい方法を含めて、最も探しやすい情報源を紹介します。
① まずは「日本ジオパークネットワーク(JGN)」の公式サイトをチェック
日本国内のジオパークは、JGN(日本ジオパークネットワーク)がまとめており、
「どの地域でどんな特徴があるのか」が一目で分かる一覧ページがあります。
多くのジオパークでは、公式サイト内で「イベント」「ガイドツアー」「見学会」などの情報が掲載されているため、最も確実な探し方です。
・地域別に調べられる
・初心者向けの案内が多い
・公的な団体なので信頼性が高い
ネット操作ができる方は、まずここを見るのが最もおすすめです。
② 各地域の「観光協会」「市区町村の観光課」が意外と穴場
観光協会のホームページや窓口では、ジオツアーのパンフレットや最新情報を入手できます。
・“地元ならでは”のツアー情報が多い
・未掲載の新しいツアーを紹介してくれる場合もある
・イベントカレンダーで簡単にチェックできる
ネット検索で
「地域名 + ジオツアー」「地域名 + ジオパーク」
と入れると見つかりやすいです。
③ ガイド団体やNPOが主催する少人数ツアーもおすすめ
全国のジオパークでは、専門ガイド団体やNPOが 定期的に少人数ツアー を開催しています。
・歩行ペースがゆっくり
・初心者向けの解説が豊富
・シニアの参加者が多い
「ゆっくり歩くツアーが良い」「専門家の説明を聞きたい」
そんな方はこのタイプのツアーが向いています。
④ ネットが苦手なら“紙のパンフレット”が一番分かりやすい
以下の場所でパンフレットが手に入ります。
・道の駅
・観光案内所
・地域の公民館
・ジオパークセンター
地図つきで見どころが分かるため、スマホが苦手なシニアでも安心です。
⑤ 旅行会社の“ガイド付き日帰りツアー”を利用する
大手旅行会社でも、最近はジオツアーを企画するケースが増えています。
・バスで移動
・歩く距離が短め
・ガイドの説明付き
移動から案内までお任せできるため、「手軽に楽しみたい」「一人参加が不安」という方にぴったりです。
⑥ 迷ったら「初心者向け」「ゆっくり歩く」表記のツアーを選ぶ
初めて参加するシニアに特におすすめなのは、以下の表記があるツアーです。
「初心者向け」
「入門コース」
「歩行距離 2km 以下」
「ゆっくり歩くツアー」
「高低差が少ない」
体力に自信がなくても安心して楽しめます。
このように、ジオツアーはネット・紙・旅行会社など、さまざまな方法で探せるため、「初めてだけど少し不安」という方でも十分に参加しやすいのが魅力です。
4.初心者シニアにおすすめの楽しみ方
ジオツアーは「歩く」「観察する」「学ぶ」をセットで楽しむ活動ですが、初心者のシニアでも無理なく、そしてより深く楽しむためのポイントがあります。ここでは、体力に自信がない方でも安心して満喫できるコツをまとめました。
① 無理なく歩くために“ペース配分”を最優先にする
シニアがジオツアーを楽しむうえで最も大切なのは、ゆっくり歩くことを前提とすることです。ジオツアーの主役は景観や地質の説明なので、速く歩く必要はありません。むしろ、
「ゆっくり進む → 景色を観察 → 立ち止まって説明を聞く」
というリズムが最も適しています。
・こまめに深呼吸する
・歩幅を小さくして疲労を溜めない
・立ち止まりながら解説を楽しむ
これだけで体の負担は大きく減り、最後まで快適に歩けます。
② ガイド付きツアーの“解説力”が楽しさを倍増させる
初心者のシニアには、ガイド付きツアーの参加を強くおすすめします。
理由はシンプルで、ガイドがいるかどうかで満足度が大きく変わるからです。
特に魅力的なのは以下のポイント
・地形 / 地質に詳しい専門家が分かりやすく解説してくれる
・難しい説明をかみ砕き、「なぜ」「どうして」を理解できる
・見逃しがちなポイントを教えてくれる
・質問にもその場で答えてくれる
「ただ岩を見ただけではよく分からない」という不安も、ガイドがいることで一気に解消され、知的好奇心を満たしながら楽しめます。
③ 季節ごとの自然を味わう“ゆる楽しみ方”がおすすめ
ジオツアーは季節ごとに楽しみが変わります。
春:新芽や花と一緒に地形を観察
夏:海岸ジオツアーや洞窟涼感ルートが快適
秋:紅葉×地層のコントラストが美しい
冬:火山地帯や温泉地をテーマにしたツアーが人気
「季節に合わせてテーマを選ぶ」と、1年中飽きることなく楽しめます。
④ 最初のツアーは“初心者専用コース”を選ぶと安心
ジオツアーのコースには、初心者向けから本格ハイキング型まで幅広くあります。
初めての場合は、以下の条件を満たすツアーが理想的です。
・歩行距離2〜3kmほど
・高低差が少ない
・休憩ポイントが多い
・所要時間が1時間〜2時間程度
最初に「ちょうどよい達成感」を得ると、自信がつき、次のツアーへの意欲にもつながります。
⑤ 写真を撮りながら“自分だけの記録”をつくると楽しさ倍増
スマホやコンパクトカメラで写真を撮りながら参加すると、視線が深まり、後から振り返る楽しみが増えます。
・面白い地層
・不思議な岩の形
・断層
・コケや植物
・風景の変化
「この地形はどうやってできたのだろう?」と疑問を持ちながら歩くことで、学びの質も自然と上がります。
初心者シニアがジオツアーを楽しむために必要なのは、特別な体力や知識ではなく、“ゆっくり味わおう”という気持ちだけです。無理をせず、季節と景色を楽しむスタイルで、安心して参加できます。
5.シニアでも安全に楽しむための注意点
ジオツアーは比較的安全に楽しめるアクティビティですが、自然の中を歩く以上、事前準備や注意点を押さえておくことが大切です。特にシニアの場合は、「無理をしない」「環境に合わせる」という基本姿勢が安全につながります。ここでは、安心して参加するためのポイントをまとめます。
① 服装・持ち物は“軽く・歩きやすく・気候に合わせる”が基本
ジオツアーでは「歩く」「立ち止まる」「風を浴びる」などの状況が多いため、服装や持ち物の準備がとても重要です。
<おすすめの服装>
・歩きやすい運動靴(滑りにくいもの)
・動きやすい長袖 / 長ズボン
・帽子(日差し / 木の枝対策)
<あると便利な持ち物>
・500ml程度の水分
・タオル
・小さなリュック(両手が空く)
・雨具(折りたたみ傘よりレインウェア)
・常備薬
特に足元は安全の要で、滑りやすい靴や革靴は転倒リスクが高いため避けましょう。
② 体力に合わせたコース選びが事故防止につながる
ジオツアーには、平坦な散策コースから、坂道や岩場の多い本格的なルートまでさまざまです。初めての方や体力に不安がある方は、以下のような条件を満たすコースが最適です。
・歩行距離 2km 前後
・高低差が小さい
・休憩スポットが多い
・所要時間 1〜2時間
特にシニアに人気なのは、遊歩道を中心としたジオパークの“初心者コース”です。無理なく歩けるため、ツアーの途中で疲れすぎる心配もありません。
③ 天候・足元チェックは最重要ポイント
自然の中では、天候に左右されやすいため、必ず以下の点を確認しましょう。
・前日 / 当日の天気予報
・路面の状態(雨上がりは滑りやすい)
・強風 / 雷の注意報
特に火山地帯や海岸線は強風の影響を受けやすく、足場が悪くなる場合があります。ツアー主催者が「中止」や「変更」にするのは、安全を最優先しているためですので、指示に従うことが大切です。
④ 心配なときは“ガイド付きツアー”を選ぶと安心度が大幅アップ
安全面で不安があるシニアの方は、ガイド付きツアーを選ぶと安全性が格段に高まります。
・危険箇所を事前に把握して案内してくれる
・体調や歩行ペースを気にかけてくれる
・トラブル時にすぐ対処してもらえる
・休憩タイミングを調整してくれる
一人では気づけない危険ポイントを避けられるため、安全面では非常に心強い存在です。
⑤ ツアー参加前に“健康状態のセルフチェック”を
以下のような状態の場合は、当日の参加を控えるか、短いコースへ変更しましょう。
・前日の疲れが残っている
・睡眠不足
・持病が不安定なとき
・足や腰に痛みがある
ジオツアーは急がず楽しむことが目的なので、「行ける範囲で楽しむ」という姿勢が最適です。
これらのポイントを押さえておけば、シニアでも安心・安全にジオツアーを楽しむことができます。「無理のない準備」と「気持ちの余裕」が、自然を満喫するための最高のパートナーになります。
6.全国のシニア向けおすすめジオツアー・ジオパーク紹介
日本は「火山の国」と呼ばれるほど地形の多様性が高く、日本ジオパークネットワーク(JGN)に加盟するジオパークは全国に多数存在します。その中でも、シニアが“無理なく歩けて・見どころが分かりやすい”スポットを厳選してご紹介します。
① 糸魚川ジオパーク(新潟県)|日本で最初の世界ジオパーク
糸魚川ジオパークは、日本で初めて「ユネスコ世界ジオパーク」に認定された地域。
特にシニアに人気なのは、“フォッサマグナ”を歩いて学べるルートです。
・歩きやすい遊歩道が多い
・案内板が充実していて初心者向け
・海 / 山 / 地層が近距離で見られるため理解しやすい
案内所が多く、地元ガイドの解説も丁寧なので、初めてのジオツアーにもぴったりです。
② 三陸ジオパーク(岩手〜宮城)|大規模な海岸景観をゆっくり歩く
三陸ジオパークは、圧倒的なスケールの海岸景観と津波の歴史を学べるエリア。
中でも初心者におすすめなのは、浄土ヶ浜エリアの散策ルートです。
・平坦で歩きやすい
・絶景が続き、写真スポットが豊富
・海の浸食による地形がわかりやすい
遊歩道が整備されており、安心して海岸線を楽しめます。
③ 阿蘇ジオパーク(熊本県)|世界最大級のカルデラを体感
阿蘇は世界最大クラスのカルデラ地形が見られることで有名です。
「火山=危険」と思われがちですが、ガイド付きツアーを選べば安心して学べるのがポイント。
・広大でスケール感のある景観
・短時間で楽しめる展望型コースが多い
・地質だけでなく草原文化も学べる
坂道が不安な方は、展望台中心のツアーが最適です。
④ 島原半島ジオパーク(長崎県)|火山×歴史が学べる入門に最適な場所
島原半島は雲仙普賢岳の噴火で有名な地域。
その分、地形の変化や災害の歴史が分かりやすく、学びやすいのが特徴です。
・歩きやすいコースが多い
・噴火や地殻変動の仕組みを学べる
・道の駅 / 資料館が充実していて休憩しやすい
「火山がどうやって山をつくるのか」が分かりやすく、人気が高いエリアです。
⑤ 室戸ジオパーク(高知県)|地球の“成長する大地”を歩いて実感
室戸は、地震やプレート運動により大地が持ち上がる「隆起」が続く地域。
海岸沿いには不思議な岩や地形が連続し、シニアでも楽しめる散策ルートが揃っています。
・海岸線の遊歩道は平坦で歩きやすい
・奇岩が多く見た目が楽しい
・ガイドの話が分かりやすい
「見た目のインパクトが強くておもしろい」と評判のジオパークです。
⑥ 群馬・下仁田ジオパーク(関東)|地層がきれいに見えて初心者に人気
関東で日帰り参加がしやすいのが下仁田ジオパーク。
地層や断層が見やすく、“教科書の図がそのまま目の前にある”という感覚を味わえます。
・初心者コースが豊富
・帰りに温泉をセットで楽しめる
・車がなくてもアクセスしやすい
関東在住のシニアに特に人気です。
⑦ 小笠原ユネスコ世界自然遺産(東京都)|特別な自然体験を味わえる場所
体力に余裕があり、少し冒険したいシニアには小笠原も選択肢になります。
・固有種が多い
・海 / 山 / 断層の変化が大きい
・ガイドツアーが豊富
※移動に時間がかかるため「じっくり楽しみたい方」に向いています。
<まとめ>
| ジオパーク名 | 特徴 | 歩きやすさ | 初心者向け度 |
|---|---|---|---|
| 糸魚川 | 世界ジオパーク・海と山を両方楽しめる | ◎ | ◎ |
| 三陸 | 海岸線の絶景が続く | ◎ | ◎ |
| 阿蘇 | 大スケールのカルデラ | ○ | ○ |
| 島原半島 | 火山×歴史が学べる | ◎ | ◎ |
| 室戸 | 隆起の大地が面白い | ◎ | ◎ |
| 下仁田 | 地層がきれいでアクセス良好 | ◎ | ◎ |
| 小笠原 | 特別な自然体験 | △ | △ |
どの地域も個性があり、目的や体力に合わせて選べるのがジオツアーの魅力です。
“ゆっくり歩き、自然を学び、仲間と出会う”──それだけで日々の充実感はぐっと高まります。
7.まとめ|ジオツアーは“学び×自然×健康”が両立する最高の趣味
ジオツアーは、ただ「自然を見て歩く」だけの活動ではありません。地形や地層の成り立ちを知り、ガイドの説明を聞きながら、普段とはまったく異なる視点で自然に触れられる“学びの旅”です。そしてその魅力は、特にシニア世代の生活に大きなプラスをもたらします。
まず、無理なく続けられる運動という点が大きなメリットです。遊歩道をゆっくり歩きながら自然を観察するスタイルは、関節への負担も少なく、普段運動不足の方でも安心して取り組めます。また、地形を見ながら歩くという動作は、脳に良い刺激を与え、認知機能の維持にも良い影響があると言われています。
さらに、ジオツアーは単なる散策ではなく、知的好奇心を満たし、人生に新しい発見を与えてくれる学びの場でもあります。同じ景色でも、その成り立ちを知るだけで見え方はまったく変わり、驚きや感動が生まれます。「地球の歴史を知るなんて学生時代以来だ」という方も、改めて自然の奥深さを感じるきっかけになります。
そしてもうひとつ重要なのが、仲間づくりと社会とのつながり。同じツアーに参加する人は、興味や目的が似ているため、自然と会話が弾みます。「久しぶりに友達ができた」「同年代の仲間と出かける楽しみが増えた」という声も多く、精神的な充実感にもつながります。
ジオツアーは体力、知識、経験のどれかが必要というものではありません。必要なのは、「自然を楽しみたい」という気持ちだけ。初心者向けのコースやガイド付きツアーも多いため、68歳のAさんのように「自然に触れてリフレッシュしたい」「新しい趣味を見つけたい」という方にもぴったりです。
今まで気づかなかった“大地の物語”に触れることで、日常に楽しみと活力が生まれます。ぜひ一度、気軽にジオツアーへ出かけてみてはいかがでしょうか。
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