1.シニア旅が人気の理由とは?70代からの旅行が増えている背景
近年、「シニア旅」を楽しむ70代が急増しています。旅行会社各社の調査でも、60〜70代の旅行参加率はコロナ禍前を上回る勢いで回復し、特に“ゆったり系”の旅が選ばれる傾向が強くなっています。背景には、ライフステージの変化や健康志向の高まりなど、いくつかの理由があります。
1|自由な時間が増え、「やりたいことをやる」意識が高まる
子育てや仕事を離れ、70代は人生で最も自由時間が多くなる時期です。「今の自分に合った楽しみを見つけたい」「人生の後半を豊かにしたい」という気持ちから、旅への関心が一気に高まります。特に女性は、友人同士や一人旅など、自分のペースで動ける旅を選びやすい傾向があります。
2|旅が“健康づくり”として注目されている
旅は単なる娯楽ではなく、健康維持の手段としても効果的とされています。
たとえば、観光庁が公表しているデータでは、旅行をする高齢者は「外出頻度」「歩行量」「社会的つながり」を維持しやすく、認知機能の低下予防にもつながると示唆されています。
軽い運動、普段と違う景色、季節の変化を楽しむことは、心身の刺激となり、70代の健康寿命にも良い影響を与えてくれます。
3|仲間づくり・孤独感の解消につながる
退職後、急に人とのつながりが減り寂しさを感じる方も少なくありません。旅は、同じ趣味の仲間や同年代の友人と交流するきっかけになります。
シニア向けツアーや地域の趣味サークルが企画する小旅行など、「旅を通して仲間と出会える場」が増えていることも、シニア旅の人気を後押ししています。
4|スマホ・タブレットの普及で旅が身近になった
スマホの地図アプリ、写真、ホテル予約などが使いやすくなったことで、「70代でも安心して旅できる」と感じる人が増えています。SNSで旅の記録を友人と共有する人も多く、旅行が“社会参加”のひとつになりつつあります。
2.70代に最適!“無理しない”シニア旅の基本スタイル
70代からの旅で最も大切なのは、「無理をしない」ことです。体力や生活リズムが変わってくるこの年代では、若い頃と同じようなスケジュールで動こうとすると、疲れがたまり、せっかくの旅行が楽しめなくなってしまいます。ここでは、シニア世代が快適に旅を楽しむための基本スタイルを紹介します。
1|1日の移動量は“少なめ”がちょうどいい
シニア旅では、移動時間は短め・観光地は少なめが鉄則。
例えば、1日5〜6カ所を巡るような観光は、足腰への負担が大きくなりがちです。代わりに、
・1日2〜3カ所に絞る
・歩く距離は短め
・休憩時間を多めに取る
といったプランにすると、余裕を持って楽しめます。
また、ホテルは駅チカ、観光地に近い場所を選ぶと移動がスムーズで負担が軽減されます。
2|宿・交通の選び方で旅の快適度が変わる
シニア旅は、「移動と宿泊」をどう選ぶかで旅の質が大きく変わります。
●交通手段のポイント
・駅構内の段差/乗り換えの距離を確認
・特急や新幹線は「グリーン車」や「指定席」を活用
・バスやツアーの場合は、休憩の頻度もチェック
また、タクシーを適度に使うのも“賢い選択”。疲れを翌日に残さないためにも、移動の負担は減らすのがベストです。
●宿泊先のポイント
・エレベーターがある
・温泉/大浴場までの距離が遠すぎない
・ベッドの高さが低すぎない
・バリアフリー対応の部屋がある
これらの条件を満たしている宿を選ぶと、70代でも安心して過ごせます。
3|食事・休憩・睡眠のリズムを整えて旅をもっと快適に
シニア旅は、普段の生活リズムを崩さないことも大切です。
●食事
旅先ではつい豪華な料理を頼みがちですが、70代では胃腸に負担がかかることも。
和食中心・量は控えめを意識すると快適に過ごせます。
●休憩
こまめな休憩は“旅の疲れをためない秘訣”。
特に観光地では、30分〜1時間おきにベンチやカフェで休むくらいが理想的です。
●睡眠
寝具の高さや部屋の環境が変わるため、いつもより早めに就寝すると翌日の体調が安定します。
3.タイプ別:シニア旅のおすすめプラン3選
70代の旅は、「体力」「興味」「旅行スタイル」によって楽しみ方が大きく変わります。ここでは、無理なく楽しめて人気の高い“シニア向け3つの旅タイプ”を紹介します。どれも70代の女性が安心して挑戦できるプランです。
① 自然派:のんびり温泉&季節の自然を満喫する旅
自然の景色を眺めたり、温泉で体を癒したりする“自然派の旅”は、シニア旅の王道。特に70代の女性には人気が高く、「歩きすぎない」「移動が楽」「心が落ち着く」と好評です。
おすすめポイント
・温泉で血行がよくなり、関節のこわばりや冷えが和らぐ
・山や海などの自然はストレスを軽減し、心の安定に寄与
・季節の花や紅葉を楽しむ“ゆったり散策”が無理なくできる
旅先としては、草津・箱根・由布院・登別など、シニアに人気の温泉地が安心。
宿は「バリアフリー対応」や「食事会場が近い」など、移動の負担が少ない場所を選ぶとさらに快適になります。
② 文化派:歴史散策・街歩き・美術館めぐりを楽しむ旅
「昔から歴史が好き」「街歩きが趣味」という方には文化派の旅がぴったり。体力が必要な登山やハードなアクティビティを避けつつ、知的好奇心を満たせるのが魅力です。
おすすめポイント
・美術館や博物館は休憩スペースが多く、体に優しい
・街歩きは自分のペースで進められる
・ガイド付きツアーを利用すれば、より深く学べる
人気スポットとしては、金沢(アートと伝統文化)、京都(寺社めぐり)、倉敷(美観地区の散策)などが挙げられます。
ちょっとしたコツ
午前に1つ観光、午後に1つ観光、といった“2カ所制限ルール”にすると疲れにくく、楽しさが続きます。
③ 交流派:シニア向けツアーや趣味仲間と行く旅
「せっかくなら旅先でも人との交流を楽しみたい」という方には、交流型の旅が人気です。
交流派が選ばれる理由
・同年代の参加者が多く、自然と会話が生まれる
・初めての土地でもガイド付きで安心
・スケジュール管理は旅行会社任せで疲れにくい
最近では、自治体・地域サークル・旅行会社が“シニア限定ツアー”を企画することも増えています。趣味仲間との日帰り旅行は、気軽に参加できて、友人づくりにも最適です。
おすすめの交流型旅の例
・写真サークルで行く季節の風景撮影旅
・健康づくりプログラム付き温泉ツアー
・シニア限定のクルーズ旅行
人との出会いが新鮮で、心が若返ると感じる方も少なくありません。
4.シニア旅を安全・快適にする持ち物&準備リスト
70代からの旅を安心して楽しむためには、「持ち物」と「事前準備」がとても重要です。旅先でのトラブルは体力・不安・環境の変化から起こりやすく、ちょっとした工夫で防げることがたくさんあります。ここでは、シニア世代が快適に過ごすための基本リストとポイントを紹介します。
1|必携アイテム:安心して旅を楽しむための持ち物
シニア旅では「荷物は軽く」が基本ですが、絶対に忘れてはいけないものがあります。
●健康・安全系アイテム
・常備薬(1〜2日分多めに)
・お薬手帳/診察券/保険証
・血圧手帳、血糖値管理が必要な場合の道具
・バンドエイド/消毒液などの簡易救急セット
・暑さ/寒さ対策の薄手の上着やストール
万が一の体調不良にも対応できるよう、「必要な薬+確認できる情報」を持ち歩くことがポイントです。
●移動を快適にするアイテム
・歩きやすい靴(クッション性のあるもの)
・折りたたみ杖(必要な方のみ)
・水分補給用の小さめのボトル
・荷物を軽くするショルダーバッグまたはリュック
靴は新しいものではなく、履き慣れたものがベストです。
2|トラブルを防ぐための事前準備
旅先での不安を減らすには、出発前の準備が欠かせません。
●宿泊先の確認
・部屋の段差の有無
・エレベーターの位置
・大浴場までの距離
・食事会場までの移動が長すぎないか
特に大浴場は滑りやすいので、「部屋風呂付きプラン」を選ぶのも安心です。
●移動ルートの確認
スマホの地図アプリ、紙の地図、どちらも使えるように準備しておくと安心。
最近では「乗換案内アプリ」が非常に使いやすく、70代でも操作が簡単なものが増えています。
●緊急時の連絡先リスト
家族の連絡先、宿泊先、最寄りの医療機関などをメモしておくと、万が一のときに迅速に対応できます。
3|リスクに備える保険やサポートサービス
70代の旅行には、「もしものリスク」を減らす保険やサポートの利用が有効です。
●国内旅行保険
ケガや病気、携行品の破損などに対応しているものもあり、数百円〜加入できます。
高齢者向けプランを扱う保険会社も増えているため、出発前に比較しておくと安心です。
●旅先の医療サポート
最近は、宿泊施設が医療機関と連携して「オンライン医療相談」を提供しているケースもあります。
体調が不安定になりやすい年代だからこそ、こうしたサービスを備えた宿を選ぶのも賢い方法です。
●旅行会社のシニア向けサポート
・添乗員が同行してくれる
・荷物運搬サービス
・車いす対応の移動サポート
など、70代向けの“手厚いサポートツアー”が増えています。
5.無理なく続けるために|シニア旅で得られる心と体のメリット
70代からの旅には、単なる気分転換以上の“心と体へのプラス効果”があります。特にシニア世代は、環境を変えることや人と関わることが、健康・幸福感に大きく影響する年代です。ここでは、無理のない旅を続けることで得られる主なメリットを見ていきましょう。
1|軽い運動が習慣化し、健康維持に役立つ
旅行中は自然と歩く機会が増えます。
「観光スポットまで歩く」「宿周辺を散策する」など、無理のない範囲で体が動くため、関節や筋力を維持するのに役立ちます。
実際、国土交通省の調査によれば、旅行をする高齢者は“日常の歩数が多くなる傾向”や“外出頻度が増える”という結果もあり、身体活動量の増加が健康寿命に良い影響を与えると示唆されています。
普段は運動習慣がない人でも、旅をきっかけに「歩くことが楽しい」と感じる方は多く、これが健康維持につながります。
2|認知症予防や脳の活性化にもつながる
旅は脳の刺激にもなります。
・初めて見る景色
・旅先の人との会話
・いつもと違う行動
・行き先を考えるプロセス
これらはすべて“脳の前頭葉”を活性化させる要因です。
高齢者の脳活動に関する研究でも、「新しい体験・外出・交流」が認知症予防に効果があるとされており、旅はそのすべてを満たしています。
特に一人旅や友人との旅では、「段取りを考える」「予定を調整する」などの思考活動が増え、脳への良い刺激になります。
3|仲間づくりになり、孤独感が軽減される
退職後、多くの人が感じるのがつながりの減少です。
旅は新しい仲間と出会う絶好のチャンス。
・シニア向けツアーの参加者
・宿の人や観光地での出会い
・趣味サークルの小旅行
こうした交流から友達ができ、旅行が“社会参加の場”になります。
特に70代女性は「誰かと体験を共有する」ことに幸福感を見いだす傾向が強く、旅はそのニーズに非常に合っています。
4|生きがいの再発見につながる
旅先で景色に感動したり、初めての体験をしたり、人と笑い合ったりすることで、「また来たい」「次はどこへ行こう?」という前向きな気持ちが芽生えます。
これは心理学の研究でも、“ポジティブな感情は生きがいの形成に大きく影響する”とされており、旅が心のエネルギー源になるのは自然なことです。
70代からでも、旅をきっかけに
・写真
・温泉めぐり
・ご朱印集め
・街歩き
など、新しい趣味に発展するケースも多く見られます。
6.まとめ|70代からの旅は“無理しない”が一番の楽しみ方
70代からのシニア旅は、「遠くへ行く」「たくさん観光する」ことよりも、自分のペースで心地よく過ごすことが一番のポイントです。
自然を感じながら温泉に浸かったり、歴史ある街をゆったり散策したり、同年代の仲間と笑い合ったり──。どれも無理をしなくてもできる、小さな楽しみの積み重ねです。
旅は、健康維持にも、気持ちのリフレッシュにも、仲間づくりにも役立つ“人生後半の良い習慣”。特に70代の女性は、環境の変化や人とのつながりが心の健康に大きな影響を与えるため、旅を生活に取り入れることで、日々の満足度もぐっと高まります。
まずは、
・「近場の日帰り温泉」
・「歩く距離の少ない街歩き」
・「気の合う友人との一泊旅行」
など、負担が少ない旅から始めるのがおすすめです。
そして、「楽しかった」「また行きたい」と感じる体験を重ねることで、旅があなたの“生きがいの一つ”となり、人生をより豊かに彩ってくれるでしょう。
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