1．週5日働くのが「きつい」と感じる理由とは？シニア特有の負担を整理する
定年後に再び働き始めるシニアの方の多くが、最初にぶつかる壁が「週5日勤務のきつさ」です。現役時代は当たり前にこなしていた働き方でも、60代後半以降になると、心身の変化や生活リズムの変化もあり、負担に感じるポイントが増えていきます。まずは、その理由を整理してみましょう。
■ 1. 身体的な疲れやすさの増加
年齢を重ねると、筋力や持久力が徐々に低下していきます。
スポーツ庁の「体力・運動能力調査」でも、60代後半は50代と比べて筋力が大きく低下する傾向があります。若い頃と同じペースで週5日の通勤・勤務を続けると、疲労が蓄積しやすく、翌日に疲れが残ることも増えていきます。
■ 2. 通勤負担の大きさ
特に都市部では、通勤電車の混雑や駅の階段の昇り降りが大きなストレスとなります。
また、施設管理や軽作業といった仕事でも、職場までの移動距離が長いと、それだけで1日の体力の多くを消耗してしまいます。
■ 3. 仕事内容とのミスマッチ
「思っていたより力仕事だった」「作業スピードが求められる職場だった」など、仕事内容が期待と違い、体力的・精神的な負担につながるケースもよくあります。
とくに週5日の場合、ミスマッチはストレス増加の最大の原因になります。
■ 4. 生活リズムが変わっている
定年後は自由時間が増え、生活リズムが大きく変化します。
これまでのように毎日決まった時間に起き、支度をして出勤する生活に戻すこと自体が負担になる方もいます。生活リズムの変化と週5日勤務のギャップが「きつい」という感覚を生みやすいのです。
■ 5. 目的意識とのズレ
「本当は週3〜4日で良かった」「収入はほしいけれど、趣味の時間も大切にしたい」など、働く目的と勤務日数が合っていないケースもあります。
目的と働き方がズレていると、毎日の仕事が“義務”のように感じられ、精神的にも消耗しやすくなります。
まずは「なぜきついのか」を知ることが、無理なく働き続けるための第一歩です。
この整理を踏まえ、次の章では「シニアが週5日働くメリット」もあわせて見ていきましょう。
2．週5日働き続けるメリットもある｜健康・収入・生活リズムの安定
「週5日はきつい」と感じる一方で、実はシニア世代にとって“週5日勤務だからこそ得られるメリット”も少なくありません。
負担を感じつつも多くの方が働き続ける背景には、生活の安定につながる要素がいくつもあります。ここでは、週5日勤務のメリットを整理し、自分に合う働き方を考える材料にしていきましょう。
■ 1. 安定した収入が得られる安心感
年金だけでは不安が残るという理由で、週5日勤務を選ぶ方は非常に多いです。勤務日数が多い分、パート・アルバイトでも収入が安定しやすく、家計に余裕が生まれます。
特に70歳前後では、
・医療費
・食費
・光熱費
・趣味や交際費
といった出費が増える傾向があります。
収入が安定すると「使いすぎたらどうしよう」という不安が和らぎ、精神的にもゆとりが生まれます。
■ 2. 毎日身体を動かす習慣がつく
軽作業や施設管理などの「身体を程よく動かす仕事」を週5日続けることで、適度な運動になり、健康維持につながります。
例えば、厚生労働省が発表しているフレイル予防の指針では、
「日常的な身体活動」が高齢者の筋力低下を防ぐ重要な要素 とされています。
仕事を通じて毎日歩いたり軽作業を行うことは、無理なく活動量を確保するうえで効果的です。
■ 3. 社会とのつながりを保ち、孤立を防ぐ
シニアの健康に影響するのは、体だけではありません。
「人とのつながり」があるかどうかも大きな要因です。
週5日働くことで、
・職場の仲間との会話
・ちょっとした相談
・“自分が必要とされている”という実感
といった心理的な充足感が得られます。
内閣府「高齢社会白書」でも、社会参加の有無は高齢者の幸福度に直結すると報告されています。
■ 4. 生活リズムが安定し、毎日が充実しやすい
毎日同じ時間に起きて支度をし、外に出る習慣があると、生活リズムが整いやすくなります。
特に定年直後は「昼夜逆転しがち」「だらける時間が増える」といった悩みもありますが、週5日の勤務はこうした生活の崩れを防ぐ効果があります。
さらに、「やることがある」「誰かに必要とされている」と感じながら過ごすことで、日々に張り合いが生まれ、精神面の安定にもつながります。
■ 5. 新しいスキルや人間関係が得られる
週5日通うことで、職場で任される仕事が増えたり、新しい機器の操作や安全管理を覚える機会も増えます。
・設備点検
・簡単なPC入力
・お客様対応
・新人への声かけ
など、シニアでも習得しやすいスキルが自然と身につき、「まだまだ成長できる」という実感が得られやすくなります。
週5日働くことは確かに負担もありますが、その分「安定」「健康」「つながり」「成長」といったメリットも非常に大きいのです。
次の章では、これらを踏まえて 週5日を無理なく続けるためのポイント を具体的に解説します。
3．無理なく続けるためのポイント｜仕事選び・時間配分・職場環境を見直す
週5日勤務はメリットも大きい一方、「無理なく続ける」ためには働き方そのものを工夫することが欠かせません。
シニア世代の多くが陥りやすい“働きすぎの落とし穴”を避けるためにも、仕事選び、時間配分、職場環境の3つを見直すことが重要です。ここでは、その具体的な方法を紹介します。
■ 1. 自分の体力に合った仕事内容を選ぶ
シニアが長く続けられるかどうかは、仕事内容との相性が大きく影響します。
● 長く続けやすい仕事の例
・施設管理／ビルメンテナンス
・ビル清掃（負荷の軽い区画を担当）
・マンション管理人
・警備（座り仕事中心の現場）
・事務補助やバックオフィスサポート
これらの仕事は「動きすぎない」「重い荷物を持たない」「ペースが穏やか」という特徴があり、68歳の方でも無理なくこなせる傾向にあります。
■ 2. 通勤時間を短くする
体力が落ちるほど、通勤の負担は仕事以上に大きくなります。
そのため 通勤30分以内 を目安に探すと、週5日の疲労が大幅に減ります。
特に駅の乗り換えが多い場合や、階段の多い駅は負担になりやすいため、勤務地のアクセスも事前に確認しておくと安心です。
■ 3. 「1日あたりの勤務時間」を調整する
週5日働く場合、1日6〜7時間以内 に抑えると体への負担が軽減されます。
例えば、
・9:00〜16:00の6時間勤務
・8:00〜15:00の軽作業
といった働き方は、身体の疲れが溜まりにくく、夕方以降の生活にも余裕が生まれます。
フルタイムに近い働き方を避け、「少し短めの勤務時間」にすると、一週間トータルの疲れが大きく変わります。
■ 4. 仕事内容や役割の調整を申し出る
応募時や面接の段階で、以下のポイントを伝えておくとミスマッチを防げます。
・体力的に無理のない作業を希望
・重い荷物や長距離移動は避けたい
・立ちっぱなしより、座り作業が多い現場を希望
・週5日だが「短時間勤務」で働きたい
企業側もシニアの方の継続率を重視しているため、遠慮せず相談するのがポイントです。
■ 5. 自分のペースで働ける職場を選ぶ
「スピードが求められる」「常に動き続ける」職場は、週5日勤務では負担になりやすいです。
一方で、シニアを積極採用している職場や、高齢者が多く働く現場はペースが穏やかで、無理なく働ける環境が整っています。
面接時にチェックすべきポイントとしては、
・同年代のスタッフがいるか
・作業ペースは速すぎないか
・休憩はしっかり取れるか
・シフトの融通は利くか
などがあります。
■ 6. 健康維持の習慣を取り入れる
週5日働くなら、日々の健康管理が欠かせません。
特に意識したいのは以下の3つです。
| 習慣 | 内容 |
|---|---|
| 軽い筋トレ | 足腰の筋力維持に効果的。転倒予防にもつながる。 |
| 睡眠の質向上 | 寝る前にスマホを見ない、湯船に浸かるなど。 |
| 休養日を固定 | 週末に必ず「休む日」をつくり、疲労をリセットする。 |
これらを習慣化すると、週5日勤務の負担が大きく下がります。
■ 7. 仕事以外の時間も楽しむ
働き続けるには「心の余裕」が大切です。
趣味、地域活動、家族との時間など、自分が楽しめる時間を大切にすることで、仕事の疲れが溜まりにくくなります。
週5日働くことは決して無理なことではありません。
ただし、「仕事内容」「通勤」「勤務時間」「環境」の4つを見直すだけで、負担は大幅に軽減できます。
次の章では、無理なく働き続けるためにおすすめの“週5日にこだわらない働き方” を紹介します。
4．シニアが働きすぎを防ぐコツ｜週5日にこだわらない柔軟な働き方も考える
週5日働くことは健康維持や収入面での安心につながる一方で、「毎日働くのは少し負担が大きい」と感じるシニアの方も少なくありません。実は、週5日にこだわらなくても、安定した収入と社会とのつながりを両立できる働き方はたくさんあります。ここでは、働きすぎを防ぎながら無理なく続けられる“柔軟な働き方”を紹介します。
■ 1. “週3〜4日勤務”という選択肢
最近では、企業側も 「短い日数で長く働いてほしい」 というシニア採用の考え方が広がっています。そのため、
・週3日勤務
・週4日勤務
といった働き方は非常に一般的になりました。
特に週4日は、
・完全に休める日が週に3日ある
・それでも生活リズムは崩れにくい
というバランスのよい働き方で、シニア層からの人気も高いです。
■ 2. 1日の勤務時間を短くする「短時間勤務」
週5日よりも“毎日の勤務時間”を調整するほうが働きやすくなるケースも多いです。
たとえば、
・1日4〜5時間のシフト
・午前のみ／午後のみ
・8:00〜13:00などの短時間
といった働き方は、身体の負担が少なく、週5日でも無理なく続けられます。
厚生労働省の調査でも、60代以降のシニアは「短時間勤務で長く働きたい」というニーズが高い と示されています。
■ 3. 「曜日固定」で休みを確保する
週5日勤務でも、
・毎週必ず同じ曜日に休む
・週の真ん中（水曜日）を休みにする
といった方法は負担軽減に効果的です。
特に“週の真ん中を休みにする働き方”は、
2日働く → 休む → 2日働く → 休む
というリズムになり、疲労が溜まりにくいのが特徴です。
■ 4. 自宅の近くで働く
柔軟な働き方の中でも見落とされがちなのが「勤務地の近さ」です。
徒歩や自転車で通える距離であれば、通勤ストレスがほぼゼロになり、週5日でも驚くほど負担が軽くなります。
特にシニアの場合、
・通勤時間
・乗り換えのストレス
・人混みでの移動
が疲れの原因になるため、“勤務地の近さは最強の働き方改革” といっても過言ではありません。
■ 5. 在宅ワークを組み合わせる
一部のシニア向け求人では、
・データ入力
・チェック作業
・電話受付
など、在宅でできる仕事も増えています。
完全な在宅でなくても、
「週1日は自宅作業ができる」
という働き方にすると、体力的な負担が大きく減ります。
■ 6. 一時的に働き方を緩める“スローペース期間”を設ける
季節や体調で無理な時期は、
・勤務時間を1〜2時間短くする
・勤務日を週4日に一時的に変更
といった「スローペース期間」を取り入れることで長く働き続けられます。
シニア採用に慣れている企業は、このような調整に柔軟に応じてくれることが多いので、遠慮せず相談してみるのがおすすめです。
■ 7. “週5日 → 週4日 → 週3日”と徐々にシフトする方法も
いきなり週5日で働き始めるのではなく、
まずは週3日 → 慣れたら週4日 → その後に週5日
というステップを踏むと、体力が無理なくついてきます。
特に久しぶりに仕事に戻る方は、「リハビリ期間」を設けることで、長期的に働きやすくなります。
働き方はひとつではありません。
週5日が合わないと感じても、「収入」「健康」「やりがい」を同時に満たせる働き方は必ずあります。
大切なのは、“自分に合ったペースで働くこと” です。
次は、具体的にどんな求人を選べばいいのか？探し方や注意点 を解説します。
5．どこで探す？シニア世代向け求人の探し方と注意点
週5日でも無理なく続けられる仕事を見つけるには、「どこで求人を探すか」「どんな情報をチェックするか」がとても重要です。シニア世代の場合、若い世代とは重視するポイントが異なるため、自分に合う求人の探し方を知っておくことでミスマッチを大幅に減らせます。ここでは、安心して働ける仕事を見つけるための“探し方”と“注意点”を整理します。
■ 1. シニア歓迎の求人サイトを活用する
現在は、シニア向け求人に特化したサイトが増えており、
・年齢不問
・60代／70代活躍中
・未経験歓迎
・週5日勤務OK
といった条件から探しやすくなっています。
シニア向け求人サイトを使うと、
・労働負荷が軽め
・通勤距離が短い職場
・シニアが多く働く現場
など、相性の良い求人が自然と集まりやすいのが特徴です。
■ 2. 地域のハローワークでも探せる
ハローワークにはシニア向けコーナーが設置されている地域も増えています。
担当者に「週5日で短時間勤務希望」「体力にあまり負担のない仕事を探している」など具体的に伝えると、条件に合う求人を提案してもらえます。
ハローワークは地元の求人が多いので、通勤負担を減らしたい方に特に向いています。
■ 3. 求人票でチェックすべきポイント
働き始めてから「思った仕事と違った…」とならないために、以下の項目は必ず確認しましょう。
● 仕事内容
力仕事の有無、1日の歩行距離、立ち作業かどうかなど。
● 勤務時間
1日6〜7時間程度に抑えられるか、休憩がきちんと確保されているかを確認。
● 通勤距離
30分以内が理想。徒歩・自転車圏内ならなお良し。
● シフトの柔軟性
「急な通院に対応してくれるか」「曜日変更が可能か」など。
● 同年代のスタッフの有無
同年代が多い職場は、ペースや作業量がシニアに合っている可能性が高いです。
■ 4. 面接で必ず聞いておきたいこと
求人票だけでは分からない部分は、面接時に必ず確認しましょう。
・重い荷物を持つ場面はどのくらいあるか
・1時間あたりの休憩や座れる時間はどれくらいか
・勤務開始のリズム（朝礼・引き継ぎの時間など）
・職場の雰囲気、同年代スタッフの割合
・週5日がきつくなった場合に“週4日勤務”などに変更可能か
こうした点を事前に聞いておくことで、働き続けられるかどうかの見通しが立ちます。
■ 5. 転職エージェント・派遣会社も活用できる
シニア向けの派遣会社や、シニア採用に積極的な企業と多くつながっているエージェントを利用するのも手です。
職歴や希望条件を伝えると、負担の少ない求人を紹介してもらえるので、自分では見つけにくい仕事に出会える可能性があります。
■ 6. 無理なく続けるための“事前シミュレーション”
応募前に、次のようなイメージをしてみるとミスマッチを防げます。
・その仕事を「毎日」やったときの負担は？
・通勤を含めた1日の疲労度は？
・週5日続けたとき、週末に疲れが残りそうか？
・自分の体力と生活リズムに合いそうか？
この「シミュレーション」を行うだけで、失敗のリスクは大幅に低くなります。
■ 7. 求人探しは“焦らない”のが成功のコツ
特にシニア世代は、応募する時期によって求人内容が大きく変わることがあります。良い求人を見つけるには、
・定期的に求人サイトを見る
・掲載が増えるタイミング（4月・10月前後）を狙う
・条件の優先順位を整理する
ことが大切です。
焦って決めるとミスマッチが生じやすく、疲れやすい働き方になってしまいます。
週5日という働き方を選ぶなら、負担の少ない仕事を選び、事前の情報収集をしっかり行うことが何より重要です。
最後に、この記事全体をまとめ、あなたに合う働き方をどう見つけるかを整理します。
6．まとめ｜無理なく働くためには「自分に合うスタイル」を見つけることが大切
「週5日働くのはきつい」と感じるのは、シニア世代にとって決して特別なことではありません。
年齢とともに体力や生活リズムが変わるのは自然なことですし、働き方に違和感があるのは“自分の体が発しているサイン”でもあります。
しかし、週5日勤務には、
・収入の安定
・毎日の運動習慣
・社会とのつながり
・心身の健康維持
・新しいスキルや役割の獲得
といった大きなメリットもあり、正しい働き方さえ選べば、68歳以降でも十分に続けていくことができます。
■ 無理なく働き続けるために大切なポイントは3つ
1. 仕事内容と体力の相性を見極める
負担の少ない仕事を選ぶことで、週5日勤務の“しんどさ”は大きく変わります。
特に施設管理や清掃、警備、事務補助などはシニアに人気で続けやすい仕事です。
2. 働き方そのものを調整する
・1日6〜7時間以内
・通勤30分以内
・座り作業が多い職場
・曜日固定の休み
など、柔軟な調整を行えば、週5日勤務でも無理なく続けられます。
3. 週5日にこだわらない働き方も視野に入れる
週3〜4日勤務や短時間勤務、在宅ワークを組み合わせるなど、負担を抑えながら収入やつながりを確保する方法もあります。
■ 自分に合う働き方は“比較と試行”で見つかる
求人を探すときは、
・通勤距離
・仕事内容の負荷
・シフトの柔軟性
・同年代スタッフの多さ
などを見比べながら、いくつかの求人を比較してみることをおすすめします。
また、応募前に
「この仕事を週5日続けたらどう感じるか？」
とシミュレーションしておくと、ミスマッチを避けやすくなります。
■ 今の時代、働き方は“選べる”
シニア向けの求人は、ここ数年で大きく増加しており、働き方の選択肢も広がっています。
あなたが70歳でも、75歳でも、働く意欲があれば挑戦できる環境が整っています。
大切なのは、頑張りすぎず「今の自分に合う働き方」を見つけること。
それができれば、週5日でも、週3日でも、あなたにとって最適なペースで、無理なく健康に働き続けることができます。
シニア向けの働きやすい求人を探したい方へ。あなたの体力や希望に合う仕事をまとめてチェックできます。今すぐシニア向け求人サイト「キャリア65」をご覧ください。
