完全シフト制で無理なく働く|シニア世代が選びたい“マイペース”な仕事スタイルとは?

仕事

1.完全シフト制とは?自由度の高さがシニア世代に注目される理由

「完全シフト制」とは、勤務日や勤務時間を企業側が固定せず 働く側が希望を提出し、それに基づいて勤務を調整する仕組み を指します。
一般的な「週5日」「固定時間」という働き方とは異なり、曜日や時間帯に縛られず、自分の生活スケジュールに合わせて働ける点が大きな特徴です。

特にシニア世代に注目される理由には、以下の背景があります。

通院や家族の介護と両立しやすい
自分の体調や体力に合わせて調整できる
趣味、地域活動、家庭の役割を優先できる
急な予定変更にも対応しやすい

定年後の生活では、働く目的が「フルタイムで稼ぐ」から「生活の安心を補いながら健康維持と社会参加」に変わっていく傾向があり、時間的制約のない働き方はそれにフィットします。
総務省統計局の発表によると、2024年の65歳以上の就業者数は過去最多を更新しており、特に「パートタイムや短時間勤務」など柔軟な働き方を選ぶ高齢者が増えてきています。定年後の就業が“フルタイム中心”から“柔軟な働き方”へ移りつつあることが伺えます。

また、企業側も人手不足への対応として、柔軟な働き方に対応できる人材を求める動きが加速しています。特に介護や小売、警備、施設管理などの現場では、「週3日だけ」「午前だけ」「夕方だけ」といった調整が利く人材は重宝され、結果としてシニアが活躍しやすい環境が生まれています。

完全シフト制は、 “頑張りたいときに働ける”“無理をせず調整できる”という、シニアにとって無理のない働き方を実現する方法のひとつです。


2.完全シフト制で働くメリット|収入確保・健康維持・社会参加が無理なく実現

完全シフト制の魅力は、「お金」「健康」「社会参加」という、シニア世代が働く目的のすべてを無理なく満たせる点です。
定年後は生活費の補填だけでなく、心身の健康維持や人とのつながりを求めて働くケースが増えています。完全シフト制は、そのようなニーズに対応できる柔軟な働き方と言えます。


① 収入を補填でき、生活の安心を得られる

年金だけでは不安を感じるシニアは少なくありません。
厚生労働省の「令和6年度年金額(モデルケース)」によると、夫婦での標準的な厚生年金受給額は約22万円前後。
しかし、生活費が月28~30万円必要と見積もる家庭も多く、毎月数万円の不足が生じるケースは一般的です。

完全シフト制であれば、
「週2〜3日で月3〜6万円」
「繁忙期だけ多め」「夏は少なめ」
と、自分の予定に合わせて収入調整が可能。
働くペースを決める主体が企業ではなく“自分”である点が大きな安心感につながります。


② 働くことが自然と運動習慣になり、健康維持につながる

特に施設管理や警備、軽作業などは、適度に体を動かせる仕事として人気です。
ウォーキングや筋トレが苦手でも、働きながら体力維持ができるため「仕事が健康づくりになる」という考え方も広がっています。

日本医師会の「健康のための身体活動基準」では、日常生活の中で身体活動量を確保することが健康寿命延伸に有効とされています。
つまり、仕事を通じた活動でも十分に効果が期待できるのです。


③ 社会とのつながりを持ち続け、孤独感の解消にもなる

退職後、人と話す機会が大幅に減ることは珍しくありません。
完全シフト制であれば、仕事を通じてコミュニケーションの機会が生まれ、孤立感を防ぎます。

特に「週5日はきついが、週2日なら楽しみながら働ける」
そんなバランスで続けられるのが完全シフト制の大きな利点です。

また、若い世代と接することは刺激にもなり、自分の知識や経験を教える機会が生まれたり、逆に新しい情報を学んだりと、お互いにメリットがある関係が築けます。


「働くことが生活を圧迫する」のではなく、
「働くことが生活の質を高める」

それを実現できるのが、完全シフト制の働き方です。


3.シニア世代に向いている完全シフト制の仕事例|経験を活かす・体を動かす選択肢

完全シフト制の仕事は「時間の自由がきく」「自分の体力に合わせられる」「経験が活かせる」という特徴を満たすものが多く、シニアにとって選択肢が広がりやすい働き方です。ここでは、シニアから人気のある完全シフト制の仕事を、タイプ別に整理して紹介します。


① 経験を活かして働くタイプ

職種活かせる経験特徴
施設管理員作業経験・安全意識シフト調整しやすい
受付・案内対応接客経験無理のないペースで働ける
事務サポート電話・PCの基本操作短時間勤務に対応

特に施設管理は、設備点検・清掃・簡単な修繕など、現場経験を活かしながら自分のペースで働ける代表例です。また、現役時代のコミュニケーション力や責任感を評価されやすい仕事でもあります。


② 身体を動かし、健康も維持したいタイプ

職種おすすめポイント
スーパー・倉庫・品出し軽い運動感覚で続けられる
警備員(巡回)歩くことが健康維持になる
清掃スタッフ時間帯の融通が利く

「仕事が運動になる」という視点で仕事を選ぶケースは年々増えています。
無理のない範囲で体を動かせる点は、長期的な継続の大きな強みです。


③ 人と関わりたい・地域とつながりたいタイプ

職種特徴
学童支援スタッフ子どもとの交流
見守り業務地域貢献につながる
観光案内・受付話好きな方に向いている

高齢者自身が「支援を受ける側」から「支える側」に回ることで、自己肯定感が高まり、役割を持つ喜びが生まれるという声も少なくありません。


④ 資格や知識を活かせる仕事

資格・経験活かせる職種
電気工事・設備系設備管理サポート
介護職員初任者研修デイサービス補助
運転免許送迎ドライバー

すでに持っている資格を活かせれば、働く満足度が高まるだけでなく、短時間でも時給が高くなる可能性があるのも魅力です。


仕事選びのポイント

「体力/時間/役割」どれを優先したいか決める
週何日、1日何時間なら無理なく続けられるかをイメージする
通勤時間も負担になるため、自宅近くの求人もチェック

完全シフト制は、働き方を“仕事中心”から“自分中心”へシフトする感覚に近いものがあります。
「続けられるペース」を最初から設定できることが、シニアにとって安心してチャレンジできるポイントです。


4.完全シフト制ならではの不安と注意点|収入の不安定さ・体力と時間管理

完全シフト制は自由度が高い一方で、「シニアにとってのメリット」と裏表になる 不安や注意すべきポイントも存在 します。その特徴を理解しておくことで、後悔のない働き方を選べるため、事前に確認しておくことが重要です。


① 収入が月によって変動する可能性

完全シフト制は自分の希望で働く日数を調整できますが、そのため 収入が安定しない可能性 があります。

・体調不良で希望を減らす → 収入が減る
・忙しい時期に働きたいと思っても、職場側が必要としていない場合もある
・季節によって仕事が変動する職種もある

特に年金の範囲内に収入を収めたい人は、働きすぎによる税金・社会保険の影響にも注意が必要です。


② 体力管理と休息のバランス

シニア世代で多いのは、
「まだまだ動ける」と思って仕事を詰め込み、後で疲れが溜まるパターンです。

完全シフト制は予定を自分で決められるため、
“働けるだけ働く”ができてしまう面があります。
そのため、
週2日から様子を見て増やす
午前だけ/午後だけで調整する
連勤を避ける
といった“余白”を作る働き方が続けるコツになります。


③ 予定変更や人員調整の影響を受けることがある

自由度が高いとはいえ、職場もチームで動いているため、
・他の人との希望が重なる
・急な変更が難しい職場
・人手不足による調整依頼
など、自分だけの都合では動けない場合もあります。
特に繁忙期は「もう少し出てほしい」と依頼されることもありますが、それを断れるかどうかも含めて、自分の働き方の軸を持っておくことが重要です。


④ 仕事を入れすぎないという“勇気”

自由度の高い働き方は、
「断る」「削る」「休む」という選択が自分に委ねられる働き方でもあります。

・経済的に不安があるから増やしてしまう
・頼りにされると断りづらい
・働いていないと不安になる

こうした心理的プレッシャーが負担にならないよう、
自分の健康、家族との時間、生活のペースとのバランスを大切にしましょう。


完全シフト制の働き方は、自由であると同時に、自己管理と判断力が必要な働き方 と言えます。
しかし、必要なポイントを事前に知り、自分に合ったペースを掴むことで、無理なく長く働き続けることが可能になります。


5.完全シフト制の仕事を探すコツ|求人サイト活用と応募時の伝え方

完全シフト制の求人は増えてきていますが、「何を基準に選ぶか」「どのようにアピールするか」で働きやすさは大きく変わります。ここでは、シニア世代が後悔せず仕事探しをするための重要なポイントを紹介します。


① 求人検索は“条件”からではなく“目的”から始める

多くの方が求人サイトで「時給」「曜日」「距離」を先に見ますが、完全シフト制の場合は “なぜ働くのか”がもっと重要 になります。

たとえば、
・健康維持 → 軽作業/巡回/清掃
・社会参加 → 受付/案内/支援業務
・収入安定 → 時給よりもシフト数が読める職場

目的を明確にすることで、求人選定の迷いが減り、自分に合う仕事を選びやすくなります。


② 求人サイトでは“完全シフト制”の表現に注意

求人票に書かれている表現は企業によって異なります。
以下の文言は、完全シフト制に近い働き方を指す場合が多いです。

記載されがちな文言意味の傾向
シフト自由ある程度希望が通る
週1日〜OK勤務日数が柔軟
午前・午後だけOK時間調整が可能
扶養内歓迎月収調整が前提

「完全シフト制」=必ず100%希望通りではないこともあるため、面接や問い合わせで確認することが大切です。


③ 応募時の伝え方が採用可否と働きやすさを左右する

応募時には以下の点を明確に伝えると、企業側に安心感を与えられます。

勤務可能な曜日と時間を明確に伝える
継続して働く意欲があることを示す
体力や経験について具体例を交えて説明する

例:
「週2〜3日、午前の勤務を中心に長く働きたいと思っています。前職では設備管理を担当し、歩く仕事にも慣れています。」

採用担当者が知りたいのは、
「無理なく続けられそうか」 という点です。


④ 見学や体験勤務ができる職場は安心

最近では、「職場見学」「体験勤務」を用意する企業が増えています。
特にシニア世代は 働く前に“雰囲気”や“距離感”を確かめられると不安が減ります

チェックすべきポイントは以下:
・スタッフの年齢層
・シフトの調整しやすさ
・移動距離と負担感
・繁忙期の働き方

現場に行くことで、求人票だけでは見えない部分が分かります。


完全シフト制は、求人選びの視点と応募の伝え方を意識することで、「無理なく」「自分らしく」働ける可能性を大きく広げます。


6.まとめ|“マイペースに働く”ことが充実したシニアライフにつながる

完全シフト制で働くという選択は、「定年を迎えたから終わり」ではなく「ここから新しい働き方が始まる」という考え方を後押しするものです。収入を得るだけでなく、身体を動かし、社会とつながり、日常に張り合いが生まれる——そのすべてが心身の健康につながります。

定年後の働き方は、若い頃のように時間の全てを仕事に捧げる必要はありません。
むしろ 「自分の生活を中心に置き、その範囲で働く」 というバランスが重要になってきます。

完全シフト制の働き方がシニア世代に向いている理由は、
週1〜3日だけ働くといった調整ができる
趣味/家庭/健康と両立しやすい
社会とのつながりを維持できる
新しい役割や経験が得られる
という、生活と働く目的に寄り添った選択ができる点にあります。

また、無理なく続けることは結果として 長期的な収入確保と健康維持 にもつながります。
「働かない日のゆとり」「働く日の充実」両方を得られることが、完全シフト制の最大の魅力なのです。

もしこれから再就職を考えるのであれば、
「フルタイムだから良い」「短時間だから物足りない」という固定観念を一度手放し、あなたの生活にフィットする働き方を基準に選んでみてください。

完全シフト制は、
“働く”が負担ではなく、楽しみや生きがいにつながる働き方の一つです。
マイペースに働ける環境を選ぶことは、あなたのこれからの時間を豊かにする大切な一歩になるはずです。

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