1.起き抜け不調とは?「年齢のせい」で片づけてはいけない理由
朝、目は覚めているのに「体が重い」「立ち上がるとふらっとする」「理由もなく気分が沈む」──こうした状態をまとめて起き抜け不調と呼ぶことがあります。はっきりした病名がつくわけではありませんが、日常生活の質を大きく下げる要因になりやすい不調です。
特にシニア世代の女性からは、
「若いころは平気だったのに、最近は朝がつらい」
「仕事を探そうと思っても、朝の体調が不安で踏み出せない」
といった声が少なくありません。
ここで注意したいのが、「年齢のせいだから仕方ない」と思い込んでしまうことです。確かに加齢により体力や回復力は変化しますが、起き抜け不調の多くは生活リズム・自律神経・睡眠の質など、調整できる要素が重なって起こっています。
つまり、正しく向き合えば軽くする余地が十分にある不調なのです。
起き抜け不調は、以下のような形で現れることがよくあります。
・起床直後に頭がぼーっとして動き出せない
・めまい/立ちくらみが起きやすい
・朝だけ強いだるさや疲労感がある
・理由はないのに不安感や落ち込みを感じる
これらは一時的な体の「スイッチの切り替え不良」とも言えます。夜モードから朝モードへうまく移行できていない状態です。特に、退職後や勤務時間が不規則になった時期には、この切り替えが乱れやすくなります。
重要なのは、「病気かどうか」だけで判断しないことです。検査では異常がなくても、本人にとってはつらい不調であり、放置すれば外出や仕事への意欲低下につながってしまいます。
だからこそ、起き抜け不調は「我慢するもの」ではなく、「整えていくもの」と考える視点が大切です。
2.なぜ朝がつらくなる?起き抜け不調の主な原因
起き抜け不調が続くと、「しっかり寝ているのに、なぜ朝だけつらいの?」と不安になる方も多いと思います。実はこの不調、ひとつの原因だけで起こることは少なく、いくつかの生活要因が重なって表れやすいのが特徴です。
特にシニア世代で多い主な原因は、次の3つです。
自律神経の切り替えがうまくいっていない
私たちの体は、夜はリラックスするための「副交感神経」、朝は活動するための「交感神経」が優位になることで、自然に目覚める仕組みになっています。
ところが、加齢や生活リズムの変化によって、この自律神経の切り替えがスムーズにいかなくなることがあります。
すると、目は覚めているのに体はまだ休息モードのまま。
これが「体が動かない」「頭がぼーっとする」といった起き抜け不調につながります。
特に、退職後に毎日の起床時間がバラバラになった方や、外出や人との関わりが減った方は、この切り替えが乱れやすい傾向があります。
水分不足・睡眠の質の低下
意外と見落とされがちなのが、朝の水分不足です。
人は寝ている間にコップ1杯分ほどの水分を汗や呼吸で失うと言われています。朝起きたときに軽い脱水状態になると、血流が悪くなり、めまいやだるさを感じやすくなります。
また、睡眠時間が足りていても、
・夜中に何度も目が覚める
・眠りが浅い
・寝る直前までスマホやテレビを見ている
といった状態が続くと、睡眠の質が下がり、朝の回復感が得られません。
その結果、「寝たはずなのに疲れが残る」「朝が一番つらい」と感じやすくなります。
仕事を辞めた後に起こりやすい生活リズムの変化
現役で働いていた頃は、出勤時間に合わせて自然と生活リズムが整っていた方も多いはずです。しかし退職後は、
・起床/就寝時間が日によって違う
・朝に「やること」がなくなる
・外出や軽い運動の機会が減る
といった変化が起きやすくなります。
この「朝の目的の喪失」は、体だけでなく気持ちにも影響します。
「起きる理由がない」と感じると、体は無意識にスイッチを入れにくくなり、起き抜け不調が慢性化しやすくなるのです。
つまり、起き抜け不調は体調の問題だけでなく、生活のリズムや役割の変化と深く関係していると言えます。
3.これって大丈夫?起き抜け不調のセルフチェック
起き抜け不調が続くと、「年齢的なものなのか、それとも病気なのか」と判断に迷う方は少なくありません。
ここでは、様子を見てもよい不調と、医療機関に相談したほうがよいサインを整理してお伝えします。
不安を必要以上に大きくしないためにも、「見極める視点」を持っておくことが大切です。
様子を見ながら生活改善を試してよいケース
以下のような特徴がある場合は、まずは生活リズムや朝の過ごし方を整えることで改善する可能性があります。
・起き抜けだけ調子が悪く、30分〜1時間ほどで自然に回復する
・日中は比較的元気に過ごせている
・不調の強さに日による波がある
・寝不足や前日の疲れがはっきり思い当たる
このタイプの起き抜け不調は、自律神経の切り替えや水分不足、軽い運動不足などが影響していることが多く、次の章で紹介する朝の習慣改善が有効です。
「朝が弱い自分はダメだ」と思い込まず、体の調整期間だと捉えることがポイントです。
医療機関への相談を考えたほうがよいサイン
一方で、次のような症状がある場合は、自己判断せず一度医師に相談することをおすすめします。
・めまい/立ちくらみが頻繁に起こり、転倒しそうになる
・起き抜けだけでなく、日中も強いだるさが続く
・動悸/息切れ/胸の違和感を伴う
・頭痛やしびれ、ろれつの回りにくさがある
・不調が数週間以上改善しない
これらは、貧血、血圧の変動、心臓や脳のトラブル、ホルモンバランスの変化などが関係している可能性があります。
「念のため」受診することは、決して大げさではありません。
大切なのは「我慢し続けない」こと
シニア世代は特に、
「このくらいで病院に行くのは気が引ける」
「年齢のせいだから仕方ない」
と自分を後回しにしてしまいがちです。
しかし、起き抜け不調は生活の質や働く意欲に直結するサインでもあります。
早めに整えたり、必要に応じて専門家の力を借りることで、「朝が不安」という状態から抜け出しやすくなります。
4.今日からできる!起き抜け不調を軽くする朝の習慣
起き抜け不調を改善するために、特別な運動や難しい健康法は必要ありません。
大切なのは、「朝に体を一気に動かそうとしないこと」と「少しずつスイッチを入れること」です。
ここでは、体力に自信がない方でも今日から無理なく始められる朝の習慣を紹介します。
起きてすぐの「水分」と「呼吸」で体を目覚めさせる
目が覚めたら、まずはコップ1杯の水をゆっくり飲みましょう。
冷たい水である必要はなく、常温かぬるめがおすすめです。水分を補うことで血流が促され、めまいやだるさの軽減につながります。
その後、布団の中で次のような呼吸を意識してみてください。
・鼻からゆっくり息を吸う
・口から細く長く吐く
・これを3〜5回繰り返す
深い呼吸は、自律神経の切り替えを助け、「体が起きる準備」を整えてくれます。
起き抜けにバタバタ動かず、数分だけ自分の体に向き合う時間を作ることがポイントです。
布団の中でできる簡単ストレッチ
「起きた瞬間に立ち上がるのがつらい」という方は、布団の中で体をほぐしましょう。
・足首をゆっくり回す
・つま先を上下に動かす
・両手を上に伸ばして軽く背伸びをする
これだけでも血流が改善し、立ち上がったときのふらつきを防ぎやすくなります。
ポイントは、「頑張らないこと」。
痛みが出ない範囲で、気持ちいいと感じる強さで行いましょう。
朝食で意識したいポイント
朝食を抜くと、体はなかなか活動モードに切り替わりません。
量が少なくても構わないので、何か口に入れることを意識しましょう。
おすすめは以下のような組み合わせです。
・温かい汁物(味噌汁/スープ)
・卵、ヨーグルト、豆腐などのたんぱく質
・バナナやりんごなど消化のよい果物
「きちんと作らなければ」と考える必要はありません。
朝に温かさとエネルギーを入れてあげることで、体は自然と動きやすくなります。
朝の習慣は「完璧」を目指さない
起き抜け不調の改善で大切なのは、続けられることです。
全部を一度にやろうとせず、「水を飲むだけ」「呼吸だけ」など、一つから始めてOKです。
こうした小さな積み重ねが、
「朝がつらい」→「少し楽かも」→「外に出られそう」
という前向きな変化につながっていきます。
5.無理なく働くための体調管理|朝が弱い人の仕事選びの視点
起き抜け不調があると、「働きたい気持ちはあるのに、朝が不安で一歩踏み出せない」と感じることがあります。
ですが、体調に合わせた仕事の選び方をすれば、無理なく働き続けることは十分可能です。ここでは、朝が弱い方が意識したい仕事選びの視点を紹介します。
シフト・勤務時間の柔軟さを重視する
まず注目したいのが、勤務時間の自由度です。
早朝から固定の時間で働く仕事は、起き抜け不調がある方にとって負担になりやすい傾向があります。
一方で、
・午前10時以降に始まる仕事
・週2〜3日から選べるシフト制
・短時間勤務が可能なパート
こうした条件の仕事であれば、朝の体調を整えてから無理なく出勤できます。
「フルタイムでなければ意味がない」と考える必要はありません。
体調を優先して続けられることが、結果的に長く働くことにつながります。
体力より「経験」が活かせる仕事を選ぶ
起き抜け不調がある場合、体力勝負の仕事は不安が大きくなりがちです。
その代わり、これまでの経験や人との関わりを活かせる仕事に目を向けてみましょう。
たとえば、
・カスタマーサービス/受付業務
・接客や電話対応など会話が中心の仕事
・裏方サポートや事務補助
こうした仕事は、重い荷物を持つことが少なく、体への負担を抑えながら社会とつながれる点が魅力です。
長年培ってきた気配りや対応力は、シニア世代ならではの強みになります。
起き抜け不調があっても続けやすい働き方
「毎日決まった時間に出勤する」のが難しい場合でも、働き方は一つではありません。
・日数や時間を相談できる職場
・繁忙時間帯だけ手伝う形の勤務
・慣れるまで少しずつ時間を増やせる環境
こうした選択肢を持つことで、「朝が不安」という気持ちが和らぎます。
働くこと自体が生活リズムを整えるきっかけになり、結果的に起き抜け不調が軽くなるケースも少なくありません。
体調に合わせて「働き方を選ぶ」ことが自信につながる
大切なのは、「不調があるから働けない」と決めつけないことです。
体調に合った条件を選び、自分のペースで働くことは、甘えではありません。
むしろ、
・朝の不安が減る
・外出や人との会話が増える
・生活にリズムと張り合いが生まれる
といった良い循環が生まれやすくなります。
6.まとめ|起き抜け不調を整えることが「もう一度働く自信」につながる
起き抜け不調は、「年齢のせい」「気の持ちよう」と片づけられがちですが、実際には生活リズムや体の切り替えの問題が重なって起こることが多い不調です。
そしてそれは、少しずつ整えていくことで、軽くできる可能性があります。
この記事でお伝えしてきたように、
・朝のだるさやふらつきには、はっきりした原因があること
・自律神経/水分不足/生活リズムの乱れが影響しやすいこと
・無理のない朝の習慣で体は目覚めやすくなること
これらを知るだけでも、「自分の体はもうダメなのかもしれない」という不安は、少し和らぐのではないでしょうか。
また、起き抜け不調があるからといって、働くことを諦める必要はありません。
勤務時間や日数、仕事内容を自分の体調に合わせて選ぶことで、無理なく社会とつながり続ける働き方は十分に可能です。
働くことは、収入を得る手段であると同時に、
・生活にリズムを取り戻す
・人との関わりを持つ
・「自分はまだ役に立てる」と感じられる
といった心と体の健康にもつながります。
朝の不調を丁寧に整えることは、単に体調を良くするだけでなく、
「もう一度、自分らしく動き出していいんだ」という自信を取り戻す一歩でもあります。
無理をせず、比べず、今の自分に合ったペースで。
起き抜け不調と向き合うことは、これからの毎日を前向きに過ごすための、大切な準備なのです。
朝の不調があっても、あなたのペースで働ける仕事はあります。
勤務時間や日数を選べるシニア向け求人を、求人サイト「キャリア65」でまずは気軽にチェックしてみませんか?



