シニア採用はコスト削減につながる?採用費と定着率のリアルな話

【企業向け】シニア採用

1. なぜ今「シニア採用=コスト削減」が注目されているのか</h2>

人手不足が深刻化する中で、「シニア採用=社会貢献」から「シニア採用=経営合理性」へと評価軸が変わりつつあります。特に人事部門では、採用費の高騰若手の早期離職がダブルで経営を圧迫しており、「安定して働いてくれる人材」をどう確保するかが重要なテーマになっています。

実際、厚生労働省の「労働力調査」や「高年齢者雇用状況報告」では、65歳以上の就業者数は年々増加し続けており、2023年時点で約900万人を超えています。これは単に高齢者が働き続けたいからではなく、企業側がシニア人材を“戦力”として再評価していることの表れでもあります。

ここで注目されているのが「コスト構造」です。
企業の人材コストは、単なる給与だけではありません。

コストの種類内容
採用コスト求人広告、紹介料、面接工数
教育コストOJT、研修、現場フォロー
離職コスト欠員補充、再採用、引き継ぎロス
生産性ロス業務が回らない期間の損失

若手採用では「採用→育成→離職→再採用」のサイクルが短く、これらのコストが繰り返し発生します。一方でシニア人材は、「即戦力」「役割限定」「長く安定して働く」という特性を持つ人が多く、このコストの連鎖を断ち切りやすいのが特徴です。

つまり、シニア採用が注目されている本質は、「人件費が安いから」ではなく、
採用費と離職コストを含めた“トータルコスト”が下がる可能性があるからなのです。


2. シニア採用は本当に「採用費」を下げられるのか?</h2>

「シニア採用=人件費が安い」というイメージはよくありますが、実務で効いてくるのはむしろ採用費です。55歳の人事マネージャーの立場で考えると、ここ数年で一番重くなっているのが「1人採用するまでにかかるコスト」ではないでしょうか。

一般的に中途採用で1人を採用するためのコスト(求人広告・人材紹介料・面接工数などを含む)は、業種にもよりますが50万〜100万円以上かかるケースも珍しくありません。特に人材紹介会社を使うと、年収の30〜35%が手数料として発生するため、年収400万円の人材なら120万円以上が採用費になることもあります。

一方で、シニア人材の採用ルートは構造が違います。

若手・中堅採用シニア採用
人材紹介・高額求人広告が中心ハローワーク、自治体、シニア向け求人サイト
競争が激しく単価が高い応募単価が低く、競争が比較的緩やか
条件交渉が難航しやすい勤務日数・時間の柔軟性が高い

シニア採用は「フルタイム・正社員」前提でなく、短時間・週3日・役割限定といった形で募集できるため、求人媒体の費用も抑えやすく、紹介料が発生しないルートでの採用も実現しやすいのです。

さらに重要なのは、「採用のやり直し」が起きにくい点です。
若手採用では、3か月〜1年以内の離職によって再び採用費が発生することが珍しくありません。シニア採用は「仕事内容・条件を理解した上で応募してくる」傾向が強く、ミスマッチによる採用失敗が起きにくいのも採用費を押し下げる要因になります。

つまり、シニア採用がもたらすのは、
「1人あたりの採用単価」と「再採用リスク」の両方を下げられる構造なのです。


3. 若手採用と比べたときの“採用コストの違い”

シニア採用のコスト優位性をよりはっきり理解するには、「若手採用と何が違うのか」を構造で比較するのが一番わかりやすいです。多くの企業が感じている「採用が高い」という実感は、実は若手市場の過熱が大きな原因になっています。

まず、若手・中堅層の採用は、いま完全な売り手市場です。リクルートワークス研究所や厚生労働省の調査でも、生産年齢人口(15~64歳)は年々減少しており、特に20〜40代は多くの企業が奪い合っている状態です。その結果、求人広告の単価や人材紹介手数料が上がり続けています。

一方で、シニア人材の労働市場は構造が違います。働く意欲があっても「年齢」で弾かれてきた人が多く、需要に対して供給が相対的に多い市場になっています。これは企業側にとっては、採用コストを抑えられる好条件でもあります。

項目若手・中堅シニア
求人倍率非常に高い(奪い合い)比較的低い
紹介会社依存高い低い(直接応募が多い)
採用までの期間長期化しやすい短期間で決まるケースが多い
条件交渉給与・待遇の要求が強い時間・役割の柔軟性が高い

さらに重要なのは、**「育成前提コスト」**の違いです。
若手採用では、「採用後に戦力になるまでの教育期間」を前提にしています。その間も給与と教育工数が発生します。一方でシニア採用は、「できることをやってもらう」役割設計がしやすく、立ち上がりコストが小さいのが特徴です。

この差は、単なる採用費だけでなく、採用後3か月〜6か月のコスト構造に大きな差を生みます。
つまり、シニア採用は「安く雇う」モデルではなく、「採用と立ち上げにかかるコストが膨らみにくい」モデルなのです。


4. 定着率で見るとシニア採用はなぜコスパが良いのか

採用コストを考えるとき、多くの企業が見落としがちなのが定着率です。実務の感覚では、「1人採れた」よりも「その人が1年、2年と働き続けてくれるか」のほうが、はるかに経営インパクトが大きいはずです。

厚生労働省の「雇用動向調査」では、若年層ほど離職率が高い傾向が一貫して見られます。特に20代の離職率は、入社後3年以内で3割前後に達する年もあり、「採用→育成→離職→再採用」のループが常態化しています。

一方でシニア層は、働く目的が若手と大きく違います。

若手シニア
キャリアアップ、転職前提生活費補填、社会参加、健康維持
より良い条件を探す「今の職場が合えば続けたい」
職場を変える心理的ハードルが低い環境を変えたくない傾向が強い

この違いが、定着率に大きく表れます。
シニア人材は、仕事内容と勤務条件に納得して入社すると、長く働く傾向が非常に強いのが特徴です。実際、介護・清掃・施設管理・事務補助などの現場では、「シニアのほうが若手より定着している」という声が多く聞かれます。

ここで重要なのは、定着率がコストに与える影響です。

仮に、

・採用費:1人50万円
・1年で辞める確率:若手30%、シニア10%

とすると、3年間で同じ人数を確保するために必要な採用費は、シニアの方が大きく下がります。
離職しない=採用費を繰り返し払わなくて済むということだからです。

つまりシニア採用の強みは、
「1人あたりの給与が低い」ことではなく、
「採用コストを回収できるだけ長く働いてくれる確率が高い」ことにあります。


5. 早期離職がどれくらいコストを押し上げているか

採用コストを本気で下げたいなら、避けて通れないのが早期離職のダメージです。
多くの企業は「採用費」だけを見ていますが、実際には早期離職が起きるたびに、見えないコストが積み重なっています。

一般に、1人の社員が入社して半年以内に辞めた場合、企業が負担するコストは以下のように分解できます。

項目内容
採用費求人広告、紹介手数料、面接工数
教育費OJT、研修、現場の指導時間
生産性ロス戦力化する前に辞めることによる空白
組織コスト周囲の負担増、士気低下

米国人材マネジメント協会(SHRM)の調査では、従業員1人が離職すると年収の6〜9か月分のコストがかかるとされています。日本でも同様に、採用から戦力化までのコストは軽く数十万円〜100万円単位になることが珍しくありません。

この構造の中で、若手採用は非常にリスクが高いモデルです。
「とりあえず採ってみる」「合わなければ辞める」という市場環境ができているため、企業側が早期離職コストをほぼ一方的に負担しています。

一方、シニア採用はこのリスクが小さい。

・仕事内容と条件を重視して応募してくる
・転職を前提にしていない
・職場に馴染めば長く続ける

このため、「採用費を回収できないまま辞める」確率が低いのです。

経営視点で見ると、シニア採用がもたらすのは
「人件費削減」ではなく、
「離職によるコスト流出を防ぐ効果」と言えます。


6. シニア採用が「業務分解」と「生産性向上」を生む仕組み

シニア採用のコストメリットは、単に「辞めにくい」「採用費が安い」だけではありません。実務で効いてくるのが、業務の切り分け=業務分解を通じて、組織全体の生産性を高められる点です。

多くの職場では、本来は高度な判断や専門性が求められる人材が、次のような仕事に時間を取られています。

・書類整理/入力
・備品管理/庶務
・現場の段取り/見回り
・電話対応/受付

これらは必要な業務ですが、高コスト人材がやるべき仕事ではありません。ここにシニア人材を配置すると、「仕事のレイヤー」を分けることができます。

役割主な担当
若手・中堅判断・企画・専門業務
シニア定型業務、補助、現場サポート

この構造を作ることで、若手・中堅の生産性が上がり、残業や外注コストが減るという副次効果が生まれます。これは、シニア人材の給与がどうこう以前に、組織全体のコスト構造を改善する効果です。

さらに、シニア人材は「時間」に対する柔軟性が高いため、

・朝だけ
・午後だけ
・週3日

といった配置が可能で、業務の波動に合わせた人員設計がしやすくなります。これにより、「暇な時間の人件費」「忙しい時間の残業」という無駄が減ります。

つまりシニア採用は、
「安い労働力を入れる」施策ではなく、「仕事の構造を組み替える」経営施策なのです。


7. コスト削減につながるシニア採用の設計ポイント

シニア採用は、やり方を間違えると「コスト増」になります。
逆に言えば、設計さえ正しければ高確率でコスト削減につながるのがシニア採用の特徴です。人事として押さえるべきポイントは、次の3つに集約されます。

① フルタイム前提を捨てる

シニア採用を若手と同じ枠で募集すると失敗します。
「週5日・8時間」ではなく、

・週2~3日
・1日4~6時間
・時間帯固定

といった形にすることで、必要な業務だけを低コストで埋めることができます。これは、若手にはできない働き方です。


② 役割を“できることベース”で設計する

「何でもできる人」を探すとミスマッチが起きます。
シニア採用では、

・書類整理
・受付
・施設管理
・清掃/見回り
・データ入力

のように業務を分解して、その一部を任せる設計が重要です。これにより、高いスキルや賃金を必要としない業務を切り出せます。


③ 「長く続けられる条件」を最優先する

シニア採用の最大の価値は定着率です。
そのため、給与よりも以下を優先します。

・無理のない業務量
・体力に合った配置
・人間関係がシンプルな職場

この設計ができると、採用費が1回で済む=圧倒的なコスト削減につながります。

シニア採用は「安い人を雇う仕組み」ではなく、
「無駄なコストが発生しない採用設計」なのです。


8. まとめ|シニア採用は“採用費×定着率”で考える時代

ここまで見てきた通り、シニア採用がコスト削減につながる本質は、「人件費が安い」ことではありません。ポイントは、採用費と定着率を掛け合わせたトータルコストにあります。

若手採用は、

・採用単価が高い
・早期離職が起きやすい
・再採用が繰り返される

という構造を持っています。これにより、「採用してもコストを回収できないまま辞めてしまう」という状態が慢性化します。

一方、シニア採用は、

・採用ルートが低コスト
・仕事内容への納得感が高い
・定着率が高い

という特徴を持ち、採用費を“回収できる確率”が高い人材モデルです。さらに、業務分解を通じて組織全体の生産性を上げられるため、残業や外注コストの削減にもつながります。

人事の立場で見るべきなのは、
「月給がいくらか」ではなく、
「その人を3年間使うのにいくらかかるか」です。

この視点で見たとき、シニア採用は単なる人手不足対策ではなく、経営効率を高めるための戦略的な採用手法になり得るのです。

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