1.なぜ今「推され力」と「推しおじ」が注目されているのか
定年後やシニア世代の働き方が変わる中で、最近よく聞くようになった言葉が「推され力」と「推しおじ」です。これは芸能人の話ではなく、職場や地域、ボランティアやアルバイトの現場で「この人がいると助かる」「また一緒にやりたい」と思われる人のことを指します。
つまり年齢ではなく、“一緒にいたいと思われる力”が、仕事や居場所を左右する時代になってきているのです。
実際、シニアの仕事探しでは「体力」や「経験」以上に、「人間関係がうまくいくか」が重視される場面が増えています。清掃、施設管理、受付、送迎補助、イベント運営、地域の仕事など、多くの現場ではチームで動くため、「この人となら気持ちよく働けるか」が採用や継続の決め手になります。
ここで強く働くのが推され力です。
推される人は、特別なスキルを持っているわけではありません。むしろ共通しているのは、「場の空気を明るくする」「安心感がある」「頼みやすい」という存在感です。こうした人は自然と仕事の声がかかりやすくなり、「あの人にまたお願いしよう」と継続的に呼ばれるようになります。
これが、いわゆる「推しおじ」の正体です。
特に今は、若い世代と一緒に働く機会が増えています。年下の上司、学生アルバイト、外国人スタッフなど、世代も価値観も違う人たちと協力する場面が当たり前になりました。そうした環境では、「正しいことを言う人」よりも「一緒に働きやすい人」が選ばれます。
その結果、年齢に関係なく、推される人ほど仕事と居場所が増えていくという構図が生まれているのです。
「体力には自信がある」「まじめに働いてきた」という強みを持つシニア世代にとって、そこに“推され力”が加わると、仕事のチャンスは一気に広がります。これが、今「推され力」「推しおじ」という言葉が注目されている理由です。
2.「推しおじ」とは何か?|年齢ではなく“存在感”で選ばれる人
「推しおじ」とは、見た目が若い人や特別なスキルを持っている人のことではありません。
一言でいうと、「一緒にいると安心できる」「なぜか応援したくなる」存在のシニア男性のことです。職場や地域の中で、「あの人がいると場が落ち着く」「困ったときはあの人に聞けば大丈夫」と自然に名前が出る人、それが推しおじです。
たとえば、施設の管理員さんや清掃スタッフ、受付や警備、イベントの運営補助などの現場では、「仕事ができるか」以上に「周りと気持ちよく働けるか」がとても大切になります。若いスタッフから見て、
「話しかけやすい」
「失敗しても責めない」
「ちょっとしたことでも感謝してくれる」
こうした人は、自然と“推される存在”になっていきます。
面白いのは、推しおじは自分で「俺は推されている」と思っていないケースがほとんどだという点です。本人はただ普通に接しているだけなのに、周囲からは「また一緒に働きたい人」「この人がいると助かる人」として評価されている。これが推され力の正体です。
この推され力は、履歴書や職務経歴書には書けません。でも現場では、とても強い武器になります。なぜなら、シニアの仕事の多くは「人の紹介」「現場の口コミ」「またお願いしたい」というつながりで増えていくからです。
一度「推しおじ」になると、「今度もお願いできますか?」「別の現場にも来てもらえますか?」と声がかかりやすくなり、結果として収入の安定や出番の増加につながります。
つまり、推しおじとは「若さ」や「肩書き」で選ばれる人ではなく、人としての安心感・信頼感・一緒にいたい気持ちで選ばれる人なのです。これは、年齢を重ねた人ほど磨ける力でもあります。
3.習慣①:いつも機嫌がいい人になる(感情の安定が最大の武器)
「推される人」に共通している最大の特徴は、実はスキルや経験よりも“機嫌の良さ”です。いつもニコニコしている必要はありませんが、「不機嫌を周りにばらまかない」「イライラを態度に出さない」ことは、仕事の現場でとても大きな価値になります。
シニアの仕事の多くは、チームで動く軽作業やサポート業務です。清掃、施設管理、送迎補助、イベント運営などでは、少しのミスや予定変更がよく起こります。そのときに「なんでこんなこともできないんだ」と不機嫌になる人と、「まあ大丈夫ですよ」と受け止める人では、周囲の感じ方がまったく違います。
後者の人の方が、「また一緒に働きたい人」になりやすいのは想像しやすいでしょう。
心理学では、こうした人を「情緒が安定している人」と呼びます。感情の起伏が激しくない人は、周囲に安心感を与え、人間関係のストレスを減らします。職場で最も嫌われるのは「仕事が遅い人」ではなく、「空気を悪くする人」だと言われることもあります。
裏を返せば、機嫌がいいだけで評価が上がる世界があるということです。
特に若い世代や女性スタッフは、「話しかけやすいか」「怒られそうでないか」をとても敏感に見ています。いつも穏やかな表情で、「ありがとう」「大丈夫ですよ」と言える人は、それだけで“推されポジション”に入ります。
難しいテクニックはいりません。朝のあいさつをはっきり言う、相手の話を途中で遮らない、ため息や舌打ちをしない。こうした小さな習慣の積み重ねが、「あの人がいると現場がラクになる」という評価につながります。
推され力の土台は、実はとてもシンプルです。「この人と一緒にいると気分がいい」と思われること。それをつくる一番の近道が、「機嫌のいい大人」でいることなのです。
4.習慣②:頼まれごとに「まずYES」と言える姿勢を持つ
推される人と、そうでない人の差が最も出やすい場面が「頼まれごとをされたとき」です。
推しおじになる人は、完璧にできるかどうかよりも、「まずやってみます」「大丈夫ですよ」と一歩前に出る姿勢を持っています。
たとえば、
「急だけど今日30分だけ残れますか?」
「この作業、やったことないけどお願いしていいですか?」
こうした場面で、「無理です」「聞いてません」と返す人と、「やってみます」「教えてもらえればできます」と返す人では、その後の扱いが大きく変わります。後者は、自然と「頼れる人」「融通がきく人」として記憶され、次の仕事の声がかかりやすくなります。
もちろん、何でも引き受けて無理をする必要はありません。ただ大切なのは、最初からシャッターを下ろさないことです。
「今日は体調的に難しいですが、次なら大丈夫です」
「この作業は初めてですが、教えてもらえればやれます」
このように“前向きな断り方”ができる人も、十分に推されます。
シニア世代の仕事は、決まった業務だけでなく、ちょっとした補助やイレギュラー対応が多いのが特徴です。だからこそ、「融通がきく」「頼みやすい」という印象が、そのまま仕事の量につながります。
実際、現場のリーダーや担当者は、「仕事が少し遅くても、気持ちよく引き受けてくれる人」を優先してシフトに入れる傾向があります。
「できる・できない」よりも、「やろうとする姿勢」。
この小さな差が、「あの人にまたお願いしよう」という推され力を生み出していくのです。
5.習慣③:若い人の話を“評価せずに”聞く
推されるシニアと距離を置かれてしまうシニアの分かれ道は、「若い人の話の聞き方」に表れます。
推しおじになる人は、相手を評価せずに話を聞くという姿勢を持っています。これは、「正しいかどうかを判断しない」「すぐにアドバイスをしない」という意味です。
若いスタッフが「このやり方、やりにくいんですよね」と言ったとき、
「いや、それは昔からこうやってるから」
「君たちは甘いな」
と返してしまうと、相手は一気に心を閉ざします。一方で、
「そうなんだ、どうやると楽そう?」
「なるほど、そういう考え方もあるね」
と受け止める人は、「この人には話しても大丈夫」と思われ、自然と頼られる存在になります。
人は、自分を評価されるよりも、「わかってもらえた」と感じるときに安心します。特に若い世代は、仕事の正解よりも「気持ちを理解してくれるか」を大切にします。だからこそ、話を聞くときはアドバイスを我慢して、まずは共感を示すことが、推され力につながるのです。
シニア世代は豊富な経験を持っていますが、それをすぐに“答え”として出してしまうと、距離が生まれます。推しおじは、自分の経験を押しつけず、相手の話をいったん丸ごと受け取る人です。その姿勢が、「この人は話しやすい」「一緒に働きやすい」という評価につながります。
6.習慣④:自分の経験を「武勇伝」にしない伝え方
シニア世代の大きな強みは「経験」です。しかし、その伝え方を間違えると、一気に距離を置かれてしまいます。
推される人は、自分の経験を武勇伝として語らないという共通点を持っています。
たとえば、若い人が失敗したときに、
「俺の若い頃はそんなミスしなかった」
「昔はもっと厳しかったんだ」
と言われると、相手は委縮してしまいます。これは、経験が“自慢”や“上から目線”として伝わってしまうからです。
一方で推しおじは、
「自分も最初はよく失敗したよ」
「それ、誰でも通る道だね」
といった言い方で、経験を“寄り添うための材料”として使います。
経験は、「すごさ」を見せるために使うのではなく、「安心させるため」に使うと、推され力に変わります。
「あ、この人も同じことで悩んだことがあるんだ」
「この人は味方だ」
そう思われた瞬間に、人との距離はぐっと縮まります。
現場で長く働けるシニアほど、「自分がどれだけやってきたか」を語りません。むしろ、「今のやり方を尊重しつつ、必要なときだけそっと経験を差し出す」ことができます。
これができる人は、若い世代からも年上の人からも信頼され、「また一緒に働きたい人」になっていきます。
7.習慣⑤:小さな仕事を雑にしない
推される人ほど、「誰も見ていないような仕事」をとても大切にします。ゴミを一つ拾う、道具をきちんと戻す、次の人のために少し整えておく。こうした小さな行動が積み重なって、「あの人は信頼できる」という評価につながります。
シニア向けの仕事の多くは、派手な成果よりも、日々の安定した積み重ねが求められます。清掃、施設管理、警備、受付、サポート業務などでは、「決められたことをきちんとやる人」が最も重宝されます。
ここで「まあこれくらいでいいか」と手を抜く人と、「最後まで丁寧にやる人」では、周囲の印象は大きく変わります。
現場のリーダーや若いスタッフは、意外とよく見ています。
「この人に任せておけば安心」
「細かいところまで気がつく」
そう思われる人は、次の仕事を頼まれやすくなり、結果として出番が増えます。これは、履歴書には書けない“信頼のポイント”です。
推しおじは、「目立つ仕事」よりも「誰かの役に立つ仕事」を大切にします。だからこそ、周囲からの評価がじわじわと積み上がり、「この人がいないと困る」という存在になっていくのです。
8.習慣⑥:学ぶ姿勢を持ち続ける(スマホ・デジタルも含む)
推されるシニアに共通しているのは、「もう年だから」と言わずに、今も学び続けているという点です。特に大きな差が出るのが、スマホやデジタルへの向き合い方です。
最近の仕事の現場では、シフト連絡がLINEで来たり、勤怠がアプリで管理されたりすることが増えています。ここで「それは若い人に任せる」と距離を置く人と、「教えてもらえればやってみます」と向き合う人では、評価がまったく変わります。
完璧に使える必要はありません。大切なのは、「わからないことをそのままにしない姿勢」です。
「このアプリ、どうやって開くの?」
「写真の送り方をもう一回教えてもらえますか?」
こうした一言が言える人は、若い世代から見て「応援したくなる大人」になります。逆に、「もう覚える気がない」と態度で示してしまうと、仕事の幅も人間関係も狭くなってしまいます。
学ぶ姿勢は、仕事のチャンスを広げるだけでなく、「この人は柔軟で前向きだ」という印象を与えます。これは推され力の中でも、とても強い要素です。
年齢を重ねてから何かを学ぼうとする姿は、実はとても魅力的に映ります。それ自体が、「この人と一緒に働きたい」と思われる理由になるのです。
9.習慣⑦:「ありがとう」と「助かった」を言葉にする
推される人が必ずやっていること、それが感謝を言葉にすることです。「ありがとう」「助かりました」「ありがたいです」といった一言は、想像以上に人の心を動かします。
仕事の現場では、忙しさの中で当たり前のことが流れてしまいがちですが、そこで感謝をきちんと伝えられる人は、「この人のためにもう少し頑張ろう」と思われる存在になります。
特にシニア世代がこれを意識すると、効果はとても大きくなります。年上の人から感謝されると、若い人は強く「認められた」と感じます。
「さっきの対応、助かったよ」
「一緒にやってくれてありがとう」
こうした一言があるだけで、人間関係は一気に良くなります。
推しおじは、「自分がやってあげた」ではなく、「してもらった」と考える人です。だから自然と感謝の言葉が出てきます。その姿勢が、「この人は一緒に働きやすい」「この人の現場に行きたい」という評価につながり、結果として仕事の声がかかり続けるのです。
10.推されると仕事と居場所が自然に増える理由|「推しおじ」は習慣で決まる
ここまで見てきた7つの習慣は、どれも特別な才能や若さを必要としません。
「機嫌がいい」「前向き」「話をよく聞く」「感謝を伝える」「学ぶ姿勢を持つ」──これらはすべて、日々の振る舞いの積み重ねです。そして、この積み重ねこそが「推され力」をつくり、「推しおじ」という立ち位置を生み出します。
シニアの仕事市場は、求人票に出ている枠だけで動いているわけではありません。実際には、「あの人にまた来てほしい」「この人なら安心」という人の記憶と信頼によって、多くの仕事が回っています。清掃や管理、イベント補助、地域の仕事などは特にその傾向が強く、一度“推される人”になると、声がかかり続けます。
これは、収入面だけでなく、心の充実にも大きく影響します。
「今日はあの現場に行く」
「みんなが待ってくれている」
そう思える場所があることは、健康や生きがいにもつながります。孤立しがちな定年後の生活の中で、「自分の居場所がある」という感覚は、何よりの支えになります。
推しおじは、生まれつきの性格で決まるものではありません。
今日から、
・機嫌よくあいさつする
・頼まれごとに前向きに答える
・感謝を言葉にする
こうした一つひとつの行動が、「あの人とまた働きたい」という評価を積み上げていきます。
年齢に関係なく、推される人になることは誰にでもできる。それが、推しおじという生き方の本質です。
「年齢で選ばれない」働き方を始めませんか?推され力を活かせるシニア歓迎の求人を求人サイト「キャリア65」で今すぐチェックして、あなたの居場所を見つけましょう。



