1.はじめに|「やりがい・目標がある仕事」がシニアに必要な理由
定年後、「もう仕事は終わり」と考える人がいる一方で、「まだ社会の中で役に立ちたい」「目標を持って生活したい」と考えるシニアも増えています。近年の調査でも、働くシニアの多くが「お金のため」だけでなく、「生きがいのため」「社会とのつながりのため」に働いていることが明らかになっています。
たとえば、内閣府の「高齢者の生活と意識に関する国際比較調査(2022年)」では、日本の高齢者の約7割が「働くことに生きがいを感じる」と回答しており、この割合は他国と比べても非常に高い水準にあります。
この背景には、人生100年時代という現実があります。定年後の生活は20年以上続くとも言われ、働くことが「収入確保」だけでなく「心身の健康維持」「社会参加」「自己実現」につながる大切な要素になっているのです。
特に「目標」を持って働くことで、毎日にハリが生まれ、生活リズムも整いやすくなります。単調な日々よりも、「誰かの役に立つ」「昨日よりも上手くやりたい」という想いが生きる活力になります。
つまり、やりがいのある仕事とは、「目的を持って社会と関わる」ことにほかなりません。これからの時代、“働くこと=生きる力”といっても過言ではないのです。
2.経済面だけじゃない!定年後の仕事がもたらす“3つの健康効果”
定年後に働くことは、単に収入を得るためだけではありません。実は、「健康寿命を延ばす効果」があることが、さまざまな研究で明らかになっています。ここでは、シニアが働くことで得られる3つの健康効果を紹介します。
① 身体的な健康維持
働くことによって、毎日の生活に一定のリズムと活動量が生まれます。
特に、施設管理や清掃、軽作業など、身体を適度に動かす仕事は筋力低下を防ぎ、血行を促進し、運動不足の予防につながります。
厚生労働省の「健康日本21(第二次)」でも、「日常的な身体活動の継続」がフレイル(虚弱)や生活習慣病の予防に有効であると指摘されています。
つまり、「仕事を通じて動く」ことが、ジム通い以上に効果的な健康習慣となるのです。
② 認知機能の維持
仕事では、覚えることや考える機会が自然と増えます。
スケジュール管理、同僚や顧客とのコミュニケーション、トラブル対応など、頭を使う場面が多く、脳の活性化につながります。
国立長寿医療研究センターの「老化に関する長期縦断疫学研究(NILS-LSA)」でも、社会的な役割を持つ高齢者ほど、認知機能の低下が緩やかであることが報告されています。
つまり、働き続けることが「脳トレ」にもなっているのです。
③ メンタルヘルスの安定
定年後に孤独感を感じる人は少なくありません。
しかし、仕事を持つことで人との関わりが生まれ、「ありがとう」「助かるよ」といった言葉が心の支えになります。
東京都健康長寿医療センターの調査でも、就労している高齢者は非就労者に比べて主観的幸福度が高い傾向にあることが示されています。
働くことは、社会とのつながりを保ち、孤立を防ぐ“心の薬”でもあるのです。
このように、仕事は経済的メリットだけでなく、身体・脳・心のすべてを健康に保つ力を持っています。
「健康のために働く」という視点で仕事を選ぶことが、これからのシニアライフを豊かにする第一歩になるでしょう。
3.シニア世代に人気!やりがい・目標を感じられる仕事5選
定年後の働き方は、「お金のため」から「生きがいのため」へとシフトしています。ここでは、68歳のAさんのように「体を動かしたい」「社会と関わり続けたい」「感謝される仕事がしたい」と考えるシニアに人気の、やりがい・目標を感じられる仕事を5つ紹介します。
① 施設管理・ビルメンテナンス
長年の経験や几帳面な性格が活かせる定番の仕事です。建物の清掃、点検、備品の管理など、責任感を持って取り組める点がやりがいにつながります。特に「建物をきれいに保ち、利用者が安心して過ごせる環境をつくる」という明確な目標があるため、日々の成果を実感しやすい仕事です。
② 学校・病院・公共施設の警備スタッフ
人々の安全を守る仕事は、社会貢献度が高く、感謝される機会も多い職種です。規則正しい勤務と巡回業務が中心で、体を適度に動かしながら働けます。警備業法に基づく研修制度もあり、初めての方でも安心してスタート可能です。「地域の安心を守る」という誇りがモチベーションになります。
③ シルバー人材センターでの地域貢献活動
地域の草刈りや清掃、子どもの見守りなど、地元密着型の活動を通じて社会と関われます。お金だけでなく、「地域の役に立っている」という社会的やりがいが魅力。自分のペースで無理なく働けるため、健康維持や生活リズムづくりにも最適です。
④ 学童保育・保育補助スタッフ
「子どもが好き」「人と話すのが楽しい」という方にぴったり。子どもたちの成長を見守る仕事は、日々の中に多くの感動があります。文部科学省の調査(2023年)でも、60歳以上の学童スタッフの約8割が「子どもから元気をもらえる」と回答しています。自分の人生経験を若い世代に伝えられる“教育的やりがい”が魅力です。
⑤ ボランティアドライバー・送迎サポート
高齢者施設や福祉施設などで、利用者の送迎を行う仕事です。車の運転が好きな方にはおすすめで、「安全に送り届ける」という責任感と達成感があります。利用者との会話から社会とのつながりも感じられ、地域に貢献している実感が得られる仕事です。
このように、シニアにとっての「やりがいのある仕事」は、人との関わり・感謝される瞬間・目に見える成果が共通しています。
自分の経験を活かしつつ、無理なく続けられる働き方を選ぶことで、「第二のキャリア」も充実した時間になります。
4.働き続けるために大切な“目標の持ち方”と“モチベーション維持術”
どんなにやりがいのある仕事でも、続けるうちに「少し疲れた」「慣れてしまった」と感じることはあります。
シニア世代が長く働き続けるためには、「明確な目標を持つこと」と「モチベーションを維持する工夫」が欠かせません。
① 「誰かのために」を意識する
仕事をする目的を「お金のため」だけでなく、「誰かのため」と考えることで、日々の充実感が大きく変わります。
たとえば、施設管理の仕事なら「入居者が気持ちよく過ごせるように」、保育補助なら「子どもたちが安全に遊べるように」というように、“自分の行動が誰かの役に立つ”という実感がやりがいを高めます。
心理学の研究でも、「他者に貢献している」と感じる人ほど幸福度が高く、心身の健康を維持しやすい傾向があることが報告されています。
② 小さな目標を設定する
「1日1回ありがとうと言われる」「昨日より5分早く終わらせる」など、小さな目標を日々持つことで達成感が積み重なります。
年齢を重ねるほど、“無理をしない達成”が継続のコツ。完璧を目指すよりも、「今日も一歩前進できた」と感じることが大切です。
これにより、自己効力感(自分にはできるという感覚)が高まり、仕事への意欲も維持しやすくなります。
③ 仲間とのつながりを大切にする
職場の同僚や上司、利用者などとの関わりは、仕事を続ける上で大きな支えになります。
内閣府の「令和3年度 高齢者の日常生活・地域社会への参加に関する調査」では、人との交流が多い高齢者ほど主観的幸福度が高く、孤立感が少ない傾向があると報告されています。
雑談や感謝の言葉を交わすことでストレスが軽減され、「また明日もがんばろう」という気持ちを自然に引き出せるのです。
④ 定期的に「目的」を見直す
最初は「お金のため」に始めた仕事でも、続けるうちに「人の役に立つ喜び」や「自分の成長」を感じるようになることがあります。
そうした変化を意識的に振り返ることで、働く意味が深まり、次のステップにもつながります。
「今の自分にとっての目標は何か?」を定期的に見直すことで、長期的なモチベーション維持につながるのです。
このように、シニアが働くうえで大切なのは、「無理をせず、続けられるモチベーション設計」。
目標を持ち、人とのつながりを意識しながら働くことで、仕事は単なる収入源ではなく、「人生の張り」そのものになります。
5.まとめ|自分らしく生きるための「やりがいある仕事」を見つけよう
定年後の働き方において、「やりがい」や「目標」を持つことは、心身の健康を守るうえで非常に重要です。
収入の確保だけでなく、自分が社会とつながり、誰かの役に立てているという実感こそが、シニア世代の毎日を充実させる最大の源になります。
本文で紹介したように、仕事には経済的な効果に加え、身体・脳・心の健康を支える力があります。
特に「自分の得意を活かせる仕事」や「感謝される仕事」を選ぶことで、無理なく長く続けられる働き方が実現できます。
また、年齢を重ねることで培われた経験や人間力は、多くの職場で求められています。
自信を持って、新しい一歩を踏み出してみましょう。
最後に大切なのは、「仕事を通じてどんな毎日を過ごしたいか」を自分なりに描くことです。
人生100年時代、“働くこと=生きること”がますます近くなる中で、「目標を持ち続けること」こそがシニアの生きがいを支えます。
年齢にとらわれず、自分らしい形で働き続けることが、豊かなセカンドライフへの最良の道です。
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