1.60歳からでもお金は増やせる!まず押さえたい3つの基本戦略
60歳からの資産形成は、「もう遅いのでは?」と感じやすいものです。しかし実際には、60代は“お金の増やし方を見直す絶好のタイミング”でもあります。年金の受給開始や働き方の変化など、生活スタイルが大きく変わる時期だからこそ、収入・支出・資産運用のバランスを整えやすくなるのです。
まず押さえておきたいのが、「増やす」「守る」「育てる」の3つの戦略です。
●1.収入を“増やす”——年金+αの収入源を持つという発想
総務省「家計調査」では、高齢夫婦世帯の平均支出は月約23万円前後とされています。一方、公的年金の平均受給額は月14〜16万円程度と言われており(厚生労働省「厚生年金保険・国民年金事業状況」より)、少しの収入不足が生まれやすいのが現状です。
だからこそ、60代からの資産形成は 「小さく収入をプラスする」発想 がとても効果的です。
例えば、
・1日4時間以内のパート
・在宅できる業務補助
・自治体や公共施設の軽作業
など、健康に負担が少ない働き方なら長く続けやすく、安定した“追加収入”が得られます。
●2.支出を“守る”——固定費の最適化が資産形成の土台に
資産を増やすうえで「支出の見直し」は欠かせません。特に60代では、以下のような固定費が大きく影響します。
・通信費
・生命保険
・自動車費用
・サブスクリプション料金
これらを見直すことで、毎月数千円〜数万円の支出改善につながることも珍しくありません。
資産形成は“稼ぐこと”だけではなく、出ていくお金を最適化することでも十分実現できます。
●3.資産を“育てる”——少額からできる運用でお金を長持ちさせる
「投資は怖い」「60歳から始めても意味がない」と思われがちですが、実際には少額からの低リスク運用は60代でも取り入れやすい手法です。
・積立型の安定ファンド
・新NISAでの少額投資
・個人向け国債などの低リスク商品
などを組み合わせれば、お金を“育てる”仕組みを作ることができます。
運用とは、資産を短期で増やすというよりも、老後の生活資金を長持ちさせるための道具と考えると無理なく始められます。
●60代からの資産形成は「バランス」で決まる
「増やす」「守る」「育てる」の3つをバランスよく整えることが、60歳からの資産形成の最短ルートです。どれか一つに偏る必要はありません。働き方を工夫し、固定費を整え、無理のない運用を組み合わせることで、今日からでもお金は確実に増やすことができます。
2.働いて増やす:60歳からの「無理なく稼げる仕事」の見つけ方
60歳から資産を増やすうえで、もっとも取り組みやすいのが「働いて収入をプラスする」方法です。
とはいえ、若い頃のようにフルタイムで働く必要はありません。むしろ、大切なのは健康に負担をかけず、長く続けられる働き方を選ぶことです。ここでは、60代が安心して収入を増やすために押さえておきたいポイントを整理します。
●健康に負担が少なく、長く続けられる仕事とは
60代にとって重要なのは、
「長く続けられる」=「収入が安定する」
ということです。
そのため、体力よりも“経験”や“人柄”が生きる仕事が安心です。例えば…
・受付 / 案内(公共施設 / 病院 / 企業)
座り仕事が中心で身体の負担が少ない。
・軽作業(シンプルな仕分けや清掃)
ルーティン業務で覚えやすく、無理のないペースで働ける。
・施設管理 / マンション管理
見回りや簡単な補修など、落ち着いた働き方が可能。
・販売 / 接客(スーパーや小売)
コミュニケーション力が生きる定番の仕事。
こうした仕事は60代でも採用されやすく、勤務時間を選べる職場も多いため、体力に合わせて無理なく働けます。
●スキルや経験を活かせる仕事は資産力UPにもつながる
60歳を超えてからの働き方では、若い人にない「強み」が大きな武器になります。
これは、単に時給を得るだけではなく、生涯収入を高める“資産づくり”にも直結します。
・長年の接客経験 → コールセンター / 相談窓口
・事務の経験 → データ入力 / 事務補助
・店舗管理やリーダー経験 → シフト管理 / サポート業務
キャリアの積み重ねがあるからこそ、60代が「強みを活かして働ける場」は多く存在します。
●パートタイムで収入を底上げするコツ
60代の働き方で最も現実的なのは、1日4〜6時間のパート勤務です。
・身体に無理がない
・家事や趣味とも両立しやすい
・収入を+5万〜10万円ほど上乗せしやすい
特に月5万円のプラスは、年間60万円。
生活費の負担が大きく軽くなり、資産の減りもゆっくりになります。
“少し働くだけ”で、老後のお金の安心度は大きく変わります。
●社会とのつながりが“資産”にもなる理由
厚生労働省の研究では、仕事を通じて社会参加している高齢者のほうが、健康寿命が長い傾向にあると示されています(引用:厚生労働省「健康日本21」)。
これは、働くことで…
・定期的に人と話す
・役割が生まれる
・生活リズムが整う
といった効果が、「心身の健康=長期的な生活の安定」につながるためです。
言い換えれば、仕事は
“お金”だけでなく、“健康”という最大の資産を守る手段
にもなるのです。
60代からの働き方は「ムリなく続けられる」ことが最優先
これからの働き方で一番大切なのは、
「無理をしない」×「続けられる」
ということです。
収入が増えるだけでなく、働くことで気持ちが前向きになり、毎日の生活にリズムとやりがいが生まれます。
60歳からの資産づくりは、こうした「働きながらの安心感」が大きな支えとなります。
3.支出を減らして資産を守る:60代がやるべき節約術・固定費の見直し
60歳からの資産形成で「最も効果が早く出る方法」は、実は“節約”です。
とはいえ、節約=我慢ではありません。特に60代では、生活の質を落とさずに支出を最適化することが大切です。なかでも、まず手をつけるべきは「固定費の見直し」。毎月の負担を減らすことで、資産は確実に“守れる”ようになります。
●年金生活で最優先に見直すべき「固定費」
固定費とは、毎月必ず発生する支出のこと。ここを整えるだけで、家計は驚くほど軽くなります。
代表的なのは以下の項目です。
・通信費(スマホ / ネット)
・保険料(生命保険 / 医療保険)
・自動車関連費(駐車場 / 保険 / 整備費)
・サブスクリプション(動画 / 音楽 / サービス系)
特に通信費と保険は、多くのシニア世代が“気づかないうちに”払いすぎている代表例です。
たとえば、総務省の発表では「家計における通信費は年々増加傾向」とされています(引用:総務省「通信利用動向調査」)。
スマホ料金が月1万円を超えるケースも珍しくなく、格安プランに変更するだけで年間5万〜8万円の節約になる場合もあります。
●通信費・保険・サブスク…見直しで年間数万円の改善も
●通信費
格安SIMやシニア向けの低容量プランを利用するだけで、
月5,000円 → 月1,500円程度
に抑えられるケースが多数あります。
●保険
60代では、若い頃に加入した保障内容が「今の生活に合っていない」ことも多いです。
・医療保険が重複している
・がん保険などの特約が複数ついている
・必要以上に高額な死亡保障
生命保険文化センターも「ライフステージに応じた見直しが重要」と強調しています(引用:生命保険文化センター)。
●サブスクリプション
定額サービスは便利な一方、利用頻度が低いものが積み重なると年間数万円に。
「使っていないのに続けている」サービスは真っ先に見直すべきポイントです。
●節約しすぎは逆効果?心の豊かさとバランスを取る方法
節約には注意点もあります。それは——
“削りすぎ”は幸福度を下げてしまう
ということです。
特に60代は、心の充実や趣味の時間が生活の質を大きく左右します。
・楽しみの外食をゼロにする
・趣味を我慢する
・交友を減らしてしまう
こうした無理な節約は、生活そのものを窮屈にしてしまい、長続きしません。
大切なのは、
「削るところ」と「残すところ」の優先順位をつけること」。
削るべきは“固定費”や“無駄なサービス”、残すべきは“心が豊かになる支出”です。
固定費の見直しは60代の資産形成に最も効果的
固定費は一度見直せば、その効果が毎月続く“自動的な節約”です。
資産を守るためには、まず出ていくお金を最適化する。これは60歳からの資産形成の基本であり、今すぐに取り組める最も実践的な方法です。
4.少額からでもできる安全な資産運用:60歳から始める“育てるお金”
60歳からの資産運用は、「大きく儲ける」よりも “資産を長持ちさせるために育てる” という考え方が重要です。まとまった資金がなくても、月5,000円〜1万円ほどの積立から十分にスタートできます。ここでは、初心者でも取り組みやすい低リスクな運用方法を中心に解説します。
●初心者でも安心の「低リスク運用」から始めるのが基本
60代からの投資で心配なのは、「大きく減らしたくない」という点です。
そのため、値動きが安定しておりリスクの低い商品を選ぶのがポイントです。
代表的な低リスク商品として挙げられるのは以下です。
・個人向け国債(変動10年)
元本割れリスクが極めて小さく、国が発行するため信頼性が高い。
・安定重視の投資信託(バランス型 / 債券多め)
複数の資産に分散されているため、急激な値動きが起こりにくい。
・預金+αの運用(定期預金 / ネット銀行の高金利)
年利は低いが元本が守られ安心。
日本証券業協会も「分散投資・長期投資はリスクを抑える方法として有効」と紹介しています(引用:日本証券業協会 公式サイト)。
少額からでも、手堅く運用を始めることは可能です。
●iDeCo・新NISAのメリットと注意点
2024年以降、新NISAは「つみたて投資枠+成長投資枠」が恒久化され、年齢に関係なく資産形成がしやすくなりました。
60代でも十分活用可能で、主なメリットは以下です。
【新NISAのメリット】
・利益が非課税(通常なら20.315%課税)
・少額から始められる(月1,000円程度でもOK)
・途中で引き出し可能で柔軟性が高い
【注意点】
・元本保証の商品ではないため、値動きを理解したうえで利用する
・大きく増やすより、安定した積立運用が向いている
一方、iDeCoは60歳以降に始めると受取開始年齢が遅くなるデメリットがあるため、60代から急いで始める必要はありません。
公的制度はメリット・デメリットを比べて、自分に合うものだけ選ぶのが安心です。
●60代に向いている運用スタイルとは
60代では、「攻める運用」よりも “守りながら増やす運用” が最適です。
具体的には、
・債券比率多めの投資信託
・国内外に広く分散されたインデックスファンド
・個人向け国債など安全資産も組み合わせる
こうしたスタイルなら、リスクを抑えつつ緩やかに資産を育てられます。
一般的に、債券比率が高い方が値動きが安定し、60代の運用に向いています。
●投資が怖い人でもできる“小さな一歩”の始め方
投資に抵抗がある方は、「小さく始める」ことが最大のコツです。
・月5,000円だけ積み立てる
・最初は“預金+国債”の組み合わせ
・ネット証券の無料セミナーや動画で基礎を学ぶ
金融庁も「長期・積立・分散」を基本とし、小額からの資産形成を推奨しています(引用:金融庁「NISA特設ウェブサイト」)。
投資は“怖いもの”ではなく、“道具”のひとつ。
少しずつ慣れながら仕組みを理解すれば、60代からでも安全に取り組むことができます。
60歳からの運用は「守りながら増やす」が鉄則
大切なのは、無理に大きなリターンを狙うことではなく、資産を長持ちさせる設計です。
低リスク商品を中心に、少額の積立から始めていくことで、60歳からでも十分に“育つお金”の仕組みを作ることができます。
5.お金だけじゃない!60歳からの資産形成に必要な“心とつながり”
60歳からの資産形成というと、「働く」「節約」「運用」など“お金に直結する行動”に目がいきがちです。しかし、実は同じくらい重要なのが “心の健康”と“人とのつながり” を保つこと。これらは、長期的に見ると「お金と同じくらいの資産」になります。
●働くことが健康・幸福度に与える影響
厚生労働省が推進する「健康日本21」の調査では、
社会参加(仕事・ボランティア・地域活動)をしている高齢者は、要介護リスクが低く、健康寿命も長い傾向
があると報告されています。
なぜ働くことが健康につながるのかというと、
・規則正しい生活リズムができる
・身体を適度に動かす習慣がつく
・役割を持つことで気持ちが前向きになる
といった効果が積み重なるからです。
つまり、働くことは「収入を得る手段」であると同時に、健康を維持する“投資”でもあるのです。
●人とのつながりが「生活の質」を上げる科学的理由
高齢者のメンタルヘルス研究でも、「社会的つながり」は幸福度と深く関係しているとされています。
国立研究開発法人 国立長寿医療研究センターの調査でも、
家族以外との交流頻度が高い人ほど、抑うつリスクが低い
という結果が示されています。
人と話すことは、脳の活性化やストレスの軽減にもつながり、結果として長期的な健康維持につながります。
●得られた収入以上の価値=心の資産とは
60歳からの働き方で最も大きな価値は、「収入」だけではありません。
実際には次のような“心の資産”が得られるケースが多いのです。
・社会の一員として必要とされる感覚
・誰かの役に立つという喜び
・新しい仲間や人間関係ができる
・生きがいや目標が生まれる
これらは数字には表れませんが、老後の生活の満足度を大きく左右する重要な資産です。
企業や地域での小さな役割でも、続けることで生活が前向きになり、「毎日が充実していく感覚」が得られます。
60代からの資産づくりは“心の豊かさ”も含めて考える時代へ
お金はもちろん大切ですが、60歳以降の生活では「心」と「つながり」も欠かせません。
働くこと、誰かと関わることが、自分の価値を再確認するきっかけになり、結果として長く健康でいられることにつながります。
心の健康 × 収入 × 人とのつながり
この3つが揃うことで、60代以降の資産づくりはより安定し、豊かになります。
6.まとめ|働き方×節約×運用で、今からでも資産は確実に増やせる
60歳からの資産形成は、「遅い」と感じる必要はありません。むしろ、生活スタイルが変化する今こそ、お金との向き合い方を見直す絶好のタイミングです。大切なのは、“大きく稼ぐこと”や“難しい投資をすること”ではなく、小さく、確実に、続けられる方法を選ぶことです。
●今日からできる3つのアクション
60代からムリなく資産を増やすために、まず取り組むべきは次の3つです。
① 少し働いて収入をプラスする
「1日4〜5時間だけ」「週2〜3日だけ」といった働き方でも、月3万〜7万円の収入アップが見込めます。これは年間にすると36万〜84万円。家計のゆとりが大きく変わります。
② 固定費を見直して支出を最適化する
通信費、保険、サブスクなどを整理するだけで、年間数万円〜十数万円の節約になる場合があります。節約は“苦労せずに資産を守れる方法”でもあります。
③ 少額から運用を始めて“育てるお金”を作る
個人向け国債や安定型の投資信託、新NISAの積立など、低リスクの商品で始めれば60代でも安心。運用は“お金を長持ちさせるための仕組み”として活用できます。
●小さく始めて続けることが成功の秘訣
60代からの資産形成の最大のポイントは、
「完璧を目指さないこと」
です。
・少額からの積立
・短時間のパート勤務
・固定費の見直し
・無理のないペースでの運動や生活習慣作り
こうした“ちょっとした変化”の積み重ねが、数年後には大きな安心につながります。
また、働くことで得られる社会とのつながりや心の充実は、数字には表れない“第二の資産”。
お金だけでなく、心の豊かさも含めて資産形成と考えることで、60歳以降の人生はより安定し、前向きになります。
今からでも、お金は増やせる。生活は変えられる。
60歳からの資産づくりは、
「働く × 節約 × 運用」
の3つをバランスよく取り入れるだけで、大きく前進します。
人生100年時代。今からでも、決して遅くありません。
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