1.深夜・夜間で働くシニアが増えている理由とは?
深夜・夜間に働くシニアが近年増えています。背景には「人手不足の深刻化」「働き方の多様化」「シニア採用の追い風」という3つの大きな流れがあります。厚生労働省の「高年齢者雇用状況報告(2024年版)」でも、70歳以上の雇用が過去最多となり、特に軽作業・警備・清掃といった夜間帯での需要が高まっているとされています。
まず、深夜帯はどの業界も人手が不足しやすく、企業側は「年齢よりも勤務態度や責任感を重視」する傾向が強くなっています。シニア世代は長年の社会経験から「時間を守る」「丁寧に作業する」といった信頼性が高く評価されるため、採用に積極的な企業が増えているのです。
さらに、夜間の仕事は体力勝負のイメージがありますが、実際には「巡回」「見回り」「軽度の清掃」「モニター監視」など、過度な負担を伴わない業務も多くあります。若い人が集まりにくい時間帯だからこそ、シニア世代の存在は貴重。職場によっては「60代後半〜70代のスタッフが主力」というケースも珍しくありません。
また、深夜・夜間の仕事は時給に割増(深夜割増25%以上)がつくため、「短時間で効率よく収入を得たい」というシニアのニーズとも一致します。日中は自身の時間を確保しながら、夜間に無理なく働けることで生活リズムを整えやすい点も強みです。
そして、もう一つ大きいのが「社会とのつながり」を求める気持ちです。定年後は孤独感を抱きやすい時期ですが、深夜帯でも仲間ができ、職場で役割を持つことは精神面の安定につながります。特に施設管理経験や工場勤務経験のある方にとっては、これまでの経験をそのまま活かせる職場も多く、再スタートがしやすいのも理由の一つです。
2.深夜・夜間の仕事がシニアに向いている5つのメリット
深夜・夜間の仕事は「体力に自信がない」「日中は自分の時間を確保したい」「収入を安定させたい」というシニア世代にとって、実は非常に相性の良い働き方です。ここでは、特に68歳前後のシニアにとって魅力となる5つのメリットを詳しく紹介します。
① 生活リズムに合わせて働ける“柔軟性”
定年後は「日中は家事・趣味・通院などの予定が入りやすい」という方も多く、夜間のシフトは生活に組み込みやすい働き方です。
例えば、夜22時〜翌2時の4時間、もしくは23時〜翌3時の巡回業務など、短時間勤務の求人も多く、無理なく働けるのが特徴です。
② 体力負担が少ない軽作業が多く、60代以降でも続けやすい
深夜帯の業務は、日中と比較して来客や作業量が少ないため、シニアでも続けやすい仕事が中心です。
・施設のモニター監視
・建物の見回り
・軽度の清掃
・工場の仕分け/チェック作業
など、激しい動きが少ないため、「日中に長時間立ちっぱなしはつらい」という方でも安心して取り組めます。
③ 深夜割増で“効率よく稼げる”のが最大の魅力
深夜(22時〜5時)は労働基準法により「深夜割増25%以上」が義務づけられています。
時給1,100円なら深夜帯は1,375円以上にアップし、短時間でも効率的に収入を得られる点は大きなメリットです。
「長時間は働けないけど、月5〜7万円ほど補填したい」というシニアにとって、非常に現実的な働き方です。
④ 人間関係のストレスが少なく、穏やかな環境で働ける
深夜は人が少なく、慌ただしさも少ないため、人間関係のトラブルに悩まされにくいのが特徴です。
特にシニアの方は「落ち着いた環境で働きたい」というニーズが強いため、夜間帯は相性が良い働き方といえます。
⑤ 社会とのつながりを持ち続けることで心の健康にもプラス
定年後は社会的つながりが減りがちですが、夜間の仕事でも仲間ができたり、役割を持つことで精神的な安定につながります。
・日々の生活にリズムができる
・人との会話や交流が自然と増える
・自分の存在価値を実感しやすい
という心理的メリットは大きく、実際に「生きがいにつながった」という声も多い働き方です。
3.シニア世代でも無理なくできる深夜・夜間の仕事5選
深夜・夜間の求人は「若い人が集まりにくい」「静かな時間帯の作業が多い」という特性から、シニア世代でも続けやすい仕事が多く存在します。ここでは、体力負担が少なく、未経験からでも始めやすい代表的な5つの仕事を紹介します。
① 施設・ビルの夜間見回り(巡回・モニター監視)
シニアの夜間仕事の中でも特に人気なのが、施設やビルの見回り業務です。
主な内容は以下のとおりです。
・建物内外の巡回
・防犯カメラ(モニター)のチェック
・簡単な施錠確認
・不審物/異常の確認
歩行や階段の昇降はありますが、ゆっくりとしたペースで巡回できるため、60代以上でも無理なく続けられる仕事です。
② 介護施設での夜間サポート(見守り・巡回中心)
「介護の夜勤」と聞くと負担が大きいイメージがありますが、シニア向けの求人には“見守り中心”の穏やかな業務も多くあります。
特に 小規模施設や有料老人ホーム では、夜間は利用者が休んでいる時間帯のため、以下のような負担の少ない仕事が中心です。
・施設内の定期巡回
・ナースコール対応(状況確認と職員への取次ぎ)
・軽度の起床/就寝サポート
・翌朝の簡単な準備(タオル補充など)
介護資格がなくても応募できる「夜間見守りスタッフ」の求人も増えており、
“人と関わる仕事が好き”
“静かな環境で社会貢献したい”
というシニアに向いている仕事です。
体力に自信がない方でも始めやすい職場が多く、特に60代・70代の採用実績が豊富なのも特徴です。
③ 工場の軽作業(仕分け・梱包・検品など)
工場の夜勤と言うと体力仕事のイメージがありますが、「軽作業」や「ライン作業のサポート」といったシニア歓迎の職種も増えています。
仕事内容の例:
・小物商品の仕分け
・梱包用の箱詰め
・ラベル貼り
・不良品のチェック作業
座り作業が中心の職場もあり、「体力に自信はないけれどコツコツ作業は好き」という方に向いています。
④ コンビニの夜間スタッフ(レジ・品出し中心)
コンビニの夜勤は若い人向けのイメージがありますが、実はシニア採用に積極的な店舗も増えています。
深夜帯は来客が少なく、落ち着いた環境で業務ができるため、シニアでも無理なく続けやすい仕事です。
主な仕事内容:
・レジ対応(ピーク時間が少なく落ち着いて対応可能)
・商品補充/品出し
・店内の簡単な清掃
・朝に向けた陳列準備
・防犯チェックや見回り(店舗による)
「覚えることが多いのでは?」と不安に思う人もいますが、
深夜帯は業務量が抑えられているため、マンツーマンでゆっくり教えてくれる店舗も多いのが特徴です。
また、コンビニは 通勤しやすい立地が圧倒的に多い ため、
「車に乗らずに通いたい」「自宅近くで働きたい」
というシニアにとって非常に相性の良い職場と言えます。
⑤ 交通誘導・警備スタッフ(無理のない配置の現場)
夜間の警備と言っても、すべてがハードな現場ではありません。
シニア向けの募集には、比較的負担の少ない配置や仕事内容もあります。
たとえば、
・駐車場での簡単な誘導
・建築現場の入口での出入り管理
・車両が少ない深夜の店舗警備
警備業法に基づき研修(新任教育)が義務づけられているため、初めてでも安心してスタートできます。
シニア世代の強みである「誠実さ」「責任感」「丁寧な仕事ぶり」は、深夜・夜間の現場で高く評価されています。
自分の体力・経験に合わせて、無理なく続けられる仕事を選ぶことが大切です。
4.深夜・夜間で働く際の注意点と安全対策
深夜・夜間の仕事は「静か」「落ち着いて働ける」「時給が高い」といったメリットがある一方で、昼間とは異なるリスクも存在します。シニア世代が安全に長く続けるためには、健康面・安全面・働き方の3つをしっかり整えることが重要です。ここでは、無理なく働くために押さえておくべきポイントを詳しく解説します。
① 睡眠と生活リズムを整えることが最優先
夜間に働くと、どうしても生活リズムが乱れやすくなります。
特にシニア世代は睡眠の質が低下しやすいため、働く前から意識的に整えることが大切です。
● 勤務前に短時間の仮眠を取る
30~60分の仮眠は集中力を高め、夜間の眠気を軽減します。
● 勤務後はできるだけ同じ時間に寝る
就寝時間を一定にすることで、体内時計が安定します。
● 日光を浴びて体内リズムを調整する
起床後に日光を浴びることでメラトニン(睡眠ホルモン)が整い、疲労が溜まりにくくなります。
② 夜間特有の安全リスクを理解し、適切に対策する
深夜帯は周囲が暗く、事故やトラブルが起こりやすい時間帯でもあります。
● 巡回時の転倒・つまずき防止
懐中電灯の携行、通路の照度確認、滑りやすい場所の把握などを徹底しましょう。
● 不審者対応のマニュアルを確認する
警備・見回り業務では、決して無理をせず、異常を見つけたらまず「連絡」するのが基本です。
● 安全靴や反射材の使用
深夜の工場・屋外作業では視認性が低いため、反射材付きのベストや靴は必須アイテムです。
企業側もシニアの安全配慮を強化しているため、管理者に相談しやすい体制であることが多いのも安心材料です。
③ 無理のないシフトの組み方を意識する
深夜シフトは収入アップにつながる一方で、長時間働き続けると疲労が蓄積しやすくなります。
● 週2~3日の勤務から始める
シニア歓迎求人の多くは「1日4時間以内」「週2日からOK」の短時間勤務が中心です。
● 連続勤務は避ける
夜勤明けは疲労が残りやすいため、翌日を休みにするなどメリハリをつけましょう。
● 自分の体調に合わせて調整する
「最近疲れやすい」「眠気が強い」と感じたら、無理をせずシフト調整を依頼することが大切です。
④ 健康を守るためのポイントを日常的に取り入れる
夜間労働は、体にかかる負担がゼロではありません。
日常生活の中でできる予防策を意識することで、負担を大きく減らせます。
● 定期的な水分補給
深夜は知らないうちに脱水症状になりがちです。
● 軽いストレッチや歩行で血流を良くする
長時間座りっぱなし、立ちっぱなしは血行不良を招きます。
● バランスの良い食事を心がける
夜間の仕事は食生活が乱れやすいため、朝・昼の食事でしっかり栄養を確保しましょう。
厚生労働省の夜間交代制労働者の健康確保に関するガイドラインでも、生活リズムの管理と休養の確保が推奨されています。
深夜・夜間の仕事は「対策さえすれば安心して続けられる働き方」です。
無理をしない働き方を選び、健康と安全を第一に考えて勤務することで、長く安定して働くことができます。
5.深夜・夜間の仕事を始める前に知っておきたい探し方と応募のコツ
深夜・夜間の仕事は求人が豊富ですが、「どの求人を選べば安全か?」「シニアでも採用されやすいのか?」という不安を感じる方も多いものです。ここでは、シニア世代が安心して応募し、長く働ける職場を見つけるためのポイントを具体的に解説します。
① シニア歓迎の求人を見つける方法
シニアが応募しやすい深夜・夜間の求人は、以下の方法で見つけるのが効率的です。
● シニア特化の求人サイトを活用する
一般の求人サイトよりも、年齢制限が少なく、シニア採用に積極的な企業が多いのが特徴です。
「週2日~」「1日4時間以内」など柔軟な条件が揃っています。
● ハローワークの夜間求人をチェックする
地元密着型の求人が多く、清掃・警備・工場軽作業など深夜帯の求人が定期的に掲載されています。
● 企業の公式サイトの採用ページを確認する
特にビル管理会社・警備会社・清掃会社は、公式サイトで夜間専任スタッフを募集しているケースが多いです。
② 未経験でも採用されやすいポイントは「誠実さ」と「安心感」
深夜・夜間の仕事では、経験よりも以下が重視されます。
・時間を守れる
・ルールを理解して守れる
・トラブルがあっても落ち着いて行動できる
これは、シニアの最大の強みです。
応募時には「これまでの勤続経験」「責任感をもって働いてきたこと」を具体的なエピソードとともに伝えると採用率が上がります。
例)
「○年間無遅刻・無欠勤で工場勤務を続けてきた」
「前職では夜間当番や警報対応も担当していた」
こうした事実は、企業にとって何よりの安心材料になります。
③ 応募書類で伝えるべき3つのポイント
履歴書・職務経歴書を書く際は、以下の3点が深夜・夜間の仕事では特に重要です。
1.夜間勤務が可能な理由を明確に書く
(体調管理ができている、生活リズムが安定している 等)
2.これまでの勤務姿勢・責任感をアピールする
3.シフトの柔軟性を伝える
「週2~3日なら対応可能」「短時間勤務から始めたい」など具体的にすると採用側のイメージが湧きやすいです。
④ 面接で好印象を与えるコツ
面接では、以下を丁寧に伝えると好印象です。
● 無理のない働き方を希望していること
「継続して働きたいので、負担の少ないシフトでお願いしたい」と伝えると、企業側も安心します。
● これまでの経験がどう役立つか
施設管理・工場勤務・接客経験など、シニアならではの経験は夜間業務で大きな強みになります。
● チームとの協調性をアピールする
深夜帯でも複数人で業務を行うケースがあるため、人間関係の良さは評価されやすいポイントです。
⑤ 安心して働ける職場を見極めるチェックポイント
応募前に以下を確認することで、長く働ける職場かどうか判断できます。
・夜間の安全体制(緊急時の連絡ルール)
・巡回ルートや作業内容が明確か
・研修(OJT)やマニュアルが整っているか
・シニアスタッフが実際に働いているか
・無理のないシフトが提案されるか
特に「シニアスタッフが多い職場」は働きやすい可能性が高く、実際に70代まで続けられるケースも多くあります。
深夜・夜間の仕事は、探し方と応募のポイントさえ押さえれば、シニアでも安心して始められます。
自分に合う環境の職場を選び、長く続けられる働き方を見つけることが大切です。
6.まとめ:深夜・夜間の働き方はシニアの“新しい選択肢”になる
深夜・夜間の仕事は、シニア世代にとって「無理のない働き方」と「安定した収入」の両方を手に入れられる、これからの時代に合った選択肢です。かつては若い世代が中心だった夜勤も、今では働き方の多様化や人手不足の影響により、シニアの活躍が積極的に求められるようになりました。
夜間帯の業務には「巡回」「監視」「軽作業」「受付」など、過度な体力を必要としない仕事が多く、長年の経験や責任感を活かしながら働ける環境が整っています。さらに、深夜割増によって短時間でも効率よく収入を得られるため、「月数万円の補填をしたい」という方にとって現実的で続けやすい働き方です。
また、夜間の仕事は日中の時間を自由に使えるため、
・通院
・家族との時間
・趣味
・学び直し
・自宅でのんびり過ごす時間
との両立も可能です。シニアが求める「自分らしい生活リズム」と「働く楽しさ」を両立できる点は、ほかの働き方にはない魅力です。
もちろん、夜間特有の注意点—睡眠リズムの調整、安全確保、無理のないシフト管理—はあります。しかし、これらは事前に知って対策すれば十分にコントロールできるものであり、企業側もシニアの安全に配慮した環境づくりを強化しています。
深夜・夜間という働き方は、定年後の新しいステージに踏み出したい人にとって「もうひとつの働く選択肢」。
収入・健康・社会参加のバランスを保ちながら、安心して長く続けられる働き方として、今後ますます広がっていくでしょう。
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