企業ストーリーの作り方|シニア採用も自然と伝わる『自社らしさ』の言語化ステップ

【企業向け】シニア採用

1.企業ストーリーとは何か?シニア採用で重要性が増す理由

採用市場はここ数年で大きく変化し、求人票の条件だけでは応募が集まりにくい時代になりました。応募者は複数企業を比較しながら、“どんな会社なのか” を深く理解しようとするようになり、企業の価値観や背景が重要視されるようになっています。これが、企業ストーリーが注目される理由です。


● 採用市場が“情報戦”になっている背景

求職者が企業に求める情報量は年々増えています。特に少子高齢化による労働力不足が続く中、企業は「なぜこの会社で働くべきなのか」を丁寧に伝えなければ、応募者に選ばれにくい状況です。

厚生労働省『令和5年版高齢社会白書』によると、シニアの就業理由として
・生きがい
・社会とのつながり
・健康維持
などが上位に挙がっており、条件だけでなく“働く価値”そのものを重視する傾向が見られます。

このように、価値観をどう伝えるかが採用に直結するため、企業ストーリーは採用力の重要な柱となっています。


● シニア人材が企業に求める「安心・共感・信頼」とは

シニア人材は、若手以上に
「安心して働けるか」
「どんな雰囲気か」
「人間関係は良いか」

といったポイントを重視します。

厚労省『高年齢者の雇用に関する意識調査』でも、60歳以上の求職者が重視する条件として、
・働きやすい雰囲気
・無理のない働き方
・人間関係のストレスが少ないこと
が明確に示されています。

こうした“安心の判断材料”として、企業がこれまで歩んできた背景や、どんな想いで事業を続けているのか、誰がどんな気持ちで働いているのかといった「ストーリー」が大きく作用します。

シニア採用では、企業ストーリーが
不安を減らす → 信頼が生まれる → 応募に進む
という流れを生み出す非常に重要な要素なのです。


● 共感が採用と定着を強化する理由|離職防止にも効くストーリーの力

企業ストーリーが持つ最大の効用は「共感」が生まれることです。

共感は応募につながるだけでなく、入社後の定着率にも強く影響します。

なぜなら、
“なぜこの会社で働くのか”という理由が自分の価値観と一致しているほど、仕事への意味づけが強くなるからです。

企業が
・何のために事業を行い
・どんな未来を目指し
・社員がどんな想いで働いているか
を言語化すると、シニア人材も「自分もこのチームの一部として貢献したい」と感じやすくなります。

これは離職防止にも直結します。
価値観や方向性のズレが少ないほど、職場への不満は発生しにくく、長期的な就業意欲につながるからです。

特にシニア人材は「自分の経験が役に立つか」を重視するため、企業ストーリーが示す“役割や社会的意義”が響きやすく、入社後のモチベーション維持にも大きく寄与します。


2.企業ストーリーを構成する3つの要素|ミッション・歴史・人の物語

企業ストーリーは「感覚的な雰囲気」ではなく、きちんと構造を持っています。特に採用、とくにシニア採用を意識する場合、ストーリーには “3つの柱” を置くと一貫性が生まれ、求職者にとって理解しやすく、信頼できる情報になります。

ここでは
1.ミッション(使命)
2.ヒストリー(歴史)
3.ピープル(人の物語)
という3つの軸から企業ストーリーを整理する方法を解説します。


    ● ミッション(使命)を“採用目線”で翻訳する

    企業ミッションは、多くの場合「経営理念」や「行動指針」として存在しています。しかし、それが採用の場面でそのまま機能するとは限りません。

    重要なのは、
    “そのミッションが、働く人にとってどんな意味を持つのか?”
    に言い換えることです。

    例えば——
    「地域の安心を支える」というミッション
     → シニア人材にとっては「自分の経験が地域貢献に生かせる」
    「人を育てる文化を大切にする」
     → 若手とシニアの協働で“学び合う場”が生まれる

    このように、企業の大きな理念を、“そこで働く人目線”に翻訳するだけで、ストーリーの説得力が一気に高まります。

    また、ミッションはシニアにとって「働く意味」や「役に立ちたい気持ち」と直結するため、特に響きやすい要素でもあります。


    ● 企業の歴史・成長ストーリーをどう整理するか

    企業の歴史は、ただの年表ではなく“信頼の根拠”になる部分です。
    過去から現在までの積み重ねは、シニア求職者にとって「この会社は長く続いていて安心できる」という重要な判断材料になります。

    歴史をストーリー化するコツは3つです。

    1.創業時の想い(なぜ始めたのか)
    2.転機となった出来事(ピンチ・挑戦・成長)
    3.現在の姿と未来の方向性

      この3点を一本の筋として整理すると、「継続して成長してきた企業の信頼性」が伝わり、求人票や面接の場でも“企業のプロファイル”として使える強力な武器になります。

      また、歴史を語る際に「地域との関わり」「顧客との歩み」を盛り込むと、シニア人材が求める“社会性”ともフィットするため、より深い共感を得られます。


      ● 社員のリアルな物語がシニア採用に効く理由

      企業ストーリーの中で最も心を動かすのは「人の物語」です。
      社員のエピソードは、企業理念や歴史を“現場レベルでどう体現しているか”を示す、最も強力な要素になります。

      特にシニア採用では効果が大きく、理由は3つあります。

      1. 職場の雰囲気がイメージしやすい
      「どんな人が、どんな思いで働いているか」が伝われば、シニア求職者の最大の不安である “人間関係” を想像しやすくなります。

      2. “自分の経験を活かせるか”が判断できる
      先輩社員の役割や活躍シーンを紹介することで、シニアは「自分もこういう形で貢献できるかも」と、自分の未来像を重ねやすくなります。

      3. 入社後のミスマッチ防止につながる
      働く人の価値観やスタンスがわかると、入社後のギャップが少なくなり、定着率の向上にもつながります。
      たとえば——
      ・65歳から入社して活躍するスタッフのインタビュー
      ・業務分解によりシニアが活躍できるようになった話
      ・若手とシニアが協働する現場ストーリー

      こうした“リアリティのある物語”こそ、企業を最も魅力的に見せるストーリー要素になるのです。


      3.シニア人材に響く企業ストーリーの作り方7ステップ

      企業ストーリーは「センス」や「文章力」でつくるものではありません。
      必要なのは 順序立てた整理採用目線での翻訳 です。
      特にシニア採用では「安心できる理由」「経験が活かせるポイント」「職場の温度感」が伝わることが大切で、そのために7つのステップに分けて構築する方法が最適です。

      以下では、1つずつ順番に“採用に効くストーリーの作り方”を解説します。


      ● Step1:採用戦略と企業目的の棚卸し

      最初に行うべきは、企業側の目的を明確にすることです。

      ・なぜシニア人材を採用したいのか
      ・どんな課題を解決したいのか
      ・どう会社に貢献してくれると期待しているのか

      この「採用の理由」が曖昧なままだと、ストーリー全体がぶれます。

      また、企業目的(ミッション)を理解しないまま採用活動を進めると、一貫性が失われ、面接や求人票で伝える内容にズレが生じてしまいます。

      まずは、採用戦略と企業の方向性を整理し、
      “シニア採用が企業の未来とどう結びつくのか”
      を言語化するところからスタートしましょう。


      ● Step2:ターゲット(シニア像)の解像度を上げる

      シニアと一口に言っても、背景や志向は多様です。

      ・60代前半でまだフルタイム志向の人
      ・65歳以降で短時間/軽作業を希望する人
      ・70代で「社会参加」が目的の人
      ・人間関係を最重視する人 など

      この“違い”を理解することが、企業ストーリーづくりの基礎となります。

      たとえば、
      「地域に貢献したい」「経験を活かしたい」という層には社会性や役割を強調し、「無理なく続けたい」「健康のために働きたい」という層には安心感や働きやすさを提示する。

      採用ターゲットの解像度を高めるほど、ストーリーは自然と“刺さる”内容になります。


      ● Step3:企業の強み・社会性を掘り起こす

      ここで重要なのは、“強み”を売上や事業拡大の観点だけで語らないことです。

      シニア採用において響くのは
      「人の役に立っている実感」「地域とのつながり」「社会を支えている誇り」
      といった要素です。

      たとえば、
      ・地域密着で○○年続いている
      ・地域の学校/福祉施設と連携している
      ・住民からの感謝の声が多い
      ・利用者満足度などの数字が高い

      こうした“社会性の強み”を掘り起こすことで、企業ストーリーの核ができます。


      ● Step4:仕事の価値・役割を言語化する

      シニア採用では「この仕事はどんな役割で、どんな価値があるか」を丁寧に説明することが効果的です。

      なぜなら、
      “自分の経験が役に立つかどうか”
      が応募の決断に大きく影響するからです。

      仕事内容を単に列挙するのではなく、
      ・どんな人に喜ばれる仕事なのか
      ・社会のどの部分を支えているのか
      ・チームにどんな貢献ができるのか
      まで踏み込んで説明すると、ストーリーとしての説得力が一気に高まります。


      ● Step5:働く人のストーリーを集める

      最も強い説得力を持つのが「現場の声」です。

      ・入社のきっかけ
      ・不安だったこと
      ・実際に働いて感じた安心感
      ・周囲との関係性の変化
      ・やりがいを感じた瞬間

      こうしたリアルなエピソードは、企業理念や制度では伝えられない“温度感”を持っています。

      特にシニア採用では
      「自分もこうなれるかもしれない」
      という未来の姿をイメージしてもらうことが重要なため、人の物語は欠かせない要素です。


      ● Step6:業務分解/業務効率化の視点を盛り込む

      シニアが活躍する職場には、共通して
      “業務を分解し、無理なく続けられる働き方を設計している”
      という特徴があります。

      たとえば、

      ・体力を要する業務は若手が担当し、経験を活かす業務はシニアへ
      ・1つの業務を複数人で分けて負担を軽減
      ・シニアが得意な事務/整理/指導業務を補完的に配置 など

      こうした取り組みをストーリーの中で紹介すると、
      「この会社はシニアに理解がある」
      「無理なく働けるよう配慮している」

      という安心感につながります。


      ● Step7:ストーリーを“採用導線”に組み込む

      作ったストーリーは、発信して初めて意味を持ちます。

      具体的には、
      ・求人票
      ・採用ページ
      ・会社説明会
      ・面接での説明
      ・スタッフ紹介
      ・SNS/note
      など、あらゆる採用導線に統一して反映させることが重要です。

      特に面接官によって話す内容がバラバラだと、応募者は不信感を抱きやすいため、
      「全員が同じ物語を語れること」
      が採用成功のカギになります。


      4.企業ストーリーをシニア採用に活かす3つの実践方法

      企業ストーリーが完成したら、次は「どう活用するか」がポイントになります。
      せっかくのストーリーも、求職者に届かなければ意味がありません。

      特にシニア採用では、求職者が
      ・情報収集の手段
      ・応募前に知りたいポイント
      ・面接で感じる“職場の温度感”
      などが若年層とは異なるため、ストーリーの見せ方にも工夫が必要です。

      ここでは実践的に取り入れやすい3つの手法を紹介します。


      ● 求人票にストーリー性を持たせる方法

      多くの企業が意外と見落としているのが「求人票のストーリーデザイン」です。
      求人票は最初に目にする“企業との接点”であり、シニア採用においては特に重要な役割を果たします。

      ポイントは次の3点です。

      1.仕事内容は「役割」とセットで伝える
      例:
      ×「施設内の軽作業」
      ○「施設を利用する方が気持ちよく過ごせるよう環境を整える仕事」

      2.企業の成り立ちや大切にしていることを短く添える
      例:
      「地域の暮らしを守るために12年前に立ち上がった会社です」
      「○○エリアで多くのシニア世代が活躍しています」

      3.働く人の声を一部引用する
      例:
      「70歳で入社したスタッフ: ‘無理なく続けられて、地域とのつながりを感じられるのが嬉しい’」

      求人票は文章量に制限がありますが、ほんの数行の“ストーリーのかけら”があるだけで応募率が大きく変わります。


      ● 会社説明会・面接での伝え方

      シニア採用では面接よりも“説明”の比重が大きくなります。
      なぜなら、シニアは条件よりも「職場の価値観」「人の雰囲気」を知りたい層が多いためです。

      効果的な伝え方のポイントは次の3つです。

      1.話す順序を決めておく
      「5分で会社概要 → 5分で事業の意義 → 3分で働く人の物語 → 仕事内容の説明」
      のように、構成を統一すると理解が深まります。

      2.“事実だけでなく背景”を伝える
      例:
      ×「スタッフの半数が60歳以上です」
      ○「業務分解を進めて、どの年代でも続けやすい環境を整えた結果、多くのシニアが活躍しています」

      3.求職者の経験に寄り添って説明する
      採用側が「こう活かしてほしい」と役割を言語化すると、シニアは安心し、自分の未来を重ねやすくなります。

      説明会や面接は、企業ストーリーを“空気で感じてもらう場”でもあるため、話す内容の一貫性が最重要になります。


      ● 企業HP・採用ページへの落とし込み方

      企業ストーリーはWebページで最も力を発揮します。
      シニアは情報収集を丁寧に行う傾向があり、検索して企業HPや採用ページを必ずチェックする人が多いためです。

      効果的な作り方は以下の通りです。

      1.トップページで会社の特徴をまとめる
      「地域×安心」「創業の想い」「シニア活躍」など、ストーリーの要点を最初に提示します。

      2.“働く人の紹介”ページを充実させる
      ・シニアスタッフのインタビュー
      ・若手と協働する様子
      ・業務分解の工夫
      など、リアルな現場を可視化することで安心感を伝えられます。

      3.事業の意義・役割を図解する
      特に介護・清掃・施設管理のような仕事は、図で説明すると理解が深まり、募集内容の信頼性も高まります。

      4.会社の歴史や地域とのつながりを整理する
      シニアが重視する“安定感”や“地域性”が、ストーリーとして立ち上がります。

      こうしたページを整えることで、応募前の不安が解消され、応募のハードルが大幅に下がります。


      5.シニニアが応募したくなる企業ストーリーに共通する4つの要素

      シニア人材が「この会社で働きたい」と感じる企業には、共通して 4つのストーリー要素 が存在します。
      この4つを押さえることで、求人票や採用ページ、面接での説明が一貫し、応募・定着の双方に良い影響を与えます。

      シニア人材は“環境の良さ”や“安心感”を重視する傾向が強く、企業ストーリーの内容がその判断材料になるためです。以下では、心をつかむ4つの要素を具体的に解説します。


      ● 「安心して働ける」情報を最優先に

      シニア応募者がまず知りたいのは、
      「無理なく続けられるか」
      という点です。

      これをストーリーで示すには、次のような内容が効果的です。

      ・60〜70代のスタッフが実際に活躍している
      ・シフト相談が柔軟にできる
      ・業務分解により、体力負担が偏らない
      ・離職率が低い、長く働くスタッフが多い
      ・休憩スペース、動線設計など“身体に優しい職場環境”

      これらが伝わると、応募の心理的障壁が大幅に下がります。
      「ここなら自分にもできそう」という安心感が、シニア採用の第一歩です。


      ● 人間関係や職場雰囲気がわかるエピソードを入れる

      シニアが最も不安を感じるのが「職場の人間関係」です。
      そのため、社員のエピソードや関係性を感じ取れるストーリーは非常に重要です。

      例としては——
      ・ベテラン社員が新人を優しくサポートしている場面
      ・世代を超えたコミュニケーションが自然に生まれている
      ・スタッフ同士で感謝を伝え合う文化がある
      ・職場見学の際に「雰囲気が良い」と言われる

      特におすすめなのは、実際のシニアスタッフの声を短い文章で紹介すること
      「人の温かさ」は、企業ストーリーの中で最も共感を生む要素です。


      ● 社会貢献・地域連携など“誇りを持てる要素”の打ち出し

      シニアの多くは、収入だけでなく
      「社会とのつながり」
      「誰かの役に立つこと」

      を就労動機の上位に置いています(※引用元:内閣府「高齢者の就業意識に関する調査」など)。

      だからこそ、企業ストーリーに“社会性”を組み込むことが効果的です。

      たとえば——
      ・地域住民や利用者からの感謝の声
      ・地域イベントへの協力/参加
      ・災害時支援や地域安全活動
      ・学校や自治体との連携
      ・高齢者支援や地域福祉に関わる取り組み

      これらの要素があると、シニア求職者は
      「この仕事には意味がある」
      「自分の人生経験が活かせそうだ」

      と感じ、応募意欲が高まります。


      ● 経験活用・業務分解など“役に立てる実感”につながる訴求

      シニアが「働きたい」と考える大きな理由のひとつが、
      自分の経験を誰かの役に立てたい
      という“貢献欲求”です。

      そのため企業ストーリーには、
      “どんな経験やスキルがどこで活かせるのか”
      を具体的に入れることが非常に効果的です。

      例:
      ・接客経験 → 利用者対応で活かせる
      ・安全管理の経験 → 施設の巡回業務で活かせる
      ・子育て経験 → 保育補助などで活かせる
      ・事務経験 → バックオフィス業務で活かせる

      また、企業側が
      ・業務分解
      ・チームでの役割分担
      ・負荷の調整
      などの工夫を行っていることも、そのまま魅力的なストーリーになります。

      「どんな年齢でも役に立てる設計になっている」
      というメッセージは、シニア採用では最も刺さる訴求のひとつです。


      6.企業ストーリーを“採用広報”として活用する方法

      企業ストーリーは紙や頭の中に置いておくだけでは意味がありません。
      採用広報として “どの媒体で、どう伝えるか” が変わるだけで、応募率は2倍以上に跳ね上がるケースもあります。

      特にシニア採用は、若年層のようにSNSだけが情報源ではなく、
      求人票・採用ページ・検索・口コミ・職場見学・チラシ
      など、多様なチャネルを横断して情報収集を行う特徴があります。

      そのため、企業ストーリーを上手に発信することで、
      「安心して働けそう」
      「雰囲気が良さそう」
      「自分の経験が活かせる」
      と感じてもらいやすくなります。

      ここでは、特に効果的な“採用広報としての活用方法”を解説します。


      ● SNS・note・採用ブログでのストーリー展開

      SNSやnote、ブログは企業ストーリーを最も柔軟に伝えられる場です。

      1.日常の様子を写真・短文で伝える
      ・シニアスタッフの普段の業務
      ・チームでの協力シーン
      ・業務分解の工夫
      ・ちょっとした気遣いの瞬間
      こうした“日常のリアル”は、企業を一気に身近に感じさせます。

      2.スタッフインタビューを記事化する
      ・入社のきっかけ
      ・仕事のやりがい
      ・苦手だったことができるようになった話
      ・若手との協働エピソード
      noteやブログでは長めの文章も読まれやすいため、深いストーリーの発信に最適です。

      3.経営者の想いを発信する
      採用において「代表メッセージ」は影響力が大きく、価値観に共感して応募するシニアは少なくありません。


      ● 動画で伝える「職場の温度感」

      シニア採用で最も強力な広報手段が「動画」です。
      理由はシンプルで、職場の空気が“そのまま伝わる”ため。

      ポイントは以下の通り。

      1.30〜90秒の短尺でOK
      長い動画は見られないため、短く簡潔にまとめることが重要。

      2.“働いている人”を中心に映す
      ・60代/70代スタッフの働く様子
      ・チームで協力している場面
      ・休憩中の穏やかなコミュニケーション
      動画は「人の温度感」を伝える最高のツールです。

      3.代表者やリーダーが想いを語る
      「なぜこの会社はシニア採用に力を入れているのか」
      「どんな働き方を大切にしているのか」
      といったメッセージは、応募の背中を強く押します。


      ● 社内イベントや地域活動をストーリーに変換するコツ

      社内イベントや地域活動は、実は企業ストーリーの宝箱です。
      ただし、ただイベントを紹介するだけでは“日記”になってしまいます。

      ストーリー化のコツは以下の3つ。

      1.「なぜ」その取組を行うのかをセットで伝える
      例:
      ✕「清掃イベントを行いました」
      ◎「地域を支える企業として、住民とのつながりを大事にしているため、清掃活動を続けています」

      2.“行動の背景”を説明する
      ・地域住民との交流
      ・スタッフの絆づくり
      ・社会貢献を大切にする文化
      これらの背景を書くだけでストーリーは深みを増します。

      3.努力や学びを入れる
      「最初は不安だったけれど、やってみたら楽しかった」
      「チームで協力し、達成感を得られた」
      こうした“気持ちの変化”があると、読者が感情移入しやすくなります。


      ● 企業ストーリーを発信する際の落とし穴

      最後に、よくあるNGパターンも共有します。

      ・事実よりも美談を盛りすぎてしまう
      ・メディアごとに情報がバラバラで一貫性がない
      ・肝心の求人情報とストーリーがつながっていない
      ・シニア目線ではなく、企業側の“自己満足”になっている

      ストーリー発信の基本は
      「採用ターゲットにとっての価値」
      から逆算して設計することです。


      7.まとめ|企業ストーリーはシニア採用の最強の“差別化資産”になる

      企業ストーリーは、単なる「採用広報の飾り」ではありません。
      シニア採用においては 応募 → 面接 → 入社 → 定着 のすべてに影響を与える“戦略資産”です。

      シニア人材が仕事に求めるのは、
      ・安心して働ける環境
      ・人間関係の良さ
      ・自分の経験が役に立つ実感
      ・社会とのつながり
      など、“条件以外の価値”が非常に大きな比重を占めています。

      そしてこれらは、求人票で給与や時間だけを説明しても伝わりません。
      だからこそ、企業ストーリーが必要なのです。


      ● なぜ企業ストーリーがシニア採用に強いのか?

      本記事で解説した通り、企業ストーリーは以下の効果を発揮します。

      ● 不安を軽減し、応募のハードルを下げる
      働く姿や人間関係、職場の温度感がイメージできると、「自分にもできるかもしれない」と感じてもらいやすくなります。

      ● 自社への信頼が生まれる
      歴史・ミッション・人の物語が一貫しているほど、企業の誠実さが伝わり、信頼につながります。

      ● 入社後のミスマッチを防ぎ、定着率が上がる
      「この会社の価値観が好き」「ここで働く意味がある」と共感すると、離職が起きにくくなります。

      ● 採用コストが下がり、紹介も増える
      ストーリーを発信する企業は自然とファンが増え、応募の質が高まり、紹介採用も起きやすくなります。


      ● 企業ストーリーは“作る”だけでなく“使う”ことが重要

      企業ストーリーは、まとめてPDFにしたり、社内で共有して終わりではありません。

      採用活動のあらゆる場面で活用してこそ、その真価を発揮します。

      ・求人票にストーリーの要素を紐づける
      ・採用ページに人の物語を載せる
      ・面接で同じ順番/同じ内容で説明する
      ・SNSやnoteで現場のエピソードを発信する
      ・職場見学でストーリーを“体験”してもらう

      こうした“導線全体の設計”こそが、シニア採用で圧倒的な差別化を生みます。


      ● 最後に:ストーリーは「共通言語」になる

      企業ストーリーをつくる最大のメリットは、
      「採用担当者・現場・経営者の言葉が揃う」
      という点です。

      言葉が揃うと、企業の魅力が正確に伝わり、応募者の信頼も高まります。
      採用だけでなく、教育、マネジメント、社内連携にも良い影響を与えます。

      シニア採用が重要性を増すこれからの時代、企業ストーリーを持つことは、
      採用活動の基盤であり、組織づくりの基本そのもの です。

      ぜひ今日から、自社らしいストーリーをつくり、育て、広げていきましょう。

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