1.埋もれ人材とは?社内に存在する“活かされていない人材”の特徴
企業の中には、本来高い能力や経験を持っているにもかかわらず、適切な役割や環境が整っていないために能力を発揮できていない「埋もれ人材」が一定数存在します。これは決して個人の努力不足やスキルの問題だけではなく、組織の仕組みやマネジメント体制によって生み出される構造的な課題です。人手不足が深刻化する今、埋もれ人材を“見える化”し、戦力化することは企業成長の大きな鍵となっています。
■ 埋もれ人材の典型的な特徴
埋もれ人材には、以下のような共通傾向があります。
・配置や役割が能力と合っていない(配置ミスマッチ)
例:本来は教育や分析が得意なのに、単純作業を続けている。
・積み重ねた知識/経験が活かされていない
ベテラン社員に多く、業務改善や後輩育成ができるのに機会がない。
・評価制度が過去の役割/年次に固定されている
実際のスキルよりも役職/年齢で判断されてしまうことで“その他大勢化”する。
・心理的安全性が低く、意見を出しにくい環境にある
チーム文化や人間関係により、能力が発揮されず沈黙してしまう。
こうした特徴を持つ社員は、本人に問題があるというより 「組織側の設計で才能が埋もれてしまっている」 と捉えるべきです。とくに中堅・ベテラン層では、経験値が高いにもかかわらず、組織の変化や制度の更新が追いつかず活躍の場が限定されるケースが目立ちます。
■ 埋もれ人材が放置されるリスク
埋もれ人材が可視化されず、適切に活かされない状態が続くと、以下のような影響が生じます。
・若手社員の負担が増え、離職リスクが高まる
・組織全体の“暗黙知”が承継されない
・非効率な業務が残り続ける
・ベテラン層のモチベーション低下
・人手不足が慢性化し、生産性が頭打ちになる
このように、埋もれ人材の存在は 企業にとって静かに進行する組織リスク です。逆に言えば、彼らを掘り起こし、適切に活かすことができれば、最もコスト効率の良い戦力強化につながります。
2.埋もれ人材が生まれる原因|構造・制度・マネジメントの3視点で整理
埋もれ人材は、個々の社員の努力不足や能力不足によって生まれるわけではありません。多くの場合、組織の仕組み・制度・マネジメントの不備によって“作られてしまう”ものです。この章では、埋もれ人材を生む要因を「構造」「制度」「マネジメント」の3つの視点から整理します。原因を正確に理解することで、効果的な対策が打てるようになります。
■ ① 構造的な原因:事業・組織デザインが能力に合っていない
組織構造そのものが、社員の能力を発揮しにくい状態を作り出すケースです。
・事業の変化に組織設計が追いついていない
例:デジタル化が進んだのに、アナログ業務がそのまま残っている。
・役割が固定化されている
入社当時の得意分野や職務に長年縛られてしまい、強みを活かせない。
・若手偏重の設計
「新規事業=若手」という固定観念で、ベテランが戦力外扱いされてしまう。
こうした構造的問題は、本人の能力とは無関係に「埋もれ」を生み出します。
■ ② 制度的な原因:評価・配置・キャリア制度が陳腐化している
制度の古さや硬直性も、埋もれ人材を生み出す大きな要因です。
・年功序列/画一的な評価制度
実力ではなく「年次」「役職」で評価が決まると、中堅・ベテランは埋もれやすい。
・キャリアパスが固定化している
管理職になれない=評価が低い、という古い発想が残っている。
・スキル可視化の仕組みがない
社員の強み/弱み/経験がデータ化されず、配置判断が属人的になる。
・職務定義(ジョブディスクリプション)が曖昧
役割の境界線が曖昧なため、得意分野が埋もれやすい。
制度の更新は後回しにされやすいため、気づいた時には多くの“埋もれ”を生んでいることも珍しくありません。
■ ③ マネジメントの原因:上司のスキル不足やコミュニケーションの欠如
現場のマネジメントは埋もれ人材発生に直結します。
・上司がメンバーの強みを把握していない
対話不足や1on1の不実施が原因。
・指示/役割が曖昧なまま業務が属人化
結果として「できる人」に仕事が集中し、「潜在力がある人」に仕事が回らない。
・心理的安全性を作れない
意見を表明しにくい環境では、能力発揮機会が奪われる。
・メンバー育成より“自分の業務”を優先
マネージャーの忙しさが、埋もれ人材の放置につながる。
特に中小企業では、制度設計よりもこの“現場マネジメントの質”が原因で埋もれ人材が大量発生しているケースが非常に多いです。
原因の多くは「個人ではなく組織側」にある
重要なのは、
埋もれ人材の多くは“企業側の設計で埋もれてしまっている”という事実を理解すること。
この認識がなければ、「本人のやる気の問題」や「スキル不足」と誤解され、根本改善になりません。
構造・制度・マネジメントの3つの観点から整備していくことで、社内の埋もれ人材を可視化し、戦力化する道が開けます。
3.社内の埋もれ人材を“可視化”する方法|スキル棚卸しとタレントマネジメント
埋もれ人材を活かすための第一歩は、社内に「どんなスキルや経験を持つ人がいるか」を正確に把握することです。しかし多くの企業では、社員のスキル情報が属人的に管理されていたり、評価シートの中に埋もれてしまっているケースが非常に多いのが現状です。そのため、「誰が何をできるのか」が見えず、適切な配置や役割設計につながらないという悪循環が起きています。
ここでは、埋もれ人材を“見える化”し、再発見するための実践的な方法を紹介します。
■ ① スキル棚卸しを行う|まずは社員自身に“持ち味”を書き出してもらう
スキル棚卸しは、最も効果的で実行しやすい可視化ステップです。
スキル棚卸しの主な項目
・保有スキル(実務スキル/ソフトスキル)
・過去の経験業務(役割、成果)
・得意/不得意分野
・今後挑戦したい領域
・現在の業務で発揮できていない強み
紙でもExcelでも実施できますが、「棚卸し=本人が自分の強みに気づく機会」にもなるため、従業員エンゲージメント向上にもつながります。
■ ② タレントマネジメントシステムでスキルをデータ化する
近年、中小企業でもタレントマネジメント導入が加速しています。
導入のメリット
・社員のスキル/経験を一元管理できる
・配置やプロジェクトアサインがデータで判断できる
・社内の“埋もれた人材”が浮かび上がる
・1on1/評価/育成計画が連動しやすくなる
※特定のツール名は出しませんが、タレント管理に関する市場データ(例:MM総研のHRTech市場調査など)は実在します。引用が必要であれば追加可能です。
■ ③ 1on1ミーティングで強み・志向性を掘り起こす
スキル棚卸しとタレントデータだけでは把握できないのが、その人の本質的な志向性です。
1on1は、埋もれ人材発掘に最も効果的なコミュニケーション手段と言えます。
上司が以下の視点で丁寧に対話することで、「この人は本当はこういうことがしたい」「実はこういう強みがある」という発見が生まれます。
1on1で引き出すべきポイント
・仕事で最も“楽しい”と感じる瞬間は何か
・無理なく続けられる業務の種類
・過去に評価された経験
・本人がまだ活用できていないスキル
・キャリアの停滞感や不満の有無
1on1の目的は“管理”ではなく、“潜在力を引き出すこと”にあります。
■ ④ スキルマップを作成し、部署ごとのギャップを見える化
スキル棚卸しや1on1で得た情報は、スキルマップとして整理すると効果的です。
スキルマップでできること
・各部署にどんなスキルがどれだけあるかが一目でわかる
・経験豊富な人材がどこに偏っているかがわかる
・プロジェクトごとに適切な人を選びやすい
・若手に偏っているタスクや、逆にベテランにしかできていない業務を把握できる
スキルマップは、Excelでも十分作成できます。
重要なのは “更新し続ける仕組み” を作ることです。
■ ⑤ “見える化”はゴールではなくスタート
可視化ができると、次の段階は「適材適所の配置」「役割分担」「育成計画」の意思決定につながります。
つまり、可視化は埋もれ人材を戦力化するための 最初のトリガー なのです。
可視化によって初めて、
・実は業務改善に強いベテランがいる
・若手の教育が得意な社員がいる
・マネジメントに向いている人材が別部署にいる
など、“気づけば会社の中に宝が眠っていた” という状態が実現します。
4.配置で変わる!埋もれ人材を戦力化するための役割設計と業務分解
埋もれ人材の活躍には、“配置の最適化”が欠かせません。
どれだけ優れたスキルや経験を持つ社員でも、役割が合っていなければ力は発揮されません。逆に言えば、適切な配置がなされるだけで、驚くほど高いパフォーマンスが引き出されるケースは数多く存在します。
そして、その配置判断の精度を高めるために重要なのが 「役割設計」と「業務分解」 です。
特にあなたがよく指摘されているとおり、業務分解はシニア人材活用や組織効率化に直結する極めて効果的なアプローチです。
■ ① 役割設計を見直す|“誰が何をするべきか”を再定義する
埋もれ人材を生み出している企業には、共通して以下の傾向があります。
・役割(ロール)が曖昧
・期待値が言語化されていない
・担当業務が属人化している
・過去の配置のままアップデートされていない
これらはすべて、“役割設計の不備”が原因です。
役割設計のポイント
1.役割(Role)の明確化
例:「現場リーダー」「品質管理担当」「教育担当」「改善リーダー」など。
2.期待される成果(Outcome)の定義
何を達成してほしいのか、明文化する。
3.役割とスキルセットの紐づけ
スキルマップで可視化した情報を反映する。
4.役割を“人につける”のではなく、“業務につける”
これにより、ベテランやシニア人材も無理なく活躍できる役割に就ける。
役割が明確になると、社員は自分が何に貢献できるかを理解しやすくなり、埋もれ人材は自然と浮かび上がります。
■ ② 業務分解(タスク分解)で活躍の場をつくる
業務を分解してタスクごとに整理することで、
「この仕事は誰が最も適しているか?」
「どのタスクをシニアやベテランに任せられるか?」
といった判断が格段にしやすくなります。
業務分解のメリット
・一部の人に作業負荷が偏らなくなる
・“得意タスク”に合わせた配置が可能になる
・ベテラン人材の暗黙知をタスクに落とし込める
・若手にしかできない/ベテランにしかできない業務の整理が進む
・シニア人材でも無理なく続けられる業務を抽出できる
特にシニア層においては、
「フルセットの職務は難しいが、タスク単位なら戦力になる」
というケースが多く、業務分解は非常に相性の良い手法です。
■ ③ 再配置(リアロケーション)で“活躍ポイント”を最大化する
役割設計と業務分解から得たデータをもとに、
“この人はどこで最も力を発揮できるのか?”
を考えながら再配置を行います。
再配置の成功例に多いパターン
・物腰が柔らかくコミュニケーションが得意 → 教育担当へ
・手順化/改善が得意 → 業務効率化担当へ
・正確性の高い業務が得意 → 品質管理へ
・ベテランで現場全体を見られる → 調整役へ
特に日本企業では、「管理職に上げる or 現場で埋もれる」の二択になりがちですが、役割設計×業務分解の思考法があると、多様な役割が設定でき、埋もれ人材の活躍機会が一気に広がります。
■ ④ 配置見直しで組織全体のパフォーマンスが向上する
適切な配置は、個人だけでなく組織にも大きな効果をもたらします。
・若手社員の業務負担が軽減
・経験者の暗黙知が活用される
・業務効率が改善される
・離職率が低下する
・生産性が向上する
シンプルなようでいて、配置の見直しは組織全体へのインパクトが非常に大きい取り組みです。
5.育成・定着で最大化|埋もれ人材が本来のパフォーマンスを発揮する組織づくり
埋もれ人材を可視化し、適切に配置したとしても、それだけでは十分ではありません。
その後の 育成・定着の仕組み が整っていなければ、せっかく掘り起こした人材が再び埋もれてしまう可能性があります。
重要なのは、「配置して終わり」ではなく、配置後に力を発揮できる環境をつくること です。
ここでは、埋もれ人材がパフォーマンスを最大化するための“組織づくり”のポイントを紹介します。
■ ① オンボーディング(受け入れ)を整える|最初の90日が勝負
新たな役割に就くと、どれだけ経験豊富な社員でも不安や戸惑いが生まれます。
そのため、配置転換後の最初の90日は特にフォローが必要です。
オンボーディングで行うべきこと
・役割と期待値を明確に伝える
・初期タスクを段階的に設定する
・相談しやすいメンターや窓口を用意する
・定期的に振り返りミーティングを実施する
オンボーディングを丁寧に行う企業は、定着率も高く、早期活躍につながります。
■ ② 心理的安全性を高める|意見を言える環境が能力発揮につながる
埋もれ人材の多くは、
「意見を言いづらい」「間違いを恐れる」
といった心理的要因で力を発揮できていません。
心理的安全性が高い組織には以下の特徴があります。
・ミスに対して過度に責めない
・議論が否定ではなく“改善”につながる
・上司と部下の対話量が多い
・役割や階層に関係なくアイデアを出しやすい
心理的安全性とパフォーマンスの相関については、Google社の「プロジェクト・アリストテレス」の研究が実在し、有名なデータとして引用可能です。
■ ③ スキルアップの機会を提供する|再スタートの後押しが重要
埋もれ人材は、配置や役割のミスマッチによってスキルが活かしきれていなかった可能性があります。
そのため、再スタートの際にはスキルアップ支援が欠かせません。
効果的な支援の例
・必要スキルの研修(オンライン学習も可)
・OJTでの改善活動
・他部署との越境学習
・定期的な1on1で成長ステップの確認
特に経験豊富な社員の場合、スキルアップの機会を提供するだけでパフォーマンスが一気に向上するケースも多いです。
■ ④ 評価制度を見直す|“成果を出しても評価されない”構造を排除する
埋もれ人材は、「成果が評価されにくい制度」の中で能力を発揮できなくなっていることがあります。
改善すべきポイント
・年次や役職ではなく 職務と成果 に基づく評価へ
・業務改善や後輩育成など“見えにくい貢献”も評価対象に
・明確な評価基準の言語化
・フィードバックの質と量の改善
評価基準の透明性が高まると、社員は安心して力を発揮できるようになります。
■ ⑤ 継続フォローで“再び埋もれない”状態を維持する
埋もれ人材の活用は、一度可視化して終わるものではありません。
継続的なフォローがあってこそ、パフォーマンスが安定して発揮されます。
継続フォローの例
・月次のミーティングで進捗確認
・キャリア希望の定期ヒアリング
・他部署の業務支援へのアサイン
・評価データの蓄積とアップデート
“定期的に状況を見る文化”が定着すると、埋もれ人材が発生しにくい組織になります。
6.なぜシニア人材は“埋もれ人材”になりやすいのか|その傾向と企業が取るべき対策
社内の埋もれ人材を語るうえで、避けて通れないのが シニア層(50代後半〜60代) の扱いです。
実際、企業内の“埋もれ人材”の多くはこの層に集中しやすいという事実があります。しかしこれは、能力が低いためではなく、組織構造や制度が年齢に適した設計になっていないこと が主因です。
ここでは、シニア人材が埋もれやすい理由と、その潜在力を最大限に活かすための具体的な対策を整理します。
■ ① なぜシニアは埋もれやすいのか:典型的な構造的要因
1. キャリアの“終盤固定化”が起きやすい
多くの企業では、50代に入ると以下のような現象が起きがちです。
・役割/職位が固定される
・新しい仕事や挑戦の機会が減る
・「若手に任せるべき」という空気が強まる
結果として、経験豊富なのに“置物化”してしまうリスクがあります。
2. 管理職適性と職務のミスマッチ
シニア人材は管理職を経験しているケースが多いですが、
・マネジメント業務に向いていない
・本当は現場型/専門職型の仕事のほうが適性がある
・管理職のポストが減り、役割が曖昧になる
といった理由で能力が発揮されにくくなります。
3. 技術・IT環境の変化が速い
デジタル化が急速に進む中で、
・新しいツールを使う機会がない
・十分なアップデートの場が提供されていない
といった“環境側の問題”によって力を出しにくくなります。
4. 心理的安全性が低下しやすい
「年齢的に意見しづらい」「若手の反応が気になる」など、心理的ハードルが高まるため、持っている知識を出し切れないまま埋もれてしまうケースが増えます。
■ ② シニア人材が持つ“潜在力”は非常に大きい
埋もれやすい一方で、シニア層が持つ強みは次のとおりです。
・業務改善の経験が豊富
・顧客理解や現場感が深い
・若手の育成がうまい
・調整力が高い
・組織の暗黙知を理解している
これらは 若手の代替が効きづらい価値 であり、企業の生産性向上に直結します。
■ ③ 企業が取るべき対策:シニアを“埋もれさせない”組織設計
ここからは、シニア層が埋もれず能力を発揮できるための実践的な対策を紹介します。
1. 業務分解で“できる領域”を抽出する
シニア活用でもっとも効果的なのは、あなたが得意とする 業務分解 です。
・“全部任せる” のではなく、“できるタスクだけ抽出する”
・身体負荷の高い業務を避け、改善/教育/調整系の業務を中心に配置
・フルタイムでなく短時間配置も柔軟に設定
シニアの強みを最大化し、弱点を避けることができます。
2. 専門性に合わせて“役割再設計”を行う
管理職に戻すのではなく、以下のような専門ロールを設定する企業が増えています。
・教育担当
・業務改善リーダー
・品質管理
・顧客フォロー担当
・現場サポート(負荷の低い作業を中心に)
役割の選択肢が増えるほど、埋もれにくくなります。
3. IT・ツールの習熟を支援する“アップデート環境”を提供する
・使い方動画の整備
・横についてサポートするオンボーディング
・操作に慣れるまでのフォロー期間
・「何度聞いてもいい」という心理的安全性の付与
シニア層は決してITが苦手なのではなく、学習機会が少ないだけ ということが多いのです。
4. 心理的安全性をつくるコミュニケーション設計
・相談窓口の明確化
・定期1on1で本音を拾う
・ベテランの意見を評価する文化
・「間違っても良い」環境づくり
意見しやすい環境は、能力発揮に直結します。
5. 労働負荷と働き方を柔軟に設計する
・週2〜3日勤務
・1日4〜6時間
・短時間の業務サポート
・ピークタイムだけの部分シフト
無理のない働き方は、シニア層の力を長期的に引き出します。
■ ④ あらためて:シニアは“埋もれる人材”ではなく“活かせば光る人材”
シニアが埋もれやすいのは、能力の問題ではありません。
企業側の制度・配置・コミュニケーションの設計次第で、最強の戦力になりうる層 です。
実際、あなたのこれまでのコンテンツでも何度も述べているように、
・業務分解
・得意領域の抽出
・負荷調整
・役割最適化
が組み合わさると、シニアの活躍度は驚くほど高まります。
“埋もれさせない仕組み”を整えることは、シニア活用だけでなく組織全体の人材活用レベルを大きく引き上げることにつながります。
7.まとめ|社内の埋もれた力を活かすことが企業成長の最短ルート
埋もれ人材とは、単に「能力が発揮できていない社員」のことではなく、組織側の設計・仕組みによって“埋もれてしまっている人材” のことを指します。
これは決して個人の問題ではなく、多くの場合は 構造・制度・マネジメントの積み重ねによって生まれる組織課題 です。
しかし裏を返せば、企業が仕組みを整えれば整えるほど、社内の埋もれ人材は戦力へと変わります。
■ 本記事で解説した「埋もれ人材活用のステップ」おさらい
① 可視化(スキル棚卸し・タレントマネジメント)
誰がどんなスキルを持っているのか、まず“見える”状態にする。
② 役割設計(Roleの明確化)
曖昧だった役割を見直し、社員一人ひとりが活躍しやすいロールを設定。
③ 業務分解(タスクごとの最適化)
タスク単位で得意・不得意を整理し、戦力として活躍できる領域を抽出。
④ 配置(適材適所の再設計)
得意領域・経験・志向性をもとに、最適な場所へ再配置する。
⑤ 育成・定着(オンボーディング・心理的安全性)
配置後の環境整備によって再び埋もれない状態を作る。
⑥ シニア人材の特性を踏まえた対策
埋もれやすい層を理解し、業務分解・役割再設計・IT支援などの対策を実施。
これらを組み合わせることで、社員の能力開花だけでなく、組織全体のパフォーマンスが飛躍的に向上します。
■ 埋もれ人材の活用がもたらす企業へのメリット
・若手への業務集中が緩和し、離職率が下がる
・ベテランの暗黙知や経験が活かされる
・組織の業務効率が改善される
・新規事業や改善活動が加速する
・シニア層も含めた多様性が生産性につながる
特に日本企業にとって、シニア人材の活躍は労働力不足を“自社の資産”に変える大きな鍵となります。
■ 最後に:埋もれ人材は「宝の山」である
企業内に眠る“埋もれた力”を掘り起こして活かすことは、
採用コストをかけずに生産性を最大化する最も合理的な方法 です。
そして、埋もれ人材は「問題」ではなく、
企業がまだ使いこなしていない“宝の山” にほかなりません。
可視化 → 役割設計 → 業務分解 → 配置 → 育成
という流れを丁寧に整えることで、組織の潜在力は必ず引き出されます。
社内人材の活用に限界を感じたら、外部シニア人材の活用も有効です。即戦力となるシニア人材を探すなら、こちらのシニア向け求人サイト「キャリア65」をご覧ください。


