1.そもそも准看護師とは?仕事内容・役割・やりがいをわかりやすく整理
准看護師とは、医師や看護師の指示のもとで、患者さんのケアや医療行為の補助を行う医療職です。国家資格である看護師とは異なり、都道府県知事が免許を交付する資格ですが、医療や介護の現場では欠かせない存在として長年活躍してきました。
主な仕事内容は、患者さんの体温・血圧・脈拍の測定、食事や排泄の介助、入浴や移動のサポート、ベッドメイキング、医療器具の準備や片付けなどです。勤務先によっては、点滴や注射などの医療行為を担当することもありますが、いずれも医師や看護師の指示に基づいて行います。
身体を動かす場面は多いものの、重労働ばかりではなく、日常的なケアを通じて患者さんの生活を支える役割が中心です。
准看護師の大きな特徴は、「人と直接関わる時間が長い仕事」であることです。患者さんや利用者さんと日々接する中で、「ありがとう」「あなたがいてくれて助かった」と感謝の言葉をかけられる場面も少なくありません。定年後、「社会の役に立っている実感を持ちたい」「人とのつながりを感じながら働きたい」と考える方にとって、この点は大きなやりがいになります。
また、准看護師は医療・介護現場で慢性的に人手不足が続いている職種のひとつです。そのため年齢よりも「誠実さ」「協調性」「安定して働けること」が評価されやすく、シニア世代でも必要とされやすい傾向があります。これまで工場勤務や施設管理など、現場でコツコツ働いてきた経験は、チームで動く医療現場でも十分に活かせます。
収入面だけでなく、「健康維持のために体を動かしたい」「毎日に役割を持ちたい」「人の役に立つ仕事がしたい」という思いを同時に満たしやすい点が、准看護師という仕事の魅力だといえるでしょう。
2.60代からでも准看護師を目指せる?年齢制限と現実的な考え方
「准看護師は若い人向けの仕事では?」と感じる方も多いかもしれませんが、制度上、准看護師になるための年齢制限はありません。実際、准看護師養成所の募集要項を見ても、「〇歳まで」といった上限を設けていないケースがほとんどです。そのため、60代からでも「目指すこと自体は可能」というのが正確な答えになります。
ただし、ここで大切なのは「制度上できるか」と「現実的に続けられるか」を分けて考えることです。准看護師の仕事には、立ち仕事や移動、利用者さんの介助など、ある程度の体力を必要とする場面があります。そのため、若い頃と同じ働き方を想定するとギャップを感じる可能性があります。
一方で、近年は医療・介護現場でも働き方の多様化が進んでいます。フルタイム・夜勤ありだけでなく、日勤のみ、短時間勤務、週2~3日といった働き方を選べる職場も増えています。60代以降で准看護師を目指す場合は、「資格を取った後に、どのような働き方をしたいのか」をあらかじめイメージしておくことが重要です。
また、養成所に通う期間(通常2年)は、学習と実習の両立が必要になります。若い世代に比べると、暗記や長時間の勉強に不安を感じる方もいるでしょう。しかし実際には、同世代や年上の仲間と一緒に学び、「支え合いながら修了した」という例も少なくありません。人生経験がある分、患者さんへの接し方や責任感の面で評価される場面も多くあります。
60代から准看護師を目指すかどうかを考える際は、
・体力的に無理のない範囲で働けるか
・学ぶ時間を2年間確保できるか
・資格取得後の働き方を具体的に想像できるか
この3点を整理することが、後悔しない判断につながります。年齢だけで諦める必要はありませんが、「自分に合った形で関わる」という視点が、特にシニア世代には大切だと言えるでしょう。
3.准看護師になるための条件|学歴・試験・実務要件の基本
准看護師になるためには、いくつかの決められた条件をクリアする必要があります。ただし内容は比較的シンプルで、「医療系の経験がないと無理」というわけではありません。定年後からでも挑戦しやすい理由の一つが、この分かりやすい制度設計にあります。
まず、学歴要件についてですが、原則として「中学校卒業以上」であれば受験資格があります。高校卒業が必須ではないため、学歴に不安がある方でもスタートラインに立つことができます。これは、これまで現場で働いてきた社会人経験を重視する准看護師制度ならではの特徴といえるでしょう。
次に必要なのが、准看護師養成所での修学です。准看護師になるためには、各都道府県が指定する養成所(専門学校など)で、通常2年間の課程を修了する必要があります。この期間中に、基礎的な医学知識、看護技術、実習を通じて、現場で必要なスキルを身につけます。独学や通信教育だけで資格を取得することはできません。
養成所を修了すると、准看護師試験を受験します。この試験は国家試験ではなく、各都道府県が実施するものです。試験内容は、解剖生理、基礎看護、疾病の理解など、養成所で学んだ内容が中心となっており、授業をきちんと受けていれば、極端に難易度が高いものではありません。
なお、准看護師になるために事前の実務経験や介護資格は必須ではありません。工場勤務や施設管理など、まったく異なる分野からスタートする方も多くいます。重要なのは、「人のケアに関わる仕事に向き合う姿勢」と「継続して学ぶ意欲」です。
まとめると、准看護師になるための基本条件は以下の3点です。
① 中学校卒業以上の学歴があること
② 指定された准看護師養成所で2年間学ぶこと
③ 都道府県が実施する准看護師試験に合格すること
制度だけを見るとハードルは高く感じるかもしれませんが、「必要なステップが明確」だからこそ、計画を立てやすい資格でもあります。次の小見出しでは、養成所で実際にどのような生活を送るのかを、もう少し具体的に見ていきましょう。
4.准看護師養成所とは?通学期間・学習内容・一日の流れ
准看護師になるためには、各都道府県が指定する准看護師養成所に通い、所定の課程を修了する必要があります。養成所は専門学校や医療機関に併設された学校が多く、地域ごとに設置されています。60代から目指す場合でも、基本的な仕組みは若い世代と変わりません。
通学期間は原則2年間です。平日の日中に授業が行われることが多く、学校によっては夕方までカリキュラムが組まれています。一部には社会人向けに配慮した時間割を用意している養成所もありますが、「仕事をしながら通う」のは簡単ではないケースもあります。そのため、入学前に生活リズムや収入面をどうするかを整理しておくことが大切です。
学習内容は、大きく分けて座学と実習の2つがあります。座学では、人体の仕組み(解剖生理)、病気の基礎知識、看護の考え方、医療安全、感染対策などを学びます。医療用語は最初は聞き慣れないものが多いですが、基礎から段階的に進むため、医療未経験者でも理解できる構成になっています。
実習では、病院や介護施設などの現場に入り、実際の患者さんや利用者さんと接しながら学びます。最初は見学や補助的な作業から始まり、徐々にケアの一部を担当する形になります。年齢が高いことに不安を感じる方もいますが、実習では「丁寧な対応」「落ち着いた声かけ」といった点が評価されることも多く、人生経験が強みになる場面もあります。
一日の流れの一例を挙げると、
・午前:座学(講義/演習)
・昼休み
・午後:座学または実習
・放課後:復習やレポート作成
という形が一般的です。実習期間中は体力を使うため、体調管理が非常に重要になります。無理をせず、睡眠や食事を意識しながら通うことが、2年間を乗り切るポイントです。
准看護師養成所は「勉強ができる人だけの場所」ではありません。年齢や経歴が異なる仲間と支え合いながら学ぶ環境であり、60代からでも「学び直し」に取り組める現実的な選択肢だといえるでしょう。
5.学費はいくらかかる?入学金・授業料・支援制度の目安
准看護師を目指すうえで、多くの方が気になるのが学費の問題です。特に定年後の場合、「2年間通う間の費用を本当に捻出できるのか」は、現実的に考えておくべき重要なポイントになります。
准看護師養成所の学費は、地域や学校の運営形態(公立・私立)によって差がありますが、2年間でおおよそ100万〜200万円前後が一つの目安とされています。内訳としては、
・入学金
・授業料
・実習費
・教材費/ユニフォーム代
などが含まれます。公立の養成所は比較的費用が抑えられる傾向があり、私立の場合はやや高くなるケースが多いです。
また、見落としがちなのが「学費以外のお金」です。通学にかかる交通費、実習先までの移動費、昼食代、レポート作成のための文具やPC環境など、細かな出費が積み重なります。60代から挑戦する場合は、学費+生活費の両方を見据えた資金計画が欠かせません。
一方で、経済的な負担を軽減するための支援制度も存在します。代表的なものとしては、自治体や医療機関が実施している奨学金制度があります。これは、在学中に一定額の支援を受け、その後、指定された医療機関で一定期間勤務することで返済が免除または軽減される仕組みです。年齢制限が設けられていない制度もあり、シニア世代でも利用できる可能性があります。
さらに、ハローワークを通じた職業訓練給付や、自治体独自の就学支援制度が用意されている場合もあります。ただし、これらは地域差が大きいため、「必ず使える」とは限りません。入学を検討する段階で、養成所や自治体窓口に直接確認することが重要です。
准看護師を目指すことは、決して安い投資ではありません。しかし、資格取得後は継続的に働きやすく、収入と社会参加を両立しやすい仕事でもあります。学費だけで判断するのではなく、「資格取得後にどのくらい働けそうか」「自分の生活にどうプラスになるか」という視点で考えることが、納得のいく選択につながるでしょう。
6.学び直しが不安な人へ|勉強についていくための工夫と実例
60代から准看護師を目指す際、多くの方が不安に感じるのが「勉強についていけるかどうか」です。長年、勉強から離れていた場合、医療用語や専門知識に戸惑うのは自然なことです。しかし実際には、工夫次第で学び直しを乗り越えているシニア世代も少なくありません。
まず大切なのは、「完璧を目指さない」姿勢です。若い頃のように一度で覚えようとすると、かえって負担が大きくなります。准看護師養成所の授業は、基礎から段階的に進む構成になっているため、「その日の内容を理解する」「わからない部分を翌日まで持ち越さない」といった、小さな積み重ねを意識することが重要です。
次に有効なのが、生活リズムに合わせた学習習慣づくりです。夜遅くまで無理に勉強するよりも、朝の時間や昼間の空き時間を使って復習する方が、集中しやすいケースもあります。シニア世代は「自分に合ったペース」を見つけることが、学習継続のカギになります。
また、養成所では年齢の近い仲間と出会えることも多く、「一人で抱え込まない」ことが大きな支えになります。わからない用語を教え合ったり、実習前に声をかけ合ったりすることで、不安が軽減されます。実際に、「同世代の仲間がいたから最後まで続けられた」という声もよく聞かれます。
実例として、定年後に准看護師養成所へ入学した60代後半の男性が、「最初は専門用語が頭に入らなかったが、ノートを色分けし、図を書いて整理することで理解が進んだ」と語っています。文字だけで覚えようとせず、図やイメージを使う工夫は、年齢を問わず効果的です。
学び直しで大切なのは、「若い人と同じようにできるか」ではなく、「自分なりに続けられるか」です。人生経験を積んできたシニア世代だからこそ、患者さんへの共感力や責任感といった、勉強以外の強みも評価されます。知識と経験を少しずつ結びつけながら進めることで、学びは確実に力になっていくでしょう。
7.資格取得後の働き方|病院以外にも広がる活躍の場
准看護師の資格を取得すると、働ける場所は病院だけに限られません。実際には、シニア世代にとって無理なく続けやすい職場も数多く存在します。資格取得後の働き方を具体的にイメージできるかどうかは、「挑戦する価値があるか」を判断する重要な材料になります。
まず代表的なのは、病院・クリニックです。外来中心のクリニックや、慢性期・療養型の病院では、比較的落ち着いたペースで働ける場合があります。夜勤が必須でない職場もあり、「日勤のみ」「週数日勤務」といった条件で募集されるケースも少なくありません。
次に多いのが、**介護施設(特別養護老人ホーム、介護老人保健施設など)**です。ここでは医療行為だけでなく、利用者さんの健康管理や日常生活のサポートが中心となります。高齢者と接する時間が長いため、丁寧な声かけや落ち着いた対応が評価されやすく、人生経験を積んできたシニア世代が活躍しやすい現場といえます。
そのほかにも、デイサービス、訪問看護、健診センターなど、働き方の選択肢は広がっています。健診業務では、採血や測定業務が中心となり、体力的な負担が比較的少ない点が特徴です。また、短期間・短時間の募集が出ることもあり、「フルタイムは難しいが、社会と関わり続けたい」という方には向いています。
働き方を考える際に大切なのは、「どこで働くか」よりも「どのような条件で働くか」です。勤務日数、時間帯、通勤距離、体への負担などを整理し、自分の生活に合った職場を選ぶことで、長く安定して続けやすくなります。
准看護師の資格は、一度取得すれば年齢を重ねても活かしやすい資格です。収入を得る手段であると同時に、社会とのつながりを保ち、自分の役割を実感できる仕事として、定年後の選択肢の一つになり得るでしょう。
8.まとめ|60代から准看護師を目指すという選択肢をどう考えるか
60代から准看護師を目指すという選択は、決して一般的とは言えないかもしれません。しかし、本記事で見てきたように、制度上は年齢制限がなく、現実的にも挑戦の余地がある資格であることは確かです。
准看護師は、医療や介護の現場で人と直接関わりながら働く仕事です。収入を得るだけでなく、「社会の役に立っている実感」「人とのつながり」「毎日の生活に張り合いを持てる」という価値を同時に得られる点は、定年後の働き方として大きな魅力だといえるでしょう。
一方で、2年間の養成課程、学費の負担、実習を含む学習生活など、簡単ではない側面もあります。そのため、「本当に自分に合っているか」「資格取得後にどのように働きたいか」を事前に整理することが重要です。無理に若い人と同じペースを目指す必要はありません。自分の体力や生活リズムに合った関わり方を考えることが、長く続けるためのポイントになります。
准看護師を目指すかどうかは、「正解・不正解」で判断するものではありません。
これからの人生をどう過ごしたいかという視点で考えたとき、
・収入を補いながら
・健康を意識して体を動かし
・社会とのつながりを持ち続けたい
そう考える方にとって、准看護師は一つの現実的な選択肢になり得ます。まずは情報を集め、自分に合った働き方を想像するところから、ゆっくり検討してみてはいかがでしょうか。
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