1. 捨て活とは?シニアに広がる新しい暮らし方
「捨て活(すてかつ)」とは、文字通り「モノを捨てる活動」を指しますが、単なる断捨離とは少し異なります。必要のない物を処分するだけでなく、自分にとって本当に大切なものを見つけるための“選別”のプロセスでもあります。近年では、特に60代以上のシニア層の間で、この捨て活が注目されています。
背景には、ライフスタイルの変化があります。子育てが終わり、退職して家にいる時間が増える中で、家の中に溜まった物が気になり始める人も少なくありません。さらに、年齢を重ねるにつれて「身の回りを整えておきたい」という気持ちが芽生える方も多いのです。
また、シニア向けの書籍やテレビ番組でも頻繁に取り上げられており、関心の高さがうかがえます。2023年には「老いの身じまい」や「シンプルライフ」の関連書籍が複数ベストセラーとなり、捨て活を後押しする流れが加速しました。
2. なぜ今、シニア世代に捨て活が人気なのか?
捨て活がシニア世代に支持される理由は大きく3つあります。
1つ目は、「体力があるうちに身の回りを整理しておきたい」という思いです。年齢を重ねてからの大掃除は身体的にも負担が大きくなるため、元気なうちに少しずつ取り組みたいと考える人が増えています。
2つ目は、「家族への思いやり」。いざというときに残された家族が膨大な荷物を整理する負担を減らしたい、という考えから、今のうちに整理しておくという動きが見られます。
3つ目は、「新たな人生をスタートさせたい」というポジティブな理由。身の回りがスッキリすると心にも余白が生まれ、再就職や趣味、新たな交友関係などへも前向きになれるという声も多く聞かれます。
実際、一般社団法人 日本ライフスタイル協会の調査(※2022年)では、60代以上の男女のうち約68%が「捨て活に興味がある」と回答しており、そのうちの約半数が「心の整理ができた」と実感しているそうです。
3. 具体的にどう始める?シニアでも無理なくできる捨て活のステップ
「捨て活を始めたいけれど、何から手を付ければいいのかわからない」という声は多く聞かれます。特にシニアの方にとっては、体力や気力にも配慮しながら進めることが大切です。無理なく始められる3つのステップをご紹介します。
ステップ1:一か所・一カテゴリーから始める
まずは「引き出し1つ」「タンスの中の衣類」「キッチンの調味料棚」など、範囲を限定してスタートしましょう。大きな場所から始めると途中で疲れてしまいますが、小さなスペースなら短時間でも達成感が得られます。
ステップ2:「使っていないものリスト」を作る
「1年以上使っていない物」「存在を忘れていた物」は、手放す候補になりやすいです。紙に書き出したり、スマホで写真を撮るだけでも、判断しやすくなります。
ステップ3:捨てずに「譲る・寄付する」方法も考える
「まだ使えるけど自分では使わない」という物は、誰かに譲るという選択肢もあります。最近では、シニア向けに不要品を寄付できるNPOや地域のリサイクル団体も増えています。
おすすめのサポートサービス例:
【ジモティー:地域内で譲り合える掲示板】
【くらしのマーケット:不用品回収のサービス】
「捨てる」ことに罪悪感を抱かず、「感謝して手放す」という気持ちで向き合えば、より前向きに進められるはずです。
4. 実際に捨て活を体験したシニアの声
実際に捨て活を行った方々からは、想像以上の心の変化や生活の変化があったという声が寄せられています。
事例1:70歳女性・Aさん(東京都)
「退職してから家にいる時間が増え、家の中が散らかって見えていました。ある日テレビで“捨て活”を見て、試しに古い食器を整理してみたんです。すると、思った以上にスッキリして、気持ちも軽くなりました。いまでは毎週“捨て活の日”をつくって楽しんでいます。」
事例2:68歳男性・Bさん(大阪府)
「定年後、趣味を楽しもうと思っていたのですが、物が多すぎて作業スペースが取れませんでした。捨て活を始めてからは、趣味の鉄道模型を並べられるようになり、孫と一緒に楽しめる時間が増えました。」
こうした声からも、捨て活は単なる片付けではなく「人生の再スタート」にも繋がる可能性を秘めていることがわかります。
5. 捨て活で得られる意外な効果と心の変化
捨て活を進めるうちに、多くのシニアが驚くのが「心の変化」です。単なる物理的な整理整頓を超えて、精神的なリフレッシュや前向きな気持ちの芽生えが起こるのです。
1. 心のゆとりが生まれる
不要なものが減ることで、視界がスッキリし、気分も軽やかになります。心理学では「視覚的ノイズを減らすことがストレス軽減につながる」とも言われており、散らかった部屋よりも整った空間の方が、心に安定をもたらします。
2. 思い出を整理することで前向きになれる
古い写真や手紙、過去の趣味の道具などを整理する中で、人生を振り返る時間が生まれます。そこから「自分はこれだけのことをしてきた」「まだやりたいことがある」といった気づきにつながることも。捨て活は、単なる処分ではなく“人生の棚卸し”とも言えるのです。
3. 新しいことに挑戦する意欲がわいてくる
空間や気持ちに余白ができると、不思議と「新しい何かを始めたい」というエネルギーが湧いてくるという声も多く聞かれます。実際に、捨て活をきっかけに再就職やボランティア活動を始めた方も少なくありません。
このように、捨て活はモノを手放すことで「自分の人生にとって本当に大切なもの」を見つけ出す手段として、非常に有効です。
6. 整理をきっかけに新しい一歩を!仕事や趣味への前向きな展開
捨て活を通じて心と空間が整ったことで、シニアの方々が再び社会とつながるケースが増えています。とくに「パートタイムで働いてみよう」「新しい趣味にチャレンジしたい」といった行動への第一歩として効果的です。
例えば、整理をしたことで手元に残った洋裁道具を活かし、手作り雑貨を販売するようになった方や、使わなくなった家電をリサイクルショップに持ち込んだことがきっかけで店舗での仕事を紹介された方もいます。
また、身の回りが整うことで時間にゆとりができ、「週に数回だけ働く」というライフスタイルも実現しやすくなります。パートタイムの仕事は、金銭的な安心だけでなく、社会とのつながりや生活のハリにもつながるため、多くのシニアにとって理想的な選択肢です。
7. まとめ:捨て活でシニアの暮らしをもっと豊かにするために
捨て活は、シニアの方々にとって単なる片付けを超えた「人生のリセットボタン」とも言える活動です。モノを手放すことで、心が軽くなり、新たな出会いや可能性に気づける。そんな前向きな変化をもたらしてくれます。
とくに70代を迎えた今こそ、第二の人生をどう生きるかを考える絶好のタイミングです。捨て活で心と空間を整えたあとに、自分のスキルや経験を活かして社会に貢献したり、働いたりすることで、より充実した日々を送ることができるでしょう。
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