2025年問題に備える!シニア人材活用による人手不足対策

【企業様向け】シニア採用

1.2025年問題・2030年問題とは何か​

団塊世代が75歳以上となる社会保障・労働力への影響​

2025年には、戦後のベビーブームで生まれた「団塊の世代」が全員75歳以上となり、日本社会は前例のない「超高齢社会」に突入します。これにより懸念されるのが、医療・介護など社会保障費の急増と、現役世代の人手不足の加速です。
総務省統計局の「人口推計(令和5年10月)」によると、75歳以上の人口は約1,920万人で、総人口の15.5%に達しています(※出典:総務省統計局)。

また、75歳以上の後期高齢者は医療費が突出して高く、2025年以降の医療・介護分野では制度持続のための改革が不可避と言われています。一方で、団塊世代の退職により企業現場からは豊富な経験を持つ人材が一斉に失われ、技術・ノウハウの継承が困難になることも大きな問題です。


65歳以上人口が約3割に達する2030年問題の展望​

さらに将来を見据えると、2030年には65歳以上の人口が約3,700万人を超え、全体の約30%に達すると推計されています(※出典:内閣府「高齢社会白書 令和5年版」)。これにより「若者より高齢者の方が多い社会」が常態化し、多くの産業で担い手不足が深刻化するでしょう。

人口構成の変化は、社会保障制度だけでなく、地域社会や企業経営にも大きな影響を及ぼします。今後は「働ける高齢者の活用」が社会全体の重要テーマとなるのは必然です。


2.主要業界で懸念される人材不足の現状

建設・不動産業界における団塊世代大量退職の影響

建設・不動産業界は、高齢の熟練技術者に大きく依存してきた業種のひとつです。団塊世代の引退が進む中で、現場監督・設備管理・職人といった職種を中心に、技能継承が間に合わず、現場の品質や安全性が保てなくなることが懸念されています。

国土交通省の「建設労働需給調査(2023年9月)」によれば、建設技能者の約35%が55歳以上となっており、若手の定着率も低いため、世代交代が進まない状況が続いています(※出典:国土交通省)。

このままでは、インフラ整備や災害復旧など重要な公共事業に支障が出る可能性があり、再雇用制度やシニア人材の活用が不可欠な戦略とされています。


介護・医療業界での需要増と人材難

介護・医療業界では、高齢者の増加によるサービス需要の急増と、現場職員の不足が深刻です。厚生労働省によると、2025年には約245万人の介護人材が必要とされるのに対し、約32万人が不足するとの推計が出ています(※出典:厚生労働省「介護人材確保対策」)。

また、医療現場でも看護師や事務スタッフ、清掃・運搬業務など補助的な役割でも人手が足りていません。これらの業務は、体力面への配慮や短時間勤務を工夫することで、シニア世代の戦力化が可能です。すでに全国各地で「シニア介護補助員」や「院内サポート員」といった職種での雇用が進んでいます。


他業界:製造業やサービス業でも進む高齢化

製造業では、組立・検査・設備保守などの分野で技能を持つシニア人材の退職が進んでおり、若手への技能継承が課題です。また、食品加工や物流などの現場でも人手不足が常態化しています。

サービス業では、飲食・小売・ホテルなどで接客や軽作業を担ってきたシニアスタッフの確保が難しくなりつつあります。特に地方では求人を出しても応募が集まらず、営業時間の短縮やサービス縮小を余儀なくされるケースも少なくありません。

いずれの業界でも共通して言えるのは、「高齢化=労働力の減少」である一方、「高齢者=戦力にならない」と考えるのはもはや時代遅れであり、戦略的な活用が求められています。


3.シニア人材活用が人手不足対策になる理由

再雇用で技能伝承と労働力確保

シニア人材を再雇用する最大のメリットは、「即戦力」として活用できる点です。長年の経験で培われた専門知識や現場対応力は、マニュアルにはない“暗黙知”として、組織にとって大きな財産となります。特に製造業や建設業など、技能継承が必要な業種では、若手へのOJT指導を担う「技術継承者」として高齢社員を再雇用する動きが加速しています。

加えて、業務内容や勤務時間を調整すれば、体力的な負担が少ない形での戦力化が可能です。例えば、「午前中だけ勤務」「週3日勤務」「補助業務のみ担当」といった柔軟な雇用形態で、雇用のミスマッチを解消する企業も増えています。


シニア層の就業意欲:高い働き続けたい意向​

シニア層の働きたいという意欲は非常に高まっています。株式会社プロフェッショナルバンクの調査によると、「65歳以降も働き続けたい」と考えている人は全体の約8割に上るという結果が出ています(※出典:高年齢者雇用に関する意識調査)。

特に、健康維持や社会とのつながり、年金だけでは不安な収入面など、シニアが働く理由は多様です。このような背景から、企業側が就労環境を整えさえすれば、安定した戦力として長く活躍してもらうことが可能になります。


ミドル・シニア層の活躍で組織の安定性向上​

高齢者の働きぶりは、組織内の安定にもつながります。日本ではミドル・シニア層の活躍により、職場の雰囲気や若手社員の定着率が向上したという企業の声が多く報告されています。

また、年齢の異なる世代が共存することで、職場に多様性と寛容さが生まれ、社員間の相互理解が深まるといった効果もあります。特に、年齢を重ねた社員が若手の相談役や業務指導を担うことで、マネジメントコストの削減にもつながります。


4.シニア人材活用の具体策

定年延長・再雇用制度の整備

企業がまず取り組むべきなのは、シニア人材を受け入れるための制度設計です。具体的には、定年の延長や再雇用制度の導入・拡充が挙げられます。2021年に施行された「改正高年齢者雇用安定法」により、企業は70歳までの就業機会確保が努力義務となり、定年後の働き方の多様化が加速しています。

再雇用制度の例としては、60歳で一度定年を迎えた後、希望者には65歳まで、または70歳まで段階的に雇用を延長する形が一般的です。役職や業務範囲を見直し、責任を軽減しつつも経験を活かせるポジションを用意することで、モチベーションの維持にもつながります。


シニア向けの研修・役割転換支援

体力の衰えや業務の変化に対応するためには、シニア層に特化した研修やスキルアップ支援が重要です。これには、パソコン操作や接客マナー、衛生管理などの基本スキルを教える「再就職支援研修」や、新たな職種にチャレンジするための「役割転換プログラム」などがあります。

例えば製造業では、現場作業から品質管理や教育係への転換、小売業では販売員から棚卸・品出し中心の業務への転換など、得意分野と負担のバランスを考えた配置がカギとなります。

また、外部の専門研修機関や自治体と連携することで、教育コストを抑えながら制度を整備することも可能です。


外部シニア人材の活用

自社内での再雇用だけでなく、外部からシニア人材を新たに採用する企業も増えています。この際に役立つのが、シニア層に特化した求人媒体や人材紹介サービスです。

たとえば、「キャリア65」や「シニア求人ナビ」などの専門サイトでは、60代~70代を中心とした求職者が集まりやすく、体力に応じた働き方や週数日の勤務を希望する人材をマッチングすることができます。

こうしたサービスを活用すれば、経験豊富で即戦力となる人材をコストを抑えつつ採用できるだけでなく、自社サイトやハローワークだけでは出会えない層との接点を持つことが可能になります。


まとめ:2025年を見据えた人材戦略の重要性

シニア活用を軸にした持続可能な人員計画について

2025年問題は、ただの社会保障の課題ではなく、企業経営にも直接影響を与える「人材戦略の転換点」です。これからの時代、若手中心の人員構成だけでは企業の持続的な成長は見込めません。
むしろ、経験を重ねたシニア人材を活かすことで、職場に安定感と多様性をもたらし、若手育成や業務の質の向上にも寄与することができるのです。

企業はこれからの採用計画において、年齢にとらわれず、「誰が何を提供できるのか」というスキルベースで人材を評価し、活用していく必要があります。高齢者雇用は社会的な意義だけでなく、企業の実利にもつながる重要な経営戦略です。


シニア採用の第一歩としてできること

シニア人材の採用を進めるために、まず取り組むべきは「情報発信」です。自社の採用ページにシニア歓迎のメッセージを掲載する、募集要項に年齢制限を設けない、柔軟な働き方を提示するといった基本的なアクションが効果的です。

さらに、シニア層に特化した求人サイトを活用することで、自社に合った応募者と効率的に出会うことができます。週2〜3日の勤務希望や短時間勤務など、多様なニーズに応える姿勢を見せることで、応募者の信頼も獲得できるでしょう。

最初の一歩は小さくても構いません。高齢化社会に対応した持続可能な人材戦略の一環として、シニア採用をぜひ前向きに検討してみてください。

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