1.“生涯現役アスリート”とは?|年齢にとらわれない新しい生き方
「生涯現役アスリート」という言葉をご存じでしょうか?
これはプロのスポーツ選手だけに使われるものではありません。近年では、年齢を重ねても運動を習慣にし、元気に毎日を過ごしている一般のシニア層にも広がっている言葉です。定年後も体を動かし、心身ともに健康で充実した生活を目指す——それが“生涯現役アスリート”の本質です。
日本では高齢化が進み、65歳以上の人口が全体の約30%(※総務省統計局「令和5年版 高齢社会白書」より)を占めています。そのなかで注目されているのが「健康寿命を延ばす」こと。単に長生きするだけではなく、自立した生活を送りながら、社会とのつながりややりがいを感じる人生を目指す動きが活発になっています。
こうした背景から、日常にスポーツを取り入れる「アクティブシニア」が増加中。例えば、70代で毎朝のウォーキングを続けている方、地元のグラウンドゴルフ大会に出場する方、週に1回のスイミングクラブに通う方など、それぞれが無理のない範囲で「自分なりのアスリート像」を体現しています。
“生涯現役アスリート”の魅力は、年齢や過去の運動歴に関係なく、今この瞬間から誰でもなれることです。体を動かすことは、筋力や柔軟性を保つだけでなく、脳の活性化やストレス軽減にもつながります。まさに、人生100年時代における「最強の自己投資」と言えるでしょう。
2.体を動かすことが心も整える|シニアにとって運動が必要な理由
年齢を重ねると、どうしても体を動かす機会が減りがちです。
しかし、シニア世代こそ、意識して体を動かすことが心身の健康に大きく影響します。運動は、筋力やバランス能力を維持するだけでなく、実は「心の健康」を整える力も持っているのです。
まず、身体面への効果としては、筋肉の衰え(サルコペニア)や骨粗しょう症、生活習慣病の予防があります。定期的な運動により、血流が促進され、内臓や関節の機能が改善されることが、多くの研究でも明らかにされています(参考:厚生労働省「健康づくりのための身体活動基準2013」)。
一方で、精神的なメリットも見逃せません。適度な運動は、脳内で「セロトニン」や「エンドルフィン」といった幸福ホルモンの分泌を促します。これにより、気分が安定し、ストレスが軽減され、前向きな気持ちを維持しやすくなります。特に、定年後に孤独感や喪失感を感じやすい時期には、運動がその不安を和らげる大きな助けとなるのです。
また、運動習慣を持つことは、生活にリズムをもたらします。決まった時間に身体を動かすことで、睡眠の質が向上し、日中の活動量も安定します。さらに、外に出ることで自然と人との交流も生まれ、社会との接点も保ちやすくなります。
「動けること」は、ただの健康維持ではなく、“自立した生活”を続ける力になります。そしてその延長線上に、楽しみや生きがいが生まれるのです。
3.どんなスポーツが続けやすい?シニアに人気の運動5選
「運動が大事」とは分かっていても、いきなり激しいスポーツを始めるのは不安という方も多いはず。
そこで、シニア世代にとって無理なく、そして楽しく続けられる人気の運動を5つご紹介します。
1. ウォーキング
もっとも手軽で始めやすいのがウォーキングです。
特別な道具も必要なく、自分のペースでできるため、運動初心者にも最適。早朝の散歩を習慣にしている方も多く、近所の公園や遊歩道など、自然を感じながら歩くことで心もリフレッシュできます。
2. スイミング・水中運動
水の中での運動は、膝や腰への負担が少ないのが大きな特徴。
泳げなくても、水中ウォーキングやアクアビクスなどのクラスも人気です。浮力のおかげで筋肉をバランスよく使えるため、全身運動として非常に効果的です。
3. ヨガ・ストレッチ
身体の柔軟性を保ちたい方には、ヨガやストレッチがおすすめです。
深い呼吸を意識しながら動くことで、自律神経が整い、リラックス効果も高まります。座ったままでもできる椅子ヨガは、体力に不安のある方にも好評です。
4. 卓球
運動強度は比較的軽めですが、俊敏な反応や目の動きが必要とされ、脳の活性化にも役立ちます。
室内でできるため天候に左右されず、地元の交流施設やシニアサークルでも人気のスポーツです。
5. グラウンド・ゴルフ
ゴルフのようにコースを回りながらプレイする軽スポーツで、シニア層に根強い人気があります。
歩く距離はそれなりにあるため有酸素運動としても優秀。地域の大会やイベントも多く、仲間との交流のきっかけにもなります。
自分に合った運動を無理なく選ぶことが、継続への第一歩です。
どの運動も「楽しさ」や「仲間との時間」を大切にしながら続けることで、“生涯現役アスリート”としての道が自然と開けていきます。
4.仲間とつながる喜び|地域で広がるアクティブシニアの輪
運動を続ける上で、もう一つの大きな原動力になるのが「仲間の存在」です。
一人ではなかなか続かないことも、同じ目標や関心を持つ人と一緒なら、楽しみながら長く続けられるもの。今、全国各地で“アクティブシニア”たちによる地域の運動サークルやスポーツクラブが広がっています。
たとえば、ウォーキングクラブやグラウンドゴルフの同好会、地域の体育館で開催されるシニア向けヨガや卓球サークルなど、参加のハードルは意外と低めです。市区町村の広報誌や公民館の掲示板、または地域包括支援センターなどで案内されていることも多く、「誰でも歓迎」といった空気のなかで自然に参加できる雰囲気があります。
こうした活動に参加することで得られるのは、単に運動の習慣だけではありません。日々のちょっとした会話、励まし合いや笑い合いのなかに、「自分はここにいていいんだ」という安心感や充実感が芽生えます。とくに定年後、仕事を離れて人間関係が減ったと感じている方にとって、こうした交流は新たな社会との接点となります。
さらに、地域によってはシニア向けのスポーツ大会や健康イベントも開催されており、そうした目標を持つことで日々の運動にも張りが出ます。「◯月の大会を目指して練習しよう」という小さな目標があるだけで、日常の質がぐっと高まります。
もちろん、すべての人が積極的に話すタイプではないかもしれませんが、運動を通じた緩やかなつながりは、無理のない形で自然に心の距離を縮めてくれます。
“生涯現役アスリート”とは、体を動かしながら、社会とつながり続ける存在でもあります。
「健康」と「仲間」がある暮らしは、年齢に関係なく、人生をより豊かに彩ってくれるのです。
5.挑戦が生きがいに変わる!“目標”がある暮らしの力
シニア世代にとって、日々の生活に「小さな目標」があることは、心の張りを生む大きな力になります。
“生涯現役アスリート”という生き方が魅力的なのは、単なる運動習慣を超えて、「挑戦」や「達成感」が暮らしの中に根付くからです。
たとえば、「毎日5,000歩を目指す」「週に3回プールに通う」といったシンプルな目標から、「半年後の市民マラソンに出る」「グラウンドゴルフの大会で入賞する」などの挑戦まで、自分にとって無理のない“目標”を持つことで、日々の行動に明確な意味が生まれます。
こうした目標があると、自然と体調管理にも気を配るようになり、食事や睡眠などの生活習慣も整っていきます。また、挑戦する過程では「昨日よりうまくできた」「タイムが少し縮まった」など、自分自身の成長を実感でき、それが自己肯定感や自信へとつながります。
実際に、全国で開催されている「日本スポーツマスターズ」や「ねんりんピック」など、シニア向けのスポーツ大会には毎年多くの参加者が集まります。70代・80代でも現役で競技に挑戦している人たちは、自らの体を鍛え、年齢に負けないエネルギーを持ち続けています。
目標に向かって取り組む時間は、若い頃のように「何かに夢中になれる」体験でもあります。たとえ競技性がなくても、「昨日より長く歩けた」「友達と一緒に継続できた」など、日常の中のささやかな達成感が、暮らしに彩りを与えてくれます。
“挑戦”は、決して若者だけの特権ではありません。
人生100年時代、70代からの挑戦は、むしろ人生を豊かにしてくれる“ごほうび”のようなものです。
6.無理せず続けるために|安全に楽しむための5つのポイント
“生涯現役アスリート”として運動を楽しむためには、何より「無理をしない」「安全に続ける」ことが大切です。せっかく体を動かし始めても、ケガや体調不良で中断してしまっては逆効果。シニア世代が安心して運動習慣を続けるためのポイントを、5つにまとめてご紹介します。
1. 医師に相談しながら始める
持病のある方や、長年運動から遠ざかっていた方は、まずはかかりつけ医に相談を。どの運動が適しているか、自分の身体に合った内容かを確認しておくことで、安心してスタートできます。
2. 準備運動と整理運動を忘れずに
筋肉や関節が硬くなりがちなシニア世代は、急な運動でケガをしやすい傾向があります。軽いストレッチや関節の可動域を広げる動きを取り入れることで、身体の動きをスムーズにし、ケガの予防になります。
3. こまめな水分補給を習慣に
シニアは喉の渇きを感じにくくなるため、脱水症状になりやすいと言われています。運動前・中・後にこまめに水分を補給するよう意識しましょう。特に夏場や室内でも汗をかく場面では注意が必要です。
4. 一人で無理をしない
「昨日はここまでできたから、今日も頑張らなきゃ」と無理をするのは禁物。体調や気分によって調整し、「今日は軽めでOK」と柔軟に対応することが長続きのコツです。可能であれば仲間と一緒に取り組むことで、声かけや見守りの安心感も得られます。
5. “楽しさ”を感じられる工夫を
義務感で続ける運動は続きにくいものです。「景色を楽しみながら歩く」「好きな音楽を聴きながら体を動かす」「仲間と笑い合いながらプレーする」といった、自分なりの“楽しみ方”を見つけましょう。
無理なく、楽しく、安全に——。
それが“生涯現役アスリート”としての長続きの秘訣です。年齢を理由にあきらめず、自分のペースで「動ける喜び」を続けていきましょう。
7.まとめ|“動ける喜び”は何歳からでも手に入る
「もう歳だから…」とあきらめるのは、少しもったいないかもしれません。
“生涯現役アスリート”という生き方は、特別な才能や経験が必要なわけではなく、今の自分の体と向き合い、できる範囲で体を動かすことから始まります。そこには、健康の維持や改善といった直接的なメリットに加えて、心の充実や人とのつながり、そして新たな挑戦による生きがいといった、多くの喜びが待っています。
シニア世代の多くが、運動を通じて「第二の青春」を楽しんでいます。
毎日の散歩が習慣になった、地域のスポーツ仲間と交流するようになった、大会に出場するという目標を持てた——そのどれもが、自分自身の暮らしを前向きに変えていくきっかけとなっています。
大切なのは、「年齢に縛られないこと」。
何歳であっても、今この瞬間から一歩踏み出すことはできます。そして、その一歩が、健康や笑顔、そして社会とのつながりへとつながっていくのです。
“動ける喜び”は、誰にでも、いつからでも手に入るもの。
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