はじめに:退職後も「働く」という選択肢
60代後半や70代を迎えると、「もう働くのは終わり」と思いがちですが、今やシニア世代の働き方は大きく変わりつつあります。厚生労働省の調査によると、65歳以上の就業率は年々上昇しており、2023年には65~69歳の約51.7%が働いているというデータもあります(※出典:総務省「労働力調査」2023年)【https://www.stat.go.jp/data/roudou/rireki/nen/dt/pdf/2021.pdf】。
年金だけでは不安な現実
年金受給が始まったものの、「思ったよりも生活費が足りない」「急な医療費や物価上昇が心配」といった声は少なくありません。特に一人暮らしや年金収入が限られている方にとって、再就職は経済的な安定を取り戻すための重要な手段となっています。
仕事をすることで得られる心身の健康
お金のためだけではなく、「働くこと」には大きな意味があります。人と会話をし、体を動かし、役割を果たすことは、シニア世代にとって心身の健康維持にもつながります。実際に、高齢者が社会とつながることは認知機能の維持やうつの予防にも効果があるとされており、QOL(生活の質)の向上にも大きく寄与します。
これからの人生を充実させるためにも、「働く」という選択肢を前向きにとらえ、自分に合った仕事を見つけていきましょう。本記事では、シニア向けの求人の探し方をわかりやすく解説していきます。
1.シニア向け求人の現状とは?
シニア世代の再就職は、以前に比べてずっと身近なものになってきました。少子高齢化が進むなか、企業側も人手不足を補うために、経験豊富でまじめに働いてくれるシニア人材の採用に注目しています。
増える高齢者雇用と求人数の傾向
総務省の「労働力調査」(2023年)によると、65歳以上の就業者数は約910万人に達し、過去最多を更新しています。また、70歳以上の就業率も20%を超えるなど、「生涯現役」で働きたいという高齢者が増えているのが現状です。
企業側もこの流れを受けて、年齢に関係なく応募できる「年齢不問求人」や「シニア歓迎求人」を積極的に出すようになってきました。特に人手が不足しがちな業種では、シニアの活躍が不可欠となっています。
どんな仕事が人気?年代別・職種別の動向
69歳前後の方に人気が高い仕事としては、以下のような職種があげられます。
職種カテゴリ | 内容例 | 特徴 |
---|---|---|
軽作業系 | 清掃、工場内作業、警備など | 体力に合わせて働ける |
サービス・接客系 | スーパーのレジ、飲食店のホール、家事代行 | コミュニケーションを活かせる |
事務・受付系 | 施設受付、電話対応、一般事務 | 落ち着いた環境で働ける |
福祉・介護補助 | デイサービスの送迎、見守り業務 | 社会貢献につながりやりがいも大きい |
このように、シニア向け求人は「体力」「経験」「性格」に合わせた多様な選択肢があります。過去に接客や管理職などの経験がある方は、活かせる場面がたくさんあるのも特徴です。
今後も高齢化が進む中で、シニアの働く場はさらに広がっていくことが予想されます。
2.求人を探す方法5選|自分に合った探し方を見つけよう
「何から始めたらいいかわからない…」という方も多いのではないでしょうか?
ここでは、シニア世代でも安心して活用できる求人の探し方を5つご紹介します。自分のスタイルや住んでいる地域、得意分野に合った方法を選びましょう。
① ハローワークを活用する
公共職業安定所、いわゆる「ハローワーク」は、全国どこにでもあり、無料で就職相談や求人紹介を受けられる安心の機関です。シニア向けの求人も多数掲載されており、就職支援セミナーや職業訓練も利用できます。
ポイント:
・担当者が個別に相談にのってくれる
・「生涯現役支援窓口」など高齢者向け専用窓口がある地域も
② 地域のシニア就労支援センターに相談
各自治体には、高齢者の雇用を支援する「シルバー人材センター」や「高齢者就業支援センター」があります。短時間や週2〜3回など、柔軟な働き方を紹介してくれるのが特徴です。
ポイント:
・会員登録をすればすぐに仕事を紹介してくれる
・地元密着の仕事が中心なので通勤も楽
③ インターネットの求人サイトで探す
スマートフォンやパソコンに慣れていれば、求人サイトの活用がおすすめです。最近では「シニア歓迎」「年齢不問」の条件で検索できるサイトも増えており、自宅にいながら幅広い仕事を比較・応募できます。
ポイント:
・自分の都合で探せて、応募も簡単
・写真や条件が一覧で見られるので比較しやすい
④ 知人や友人からの紹介
「人づてで紹介される(リファラル)」という方法も根強く残る就職手段のひとつです。特に、地元の小規模事業所や店舗では、求人広告を出していないこともあるため、口コミが役立つことがあります。
ポイント:
・信頼関係のある相手から紹介される安心感
・勤務条件の交渉がしやすいことも
⑤ 地元の掲示板・広報誌などもチェック
市役所や地域の掲示板、スーパーやコンビニの求人貼り紙、自治体の広報誌などにも、意外とお仕事情報が載っています。「近所で少しだけ働きたい」という方にはぴったりの情報源です。
ポイント:
・徒歩圏内で通える求人が多い
・掲載料がかからないため地元企業がよく使っている
いくつかの方法を並行して活用することで、自分に合った仕事に出会える確率が高まります。
3.応募時に気をつけたいポイント
仕事を探して応募する際、シニア世代ならではの気をつけたい点があります。自分の体力や生活スタイルに無理のない働き方を選ぶこと、そして「年齢」をネガティブにとらえない心構えが大切です。
自分の体力やスケジュールに合うかを確認
シニアの方にとって、最も重要なのは「無理なく続けられるかどうか」。若いころのように長時間働くのは負担になりやすいため、以下のポイントを事前に確認しましょう。
・立ち仕事か、座り仕事か
・通勤時間や交通手段
・週何日、何時間働くか
・シフトの柔軟性(急な通院などへの対応)
また、仕事内容が明確であるか、休憩時間がしっかりと確保されているかも見逃せない要素です。
求人の「条件」だけでなく、「やりがい」や「つながり」も大切に
求人を探す際は、「週何日働けるか」「時給はいくらか」といった条件ももちろん大切ですが、それだけにとらわれないようにしましょう。
「人の役に立てる仕事がしたい」
「地域の人と関わりながら働きたい」
「誰かに“ありがとう”と言われる仕事がしたい」
そんな気持ちも、仕事選びにおいて非常に大切な軸になります。
実際、やりがいや社会とのつながりを感じられる仕事は、続けやすく、心の充実感にもつながります。
求人票だけでは分かりにくいこともありますが、仕事内容や職場の雰囲気をしっかり確認しながら、自分にとって「生きがい」につながるような仕事を探してみましょう。
応募書類の書き方や面接での伝え方
履歴書や職務経歴書を書く際は、「ブランクがあっても気にしないこと」「長い職歴を簡潔に整理すること」がポイントです。特に伝えるべきは、年齢ではなく以下のような点です。
・これまでに培ってきた経験やスキル
・責任感、真面目さ、協調性などの人柄
・地元で長く働けるという安心感
面接では…
「年齢的にご負担ではないですか?」と聞かれる場合もありますが、その際は「体力的には問題ありません」「週〇日程度なら継続して働けます」と前向きに伝えるのが好印象です。
年齢をハンデにしないための心構え
「もう年だから…」と自信をなくしてしまう方もいますが、シニアには若い人にはない豊富な人生経験と落ち着いた対応力があります。
実際、企業がシニアを採用する理由のひとつは「職場の雰囲気が和やかになる」「丁寧な仕事ぶりが信頼できる」といった点にあります。
年齢をハンデと捉えるのではなく、「強み」として堂々と臨むことが、再就職成功の第一歩です。
4.おすすめの求人サイト5選|シニアも安心して使える
求人サイトを使えば、自宅にいながら簡単に求人を検索・応募できる便利な時代になりました。とはいえ、「どのサイトを使えばいいの?」と迷うシニアの方も多いでしょう。ここでは、シニア世代でも安心して使えるおすすめの求人サイトを5つご紹介します。
① キャリア65
特徴:65歳以上に特化したシニア向け求人サイト
「キャリア65」は、65歳以上の求職者を対象にした専門サイトです。パート・アルバイトはもちろん、短時間勤務の案件や体力に配慮された求人も多く掲載されています。
・無料で利用可能
・地域、職種、勤務日数などで細かく検索できる
・シニア採用に積極的な企業が集まっている
② シニアジョブ
特徴:50歳以上の求人に強い老舗のシニア専門サイト
50歳以上の方向けに特化した「シニアジョブ」は、シニア歓迎求人が常時1万件以上。年齢で足切りされることがなく、再就職がしやすいのが特長です。
・60代、70代の採用実績多数
・フルタイムからパートまで幅広く対応
・職種や地域での絞り込みがしやすいUI
③ マイナビミドルシニア
特徴:大手マイナビが運営する40代〜60代向けサイト
大手の安心感がある「マイナビミドルシニア」は、50代・60代の再就職を支援。未経験OKの仕事も多く、求人情報の信頼性が高いのが魅力です。
・短時間、扶養内OKの仕事も豊富
・応募から面接までスムーズに進められる設計
・大手ならではのサポートコラムも充実
④ シニア求人ナビ
特徴:50代〜60代のシニア世代に特化した求人サイト
「シニア求人ナビ」は、株式会社内藤一水社が運営する、50代~60代向けの専門求人サイトです。清掃、警備、軽作業、受付など、シニアが活躍しやすい職種が豊富で、全国の求人に対応しています。
・年齢を理由に断られにくい求人が中心
・パート、アルバイト、契約社員など雇用形態も多様
・応募しやすいシンプルなサイト設計でスマホにも対応
⑤ はた楽求人ナビ
特徴:40〜60代の就労を支える日本最大級の求人情報サービス
「はた楽求人ナビ」は、株式会社ツナググループ・ホールディングスが運営する中高年・シニア向け求人サイトです。40代から60代までの幅広い世代を対象とし、「長く、無理なく、働ける」をテーマにしています 。
・自宅周辺や通勤手段に応じた「ご近所検索」が可能
・「座ってできる」「接客が苦手」など独自の検索条件が豊富
・電話やメールでのお仕事紹介代行サービスもあり、使いやすさに配慮
どのサイトも無料で使えるため、まずは複数登録して求人の傾向を比べてみるのもおすすめです。
5.仕事選びで後悔しないために|自分に合った職場の見つけ方
求人情報を見て「よさそうだな」と思って応募しても、実際に働き始めてから「なんだか違った…」と感じることもあります。そんなミスマッチを防ぐためには、自分に合った仕事・職場をしっかり見極めることが大切です。
自分にとっての「働きやすさ」の基準を明確に
シニア世代が仕事選びで重視すべきポイントは、給与や条件だけではありません。以下のような基準を一度紙に書き出してみるのもおすすめです。
チェックポイント | 例 |
---|---|
通いやすさ | 自宅から徒歩またはバスで30分以内か |
シフトの柔軟性 | 家庭や通院予定に合わせやすいか |
人間関係 | 落ち着いた環境で働けそうか |
仕事内容 | 自分の得意分野・経験が活かせそうか |
やりがい | 人や社会の役に立っている実感があるか |
こうした要素をあらかじめ整理しておけば、「なんとなく良さそう」で選ぶより、後悔しない仕事選びができます。
職場見学・体験入社を活用する
最近では、正式採用の前に職場見学や体験入社ができる企業も増えてきました。「見てみないと分からない」「本当に自分に合うか不安」という場合には、積極的に希望してみましょう。
・実際の仕事内容や人間関係を確認できる
・無理のないペースで働けるかを自分の目で確かめられる
・相手企業にとっても「この人なら安心」と思ってもらいやすい
採用後のミスマッチや早期離職を防ぐ意味でも、非常に有効な方法です。
「ここで働きたい」と思える直感も大切に
最終的に「どこで働くか」を決めるのは自分自身です。条件や数字も大事ですが、「ここなら気持ちよく働けそう」「この人たちと一緒に頑張りたい」といった直感的なフィーリングも、実は長く働けるかどうかの大きなヒントになります。
無理なく、前向きに、そして気持ちよく働ける場所を選びましょう。
まとめ|安心して一歩を踏み出すために
シニアになってからの仕事探しは、不安や迷いもあるかもしれません。しかし、現代は「年齢=引退」ではなく、「年齢=選べる働き方が広がる時代」になっています。
働くことは、収入を得る手段であると同時に、心のハリや生きがいを得るチャンスでもあります。日々の生活に目的ができ、人と関わることで、元気や笑顔が自然と戻ってくる方も多いのです。
今回のポイントをおさらい
・求人の現状:シニア向け求人は年々増加し、多様な働き方が可能に
・探し方の工夫:ハローワーク、地域支援、求人サイトなど複数併用が効果的
・応募時のコツ:年齢ではなく「経験」と「誠実さ」を前向きにアピール
・おすすめサイト:安心、信頼できる求人サイトを活用しよう
・ミスマッチを防ぐ:職場見学や体験入社で、後悔しない選択を
何歳からでも、新しい一歩を踏み出すことはできます。「自分らしく働きたい」「まだ誰かの役に立ちたい」という気持ちを大切に、自分に合った職場をじっくり見つけていきましょう。
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