「ウェルビーイング経営」で採用活動が変わる!シニア人材活用の新たな可能性とは?

【企業向け】シニア採用

1.ウェルビーイング経営とは?企業が注目する背景とメリット

「ウェルビーイング経営」とは、従業員の心身の健康や幸福感(ウェルビーイング)を重視し、それを企業の成長や生産性向上につなげる経営手法です。近年、多くの企業がこの考え方を採用し始めており、その背景には労働力不足や離職率の上昇、働き方改革などの社会的要因があります。

特に注目されているのが、「人的資本経営」とのつながりです。経済産業省の資料でも、人的資本を中核に据えた経営が推奨されており、ウェルビーイングの可視化や開示が求められるようになっています【※参考:経済産業省「人材版伊藤レポート2.0」(2022)】。

企業側のメリットとしては、以下のような点が挙げられます。

従業員のパフォーマンス向上
 健康で満足度の高い状態にある従業員は、業務の生産性が高くなります。

エンゲージメントの向上
 働きがいや意義を感じられる職場環境が、離職防止にもつながります。

企業イメージの向上
 ウェルビーイングに取り組む企業は、採用市場においても好印象を与えることができます。

これらの要素が組み合わさることで、単なる“福利厚生の充実”を超えた、持続的成長の基盤となるのがウェルビーイング経営なのです。


2.どう実現する?ウェルビーイング経営の具体的なアプローチ


ウェルビーイング経営を実現するには、単に制度を整えるだけでなく、「働く人の心身の状態」「職場の人間関係」「仕事の意義」といった多層的な視点からアプローチすることが重要です。以下に代表的な実践方法を紹介します。


1. 健康経営の導入

ウェルビーイングの基盤となるのが、社員の健康です。健康診断の充実やストレスチェック制度、産業医による面談体制などを整えることで、心身の不調を未然に防ぐ仕組みが求められます。

さらに、定期的な運動機会の提供(社内フィットネス、ウォーキングイベントなど)や、禁煙サポート、健康的な社食・弁当の提供なども効果的です。


2. 柔軟な働き方の推進

フレックスタイムやテレワーク制度、時短勤務など、ライフステージに応じた働き方が選べる柔軟性も、ウェルビーイングを高める要素です。

特に介護や病気と両立する社員にとって、こうした柔軟性は「離職を防ぐ命綱」にもなり得ます。高齢者やシニア人材にとっても、体力や生活スタイルに合わせて働ける点は大きな魅力です。


3. 心理的安全性のある組織風土の醸成

Googleが2015年に発表した「効果的なチームに共通する5つの要素」によれば、最も重要なのは「心理的安全性」であるとされています【※出典:Google re:Work】。

誰もが自分の意見を安心して発言できる風土を作ることで、職場に信頼感が生まれ、離職率も下がる傾向があります。年齢やキャリアを問わず活躍できる環境を整えるうえで不可欠な要素です。


4. キャリア支援と自己成長の機会の提供

人は成長実感が得られることで、仕事へのやりがいを感じやすくなります。
研修・学び直し(リスキリング)制度や社内でのロールチェンジ、OJTやメンター制度の整備により、自律的なキャリア形成を支援することも、ウェルビーイング経営の一環です。


こうした複数の取り組みを連動させることで、社員の「幸せ」が企業の「成果」に自然と結びついていきます。


3.なぜ今“シニア人材”なのか?採用活動における価値の再発見


少子高齢化が進む日本において、「シニア人材の活用」はもはや選択肢ではなく“必然”となりつつあります。特に採用活動の現場では、年齢による画一的な線引きを見直し、経験や人柄、安定性に価値を見出す企業が増加しています。


経験知と即戦力としての魅力

シニア世代の最大の強みは、長年の業務経験と豊かな人生経験です。特に製造、物流、接客、事務などの分野では、業務習得が早く、現場で即戦力となるケースも多く見られます。

また、リーダー経験や後輩育成のスキルを持っている人材は、若手社員のメンターとしても貴重な存在です。特に人手不足に悩む中小企業や地方企業にとって、「教えられる人材」は戦略的に確保すべきリソースとなります。


定着率の高さと安定志向

厚生労働省の調査によると、55歳以上の労働者は20代に比べて約2倍近くの定着率を誇るという結果も出ています【※出典:厚生労働省「労働経済動向調査(2023年)」】。

収入よりも働きがいや社会とのつながりを求める傾向が強いため、条件が合えば長期にわたり安定して働いてくれるケースが多く、企業にとっては「離職リスクが低い人材」とも言えるのです。


多様性(ダイバーシティ)と職場の心理的安全性への貢献

年齢・性別・価値観が異なる人々が共に働くことは、組織の柔軟性や創造性の向上にもつながります。シニア人材の存在は、若手にとっての学びの機会にもなり、「年長者がいても発言しやすい職場=心理的安全性が高い職場」としても作用するのです。


ウェルビーイング経営が目指す「多様な人が安心して活躍できる職場」は、まさにシニア人材の活用と親和性が高い領域です。


4.ウェルビーイング経営とシニア採用は好相性!両者がもたらす相乗効果


ウェルビーイング経営の目的は、従業員一人ひとりが「健康で幸せに働ける状態」を実現すること。その実現には多様な働き手を受け入れる組織風土と、柔軟な働き方の整備が欠かせません。そして、こうした経営姿勢はシニア層との親和性が非常に高いのです。


シニアの“働きがい”がウェルビーイングを押し上げる

シニア人材にとって、働く理由は「収入のため」だけではありません。社会とのつながり、誰かの役に立つこと、自分らしさの再確認——そうした内面的な動機が強くなります。

企業がシニアを受け入れることで、「年齢に関係なく活躍できる職場」という価値が職場に浸透し、若手社員の働きがいにもつながります。結果として、従業員全体のエンゲージメントや帰属意識が高まるという好循環を生み出します。


年齢多様性が生む心理的安全性

年齢の異なる社員が同じ職場にいることで、自然と“違いを尊重する文化”が育まれます。この多様性は、心理的安全性の高い職場づくりの基盤となり、「失敗しても許される」「自分の意見を言える」という空気感につながります。

とりわけ、シニアが持つ包容力や人生経験は、若手社員の心の支えにもなり、世代間の学び合いを促進する点でも大きな効果があります。


社会的評価や企業イメージの向上にも貢献

近年では、年齢・性別・障害の有無などに関わらず、すべての人が活躍できる企業が「サステナブルな企業」「社会的責任を果たす企業」として評価される傾向があります。

シニア採用を積極的に進める企業は、ESG投資や人的資本開示においてもプラスの評価を得やすく、採用力・ブランド力の強化にもつながるのです。


ウェルビーイング経営を推進する中で、シニア人材の活用は単なる“人手不足の穴埋め”ではなく、職場全体の質を底上げする戦略的な施策と位置づけられます。


5.採用活動にウェルビーイング視点を導入する実践ステップ


ウェルビーイング経営を採用活動に取り入れるためには、採用前から受け入れ後までの各フェーズで一貫した視点を持つことが重要です。特にシニア人材の活用を視野に入れる場合、以下の4つのステップを意識することで、職場全体のウェルビーイング向上にもつながります。


1. 採用広報・求人設計

「働きやすさ」「意義」「柔軟性」を伝える

求人票や採用ページでは、給与や業務内容だけでなく、以下のような点も明示しましょう。

・柔軟な勤務時間(週2日~OK、午前のみなど)
・社員同士の関係性や風通しの良さ
・社会的貢献度の高い仕事であること

特にシニア層は「何のために働くか」に価値を感じるため、やりがいや役割の明確さをアピールすることが効果的です。


2. 採用面接・選考

年齢にとらわれない「対話型」の評価を実践

シニア層の場合、職務経歴の長さや年齢によって一律の判断をされることを懸念しています。形式的な面接ではなく、これまでの経験をどう活かせるか、本人が何を大事にしているかを丁寧に聞く「対話重視の面接」がポイントです。

加えて、面接官には「年齢に対するバイアス」がないかを確認し、評価基準を事前に統一しておくことも大切です。


3. 受け入れ・オンボーディング

初日から“居場所と役割”を設計する

採用後は「任せたい仕事の目的」と「期待される役割」を明確に伝えることが重要です。また、下記のような仕組みがあると、早期離職を防ぐことができます。

・社内ガイドブックやチューター制度
・シニア社員向けの導入研修
・体力や特性に応じた業務調整

シニア層は即戦力である一方で、「場に馴染めるか」「若手と上手くいくか」に不安を感じやすいため、受け入れ側のフォロー体制がカギになります。


4. 定着・活躍支援

対話と評価を通じて“自律的な働き方”を支援する

定期的な1on1ミーティングや面談を設け、「働きにくいことはないか」「もっと活かせる点はないか」といった対話を重ねることで、シニア人材のエンゲージメントは大きく向上します

また、業務量や時間、役割を定期的に見直す仕組みを入れることで、無理なく長く働ける環境づくりにもつながります。


このように、採用の最初から受け入れ後まで一貫して「ウェルビーイング視点」を持つことが、企業にとってもシニアにとっても持続可能な関係を築く第一歩です。


まとめ|シニア人材が活躍できる職場づくりが企業の未来を変える


これまで見てきたように、ウェルビーイング経営の本質は「誰もが自分らしく働き、幸せを感じられる環境を整えること」にあります。その理念は、まさにシニア人材の活用と深くつながっています。


シニア活用は単なる人手補填ではない

多くの企業が直面する労働力不足の解決策として、シニア人材は注目されています。しかし、そこにとどまらず、“人生経験に裏打ちされた知恵と安定感”を持つ人材としての価値を再認識することが重要です。

ウェルビーイング経営において、シニアは「支援すべき対象」ではなく、組織の質を高める“戦力”として積極的に迎え入れるべき存在です。


シニアが働きやすい職場は、誰にとっても働きやすい

柔軟な働き方、心理的安全性、キャリア支援など、シニアにとって魅力的な職場環境を整えることは、若手社員や子育て世代、障がい者など多様な人材にとってもプラスになります。

つまり、シニア活用の視点で職場づくりを見直すことが、結果的に全社的なエンゲージメントとパフォーマンス向上へとつながるのです。


経営と採用をつなぐ「共通言語」としてのウェルビーイング

今後、人的資本の情報開示が進む中で、「ウェルビーイング」は経営層と人事部門をつなぐ重要な共通言語となっていきます。採用活動のなかにウェルビーイングの視点を取り入れることは、時代の変化に即した経営判断であり、競争優位性の源泉となり得ます。


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