シニア世代に人気!『ハンドメイド作家』で始める第二のキャリア

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Senior woman enjoying knitting yarn in the room

1. ハンドメイド作家とは?|人気の理由と注目される背景

ハンドメイド作家とは、自らの手で制作したアクセサリーや雑貨、洋服、インテリア小物などを「作品」として販売し、活動している人を指します。大量生産の商品とは違い、ひとつひとつに作り手の思いや個性が込められているため、購入者にとっては「世界に一つだけの特別感」を味わえるのが大きな魅力です。

近年、日本国内ではハンドメイドを含むホビー市場が着実に成長しています。一般社団法人日本ホビー協会の『ホビー白書2018』によると、ホビー市場全体は約1兆9,076億円にのぼり、手芸やハンドメイドもその一部として含まれています。さらに、経済産業省の2021年のCtoC-EC市場調査では、個人間EC市場規模が2兆2,121億円と推計され、ハンドメイドマーケットプレイスもその中に含まれています。加えて、minne(ミンネ)の累計流通額が2023年の時点で1,000億円を突破したことから、ネットを活用したハンドメイド作品の販売が容易になり、自宅で作家活動を始める環境が整ってきたと言えるでしょう。

また、購入者側も「大量生産では得られない温かみやユニークさ」を求める傾向が強まり、特に若い世代からシニア世代まで幅広い支持を集めています。SNSを通じて作品を発信することで、共感やファンを獲得しやすいのも特徴です。

こうした市場の拡大や需要の高まりにより、退職後のセカンドキャリアや趣味を収入につなげたいと考えるシニア世代にとっても「ハンドメイド作家」という働き方が注目されているのです。


2. シニア世代がハンドメイド作家を目指すメリット

シニア世代がハンドメイド作家を目指すことには、経済的な側面だけでなく、健康や人間関係、心の充実にまでつながる多くのメリットがあります。

まず、収入の補填という点が挙げられます。年金だけでは生活が心許ないという方にとって、ハンドメイド作品の販売は「好きなことを楽しみながら収入を得られる手段」となります。自分のペースで制作・販売できるため、体力や生活リズムに合わせて働けるのも安心です。

次に、健康維持や認知症予防への効果です。手を動かして細かい作業をすることは、脳を活性化させる「脳トレ効果」があるといわれています。実際、日本老年学的評価研究(JAGES)による大規模調査では、趣味や地域活動といった社会参加が多い高齢者ほど、フレイル(虚弱)や認知機能低下のリスクが低いことが示されています。

さらに、人とのつながりが広がることも大きな魅力です。作品を通じて購入者やファンと交流したり、地域のワークショップやイベントに参加することで、新しい友人や仲間ができます。孤独感の軽減や心の充実につながり、毎日の生活に張り合いが生まれます。

そして、何より自己肯定感を高められることも見逃せません。自分のアイデアや技術が「作品」として誰かに喜ばれる体験は、働いてきた経験を別の形で活かすチャンスになります。これはシニア世代が自分の存在価値を再確認するうえで大きな支えとなります。

つまり、ハンドメイド作家という道は、単なる「副収入」ではなく、生活・健康・心の豊かさを同時に手に入れられる新しい働き方といえるでしょう。


3. 始め方のステップ|必要な道具とスキルを準備しよう

ハンドメイド作家を始めたいと思っても、「まず何から手を付ければいいの?」と戸惑う方も多いはずです。ここでは、シニア世代でも安心して始められるように、基本的なステップをご紹介します。


ステップ1:作るジャンルを決める

アクセサリー、布小物、編み物、陶芸、木工など、ハンドメイドのジャンルは多岐にわたります。まずは「自分が得意」「続けていて楽しい」と思える分野を選ぶことが大切です。趣味で作っていたものや、若いころに経験がある手仕事を活かすのも良いでしょう。


ステップ2:必要な道具をそろえる

選んだジャンルに応じて、最低限必要な道具をそろえます。例えば、アクセサリーならビーズや金具、工具類(ペンチ・ヤットコなど)、布小物ならミシン・裁ちばさみ・アイロンなど。最近では100円ショップや手芸専門店で安価にそろえられる道具も多いため、初期費用を抑えてスタートできます。


ステップ3:スキルを磨く

基本的な作り方を学ぶには、YouTubeなどの無料動画や本、通信講座が便利です。カルチャーセンターや地域の公民館で開かれる講座に参加すれば、講師や仲間と一緒に学べるので継続もしやすくなります。


ステップ4:作品を試作する

最初から完璧を目指す必要はありません。まずは試作を重ね、自分のスタイルを探してみましょう。友人や家族にプレゼントして感想をもらうのも、改良や自信につながります。


ステップ5:販売の準備を始める

少しずつ自分の作品に手ごたえを感じたら、販売の準備を進めましょう。後ほど紹介するネットショップやイベントでの販売方法を検討し、「自分の作品を届けたい相手」をイメージしておくことが重要です。


ハンドメイド作家として活動を始めるには、特別な資格や大きな投資は必要ありません。大切なのは「楽しみながら少しずつ続ける姿勢」です。無理のない範囲で準備を進めていくことが、長続きの秘訣となります。


4. 販売方法の選択肢|ネットショップ・イベント・委託販売

ハンドメイド作家として活動を始める際に重要なのが「どこで販売するか」です。販売の方法によって特徴やメリットが異なるため、自分のライフスタイルや目指す方向性に合わせて選ぶことが大切です。ここでは代表的な3つの方法をご紹介します。


ネットショップでの販売

もっとも手軽に始めやすいのがネットショップです。代表的なプラットフォームには「minne」「Creema」「BASE」などがあります。これらのサイトは多くのユーザーが利用しており、作品をアップロードするだけで全国の人に見てもらえるのが魅力です。
特にシニア世代にとっては、在宅で作品を販売できる点が安心で、無理なく続けやすい方法といえます。スマホ操作に不安がある場合でも、写真を撮って説明文を添えるだけのシンプルな仕組みが多く、徐々に慣れることが可能です。


イベントやマルシェでの出店

地域のハンドメイドイベントやマルシェに参加して対面販売を行う方法です。購入者の声を直接聞けるため、自分の作品に対する反応や改良のヒントを得られます。また、同じ作家仲間と出会える機会が増えるため、人間関係の広がりにもつながります。
特に、対面販売は「作り手の人柄」も商品価値の一部となるため、シニア世代ならではの温かいコミュニケーション力が強みになることもあります。


委託販売

手作り雑貨を扱うショップやカフェに作品を置いてもらう「委託販売」も人気です。自分で接客する必要がないため、制作に専念できるのがメリットです。ただし、販売手数料やスペース使用料がかかる場合もあるため、収益性を考えながら利用する必要があります。


販売方法の選び方

初心者には、まずネットショップで販売を始め、少し自信がついたらイベントや委託販売に広げていく流れがおすすめです。複数の販売方法を組み合わせることで、収入の安定化や新しいファン層の開拓が可能になります。


5. 収入を得るためのポイント|価格設定と集客のコツ

ハンドメイド作家として活動する際、多くの人が悩むのが「いくらで売るか」「どうやって人に知ってもらうか」です。作品作りを楽しみつつも収入を得るためには、価格設定と集客の工夫が欠かせません。


適正な価格設定の考え方

価格を決める際には、材料費+制作時間+販売手数料+利益を基本に考えます。安すぎると収入につながらないだけでなく、作品の価値が低く見られることもあります。逆に高すぎると購入につながりにくくなるため、「適正価格」を見極めることが重要です。

例えば、ビーズアクセサリーを作る場合

・材料費:300円
・制作時間(時給換算 800円 × 1時間):800円
・販売手数料(10%程度):150円
合計で1,250円。この場合は 1,300~1,500円程度 が適正価格になります。


集客のための工夫

販売を軌道に乗せるには「知ってもらう仕組み」が必要です。

SNSの活用:InstagramやX(旧Twitter)は作品の発信に最適です。制作過程や完成作品を写真付きで投稿すると、ファンが付きやすくなります。
写真の工夫:ネット販売では写真が命。自然光で明るく撮影し、複数の角度から見せることで購入意欲が高まります。
ストーリー性を伝える:作品に込めた思いや制作の背景を説明文に加えると、購入者の共感を得やすくなります。


リピーターを増やす工夫

一度購入してくれた人が再び買いたくなる仕組みも大切です。お礼メッセージを添える、次回割引クーポンをつける、季節ごとの新作を定期的に発表するなどの工夫が効果的です。実際に、国内最大級のハンドメイドマーケット「minne」を運営するGMOペパボ株式会社は、2023年6月に累計流通額が 1,000億円 を突破したことを発表しており、その中で「リピーターの存在が売上の安定化に寄与している」と強調しています(出典:GMOペパボ株式会社 プレスリリース 2023年6月19日)。


つまり、価格設定=作品の価値を正しく伝える手段であり、集客=継続的に活動を広げる力になります。この2つを意識することで、「趣味で終わらせないハンドメイド作家」として一歩前進できるのです。


6.ハンドメイドを長く楽しむために|教室や仲間の見つけ方

ハンドメイド作家として活動を続けるためには、「無理をせず、楽しみながら学び続ける姿勢」が欠かせません。シニア世代にとっては、新しい知識や技術を取り入れつつ、仲間と交流できる場所に参加することが、活動を長く続ける秘訣となります。


楽しむことを優先にする心構え

「売上」や「収入」だけを追い求めると疲れてしまいがちです。ハンドメイドはもともと「好き」「楽しい」という気持ちから始まるもの。“自分のペースで無理なく楽しむ”という姿勢を大切にしましょう。


教室・ワークショップに参加するメリット

自分で本や動画で学ぶのも良い方法ですが、教室やワークショップに参加すると次のようなメリットがあります。

基礎から効率よく学べる:講師の直接指導で、自己流よりも早く上達できる。
仲間ができる:同じ趣味を持つ人と交流し、刺激や情報を得られる。
継続のモチベーション:定期的に通うことで習慣化しやすい。

特にカルチャーセンターや地域の公民館はシニア世代にとって参加しやすく、費用も比較的手ごろです。


教室・コミュニティの探し方

「受けたいけれど、どこで見つければいいの?」という方のために、探し方をまとめます。

地域のカルチャーセンター:大手新聞社や百貨店系列が運営しているカルチャーセンターは、手芸、工芸の講座が充実しています。
公民館や地域交流施設:市町村の広報誌や自治体ホームページで講座情報をチェック。手芸クラブや趣味サークルが定期的に開催されています。
ハンドメイド系のネットサービス:minneやCreemaではオンラインワークショップも紹介されており、自宅からでも受講可能。
SNS/コミュニティアプリ:FacebookグループやLINEのオープンチャットで「ハンドメイド講座」「手芸サークル」と検索すると、参加できるグループが見つかります。
イベントやマルシェ:販売イベントの一角で「体験ワークショップ」が開催されることも多く、気軽に参加できます。


仲間と一緒に学び続けることの価値

学びの場に参加すると「作品づくりのスキル向上」だけでなく、「仲間との交流」「地域や社会とのつながり」も得られます。これが活動を続けるモチベーションとなり、楽しさと充実感を一層深めてくれるのです。


7. まとめ|「好き」を活かして第二の人生を彩る

ハンドメイド作家として活動することは、単なる副収入の手段にとどまりません。好きなことを続けながら、新しい人との出会いや健康へのプラス効果、そして「自分の作品を誰かが喜んでくれる」という充実感を味わえるのが大きな魅力です。

シニア世代にとっては、時間や経験を活かせる環境が整っており、ネットショップやイベントなど販売の場も年々広がっています。さらに、教室やワークショップに参加して学び続けたり、仲間とつながることで、モチベーションを維持しながら活動を長く楽しむことができます。

これからハンドメイドを始める方も、すでに趣味として楽しんでいる方も、少しの工夫で「作品づくり」を「第二のキャリア」に発展させることが可能です。大切なのは、完璧を目指すことではなく、自分のペースで楽しく続けること

「好き」から始まる活動が、経済的な安心だけでなく、心の充実や社会とのつながりを生み出し、あなたのセカンドライフをより豊かに彩ってくれるでしょう。

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