1.はじめに:年金生活を楽しむための心構え
年金生活に入ると、「自由な時間が増える」という面がある一方で、「収入が限られる」「日常が単調になる」「将来が見えにくくなる」といった不安を抱える人も少なくありません。特に親しい友人を亡くしたり、家族との関係が変化したりすることで、心の支えを失ったような孤立感にさいなまれることもあります。
しかし、70代は「これまでの人生の延長線」だけではなく、「新しい自分を見つける時期」として捉えることもできます。未知の趣味や学びに挑戦することで、自分らしさを再発見するチャンス。
本記事では、健康・社会つながり・働き方・安心感といった切り口から、70代女性が人生後半を自信を持って楽しむための具体策を一緒に考えていきたいと思います。
2.退職後の新しいチャレンジ:パートタイムの仕事を始める
パートタイムの仕事には、スーパーやコンビニのレジ、清掃、受付、庭仕事、図書館の司書補助、カルチャーセンターの講師補助といった、比較的体力的負荷が少ない職種も多くあります。また、最近は在宅ワークやリモートでできる仕事(データ入力、翻訳、ライティング、オンライン家庭教師など)も増えてきています。
仕事探しの際には、地域のシニア向け求人情報サイトをチェックしたり、自治体のシニア就労支援センターに相談してみたりすると、年齢対応の求人を見つけやすくなります。知人や地域のネットワークに「働きたい」と声をかけておくのも有効です。
さらに、実際に仕事を始める際には「無理のない勤務日数・時間・通勤距離」「仕事内容が体力的に負担にならないか」「勤務先の理解やサポート体制」「社会保険・税金の扱い」などを前もって確認しておくことが安心につながります。初めは短時間や週2〜3日などから始めて、徐々に調整するスタイルでも十分意味があります。
3.社会的なつながりを維持する方法:コミュニティ活動とボランティア
コミュニティ活動やボランティアには、例えば地域のお祭りの運営補助、子ども見守り、動物保護団体での活動、公園清掃、文化サークルのお手伝い、災害時支援ボランティアなどが挙げられます。自治体や福祉センターの掲示板やウェブサイト、SNSで募集情報をチェックするのがスタートポイントです。
初めて参加する際は、短時間でできる活動から始めると参加のハードルが低くなります。無理なく続けられる範囲での関わり方を意識しましょう。そこで出会った仲間と一緒に意見交換したり、趣味の情報を教え合うことで、心の支えになるネットワークが育ちます。
実際、地域の読み聞かせサークルに参加していた70代の女性が、活動を通して子どもたちとふれあう喜びを感じ、「もっと自分を生かしたい」と思って、後に非常勤の図書館司書の仕事を始めた例もあります。
ただし、活動に時間をとりすぎて体調を崩さないよう、活動量は自分の体力や生活リズムに合わせて調整することが大切です。
4.健康を保つためのライフスタイル:運動と食事の見直し
毎日の習慣に「軽い体操・ストレッチ」を取り入れるだけでも違いが出ます。例えば、朝起きたときに5分間の肩まわしや足首回し、椅子に座って膝を伸ばす運動など。週に2〜3回はプラスして、筋力維持のための軽いダンベル体操(ペットボトルなどでも代用可)や、椅子に座ったままできる脚上げ運動を取り入れてみましょう。
食事面では、魚・豆・海藻・きのこ・緑黄色野菜・乳製品などをバランスよく取り入れ、特にタンパク質を意識して摂るようにします。例えば、朝食にヨーグルト+フルーツ+ナッツ、昼食に魚定食、夕食に豆腐や納豆をプラスするなど。
また、塩分・糖分・脂質を抑える工夫も重要です。薄味のだしを使った調理や、油はオリーブオイルなど良質なものを選ぶ、調理法は蒸す・煮る・焼くを中心にするなどの方法が挙げられます。
健康管理として、年1回以上の定期健康診断、骨密度検査、眼科・歯科受診、骨折予防のための転倒防止策(手すり設置、滑りにくい床材、夜間照明の工夫)も合わせて取り入れたいポイントです。
睡眠・休養も見落とせません。就寝・起床時間をできるだけ一定に保つこと、昼寝の時間を短めにすること、寝る前のスマホやテレビ視聴の制限なども快眠につながります。
5.趣味を通じて充実した毎日を送る
趣味は単なる「時間つぶし」ではなく、生きがい・自己表現・交流のきっかけとなります。まずは、自分が「やりたい」「気になる」ことをリストアップしてみましょう。例えば、絵画・書道・俳句・詩作・写真・陶芸・手芸・ガーデニング・野菜作り・編み物・料理・音楽・朗読・囲碁・将棋・ボードゲームなど、選択肢は豊富です。
最近では、オンラインで学べる趣味も多く、通信講座や動画配信を利用すれば、自宅にいながら新しいことにチャレンジできます。また、同じ趣味を持つ人をオンラインで見つけて交流する機会にもなります。
趣味を通じて地域サークルに参加すれば、仲間と作品を披露しあったり、展示や発表会に出たりすることも可能です。趣味の活動がきっかけで講師を頼まれたり、小さな教室を開いたりして、副収入につながることもあります。
コストを抑える方法としては、図書館で本や教材を借りたり、地域センターの設備を使ったり、リサイクルショップで材料を入手したりすることが考えられます。
そして大切なのは「楽しく続けられること」。最初から完璧を求めず、まずは小さな目標を立てて、楽しみながら取り組むことが、長続きの秘訣です。
6.スキルや経験を活かす:シニア向けの学び直しと資格取得
学び直しには幅広い選択肢があります。地域の生涯学習センター、公民館講座、通信教育、オンラインスクールなどを使って、自分のペースで取り組むことができます。パソコン・タブレット操作、スマホ活用講座、英会話・中国語などの語学、介護福祉、医療事務、簿記・FP(ファイナンシャルプランナー)などの資格取得講座まで選択肢は多様です。
特にITスキル(パソコン操作、データ入力、簡単なWeb制作、SNS活用など)は、在宅ワークやパートタイムの仕事でも活かしやすく、今後も需要が見込まれます。また、介護資格や医療事務資格などは、地域でシニアを対象とした仕事を探す際にアドバンテージになることがあります。
講座を選ぶ際には「年齢対応・シニア割引・学びやすさ・サポート体制・受講料・受験の難易度」などを比較するとよいでしょう。無料体験や見学を活用して、自分に合う講座か確かめる手順もおすすめです。
実際に、70代で日本語教師養成講座を修了し、地域の外国人向け教室で非常勤講師として働いている方の例もあります。自分の経験や特技を活かしながら、新しい知識を足していくことで、生きがいと収入を同時に得る可能性も広がります。
ただし、無理に難しい学びを取り入れすぎると挫折しやすいため、最初は基礎レベルから始め、焦らず継続する姿勢を持つことが大切です。
7.安心して働ける環境を見つけるためのヒント
安心して働ける環境を選ぶには、まず自分の希望条件を明確にすることが大切です。「週何日働きたいか」「通勤時間は何分まで許容か」「業務内容に体力・知識的に無理がないか」「人間関係・職場の雰囲気はどうか」など、自分の「働きたいライン」を設定しておきましょう。
求人探しには、シニア専門・高齢者歓迎求人が多く掲載されているサイト(例:地域版高齢者雇用サイト、シニア向け派遣会社、シルバー人材センター、自治体の就労支援窓口など)を活用しましょう。求人票だけでなく、職場の口コミ・レビューサイトを参考に雰囲気を調べておくと安心です。
応募前には、最低限確認すべきポイントをチェックリストにしておくとよいでしょう。例:雇用形態(契約社員・パートなど)、勤務時間・シフト、休暇・休日、給与・交通費支給、社会保険加入の有無、試用期間の扱い、残業の有無と見込み、契約更新の頻度・条件など。疑問点は面接時に質問して明確にしておきましょう。
また、働くことで年金に影響が出る可能性もあります。在職老齢年金制度(年金減額が発生する可能性)を確認したり、税・所得控除の仕組みを理解しておくと、収入とのバランスが取りやすくなります。
職場選びでは、例えば「上司・同僚が年齢に配慮してくれるか」「無理なノルマがないか」「体調不良時の休み取りやすさ」などの感覚的な安心感も重要です。可能であれば面接時に職場を案内してもらったり、実際に働く先輩に話を聞いたりすると、実態をつかみやすくなります。
さらに、働き始めてからトラブルを防ぐために、労働条件を明示した契約書を交わしておくこと、労働基準監督署や労働相談窓口の連絡先を控えておくことも安心材料になります。安心・安全な環境で、自分らしく働き続けられる職場を見つけましょう。
シニア向けの求人情報は「キャリア65」から!自分に合ったパートタイムの仕事を見つけて、充実した年金生活を送りましょう。